プリザンターとkintoneの違い—無料のOSSか月額のクラウドか、中小企業の選び方
安さと機能の比べ合いの前に、保守を誰が持つかと、自社の商流に合うかを確かめます
業務アプリの導入相談を受けているSalesDockが、プリザンターとkintoneの公表されている仕様と料金に照らして、判断の線をまとめました。
執筆:泉 款太(株式会社SalesDock 代表取締役)累計40社以上の中小企業を支援
結論
プリザンターは「安く始めて保守を自社で持てる会社」、kintoneは「月額を払って保守を任せたい会社」に向く
2つを「どちらが高機能か」で比べても決まりません。違いが出るのは、料金の床、データ件数の上限、そして保守を誰が持つかです。IT担当者がいない会社が自社運用を選ぶと、安く始めたぶん、止まったときの対応が社長や現場の誰かに回ります。逆に、担当者がいて項目を自分たちで育てたい会社には、プリザンターの自由度が合います。
- プリザンターは、株式会社インプリムが開発する業務システム作成ツールです。OSSのCommunity Editionは無料で、クラウド版も3人までは無料、10人までなら月2,500円(税別)から使えます。
- kintoneは1ユーザー月額(税抜)で、最小は10ユーザーです。5人の会社でも月10,000円(ライトコース)から。運用はサイボウズが担うので、サーバーの面倒は見ずに済みます。
- 選ぶ前に、自社の商流が置けるかを実際の案件5件で確かめます。道具の機能が足りないというより、商流に合わず使われなくなる相談の方が多く見てきました。
プリザンターとは:無料で使えるOSSの業務システム作成ツール
プリザンターは、案件台帳、申請、タスク、問い合わせといった記録を、画面操作で作れる業務システムのツールです。公式サイトでは「無料で使えるOSSのノーコード・ローコード開発ツール」と紹介されています。一覧と検索、集計、カンバン、ガントチャート、ワークフロー、更新履歴の自動記録、API連携といった機能が挙がっています。
使い方は大きく3つあります。無料のCommunity Editionを自社の環境に入れる方法、年間42万円(税抜)からのEnterprise Editionを使う方法、そしてサーバーを持たずに使えるクラウド版(Pleasanter.net)です。クラウド版には3人まで期間の定めなく無料のフリープランがあり、有償プランにも、料金ページ上は登録月の翌月末まで無料で試せる期間があります。
kintoneやPower Appsと同じ「ノーコードで業務アプリを作る道具」の仲間です。ノーコードという言葉の整理はノーコードとは何か—中小企業が業務で使える範囲、Power Appsの料金はPower Appsの料金と無料で使える範囲にまとめています。
プリザンターとkintoneを6つの観点で比較
中小企業の選定で差が出るのは、機能の数よりも「保守を誰が持つか」「件数の上限」「料金の床」です。6つの観点で並べると次のようになります。
| 観点 | プリザンター | kintone |
|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド版(Pleasanter.net)のほか、自社の環境に入れて使う形があり、OSSのCommunity Editionは無料 | サイボウズが提供するクラウドサービスを、月額または年額で契約する |
| 料金の考え方 | クラウド版は3人までのフリー、10人までのライト(月2,500円)、10人以上は1ユーザー月750円。いずれも税別 | 1ユーザー月額(ライト1,000円・スタンダード1,800円、税抜)で、最小は10ユーザー |
| データ件数の上限 | クラウド版は1テーブルあたり、フリー500件・ライト1,000件・スタンダード30万件まで | 今回確認した料金ページには、件数の上限としての記載はなし |
| 承認・進捗の管理 | カンバン、ガントチャート、ワークフローなどの機能が公式に挙がっている | プロセス管理で、ステータスと作業者を決めて申請→承認を回せる |
| 外部連携・拡張 | API連携、スクリプトによるカスタマイズに対応。クラウド版のサーバスクリプトは月10,000円の有償オプション | API・プラグインなどの拡張はスタンダードコース以上。1アプリのAPIは1日1万リクエスト |
| つまずきやすい所 | 自社で動かす場合はサーバーの運用が自社の仕事になる。クラウド版は件数とAPIの上限に当たりやすい | 10人に届かない会社でも10人分の料金がかかる。項目を足すほどカスタマイズが属人化しやすい |
プリザンターのクラウド版は、1テーブルに入れられる件数がプランごとに決まっています(フリー500件、ライト1,000件、スタンダード30万件)。比較で見落とされやすいのがこの件数です。たとえば案件を年に400件登録する会社(仮の例)なら、ライトの1,000件には約2年半で届きます。件数が増える業務を載せるなら、最初からスタンダードで見積もるか、古い案件を別に逃がす運用を決めておきます。
料金の違い:5人・10人・20人で月額を試算する
公表されている単価で、人数ごとの月額を計算しました。いずれも消費税別で、年払いの割引や代理店経由の価格は含みません。
| プラン | 5人 | 10人 | 20人 |
|---|---|---|---|
| プリザンター クラウド版(5人・ライト) | 2,500円 | 2,500円 | —(ライトは10人まで) |
| プリザンター クラウド版(スタンダード) | —(10人以上の想定) | 7,500円 | 15,000円 |
| kintone ライト | 10,000円 | 10,000円 | 20,000円 |
| kintone スタンダード | 18,000円 | 18,000円 | 36,000円 |
人数が少ないほどプリザンターが安くなります。kintoneは10人に届かない会社でも10人分の料金がかかるため、5人以下の会社ではプリザンターのクラウド版より月額が高くなります。10人未満の組み方はkintoneは10人から—9人以下の会社の組み方にまとめています。一方でプリザンターのライトは、1テーブル1,000件とAPI1日100回の制限があります。安い理由は、使える範囲が狭いことでもあります。
どちらを選んでも外れるのは、自社の商流に合わないとき
案件管理ツールを入れたのに使われなくなった、という相談は珍しくありません。理由を聞くと、機能が足りなかったのではなく、自社の商流に合っていなかった例が目立ちます。ツールの比較表には、この項目は載りません。
たとえば、物件の仕入れを行う会社で、案件の管理を相談されたことがあります。前の会社では、1案件を1枚のカードにして左から右へ動かすだけで足りたそうです。いまの商流では、案件が途中で別の案件と合流するため、同じ形のカンバンでは合わない、という話でした。カンバンもワークフローも、どちらの道具にもあります。置けるかどうかは、機能の有無ではなく、案件の動き方で決まります。
そのため、選ぶ前にやることは機能表の読み込みではありません。直近であった案件を5件選び、始まりから終わりまで、途中の分岐や合流も含めて紙に書き出します。その流れが無理なく置けるかを、無料枠で確かめます。案件管理アプリの設計の入口はkintoneの案件管理アプリ—Excel台帳から移す設計と向かない場合も参考になります。
カスタマイズを重ねるほど、属人化する
「kintone カスタマイズ 属人化」で検索される悩みは、商談でも聞きます。項目やスクリプトを足し続けた結果、作った1人しか直せなくなる状態です。業務アプリのカスタマイズを重ねると、作った1人しか直せなくなる属人化が起きます。kintoneに限らずプリザンターでも、スクリプトやAPI連携で自由に作れる道具ほど、作り手に頼る部分が増えるからです。
防ぐには、作る前に3つを決めます。項目を足してよい人を1人でなく2人にする。足した項目と理由を1行ずつ台帳に残す。スクリプトは「なくても業務が止まらないもの」だけにする。定着しなかった例はkintoneを入れたのに社内で使われない—定着しない理由と立て直す順番に、属人化が解ける型は属人化解消の事例パターン8選に書いています。
2週間で試して、数字で決める
プリザンターのクラウド版は無料のフリープランや、登録月の翌月末までの無料お試し期間があり、kintoneのスタンダードコースには30日間の無料お試しがあります。対象の業務を1つに絞り、2週間で次の4つを測ります。
| 測るもの | やり方 |
|---|---|
| 入力にかかる時間 | 案件1件を登録するのに何分かかるか、現場の担当者に3件ずつ測ってもらう。いまのExcelやスプレッドシートと比べる |
| 自社の商流に合うか | 実際にあった案件を5件、最初から最後まで入れてみる。途中で合流・分岐する案件が置けるかを見る |
| 件数と連携の上限 | 過去1年の案件数・日報数を数え、1テーブルの上限と1日のAPI回数に収まるかを計算する |
| 直せる人がいるか | 項目の追加を、作った人以外の1人にやってもらう。手順書なしで15分以内にできるかを見る |
不動産会社のように、基幹システムの移行まで絡む場合は、「Salesforceとkintoneのどちらか」のように大きな比較から始まることもあります。その場合も、先にこの4つを測ってからの方が、見積もりの前提を揃えやすくなります。ほかの道具との並べ方は中小企業向けCRM比較とkintoneとNotionの比較を使ってください。
SalesDockは、業務の流れを書き出してから道具を決める進め方で、中小企業の経営管理の基盤づくりを支援しています。プリザンターもkintoneも、その候補の一つとして、条件に合う場合に選びます。
出典(2026年10月26日確認)
- プリザンター公式サイト:OSSのノーコード・ローコード開発ツールとしての概要、Community Edition(無料)、Enterprise Edition(年間42万円〜・税抜)、主要機能
- Pleasanter.net プランと料金:フリー・ライト・スタンダードの月額、1テーブルのレコード数、API回数、有償オプション、無料期間
- kintone 料金:コース別の1ユーザー月額、最小ユーザー数10、税抜表示、30日間の無料お試し、APIリクエスト数
料金の試算は公表単価に人数を掛けた当社の計算で、割引や代理店経由の価格は含みません。年間登録件数の例は仮の数字で、実績ではありません。商流や属人化の記述は、当社の支援・商談で見てきた傾向を整理したもので、統計的に検証したものではありません。料金と機能は変更されるため、契約前に各社の最新の記載を確認してください。
プリザンターとkintoneの比較についてよくある質問
プリザンターとは何ですか。
株式会社インプリムが開発している、ノーコード・ローコードの業務システム開発ツールです。公式サイトでは無料で使えるOSSと紹介されており、案件や申請などの台帳を画面操作で作れます。クラウド版(Pleasanter.net)を使う方法と、自社の環境に入れて使う方法があります。
プリザンターは本当に無料で使えますか。
OSSのCommunity Editionは、公式サイトでユーザー数や利用期間に制限がなく商用利用も可能とされています。ただし自社の環境で動かす場合は、サーバーの用意と運用は自社で行います。クラウド版は3人までのフリープランが無料で、4人以上は有償です。年間42万円(税抜)からのEnterprise Editionは、公式サイトでは別の有償版として案内されています。
プリザンターとkintoneの一番大きな違いは何ですか。
お金のかかり方と、運用の責任の置き場所です。プリザンターは無料のCommunity Editionや安いクラウド版から始められますが、自社運用なら保守は自社が持ちます。kintoneは1ユーザー月額で最小10ユーザーの契約になり、サービスの運用はサイボウズが担います。どちらが高機能かよりも、保守を誰が持つかで選ぶ方が後悔しにくくなります。
社員5人の会社なら、プリザンターとkintoneのどちらが安いですか。
2026年10月時点の公表値で計算すると、プリザンターのクラウド版ライトは月2,500円(税別)、kintoneのライトコースは最小10ユーザーのため月10,000円(税抜)です。ただしプリザンターのライトは1テーブル1,000件・API1日100回までの制限があるため、件数が増える業務では上のプランが必要になります。
プリザンターとkintoneの選び方で、機能比較より大事なことは何ですか。
自社の商流に合うかどうかです。案件が途中で合流したり分岐したりする会社では、1案件を左から右へ動かすだけの画面が合わないことがあります。導入前に、実際にあった案件を5件入れてみて、置けない案件がないかを確かめます。
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