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業務改善

営業案件管理の設計|ステージ・確度・停滞をどう決めるか

入力項目を増やす前に、案件が進んだ・止まったと判断する共通ルールを作る

最終更新 2026年8月29日13分で読める

この記事のポイント

案件管理は「顧客一覧」ではない。1案件1行を基本に、ステージの入口・出口、確度の根拠、停滞理由、次回行動を揃える。営業3人なら更新習慣、5人なら定義と週次レビュー、10人なら権限・履歴・自動通知まで設計する。

営業担当が増えると、「あの案件はどうなった」「今月いくら受注できそうか」という確認が増える。原因はExcelかCRMかではない。案件の進み方と判断基準が人によって違うことだ。先に管理の設計を揃え、その後で最小の道具を選ぶ。

最初に「1案件」の単位を決める

同じ顧客でも、商品、契約、導入時期、決裁が別なら案件を分ける。一方、担当者との会話が複数あっても、同じ決裁で一つの受注を目指すなら一案件にまとめる。

  • 分ける:提案内容、金額、導入時期、決裁者のいずれかが独立している
  • まとめる:複数接点があっても、一つの契約判断に収束する
  • 受注後に分ける:更新・追加提案は新しい判断が始まった時点で別案件にする

顧客単位と案件単位を混ぜると、一社に複数提案したときに金額も次回行動も上書きされる。スプレッドシートで始める場合の列設計は案件管理シートの作り方で具体化している。

ステージは入口と出口をセットで決める

「提案中」「見込み」だけでは担当者の解釈が分かれる。各ステージについて、入るための確認済み事実と、次へ進む条件を一行で定義する。

ステージ入口出口
未接触対象企業・担当者を登録相手と会話し、課題確認の場を設定
ヒアリング課題確認の面談を実施提案対象、時期、関係者を確認
提案条件と金額を相手へ提示懸念・比較条件・決裁手順を確認
条件調整決裁に必要な論点が特定済み契約合意または見送り理由を確認
受注/失注結果と根拠を確認開始処理または再接触条件を登録

ステージは営業活動の回数ではなく、顧客側の意思決定がどこまで進んだかで置く。担当者が提案書を作っただけなら「提案」へ上げず、相手に提示した事実を出口証拠にする。

受注確度は確認済みの事実に結びつける

確度50%を「五分五分の感覚」として入力すると、担当者ごとの楽観・慎重さが予測へ混ざる。まず条件を固定し、過去実績が貯まったら同じ条件の受注率で更新する。

  • 相手が解決したい課題を明言した
  • 決裁者または決裁手順を確認した
  • 予算・価格の論点を確認した
  • 導入時期を相手と合意した
  • 競合・内製・見送りを含む比較対象を確認した
  • 次回の約束が日時と目的まで決まった

金額予測は「案件金額 × 確度」を足すだけでなく、確定売上、受注残、進行中商談を分ける。計算の全体像は営業パイプライン管理、確度条件の詳しい作り方は受注確度の決め方で解説している。

停滞は日数だけでなく、理由と次回行動で管理する

「14日更新がない」を検知しても、止まった理由が分からなければ責任者は動けない。停滞案件には理由コード、次回行動、担当、期限をセットで持つ。

停滞理由次回行動の例
決裁者未接触紹介依頼、決裁条件を質問
予算未確定予算化時期、代替案を確認
社内優先度低下再開条件と確認日を合意
競合比較中比較軸と不足情報を確認
自社対応待ち成果物、担当、期限を確定

自由記述だけにせず、頻出理由を選択式にし、詳細だけ補足する。理由コードの設計例は営業案件の停滞理由コードで確認できる。

営業3人・5人・10人で運用を変える

規模優先する設計会議
3人1案件1行、担当、ステージ、次回行動、期限週1回、全案件を短く確認
5人入口・出口、確度条件、停滞理由を統一例外と停滞案件に絞る
10人履歴、権限、自動通知、集計責任者責任者別レビュー+経営予測

人数は目安であり、案件数、商談期間、権限要件によって前後する。少人数でも複数部署が触る、高額案件の承認履歴が必要、引き継ぎが多いなら10人規模の設計が要る。

Excel・スプレッドシートとCRMの境目

最初からCRMを入れても、定義が曖昧なら入力欄が増えるだけだ。まずシートで管理単位と会議を試し、次の問題が繰り返すときにCRMを検討する。

  • 同時編集や上書きで履歴が失われる
  • 担当や役職ごとに閲覧・編集権限を分けたい
  • 期限通知やメール履歴を手作業で転記している
  • 案件数が増え、フィルターや集計が重い
  • 会計、問い合わせ、契約など他システムと連携したい

機能と費用を比較する前に、必要な運用を決める。違いはSFAとCRMの違い、製品選定は中小企業向けCRMの選び方で整理している。

30日で案件管理を作り直す

  1. 1週目:直近20案件を集め、顧客と案件の単位、現在のステージ名、確認に使う証拠を書き出す
  2. 2週目:ステージの入口・出口、確度条件、停滞理由、必須項目を一枚にする
  3. 3週目:実案件をシートへ移し、週次会議で入力漏れと判断のずれを確認する
  4. 4週目:使わない列を削り、責任者・更新期限・CRM移行条件を決める

最低限の項目は、案件ID、顧客、案件名、担当、ステージ、金額、確度根拠、停滞理由、次回行動、期限、最終更新日だ。列の数を競わず、会議で実際に判断へ使ったものだけを残す。

案件管理の完成条件

責任者が「今月の見込み」「止まっている案件」「誰の判断待ちか」を同じ画面から説明でき、営業担当が次に何をするか分かる状態が完成条件だ。日報を集計して終わらせず、案件と経営指標へつなぐ方法は営業日報をKPIへ変える方法も参考になる。

案件管理の詰まりを15分で整理する

入力項目、会議、ツールのどこから直すべきか。5つの質問で現在地と優先順位を確認できます。

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よくある質問

営業案件のステージは何段階が適切ですか?

段階数より、各ステージの入口と出口を客観的に確認できることが重要です。最初は未接触・ヒアリング・提案・条件調整・受注/失注の5段階程度から始め、同じ案件が長く滞留する区分だけ見直します。

受注確度は営業担当の感覚で入力してはいけませんか?

感覚を完全に排除する必要はありませんが、経営予測へ使う数値は確認済みの事実に結びつけます。課題、決裁者、予算、時期、競合、次回約束などの条件を固定し、担当者が変わっても同じ判定になる状態を目指します。

ExcelからCRMへ移行する目安は何ですか?

人数だけでなく、同時編集、履歴、権限、通知、他システム連携の必要性で決めます。Excelで更新ルールを検証し、上書き事故、履歴不足、対応漏れ、集計負担が繰り返すならCRM移行を検討します。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

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この記事の数値について

本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。