ノーコード(No Code)とは|意味とローコードとの違い、中小企業で向く業務・向かない業務
言葉の意味から、自社で試すかどうかを決めるところまでを1本にまとめました。
ノーコード(No Code)とは何か、の結論
ツールを選ぶ前に、対象の業務を1つ決め、作った人以外が直せるかまで4週間で試すと、続けるかやめるかを数字で決められます。
- ノーコードは、プログラムコードを書かずに、用意された部品を画面上で組み合わせて仕組みを作る開発方法です。
- ローコードとの違いは、コードを最小限書くかどうかです。ただし境界は製品ごとにあいまいです。
- 中小企業で向くのは、入力項目と流れを言葉にできる業務です。流れが人ごとに違う業務は、先に業務の整理が要ります。
この記事はノーコードという言葉の意味と、自社に合うかどうかの見分け方を扱います。製品の比べ方はノーコードツール一覧の見方、業務アプリを自作するかどうかの線引きは業務アプリをノーコードで作る前に決める4つで扱っています。
「ノーコードで業務アプリが作れるらしい」と聞いて調べ始めると、ツールの名前とメリットの説明ばかりが並びます。知りたいのは、自社のどの仕事に使えて、どこで止まるのか、のはずです。この記事では、言葉の意味を公的機関の説明で押さえたうえで、その見分け方と小さく試す手順を順に書きます。
ノーコード(No Code)の意味
ノーコード(No Code/No-code)の「コード」は、プログラムコードのことです。ノーコードは、プログラムコードを一切書かずにシステムを作ることを指します。画面、帳票、データベースの項目、承認の流れなどを、あらかじめ用意された部品を画面上で配置して組み立てます。
情報処理推進機構(IPA)の解説では、コードを最小限書いて作る方法をローコード、従来どおりプログラミングで作る方法をハイコードと呼び、3つを並べて説明しています。手軽に作れる代わりに、作れる範囲はツールの機能に限られる、というのが共通する性質です。
ローコードとの違いは「コードを書くか」と「誰が直すか」
言葉の上では、コードを書かないのがノーコード、最小限書くのがローコードです。ただし、ノーコードとローコードに厳密な境界はありません。コードを足して拡張できるノーコードツールもあれば、同じブランドの中にノーコードの機能を持つローコード製品もあります。
実務で比べるときは、名前よりも「作ったあと、誰が項目を足し、誰が動作を確かめ、止まったとき誰が直すか」を見ます。現場の担当者だけで回せるならノーコードの範囲、技術者の手が要るならローコード以上の範囲と考えると、社内の体制と合わせて判断できます。ローコード側の選び方はローコードとは|中小企業が導入前に比べる6つの判断軸にまとめています。
ノーコードでできることは用途で4つに分かれます
「ノーコードツール」とひとまとめに呼ばれますが、作れるものの種類で製品が分かれています。自社が作りたいものがどれに当たるかを先に決めると、候補が一気に絞れます。
- Webアプリ・サイト:社外に見せるページや申込画面を作ります。公開・予約・決済まで要るかで候補が変わります
- スマートフォンのアプリ:現場で写真を撮る、点検結果を入れるといった持ち歩く入力に使います
- 社内の業務システム:案件台帳・申請・日報など、ブラウザで使う社内向けの画面とデータベースを作ります
- システム同士の連携:フォームの回答を台帳に入れる、通知を送るなど、アプリ間のデータの受け渡しを自動にします
IPAの解説では、社内の業務システム向けの例としてkintone・Power Apps・プリザンター、連携向けの例としてASTERIA Warp・Zapierが挙がっています。Webサイトを自社で作る場合の注意点はSTUDIOのノーコードでどこまでできるかで公式の記載をもとに整理しました。
ノーコードのメリットと、先に知っておく4つの注意点
メリットは、インストールや環境づくりが要らず、ブラウザで作ってそのまま使い始められることです。運用しながら項目を足したり、画面を変えたりしやすい製品も多くあります。
一方で、IPAは使う前に知っておくべき点として次の4つを挙げています。特に2つ目と3つ目は、始めてしばらく経ってから費用として表に出てきます。
- 覚えるのに時間がかかる:プログラミングほどではないものの、ツールごとの作法を覚える時間は要ります
- 要件と合わないと割高になる:ツールにない機能を追加の作り込みで補い続けると、最初から作るより高くつく場合があります
- ツールと提供会社に縛られる:値上げ・機能変更・提供終了のとき、データと仕組みを別の場所へ移しにくくなります
- 自動の更新で動きが変わる:クラウド型は提供側の都合で更新され、作り込んだ部分が動かなくなることがあります
中小企業で向く業務・向かない業務の見分け方
ノーコードで作ったのに使われなくなる仕組みの多くは、ツールではなく業務の側に原因があります。入力する人によって項目の意味が違う、例外のときに誰が判断するか決まっていない、という状態のまま画面だけ作ると、結局Excelやチャットに戻ります。kintoneで起きやすい例はkintoneが社内で使われない理由で詳しく書いています。
向いているのは、誰が何を入れ、誰が判断し、何が出たら終わるかを1文で言える業務です。案件台帳、備品や在庫の記録、申請と承認、日報、点検記録などが当てはまります。反対に、判断の基準が担当者の頭の中にしかない業務や、止まると売上や給与の支払いに直結する処理は、ノーコードで作る前に別の検討が要ります。
ノーコードを4週間で試す手順
いきなり全社の仕組みを作るより、業務を1つに絞って4週間で試し、続けるかどうかを決めるほうが失敗の幅が小さく済みます。最後の週に「作った人以外が直せるか」を必ず試すのが、この手順でいちばん大事な点です。作った本人しか触れない仕組みは、その人が忙しくなった時点で止まります。
- 1週目:対象の業務を1つ選び、始まりと終わり、途中で誰が判断するか、例外のときの戻し先を1枚に書きます。書き方は業務設計とはが参考になります。
- 2週目:無料枠や試用期間で、1枚に書いた項目だけの画面を作ります。便利そうな機能は足しません。
- 3週目:実際の業務で使います。ただしExcelや紙も残し、問題が起きたらすぐ戻れるようにします。
- 4週目:下の4つの数字を測り、続けるか、直すか、やめるかを決めます。
効果は4つの数字で測ります
「便利になった気がする」で判断すると、作った人の感想で決まってしまいます。試す前に1回、4週目にもう1回、同じ測り方で数字を取っておきます。
| 測るもの | 測り方 |
|---|---|
| 1件あたりの処理時間 | 試す前と4週目に、同じ業務を5件ずつ時間を計って平均を比べます |
| 同じ情報を入れ直している回数 | 紙・Excel・チャットへ同じ内容を書き写している箇所を数えます |
| 作った人以外が直せるか | 項目を1つ足す作業を、作った人以外が手順書だけで終えられるかを試します |
| データを外へ出せるか | 全件をCSVなどで書き出し、元の形で読み直せるかを確認します |
後ろの2つは時間の短縮とは関係がないように見えますが、続けられるかどうかを決める数字です。どちらかが満たせないまま広げると、IPAが挙げる「ツールと提供会社に縛られる」状態に近づきます。
一次情報・公式情報
製品の機能や料金は変わります。最新の情報は各提供元でご確認ください。
ノーコードについてよくある質問
ノーコードとローコードの違いは何ですか?
ノーコードはプログラムコードを一切書かずに作る方法、ローコードは必要な部分だけ最小限のコードを書いて作る方法です。ただしIPAの解説のとおり厳密な境界はなく、コードで拡張できるノーコードツールもあります。名前より、誰が変更でき、変更後の確認と障害対応を誰が持つかで比べるのが実務的です。
社内にエンジニアがいなくてもノーコードで仕組みは作れますか?
台帳・申請・日報のように、入力項目と流れを言葉にできる業務なら作れます。先に詰まるのはツールの操作よりも、例外のときに誰がどう判断するかが決まっていないことです。業務の流れを1枚に書けるかを先に確かめてください。
Excelで管理しているものをノーコードに移す意味はありますか?
複数人が同時に入力する、誰がいつ変えたか追いたい、見られる人を分けたいという場面では移す意味があります。1人で使う集計表や、月に数回しか触らない表なら、Excelのままのほうが手間が少ないこともあります。
AIに話しかけてアプリを作るのもノーコードですか?
自然な文章で指示してアプリを組み立てられるノーコードツールも出てきています。作り方が変わっても、データの持ち主・権限・引き継ぎを決める必要がある点は同じです。
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泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。
運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。
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