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AI内製・技術レビュー

スタジオ(STUDIO)のノーコードでどこまでできるか|自社サイトを内製する前に確認する4点

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この記事のポイント

STUDIO(スタジオ)は、Webサイトを作る・公開する・更新するまでを1つで持てるノーコードのツールです。会社案内・採用・サービス紹介のような「読ませるサイト」には向きますが、決済・予約・会員登録は公式に非対応と明記されており、その部分は別のサービスに任せることになります。料金はサイト単位で、ページ数とCMSの件数がプランを決めます。内製できるかどうかは、作れるかではなく、公開後に誰が月何時間かけて更新するかで決まります。

「ノーコードのSTUDIOっていうのがあるらしいんですが、うちのサイト、あれで自分たちで作れますか」

中小企業の相談の中で、この数年よく出てくる質問です。制作会社に頼むと数十万円から数百万円かかる。頼んだあとも、文言を1行直すのに連絡してやり取りが発生する。だったら自分たちで持てないか——という動機はよく分かります。

先に結論を書きます。会社案内・採用・サービス紹介のような「読ませるサイト」であれば、STUDIOで内製する選択は現実的です。ただし、決済・予約・会員登録が必要になった時点で、STUDIOだけでは完結しません。そしてもう一つ、内製の成否を分けるのは作れるかどうかではなく、公開したあとに更新し続けられるかどうかです。

この記事では、公式ページに書かれている内容をもとに、できること・できないこと・料金・サポートの範囲を確認したうえで、自社が内製に向くかを判断するための材料を並べます。ツールの操作方法ではなく、契約の前に決めておくことの話です。

スタジオ(STUDIO)は「作る・公開する・更新する」を1つで持つツール

まず位置づけをはっきりさせます。STUDIOは、公式サイトで「ノーコードWeb制作プラットフォーム」と説明されているサービスです。デザインを画面上で組み、CMS(記事や実績のような繰り返し要素を管理する仕組み)とフォームを持ち、そのまま公開・ホスティングまで面倒を見る。ここが、従来の作り方との一番の違いです。

従来、会社のサイトを持つには、デザインする人、コードにする人、サーバーを用意して置く人、公開後に直す人が必要でした。小さな会社では、この全部を制作会社に頼み、公開後の修正も都度依頼する形になります。STUDIOはこの流れを、1つの画面と1つの契約にまとめる道具です。うまくはまれば、直したい人がその場で直せる状態になります。

ただ、ここで誤解が起きやすいところがあります。ノーコードは「誰でも簡単に作れる」という意味ではありません。STUDIOはデザインの自由度が高く、余白・文字サイズ・要素の並べ方を自分で決める前提の作りです。テンプレートに文字を流し込むタイプのサービスとは、必要になる力の種類が違います。コードを書く力の代わりに、デザインを決める力が要る——この置き換えが起きていることは、選ぶ前に知っておくほうがいいと思います。

ノーコードで作れるサイト、作れないサイト

向き不向きの判断は、機能の一覧を眺めるより、公式が「提供していない」と書いている側を見るほうが速いです。STUDIOの公式ブログ「導入前に知っておこう!Studioの特徴とよくある質問」には、非対応の機能がはっきり書かれています。

  • 決済機能・予約機能:「決済機能や予約機能はStudioでは提供していません」と記載されています
  • 会員登録・ログイン機能:「会員登録機能やログイン機能は提供していないため、会員制のサイトなどはStudioのみでは制作いただけません」と記載されています
  • フォームの自動返信メール・送信前の確認画面:「Studioの機能として提供はしていません」と記載されています
  • 手持ちフォントのアップロード:「手持ちのフォントをStudioにアップロードすることはできません」と記載されています
  • ページネーションの自動生成:「ページネーションは自動で生成されません」と記載されています

この並びから、向き先は自然に決まります。会社案内、採用サイト、サービス紹介、ランディングページのように「読んでもらって、問い合わせにつなげる」サイトは向きます。逆に、その場で買う・その場で予約を取る・ログインした人だけに見せる、が中心にあるサイトは、STUDIOだけでは組めません。

実務では、外に出すという形で回避します。商品の購入は外部のECサービスへ、予約は予約サービスへ、それぞれボタンで渡す。サイト本体は読ませることに徹する、という切り分けです。この切り分けは技術の話に見えて、実際は業務の話です。誰が予約を受け、誰が決済の記録を持つのかを先に決めないと、あとから置き場所を動かすことになります。

なお、自動返信メールが機能として提供されていないという点は、小さく見えて効きます。問い合わせフォームを置いたのに、送信した人の手元に何も残らない。これは中小企業のサイトでよくある取りこぼしなので、フォームを置くなら受け取ったあとの流れまで含めて決めておくことをおすすめします。

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料金はいくらか — プランは「サイト単位」で選ぶ

次に費用です。STUDIOの公式料金ページに掲載されている内容を、2026年8月14日時点で確認したものが次の表です。金額は変わることがあるので、契約前に必ず公式ページで確認してください。

プラン月額(年払い / 月払い)ページ数CMS
Free¥050ページ3件
Mini¥590 / ¥1,2902ページ+404ページ3件
Personal¥1,190 / ¥1,720150ページ5件
Business¥3,980 / ¥5,460300ページ10件
Business Plus¥9,980 / ¥12,900300ページ30件
Enterprise要問合せ無制限無制限

出典:Studio 料金プラン(studio.design)/2026年8月14日確認

表の読み方で、実務上いちばん効くのは次の3点です。

  1. 料金の支払いはサイト単位:公式ページに「料金のお支払いはサイト単位で」と明記されています。コーポレートサイトと採用サイトを別々に持つなら、その数だけ費用がかかる前提で見積もることになります
  2. Miniは安いがページ数が2ページ+404ページ:金額だけ見て選ぶと、あとから増やせません。数ページで足りるランディング用途と、会社案内一式では選ぶプランが変わります
  3. フォームの回答数にも上限がある:公式ページの記載では、Freeが100件、Personalが1,000件、Businessが10,000件です。問い合わせが増えたときに効いてくる数字です

あわせて、サイト全体にパスワードをかける機能はPersonalプラン以上に掲載されており、メンバーの招待は全プランで無制限と記載されています。社内の複数人で更新する体制を作りたい場合、人数で追加費用がかからないのは扱いやすい点です。

金額の水準としては、法人利用のBusinessで年払い月額¥3,980。制作会社に都度修正を依頼する運用と比べると、費用の性質が変わります。ただし、これは「作る費用がゼロになる」という意味ではありません。作る時間は社内の誰かの時間として発生します。そこを見落とすと、あとで説明した金額と実感が合わなくなります。

内製に向く会社、向かない会社の判断軸

ここが本題です。ノーコードで内製すべきかどうかは、ツールの性能ではなく自社の状態で決まります。相談を受けるときに確認しているのは、次の4つです。

  • 更新の担当者を名前で出せるか:「総務の誰か」ではなく、具体的な1人の名前が出るか。出ないなら内製は成立しません。ここが一番大きい分かれ目です
  • そのサイトは更新するものか、置いておくものか:年に1回しか触らない会社案内なら、内製で持つ意味は薄いです。採用や実績のように月単位で情報が増えるなら、内製の効き目が出ます
  • デザインの正解を社内で決められるか:STUDIOは自由度が高いぶん、判断を自分でします。「なんとなく見た目が整わない」で止まる会社は多いです。ここは外部の力を借りる前提でもかまいません
  • 決済・予約・会員が要件に入っていないか:入っているなら、その部分の置き場所を先に決めます。決めずに始めると、途中で設計をやり直すことになります

4つのうち、最初の1つが満たせないなら、他の3つを検討する必要はありません。ノーコードで内製する会社の失敗は、ほとんどが「作れなかった」ではなく「作ったあと誰も触らなくなった」です。作った本人が異動や退職でいなくなると、そのサイトは触れない資産になります。これはノーコードに限った話ではなく、社内で作ったツール全般に共通する構造で、作った人しか直せないツールのリスクで詳しく書いています。

もう一つ、判断の前に見ておくといい観点があります。サイトを内製する目的が「費用を下げること」なのか「速く直せるようにすること」なのかです。費用が目的なら、年に数回の更新なら外注のままでも大差ありません。速さが目的なら、内製の効果ははっきり出ます。目的が言葉になっていないまま道具から入ると、導入したこと自体は成功しても、何が良くなったのかを社内で説明できなくなります。この構造は中小企業のDXの進め方でも同じことが起きています。

自社で持つと、自社の責任になる範囲がある

内製に切り替えると、これまで制作会社が引き受けていたものの一部が自社側に移ります。この移動は契約書には書かれないので、見落とされがちです。

分かりやすい手がかりが、STUDIOの公式サポートポリシーです。ここには、サポートで正確な回答を保証できない範囲として、次のような項目が挙げられています。

  • 「SEO、検索エンジンでのサイト表示内容」
  • 「カスタムコードやEmbedボックスで、ユーザーが独自に記述したコード内容・動作」
  • 「独自ドメイン接続や公開サイトのアクセスエラーに際する、ドメイン取得サービスでのご契約側やDNS設定側の問題」
  • 「Googleアナリティクス、Googleタグマネージャーなど、外部連携サービス上の設定・動作」

これは不親切という話ではなく、サービスの守備範囲が明示されているということです。読み替えると、検索から人を集める部分、ドメインの管理、アクセス解析の設定は自社の仕事として残るということになります。制作会社に頼んでいたときは、この辺りをまとめて見てもらっていた会社が多いはずです。内製にするなら、ここを誰が持つのかを決めておく必要があります。

特に検索まわりは、ツールを変えたことでは動きません。どんな言葉で検索している人に来てほしいのかを決め、その質問に答えるページを用意する。この作業はSTUDIOの中ではなく、その手前の業務側にあります。ここを空欄のまま公開すると、きれいなサイトができたのに問い合わせは変わらない、という状態になります。

全部を内製しない、という選び方

相談の中で、いちばん現実的に落ち着くことが多いのはこの形です。最初の設計とデザインは外に頼み、公開後の更新だけ自社で持つ。STUDIOはこの分け方と相性がいい道具だと感じています。同じ画面を制作側と自社側で共有できるので、引き渡しでファイルが行方不明になることが起きにくいためです。

この形にすると、判断軸のうち「デザインの正解を社内で決められるか」が外れます。残るのは「更新の担当者を名前で出せるか」だけです。条件が1つになると、社内で決めやすくなります。

逆に、最初から全部を自社でやろうとすると、デザインの判断で止まり、止まっている間に公開が延びます。半年経っても公開できていないサイトは珍しくありません。そのあいだ、いまのサイトは古いままです。内製の目的が速さなら、最初のひと山だけ外に出すのは目的に反しません。

なお、業務システムのほうを内製するかどうかは、また別の判断になります。サイトは見せるもので、業務システムは記録を持つものです。記録を持つものは、あとから「いつ誰が何を変えたか」を説明する必要が出てきます。この線引きは表計算で回している業務をシステム化する時期スクラッチ開発を選ぶ基準で扱っています。サイトをノーコードで内製できたからといって、同じ感覚で基幹の記録をノーコードに載せると、後で戻しにくくなります。

始める前に決めておく3つ

内製で進めると決めたら、契約する前に3つだけ決めておくことをおすすめしています。

  1. 更新の担当者と、月に使える時間:名前と時間を書き出します。「月2時間」でも書いてあれば運用は回ります。書けないなら、内製の判断を保留するほうが安全です
  2. 決済・予約・会員が要件にあるか、あるならどこに置くか:STUDIOでは提供されていない機能なので、置き場所を先に決めます。外部サービスへ渡す形にするなら、その受け口を誰が管理するかまで決めます
  3. ドメインとアカウントを誰が持つか:これは技術の話ではなく、会社の資産管理の話です。担当者の個人アカウントで契約すると、その人が抜けたときに触れなくなります。社内で共有する形にしておきます

3つとも、STUDIOの使い方ではありません。道具を触る前に決めておくと、あとで戻る手間が減ります。社内にどんなツールがいくつあるかを把握しきれていない場合は、あわせて社内ツールの棚卸しもやっておくと、重複した契約が見つかることがあります。

まとめ

STUDIO(スタジオ)は、Webサイトを作る・公開する・更新するまでを1つで持てるノーコードのツールです。会社案内・採用・サービス紹介のような読ませるサイトには向きます。一方で、決済・予約・会員登録・フォームの自動返信は公式に非対応と明記されており、必要ならその部分を外部サービスへ切り出す設計になります。

料金はサイト単位で、法人利用のBusinessが年払い月額¥3,980(2026年8月14日時点、公式料金ページ)。ページ数とCMSの件数がプランを分けるので、Miniの2ページで足りるのか、300ページの枠が要るのかを先に見ます。

そして、内製できるかどうかを決めるのは、作れるかではありません。更新の担当者を名前で出せるか、そのサイトを月単位で触るのか、デザインの判断を社内でできるか、決済や会員が要件に入っていないか。この4つです。全部を自社でやる必要はなく、最初の設計だけ外に出して更新を自社で持つ形は、多くの中小企業にとって無理のない落とし所だと考えています。

最初にやることは、ツールに登録することではなく、更新を担当する人の名前を1つ書き出すことです。それが書けたら、次の判断はすぐつきます。

よくある質問

STUDIO(スタジオ)はプログラミングの知識がなくても使えますか?

サイトを作って公開するところまでは、コードを書かずに進められる作りになっています。ただし、詰まりやすいのはコードではなく、余白・文字サイズ・並び方といったデザインの判断のほうです。デザイナーが普段やっている操作をそのまま画面上でやる道具なので、自由度が高いぶん「どう置けばいいか」を自分で決める必要があります。テンプレートに文字を流し込むだけのツールとは、必要になる力の種類が違うと考えておくほうが安全です。

無料プランのままで会社のサイトを公開してもいいですか?

試す段階なら十分ですが、会社の正式なサイトとして出すなら有料プランを前提にしたほうがいいと考えています。公式の料金ページでは、独自ドメインでの接続・公開は有料プランの機能として掲載されており、Freeの欄は空欄になっています。会社のサイトを自社ドメイン以外で公開すると、名刺やメール署名に載せるURLがサービス側の都合に左右されます。ここは費用を惜しむところではないと思います。

STUDIOで会員制サイトやネットショップは作れますか?

作れません。公式ブログには「会員登録機能やログイン機能は提供していないため、会員制のサイトなどはStudioのみでは制作いただけません」「決済機能や予約機能はStudioでは提供していません」と明記されています。会員向けのページや商品の購入、予約受付が必要な場合は、その部分だけ別のサービスに任せて、サイトからそちらへ渡す形になります。この切り分けを先に決めておかないと、作り始めてから設計をやり直すことになります。

外注するのとノーコードで内製するのは、どちらが安く済みますか?

初期費用だけを見れば内製のほうが安く収まることが多いですが、判断は初期費用ではつきません。効いてくるのは、公開後に誰が何時間かけて更新するかです。社内の担当者が月に数時間を継続して割ける前提が立つなら内製は成り立ちます。立たないなら、安く作ったサイトが半年で止まります。私たちがまず確認しているのは、金額ではなく「更新を担当する人の名前が出てくるかどうか」です。

STUDIOで作ったサイトは検索で上位に出ますか?

ツールを選んだことで順位が決まるわけではありません。むしろ注意しておきたいのは、公式のサポートポリシーで「SEO、検索エンジンでのサイト表示内容」がサポート対象外として挙げられている点です。つまり、検索から人を集める部分は自社側の仕事として残ります。どんな言葉で検索している人に来てほしいのかを先に決め、そのページを用意する。ここはノーコードかどうかとは別の話です。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。

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