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業務改善

kintoneを入れたのに社内で使われない—定着しない理由と立て直す順番

kintoneが社内で使われないのは、操作の難しさより、アプリが増えてどれが正か分からない、Excelや紙が並行して残る、会議がkintoneを開かずに回る、直す人が決まっていない、の4つが重なるからです。アプリ一覧のCSVで使われていないアプリを洗い出し、正のアプリを1つ決めて会議で開くところから立て直す順番と、90日後に確かめる数字を解説します。

公開: ・ 最終更新: ・ 読了目安 9分

kintoneを入れたのに社内で使われない—定着しない理由と立て直す順番の結論

kintoneが社内で使われないのは、操作が難しいからではなく、kintoneを開かなくても仕事が終わる状態が残っているからです。アプリが増えてどれが正か分からない、Excelや紙が並行して残る、会議がkintoneを開かずに回る、直す人が決まっていない、の4つが重なると定着しません。立て直すときは、アプリ一覧のCSVで使われていないアプリを洗い出し、正のアプリを1つ決めて週1回の会議で画面に映すところから始めます。

  • 最初に、アプリ一覧のCSVでレコードの最終更新日が古いアプリと、似た名前のアプリを洗い出します。
  • 正のアプリを1つに決め、社長や責任者がそのアプリの画面で報告を受けるように変えます。
  • 並行しているExcelを止める日を決めてから、項目・一覧・通知を整えます。

最初に置く業務場面

kintoneを導入して数か月から数年たち、アプリは増えたのに、現場ではExcelや紙がまだ使われている会社を想定します。社長か部門の責任者が「入れた意味があったのか」と感じ始め、立て直すか、別のツールへ乗り換えるかを考えている場面です。

ツール名から始めず、対象業務、入力、完了条件、判断者、例外時の戻し先を先に決めます。この順番は、SalesDockの支援記録から顧客固有情報を除き、複数の現場で再利用できる形に一般化したものです。

kintoneが使われないのは、使わなくても仕事が終わる状態が残っているからです

kintoneは画面の操作そのものは難しくありません。それでも社内で使われなくなる会社には、共通する状態があります。kintoneを開かなくても、今日の仕事が終わってしまうことです。Excelや紙の台帳が残っていて、会議もそちらで回り、kintoneの入力は「あとでまとめて」になります。

当社が支援に入った会社でも、kintoneは導入済みで顧客の情報は溜まるようになっていました。それでも現場では、次のような状態が残っていました。担当者の努力が足りなかったのではなく、kintoneに入れる理由がない流れのまま運用が始まっていたのが原因です。

  • 入力されないまま空欄で残る項目がありました。
  • FAXで届いた手書きの依頼を、kintoneに打ち直す二重入力がありました。
  • 朝の打ち合わせは紙1枚で「この案件は誰が対応するか」を共有していました。
  • 整備を任された担当者は、kintone全体の整備は「全然できなかった」と振り返っていました。

入力する人と助かる人のずれは、CRM全般に共通します

入力する人と、入力された情報で助かる人がずれる問題は、kintoneに限らずCRM全般で起きます。この点は関連記事の「CRMが使われない理由」で詳しく扱っています。この記事では、kintoneだから起きやすい4つの理由と、立て直す順番に絞ります。

kintoneで定着しない理由は、主に4つが重なっています

kintoneは、現場の担当者が自分でアプリを作れるところが強みです。この強みが、運用のルールを決めないまま使い始めると、そのまま定着しない理由に変わります。

  • アプリが増えて、どれが正か分からない: 初期設定では、すべてのユーザーにアプリの作成と管理が許可されています。部署ごと、担当者ごとに似たアプリが作られ、「顧客管理」が2つ3つある状態になりがちです。どれに入れればよいか迷った人は、結局手元のExcelに戻ります。
  • Excelや紙が並行して残っている: kintoneに移したはずの台帳が、別の担当者の手元で更新され続けています。二重入力になった時点で、忙しい日にはkintone側が後回しになります。
  • 会議や朝礼がkintoneを開かずに回る: 社長や責任者が紙やExcelで報告を受けているかぎり、現場にとってkintoneに入れる理由がありません。上の人が見ない画面は、入力の優先順位が下がります。
  • 直す人が決まっていない: 作った担当者が異動したり、ほかの仕事で手が回らなくなったりすると、項目の追加や一覧の見直しが止まります。使いにくいまま放置されたアプリは、少しずつ開かれなくなります。

まず、アプリ一覧のCSVで使われていないアプリを洗い出します

立て直しの最初の作業は、社員への聞き取りではなく、kintoneに残っている記録を見ることです。cybozu.com共通管理者であれば、[アプリ管理]画面からアプリの一覧をCSV形式でダウンロードできます。このファイルには、アプリごとに「レコードの最終更新日」「レコード数」「作成者」「設定の最終更新日時」などが入っています。

Excelで開いて、レコードの最終更新日が古い順に並べ替えると、作られたまま使われていないアプリがすぐに分かります。90日以上レコードが更新されていないアプリ、レコード数が数件しかないアプリ、同じ名前や似た名前のアプリに印を付けます。この一覧が、社内で話し合うときの共通の材料になります。

  • 最終更新日が90日より前のアプリ: 使われていないか、別の場所で同じ仕事が回っています。
  • 似た名前のアプリが複数ある: どれを正にするかを決める候補です。
  • 作成者が退職・異動している: 直す人がいないアプリです。管理者を付け直します。

立て直しは、正のアプリを1つ決めて会議で開くところから始めます

使われていないアプリが見えたら、全部を一度に直そうとせず、次の順番で1つの業務から立て直します。順番を入れ替えて、項目の整理や通知の設定から始めると、見た目は整っても誰も開かない状態に戻りやすくなります。

  • 1. 正のアプリを1つに決める: たとえば案件管理なら、似たアプリのうち1つを正と決め、残りは「参照のみ」と説明文に書いてから、時期を決めて整理します。
  • 2. 週1回の会議で、そのアプリの一覧を画面に映す: 社長や責任者が、報告をkintoneの画面で受けるように変えます。現場がkintoneに入れる理由は、ここで初めて生まれます。
  • 3. 並行しているExcelや紙を止める日を決める: 止める日を先に宣言し、それ以降の更新はkintoneだけにします。止めないかぎり、二重入力は続きます。
  • 4. 項目と一覧を、使う人ごとに絞る: 必須項目は、入力する人が意味を説明できるものだけにします。一覧は「自分の担当で、今週動く案件」のように、開いた人がすぐ使える絞り込みを用意します。
  • 5. アプリの管理者と、作るときのルールを決める: アプリごとに直す人を1人決めます。アプリの作成は、kintone全体のアクセス権や、スペースごとの設定で特定の人に限定できます。
  • 6. 通知は最後に足す: 期日の前に知らせるリマインダーの条件通知などは、正のアプリが使われ始めてから設定します。使われていないアプリに通知を足すと、通知が無視されるだけになります。

別のツールへ乗り換える前に、同じ理由が残っていないかを確かめます

kintoneが使われないと、別のCRMやSFAへの乗り換えが話題に上がります。当社が相談を受けた会社でも、事業ごとにkintoneの使い方がばらばらになり、担当者が独自に手を加えた結果、別の大手CRMの見積もりを取っていました。当社からは、kintoneを残したまま周辺の連携を足す構成も選択肢として示しました。

乗り換えで解決するのは、ツールの機能が足りない問題だけです。正のアプリが決まっていない、Excelが並行している、会議がツールを開かずに回るといった理由は、ツールを替えてもそのまま移ります。上の4つの理由を先に潰し、そのうえで機能が足りないと分かったものだけを、乗り換えの判断材料にします。

kintoneをやめたほうがよい場合もあります

立て直しの順番を踏んでも、kintoneで受けないほうがよい業務があります。勤怠のように法令や制度の改定を追う判定が中心の業務や、会計のように専用のシステムが前提になっている業務は、kintoneで作り込むほど、改定への対応を自社で抱えることになります。

また、kintoneは最低10ユーザーからの契約です。実際に入力する人が2〜3人しかいない会社では、使われていない原因が運用ではなく、規模に対して道具が大きすぎることにある場合もあります。このときは、スプレッドシートに戻して列と更新者を決めるほうが早く定着します。

立て直しの効果は、90日後に3つの数字で確かめます

始める前に、次の3つの数字を記録しておきます。始めたあとでは、以前の数字は取り直せません。アプリ一覧のCSVは、90日後にもう一度ダウンロードすれば、同じ項目で比べられます。

  • 正のアプリで、1週間に更新されたレコード数: 会議で画面を開き始めた週から、増えているかを見ます。
  • 並行して更新されているExcelや紙の台帳の数: 止める日を決めた台帳が、実際に0になったかを数えます。
  • 最終更新日が90日より前のアプリの数: 整理が進めば減ります。減らないなら、新しいアプリの作成ルールが守られていません。

判断を止めない比較表

今の状態定着しない理由最初にやること
「顧客管理」のようなアプリが複数あるどれが正か分からず、手元のExcelに戻るアプリ一覧のCSVで比べ、正のアプリを1つ決める
kintoneとExcel・紙の両方に入力している二重入力になり、忙しい日はkintoneが後回しになるExcelや紙を止める日を決めて宣言する
会議や朝礼の資料が紙やExcel上の人が見ないので、入力の優先順位が下がる週1回の会議で、正のアプリの一覧を画面に映す
作った担当者が異動・退職した使いにくいまま直されず、開かれなくなるアプリごとに管理者を1人付け直す

来週までに確認するチェックリスト

  • アプリ一覧のCSVをダウンロードし、レコードの最終更新日が古い順に並べました。
  • 似た名前のアプリの中から、正のアプリを1つ決めました。
  • 週1回の会議で、正のアプリの一覧を画面に映すと決めました。
  • 並行しているExcelや紙の台帳と、それを止める日を書き出しました。
  • 必須項目を、入力する人が意味を説明できるものだけに絞りました。
  • アプリごとの管理者と、新しいアプリを作るときのルールを決めました。
  • 90日後に比べる3つの数字を、始める前に記録しました。

全部を一度に決める必要はありません。空欄が多い場合は、開発や契約を進めず、対象業務を一つに戻します。例外の担当者が決まらない場合も停止条件です。

確認した一次情報

制度、会計処理、法令、セキュリティの最終判断は、各分野の専門家と最新の公式資料で確認してください。本記事は個別の税務・法務・投融資判断を代行するものではありません。

全体の位置づけは業務設計とは(形骸化させない進め方6ステップ)で確認できます。

次に決めることを一つに絞る

担当・保存先・使う条件を決めていく過程を、架空の題材で書き込み式にまとめた資料です(全10ページ)。正のアプリと管理者を決めるときの練習にお使いください。

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よくある質問

kintoneを入れたのに社内で使われないのはなぜですか?

操作の難しさより、kintoneを開かなくても仕事が終わる状態が残っていることが原因です。アプリが増えてどれが正か分からない、Excelや紙が並行して残る、会議がkintoneを開かずに回る、直す人が決まっていない、の4つが重なると定着しません。

kintoneを定着させるには、何から始めればよいですか?

アプリ一覧のCSVをダウンロードし、レコードの最終更新日が古いアプリと似た名前のアプリを洗い出すところから始めます。そのうえで正のアプリを1つ決め、週1回の会議でその一覧を画面に映します。項目の整理や通知の設定は、その後に行います。

使われていないkintoneは、別のツールに乗り換えたほうがよいですか?

乗り換えで解決するのは、機能が足りない問題だけです。正のアプリが決まっていない、Excelが並行している、会議でツールを開かないといった理由は、乗り換えてもそのまま残ります。先にこれらを直し、それでも足りない機能があるときに乗り換えを判断します。

kintoneのアプリが増えすぎたときは、どう整理しますか?

アプリ一覧のCSVで、レコードの最終更新日、レコード数、作成者を見比べます。90日以上更新がないアプリや似た名前のアプリに印を付け、正のアプリを決めてから、残りは時期を決めて整理します。あわせて、アプリを作成できる人をアクセス権やスペースの設定で限定します。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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この記事の数値について

本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。