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不動産

不動産のリスティング広告、"とりあえず出してみた"で失敗する3つの理由

8分で読める

この記事のポイント

リスティング広告を「とりあえず」で始めて月10〜20万円を消化した不動産会社は多い。失敗パターンはほぼ3つ—LP=トップページ、キーワードが広すぎ、反響対応が遅い。広告の前にHPの導線と反響対応体制を整えることが先。

「リスティング広告、うちもやったほうがいいかな」。不動産会社の経営者から、この相談を受けることが増えた。

SUUMOやアットホームに月数十万円を払っているのに反響が伸びない。「じゃあリスティング広告もやってみよう」と代理店に依頼して、月15万円で3ヶ月回してみたが反響は数件。「Web広告は効果がない」と結論づけてしまう—このパターンが本当に多い。

でも、問題は広告そのものではない。出す前の設計にある。

失敗パターン1:LPがトップページ

広告のリンク先が会社のトップページになっている

リスティング広告をクリックした人は「渋谷区 1LDK 賃貸」のように具体的なニーズを持っている。それなのに飛び先が会社概要やスタッフ紹介が並ぶトップページだと、ユーザーは3秒で離脱する。

ある管理会社では、月15万円のリスティング広告を3ヶ月回したが反響は2件だけだった。広告のリンク先を見たら会社のトップページ。物件情報にたどり着くまでに3クリック必要な状態だった。

→ 広告のリンク先は、検索キーワードに対応した専用のランディングページ(物件一覧や特集ページ)にする。トップページに飛ばすのは広告費を捨てているのと同じ。

失敗パターン2:キーワードが広すぎる

「不動産」「賃貸」で出稿している

「不動産」単体のクリック単価は500〜1,000円を超えることがある。しかも「不動産」で検索する人は転職希望者かもしれないし、業界ニュースを調べているだけかもしれない。

中小不動産会社の広告予算—月5〜30万円のレンジでは、ビッグキーワードに出稿した時点で予算が数日で溶ける。

→ 「地域名 × 物件種別」で絞る。「世田谷区 中古マンション 購入」「名古屋市東区 1LDK 賃貸」のように、成約に近いキーワードだけに集中する。

キーワード例クリック単価目安成約との距離
不動産500〜1,000円遠い
渋谷区 賃貸200〜400円中間
渋谷区 1LDK 賃貸 ペット可80〜200円近い

キーワードは「狭く・深く」が鉄則。月10万円の予算なら、3〜5個のキーワードに絞って運用するほうが反響につながる。

失敗パターン3:反響後の対応が遅い

広告から反響が来ても、初回対応まで半日〜1日かかる

リスティング広告経由の反響は「今すぐ客」の割合が高い。検索して、広告をクリックして、問い合わせフォームを送る—この一連の行動をしている人は、比較検討の真っ最中。

初回対応が30分以内か、翌日かで成約率は大きく変わる。ある調査では、反響から5分以内に連絡した場合の接続率は、30分後の4倍という結果もある。

→ 反響対応フローを広告出稿の前に設計する。誰が・何分以内に・何を返すかを決めておく。フローがないまま広告を回すのは、バケツに穴が開いた状態で水を注ぐようなもの。

反響対応の設計については「反響が来てから動くのでは遅い—不動産の反響対応フロー設計」で詳しく書いた。

効果が出るリスティング広告の使い方

地域×物件種別で絞る

中小不動産会社がリスティング広告で成果を出すには、「自社が強いエリア × 得意な物件種別」に絞ることが前提になる。

  • 対応エリアが3区なら、3区に絞る
  • 得意な物件が投資用ワンルームなら、投資用ワンルームに絞る
  • 月の予算が10万円なら、キーワードは3〜5個まで

→ 広くばらまくのではなく、「このキーワードで検索する人は、うちの顧客になる可能性が高い」と言い切れるキーワードだけに出稿する。

専用LPを作る

広告のリンク先には、検索意図に合った専用ページを用意する。最低限必要な要素は以下の通り。

  • 物件一覧または特集ページ(検索キーワードと一致する内容)
  • 問い合わせフォーム(ページ内に設置。別ページに飛ばさない)
  • 電話番号(スマホからワンタップで発信できる状態)
  • 会社情報(信頼性の担保)

LP制作にどのくらいコストをかけるべきかは「不動産会社のHP制作費、相場と失敗しない発注の考え方」も参考にしてほしい。

反響対応フローを先に整える

広告を出す前に、以下を決めておく。

  • 反響の通知先(メール・LINE・チャットツールなど)
  • 初回対応の担当者と対応時間の目安(営業時間内30分以内が理想)
  • 初回返信のテンプレート
  • 追客のタイミング(翌日・3日後・1週間後)

フローが整っていない状態で広告費を増やしても、反響の取りこぼしが増えるだけ。

SUUMOとリスティング広告の使い分け

「SUUMOに月30万円払っているのに、さらにリスティング広告もやるべきなのか?」という質問をよく受ける。結論から言うと、役割が違う。

項目SUUMO・ポータルリスティング広告
強み物件数で集客。検討初期に強い検索意図が明確なユーザーに直接リーチ
弱み競合と横並び。差別化しにくいLP・KW設計を間違えると効果ゼロ
費用感月10〜50万円月5〜30万円
反響の質比較検討段階が多い「今すぐ」の割合が高い
成約単価高くなりがち設計次第で低く抑えられる

SUUMOの広告費対効果については「SUUMOの掲載費、本当に元取れてる?」で計算方法を解説している。

→ まずSUUMOで反響の流入元と成約率を把握する。そのうえで「SUUMOではリーチできない層」をリスティング広告で補完する、という使い分けが現実的。

リスティング広告の前にやること

広告を出す前に、以下の2つが整っているかを確認してほしい。

1. HPの導線整備

自社サイトに物件情報が載っていない、問い合わせフォームが見つけにくい、スマホ対応していない—この状態でリスティング広告を出しても、クリックされたあとに離脱される。

広告の前に、まずHPの導線を整える。物件ページへの動線、問い合わせフォームの位置、ページの表示速度。これらは広告費をかける前に無料で改善できる。

2. 反響対応体制

繰り返しになるが、反響が来てから「誰が対応するか」を考えているようでは遅い。営業担当が外出中で対応が翌日になる、という状態が常態化しているなら、広告費を増やす前に対応体制を見直すほうが先。

→ HPの導線 × 反響対応体制。この2つが整って初めて、リスティング広告の費用対効果が出る。

費用感の目安

中小不動産会社がリスティング広告に使う月額予算の目安。

月額予算想定反響数向いているケース
5〜10万円5〜15件まずテストしたい。1〜2エリアに絞って運用
10〜20万円15〜40件本格運用。LP制作と組み合わせて効果検証
20〜30万円30〜60件複数エリア・複数物件種別で展開

※ 反響数はキーワード・LP・エリアによって大きく変動する。上記はあくまで目安。

→ いきなり月20万円ではなく、まず月5万円で2〜3キーワードに絞ってテストする。反響単価と成約率を見てから予算を増やすのが、失敗しない進め方。

まとめ

リスティング広告で失敗する不動産会社のパターンは、ほぼ3つに集約される。

  • LPがトップページ
  • キーワードが広すぎる
  • 反響対応が遅い

逆に言えば、この3つを潰せば効果は出る。ただし、広告の前にHPの導線と反響対応体制を整えることが前提。順番を間違えると、広告費だけが消えていく。

「ポータルサイトに頼らない集客チャネルを作りたい」と思ったら、まずは月5万円の小さなテストから始めてみてほしい。数字で判断できる状態を作ることが、広告費を「投資」に変える第一歩になる。

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泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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