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Power Automateの活用事例|中小企業が最初に自動化する4つの業務と、止まらせない決めごと

この記事でいう「事例」は、Microsoftの公式資料にある使い方、型を中小企業の事務に当てはめた組み合わせの例、Power Automate以外で作った支援先の自動化の例の3種類です。これらをもとに、最初の1本の選び方をまとめました。

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執筆:泉 款太(株式会社SalesDock 代表取締役)累計40社以上の中小企業を支援

Power Automateの活用事例|中小企業が最初に自動化する4つの業務と、止まらせない決めごと

結論

経営管理・業務・データの仕組みを会社の成長に合わせて整えるSalesDockの立場から見ると、自動化は道具の選び方よりも、どの業務を、誰が見張る形で自動にするかの設計が結果を分けます。

  • 活用事例は、メール到着の転記、承認、定期処理、画面操作の4つに分けると選びやすくなります。最初の1本は、毎週くり返していて手順が決まっている業務から選びます。
  • Microsoftの公式資料では、クラウドフローは自動化・インスタント・スケジュール済みの3種類です。承認は休暇や書類、経費精算の申請を扱うと説明されています。
  • 自動化は、着手前に業務を1つに絞り、作ったあとに走ったかを見張る仕組みまで一緒に作ります。壊れても音を立てないためです。

この記事はPower Automateの使い方を業務の例で扱います。料金はPower Appsの料金と無料で使える範囲、ツールの種類の違いはRPAツールの選び方で扱っています。

「Power Automateで、ほかの会社は何を自動にしているのか」を知りたい人は多いはずです。この記事でいう「事例」は3種類あります。1つ目は、Microsoftの公式資料に書かれた使い方で、4つの型に分けて示します。2つ目は、その型を中小企業の事務に当てはめた5つの組み合わせの例で、コネクタの機能はMicrosoft Learnで確認したものです。3つ目は、支援先で見聞きした自動化の例で、Power Automate以外の手段で作ったものです。いずれもPower Automateで作った自社の実績ではない点を、先にお伝えします。公式資料の内容は2026年11月5日に確認したものです。

活用事例は4つの型に分けると選べる

事例を探すより先に、自社の作業がどの型に当たるかを決めると、使うフローの種類が決まります。Microsoft Learnでは、クラウドフローを3種類に分け、パソコンの画面操作にはデスクトップフローを用意しています。

メールが届いたら自動化されたクラウドフローボタンを押したらインスタントクラウドフロー決まった時刻にスケジュール済みクラウドフロー画面操作を代わりにデスクトップフロー
業務の「きっかけ」が決まれば、使うフローの種類はほぼ決まります。Microsoft Learnの説明をもとに整理しました。
自動にする作業使うフロー何が変わるか根拠
メールが届いたら一覧に転記する自動化されたクラウドフロー問い合わせや反響のメールが届くたびに、必要な項目を表へ並べる。手で写す作業と写し間違いが減る公式の例:メールの受信をきっかけに動く自動化
申請を承認者に回すインスタントクラウドフロー+承認休暇、書類、経費精算の申請を承認者へ送り、Outlook・Teamsから返答してもらう。承認の履歴が残る公式の例:承認機能が扱うケース
決まった時刻に処理を走らせるスケジュール済みクラウドフロー毎日・毎週のデータ更新や、定期の集計。担当者が思い出す必要がなくなる公式の例:SharePointやデータベースへの毎日のアップロード
画面での操作を代わりにやらせるデスクトップフローWebやデスクトップのアプリで、人が毎回同じ順に行う操作を再現する公式の例:WebやデスクトップのタスクをPower Automateで自動化

Power Automateで自動化できる業務の例:中小企業の事務で多い5つ

以下の5つの例は、いずれも日常で使うMicrosoft 365のアプリやメール・フォームをつなぐ使い方です。画面操作のデスクトップフローは、つなぐ先がこれらに限りません。5つは、4つの型を中小企業の事務に当てはめた一般的な組み合わせの例で、自社の実績ではありません。使うコネクタの機能はMicrosoft Learnのコネクタ解説(末尾に記載)で確認しましたが、テンプレートの有無やライセンス条件は、導入前に公式ページで確認してください。

Formsの回答を一覧に転記する

お問い合わせや申込をMicrosoft Formsで集めている場合、回答が届いたことをきっかけに、SharePointのリストやExcelの表へ1行追加する使い方です。型は「自動化されたクラウドフロー」です。回答を開いて手で写す作業がなくなります。Excelへ追加するには、ブック内に表(テーブル)として書式設定された範囲が必要です。毎日・毎週くり返し、手順を紙に書ける作業なので、最初の候補になりやすい例です。

Outlookの添付ファイルを保存先に振り分ける

請求書や注文書がメールで届く会社で、添付ファイルをOneDriveやSharePointの決まったフォルダへ保存する使い方です。型は同じく、メールの到着で動く自動化です。保存先のフォルダ名の決めごとを先に作っておくと、あとで探しやすくなります。取り違えると探す手戻りが出るため、手順を紙に書ける会社では候補になります。

Teamsへ通知を出す

Teamsへ通知を出す使い方は、申請の提出・案件の状態変更・処理の失敗をきっかけに、Teamsのチャットやチャネルへメッセージを投稿して知らせるものです。処理が止まったことに気づく仕組みとしても使えます。型はきっかけによって決まり、メールやフォームの到着なら自動化されたクラウドフロー、ボタンならインスタントクラウドフローです。単独で選ぶより、ほかの例に足す形が合います。

Excelやリストを毎週まとめる

週次の集計や、期限が近いものの一覧づくりを、決まった曜日と時刻に動かす使い方です。型は「スケジュール済みクラウドフロー」です。元の表の列名や並びが変わると止まりやすいので、表の形を変える人を決めておきます。毎週くり返す作業なので、候補になりやすい例です。

申請と承認を1つの流れにする

休暇・経費・書類の申請を承認者へ回して履歴を残す使い方です。型はボタンで始めるインスタントクラウドフローに承認を組み合わせたものです。使うには、Microsoft Dataverseのデータベースと有効なライセンスが前提になります(Microsoft Learnの説明による)。回覧で手戻りが出やすい会社では、効果が出やすい例です。

5つのうち、毎週くり返し、手順を紙に書け、間違えると手戻りが出る業務から選びます。Formsの転記と週次の集計は毎週くり返すので、候補になりやすい例です。承認は手戻りが出やすい一方、前提条件の確認が先に要ります。Teams通知は単独では効果が見えにくいため、ほかの例に足して使います。選び方の詳しい手順は、後の「最初の1本を決める手順」にまとめています。Power Automateのライセンスの考え方は、Power Appsの料金と無料で使える範囲の記事が、Power Automateのライセンスに関するよくある質問にも触れて整理しています。

承認を回す:何が必要で、何が残るか

承認は、申請を承認者へ送り、返答を待ってから次の処理に進める機能です。Microsoft Learnでは、休暇の要求、サインオフが必要なドキュメント、経費精算書の承認を、一般的なケースとして挙げています。承認者はOutlookのメール、Teamsのアダプティブカードから返答できます。Power Automateの画面から直接返答するには、承認者側にもPower Automate関連のライセンスが要ります。

承認のしかたは、全員の承認が必要な型、最初に返答した人で進む型、順番に1人ずつ回す型などがあります。回覧の順番が決まっている会社は、順次承認が合います。

使う前の確認点が1つあります。公式の説明では、承認の前提にMicrosoft Dataverseのデータベースと有効なライセンスが挙がっています。承認フローは、使える契約かどうかを先に確かめてから設計します。契約の考え方はMicrosoft 365の料金とプランの選び方も参考になります。

支援先での自動化の例(Power Automate以外で作成):メールの転記と週次の定期処理

ここからは、SalesDockが支援先で見聞きした例です。Power Automateで作ったものではなく、他の手段で作った自動化です。同じ型の例として読んでください。社名や数字は出さず、業種だけで書きます。

小規模な不動産会社の例:複数の一括査定サイトから届く反響メールを、届くたびに、スプレッドシートの反響一覧へ並べる仕組みに取り組んでいます。取り組み中のため、効果の数字はまだありません。型でいえば、メールの到着をきっかけに動く自動化です。

営業代行の会社の例:先方が毎週更新する「架電NGリスト」を、営業管理システムへ反映し続ける作業を自動にしました。型でいえば、決まった時刻に動く定期処理です。

  • NGリストに法人番号を補ってから反映するプログラムを作り、クラウド上で毎週決まった時刻に自動で動かしています
  • 候補が複数ある会社や一致しない会社は、自動では更新せず、確認用の一覧に出します
  • 数千件規模のリストの大半に法人番号を付けて反映できる見込みで、営業管理システム側でも更新が進んでいます

メール転記と週次の定期処理の2つの自動化に共通するのは、機械が決められない案件を、人が見る確認用の一覧へ回していることです。私たちが見たこの2例では、全件を機械に任せるより、迷うものを人に残す設計のほうが止まりにくいと感じました。入力作業そのものを減らす考え方はデータ入力を効率化する方法にまとめています。

最初の1本を決める手順

最初にやるのは、自動にしたい業務を1つだけ選ぶことです。自動化したい業務を聞くと、複数出てくることが多いです。どれも面倒で、人の手が要ります。1つに絞らずに着手すると、効果の大きさではなく、作りやすさで順番が決まってしまいます。

1. 業務を1つに絞る候補が複数出ても、着手は1つだけ2. 今の手順を書き出すきっかけ・入力元・出力先・例外3. フローを1本作る例外は人が見る一覧に逃がす4. 走ったかを見張る止まったら誰かが気づく仕組み
フローを作るのは3番目で、前後の「絞る」と「見張る」が抜けると続きません。

選ぶ基準は3つ

選ぶ基準は、毎週くり返していること、手順を紙に書けること、間違えると手戻りが出ることの3つです。書き出すときは、きっかけ、入力元、出力先、うまくいかない場合の4つを残します。うまくいかない場合を書けない業務は、まだ自動にしないほうが安全です。

どの業務から手を付けるか迷ったら

広告・営業・利益・データのどこが詰まっているかを3分で整理できます。自動化する業務を1つに絞る前の、棚卸しに使ってください。

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止まったことに気づく仕組みをフローと一緒に作る

自動化した仕組みは、壊れても音を立てません。手作業なら、できていなければ誰かが気づきます。自動にした途端、更新が走っていないことを誰も見なくなります。営業支援の現場でも、更新が走ったかを見張る仕組みを、フローと一緒に作るようにしています。

見張る方法は小さくてよい

見張る方法は小さくて構いません。たとえば次のとおりです。

  • 毎回の処理の終わりに、処理した件数を一覧の端に書く
  • 決まった曜日に、一覧の最終更新日を見る担当者を1人決める
  • 自動で更新できなかった分は、確認用の一覧に出して、人が処理する

担当者が休んだときに誰が見るかまで決めておくと、止まり方が小さくなります。作る人と直す人を分けない決めごとは、業務アプリをノーコードで作る前に決める4つでも同じです。画面操作を中心にした自動化と、AIで足りる場面の分け方はAIエージェントとRPAの違いが参考になります。

来週やること:業務を1つ選び、手順を書き出す

来週は、自動にしたい業務を候補から1つだけ選び、きっかけ・入力元・出力先・うまくいかない場合の4行を書き出してください。自動にしたい業務について、きっかけ・入力元・出力先・うまくいかない場合の4つを書き出せれば、使うフローの種類(自動化・インスタント・スケジュール済み・デスクトップ)を選べます。4つを書けない業務は、まだ自動化せず手順の整理にとどめます。

SalesDockは、業務の構造を先に文章にしてから仕組みを作る支援をしています。自動化が目的ではなく、成長に管理・業務・データが追いつかない会社の経営管理基盤を整える手段のひとつとして、自動化を位置づけています。

一次情報・公式情報

公式資料の内容は2026年11月5日時点です。仕様やライセンスの条件は変わることがあるため、導入前にMicrosoftの公式ページでご確認ください。

Power Automateの活用についてよくある質問

Power Automateでできることは何ですか?

Microsoftの公式ドキュメントでは、クラウドフローを、アプリとサービスを接続してタスクとプロセスを自動化するワークフローと説明しています。メールの到着や特定の時刻などのきっかけで動き、複数のサービスにまたがる処理を行えます。種類は、イベントで動く自動化されたクラウドフロー、ボタンで動くインスタントクラウドフロー、スケジュール済みクラウドフローの3つです。Webやデスクトップのタスクにはデスクトップフローがあります。

中小企業はどの業務から自動化すればよいですか?

毎週・毎日くり返していて、手順が人によってぶれにくく、間違えると手戻りが出る業務から選びます。たとえば、メールの内容を表に写す作業や、承認の回覧です。自動化したい業務が複数あるときは、1つに絞ってから着手します。作りやすいものから手を付けると、効果の大きい業務が後回しになります。

承認フローには何が必要ですか?

Microsoftのドキュメントでは、承認の前提条件として、Microsoft Dataverseのデータベースと、フローを作成するための有効なライセンスを挙げています。承認コネクタは標準コネクタです。既定の環境ではDataverseのプロビジョニングは不要と書かれていますが、既定以外の環境で初めて使う場合は、最初に実行するユーザーに環境の管理者ロールが必要です。自社の環境で使えるかは、契約内容とあわせて確認してください。

Power AutomateとRPAは何が違いますか?

Power Automateは、クラウド上でサービス同士をつなぐクラウドフローと、パソコンの画面操作を再現するデスクトップフローの両方を持つ製品です。画面操作を中心にした自動化はRPAと呼ばれることが多く、デスクトップフローがそれに当たります。ツールの種類ごとの違いは、RPAツールの選び方の記事で整理しています。

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泉

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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この記事の数値について

本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。

CASE

実際の支援では、こう変わりました

  • 人材紹介3ヶ月の伴走支援

    サイトの文言変更を、担当者が一人で本番公開まで完了。

  • 防災メーカー3ヶ月の伴走支援

    見積書づくりで人が行うのは、粗利をどうするかの判断だけに。

  • 外国人材の就職支援試作からの伴走支援

    書類の回収・仕分けと履歴書づくりを、どこまで自動にし、どこを人が確認するかを決めて試作まで完了。

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