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比較・選び方ガイド

kintoneとNotion、中小企業の業務管理はどちらか—向く業務と移行の線引き

道具の優劣ではなく、管理したい業務の形で選びます

自社の顧客管理と会議の記録をNotionで回しているSalesDockが、kintoneの公表されている仕様と料金に照らして、判断の線をまとめました。

結論:kintoneとNotionは、形が決まった記録ならkintone、文章が主役の情報ならNotionを選ぶ

2つを「どちらが高機能か」で比べると決まりません。kintoneは入力の形を管理者が決める道具、Notionは書く人が形を決められる道具です。業務管理で困っているのが「入力がばらばらで集計できない」ことならkintone寄り、「情報が散らばって探せない」ことならNotion寄りになります。両方を使い分ける会社も多く、その場合は同じ事実をどちらで編集するかを1つに決めておきます。

  • 案件・申請・日報・問い合わせのように、同じ項目を毎回埋めて状態を進める業務はkintoneが向いています。承認の流れと、人ごとに見せる範囲を仕組みで守れます。
  • 議事録・手順書・社内Wiki・プロジェクトのように、文章と表が混ざる情報はNotionが向いています。項目を後から変えやすく、少人数なら料金も人数分で済みます。
  • 使う人が10人に届かない会社では、kintoneは最低10ユーザー分の料金がかかる点を先に計算に入れます。

kintoneとNotionを業務管理の6つの観点で比較

中小企業の業務管理で差が出るのは、機能の数よりも「入力の形を誰が決めるか」と「料金の床」です。6つの観点で並べると次のようになります。

観点kintoneNotion
得意な記録決まった項目を毎回埋める記録(案件、申請、日報、問い合わせ)文章と表が混ざる記録(議事録、手順書、社内Wiki、プロジェクト)
入力ルールの守られ方項目と必須を管理者が決め、現場は決まった形で入れる誰でも項目やページを足せる。自由な分、表記ゆれや重複が起きやすい
承認・状態の管理プロセス管理で、ステータスと作業者を決めて申請→承認を回せるステータス項目とオートメーションで近いことはできるが、承認の仕組みとしては作り込みが要る
見せる範囲の分け方アプリ・レコード・フィールドの単位でアクセス権を設定できるページやチームスペースの単位が基本。行単位の権限は料金ページで上位の比較項目に挙がっている
料金の床最低10ユーザー分。5人でも10人分を払う使う人数分。無料プランもあるが、2人以上ではブロック数に上限がある
外部連携API・プラグインはスタンダードコース以上公開APIがあり、プランにより接続できる範囲が変わる

この表で一番効いてくるのは2行目の入力ルールです。SalesDockは自社の顧客管理をNotionで運用していますが、1行ずつ調べたときに、同じ会社が「株式会社あり・なし」や担当者名での登録で複数行に割れ、議事録と案件が別々の行に付いていました。Notionが悪いのではなく、誰でも行を足せる道具で、同一判定のルールを決めていなかったのが原因です。直し方はNotionの顧客DBで「同じ会社が3行ある」を直す名寄せ設計に書きました。kintoneでも重複は起きますが、項目と入力の形を管理者が固定する分、起きにくくなります。

kintoneが向く業務:同じ項目を埋めて、状態を進める記録

案件・申請・日報・問い合わせ

1件ごとに同じ項目を埋め、「未対応→対応中→完了」のように状態を進めていく記録は、kintoneの得意分野です。プロセス管理を有効にすると、ステータスと、各段階で誰が作業するかを設定でき、申請→承認のような流れをアプリの中で回せます。

案件管理アプリを作るときに最初に詰まるのは、操作ではなく「1レコードを何にするか」です。引き合い単位か、案件単位か、請求単位かで集計がすべて変わります。詳しくはkintoneの案件管理アプリ—Excel台帳から移す設計と向かない場合で整理しています。

承認と、見せる範囲を分けたい記録

kintoneはアプリ単位に加えて、条件に合うレコードごと、フィールドごとにアクセス権を設定できます。「営業は自分の担当案件だけ見える」「原価の欄は役員だけ見える」といった分け方を、運用の注意ではなく設定で守れるのが強みです。稟議の組み方はkintoneの稟議・申請の承認フローにまとめています。

Notionが向く業務:文章と表が混ざり、あとで探す情報

議事録・判断の記録・手順書

Notionのデータベースは、1件ずつがページになっていて、ページの中に長い文章や画像、チェックリストを書けます。日付や担当者などのプロパティで絞り込み、リレーションで別のデータベースとつなげられます。議事録の本文を読みながら、決まったことだけを一覧で追う、という使い方に合っています。

SalesDockの支援先では、会議の議事録から、重要な変化、決まったこと、次の行動までを段階に分けてNotionに残し、社長が出ない会議でも過去の判断を参照できるようにしています(社長が出ない会議でも、判断を止めない事例)。この種の情報は項目が固まりきらないので、形を後から変えられるNotionの方が続きます。

少人数で、業務の形がまだ動いている段階

毎月のように項目を足したり消したりしている段階では、管理者が形を固める道具より、書く人が直せる道具の方が負担が軽くなります。Notionは人数分の課金なので、3〜5人で始めても払う額が人数に比例します。形が決まってから、定型の部分だけをkintoneへ移す順番でも遅くありません。

料金は5人と20人で逆転する:公表値での試算

kintoneは最低10ユーザーからの契約、Notionは使う人数分の課金です。この違いで、少人数ではNotionが安く、20人規模になるとNotionのビジネスよりkintoneのスタンダードの方が安くなります。2026年9月24日時点の各社の公表単価に人数を掛けた月額です。

コース・プラン1ユーザー月額5人で使う20人で使う
kintone ライト(月額契約)1,000円10,000円20,000円
kintone スタンダード(月額契約)1,800円18,000円36,000円
Notion プラス(年払い)1,650円8,250円33,000円
Notion ビジネス(年払い)3,150円15,750円63,000円

kintoneは税抜の月額契約、Notionは年払いの表示価格(消費税別)です。kintoneの5人の欄は、最低契約の10ユーザー分で計算しています。kintoneのライトコースではAPIやプラグインによる外部連携が使えないため、他のツールとつなぐ前提ならスタンダードで比べます。Notionの無料プランは、2人以上で使うとブロック数に上限があり、外部ゲストも10人までです。

9人以下の会社がkintoneの料金の床とどう付き合うかはkintoneは10人から—9人以下の会社が選べる組み方で詳しく扱っています。

両方を使うなら、1つの事実を編集する場所を1つに決める

案件と申請はkintone、議事録と手順書はNotion、という分け方は現実的です。ただ、契約状態や金額のような同じ事実を両方で書き換えられるようにすると、数か月でどちらが正しいか分からなくなります。項目ごとに「ここでしか直さない」場所を決め、もう一方には記録へのリンクだけを置きます。

たとえば案件の金額と状態はkintoneだけで直し、Notionの議事録には案件レコードのURLを貼る。こうしておくと、会議で決まった値引きをNotionに書き、kintoneの金額は古いまま、というずれが起きません。

kintoneとNotionのあいだで移行を考える4つのサイン

すでにどちらかを使っていて、乗り換えるかどうかで迷っている場合は、道具の評判より次の状態が出ているかで判断します。

  1. 1. Notionからkintoneへ:同じ形の記録が月に数百件たまる

    問い合わせや日報のように、毎回同じ項目を埋める記録が増えると、Notionの自由さは利点より手間になります。項目の抜けや書き方の違いを後から直す時間が、入力そのものより長くなったら、形を固定できる道具へ移す時期です。

  2. 2. Notionからkintoneへ:承認と、人ごとに見せる範囲が要る

    値引きの承認、経費の申請、給与や評価が絡む記録のように、「誰が承認したか」と「誰に見せないか」を仕組みで守る必要が出たら、kintoneのプロセス管理とアクセス権の方が素直に組めます。

  3. 3. kintoneからNotionへ:アプリが文書置き場になっている

    複数行の文字列フィールドに長い議事録や手順が貼られ、検索しても前後の文脈が読めない状態です。文章が主役の情報は、ページとして書けるNotionの方が読まれます。記録の本体はkintoneに残し、文書だけを移す判断もあります。

  4. 4. kintoneからNotionへ:使う人が10人に届かず、項目の変更が多い

    最低10ユーザー分の料金を払いながら、実際に入力しているのは数人。しかも業務の形がまだ固まらず、毎月のように項目を変えている。この組み合わせなら、形が決まるまではNotionやスプレッドシートで回す方が負担は軽くなります。

どのサインも出ていないなら、乗り換えより今の道具の入力ルールを決め直す方が早く効きます。乗り換えても、ルールが無いまま移せば同じ問題が移行先で起きます。

移行するときの手順:移す前に決める4つ

移行の相談で調べてみると、表の数と実体の数が合わないことがよくあります。別のツールから移す案件では、11あったテーブルのうち実体は2つで、残り9つは絞り込みの表示を別の表として作っていたものでした(ツール移行の前にやるべきデータ構造の棚卸し)。移す前に次の4つを決めます。

  1. 1. 1レコードを何にするかを先に決める

    引き合い1件なのか、案件1件なのか、請求1件なのか。移す前にこれを決めないと、移行先で件数の集計が合わなくなります。

  2. 2. 直近1年で実際に埋まっている項目だけを移す

    使われていない列やプロパティまで持っていくと、入力画面が長くなり、現場が離れます。空欄率が高い項目は、移行先では作らない判断をします。

  3. 3. 同じ相手を判定するキーを決める

    会社名の表記ゆれで、同じ取引先が複数行に割れていることがよくあります。法人番号や社内の顧客番号など、名前以外で同一と判定できるキーを持たせてから移します。

  4. 4. 並行期間を決め、旧側を読み取り専用にする

    2週間などの期限を決めて両方を見られる状態にし、期限が来たら旧側は編集できないようにします。両方に書ける期間が長いと、どちらが正しいか分からない記録が生まれます。

どちらが合うかは、2週間の試用と3つの数字で確かめる

kintoneには30日間の無料お試しがあり、Notionは無料プランから始められます。対象の業務を1つに絞り、実際の記録を2週間入れてみて、導入前と同じ単位で次の3つを比べます。

測るもの測り方
1件の入力にかかる時間同じ種類の記録10件で、開始と終了の時刻を控える
項目の抜け・書き方の違い2週間分を見て、必須のはずの項目が空欄の件数と、同じ相手が別名で入った件数を数える
探す時間「先月のA社との決定事項」のような質問を5つ決め、見つけるまでの時間を測る

入力時間と抜けの件数で差が出るならkintone寄り、探す時間で差が出るならNotion寄りです。どちらも差が出ない場合は、道具より業務の決め方に原因があることが多いので、導入の進め方そのものを見直します。依頼先を探す段階ならIT担当者がいない中小企業のシステム導入支援の選び方も参考になります。

出典(2026年9月24日確認)

料金の試算は公表単価に人数を掛けた当社の計算で、割引や代理店経由の価格は含みません。向く業務・移行のサインは、当社の運用と支援の相談で見てきた傾向を整理したもので、統計的に検証した区分ではありません。料金と機能は変更されるため、契約前に各社の最新の記載を確認してください。

kintoneとNotionの比較についてよくある質問

中小企業の業務管理には、kintoneとNotionのどちらがいいですか。

決まった項目を毎回埋める記録(案件、申請、日報、問い合わせ)を、承認や見せる範囲まで含めて管理したいならkintoneが向いています。議事録や手順書のように文章と表が混ざる情報を、少人数で柔軟にまとめたいならNotionが向いています。どちらか一方に決める前に、管理したい業務が「形が決まった記録」か「文章が主役の情報」かを分けると判断しやすくなります。

社員5人の会社でkintoneとNotionを使うと、料金はいくらですか。

2026年9月時点の公表値で計算すると、kintoneは最低10ユーザー分の契約になるため、ライトコースで月10,000円、スタンダードコースで月18,000円(税抜)です。Notionは人数分の課金で、年払いの場合プラスが月8,250円、ビジネスが月15,750円(消費税別)です。料金は変わるため、契約前に各社の料金ページで確認してください。

kintoneとNotionを両方使うのはありですか。

あります。案件や申請のように形が決まった記録はkintone、議事録や手順書などの文書はNotion、と分ける会社は少なくありません。ただし、同じ事実(契約状態や金額など)を両方で編集できるようにすると、どちらが正しいか分からなくなります。項目ごとに編集する場所を1つに決め、もう一方はリンクで参照します。

NotionからkintoneやkintoneからNotionへ移行するときの注意点は何ですか。

移す前に、1レコードを何にするか、直近1年で実際に使っている項目はどれか、同じ取引先を判定するキーは何かを決めます。移行後は期限を決めて旧側を読み取り専用にし、両方に書き込める期間を短くします。

kintoneとNotionのどちらが合っているかは、どう確かめればいいですか。

対象の業務を1つに絞り、どちらかの無料期間や無料プランで2週間ほど実際の記録を入れてみます。入力に1件何分かかったか、項目の抜けが何件あったか、欲しい情報を探すのに何分かかったかを導入前と比べると、感想ではなく数字で判断できます。

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