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不動産

不動産会社のHP制作、費用相場と失敗しない発注の仕方

最終更新 2026年8月11日8分で読める

この記事のポイント

不動産会社のHP制作費用は30〜300万円と幅が広い。大事なのは費用の安さでもデザインのかっこよさでもなく、「問い合わせが来る仕組み」として機能するかどうか。よくある失敗パターンと、発注前に押さえておきたいポイントを整理した。

「ホームページをリニューアルしたいんだけど、いくらかかるのか見当がつかない」

不動産会社の社長と話していると、この相談がかなり多い。見積もりを取ってみたら50万だったり300万だったり、何が違うのかよくわからない—そういう状態で発注してしまって、結果的に「作ったけど問い合わせが来ない」となるケースを僕は何度も見てきた。

この記事では、不動産会社のHP制作にかかる費用の相場感と、よくある失敗パターン、そして発注前に押さえておきたいポイントを整理した。


不動産会社のHP制作、費用相場はどのくらいか

まず、ざっくりとした相場感を整理するとこうなる。

制作タイプ費用相場制作期間特徴
テンプレート型(制作会社)30〜80万円1〜2ヶ月デザインの自由度は低いが、早くて安い
オリジナルデザイン(制作会社)100〜300万円2〜4ヶ月ブランディング重視。大手制作会社だと200万超えも普通
フリーランス・小規模制作30〜80万円1〜3ヶ月柔軟だが、品質・対応力にばらつきがある
WordPress + 不動産プラグイン50〜150万円1.5〜3ヶ月物件連動やIDX対応など不動産特化の機能を入れやすい

ポイントは「高ければいい」というわけではないこと。300万かけてフルオリジナルで作っても、問い合わせ導線がなければ反響はゼロのままだ。逆に、50万のテンプレート型でも、導線設計がしっかりしていれば月5〜10件の問い合わせが来ることもある。

そもそもHPにいくらかけるかは、他の集客施策との配分で決まる部分も大きい。地方でまず月数万円の範囲から立ち上げる場合の順番と配分は地方不動産会社のWeb集客の始め方で整理したので、制作費の判断に迷っているなら先に全体像を見ておくといいかもしれない。

30万・100万・300万で何が変わるのか

上の表は制作タイプ別なので、「価格帯が上がると何が付いてくるのか」が見えにくい。同じ内容を金額の側から並べ直すと、こうなる。

項目30万円前後100万円前後300万円前後
デザイン既製テンプレートに色とロゴを当てるトップページはオリジナル、下層は共通レイアウト全ページ設計。ブランドの世界観から作る
ページ数の目安5〜8ページ10〜20ページ20ページ以上+特設ページ
物件情報手動で1件ずつ登録CMSで自社登録。絞り込み検索ありポータルや基幹システムと連動して自動更新
問い合わせ導線汎用フォーム1つ用途別フォーム(査定・内見・管理相談)+自動返信上記+LINE連携、入力状況の計測まで設計
原稿・写真自社で用意する前提一部ライティング・撮影が含まれることがある取材・撮影・原稿制作が含まれる
計測解析ツールの設置のみ、または未設定問い合わせ完了の計測まで設定流入元別の効果測定・レポート設計まで
公開後納品して終了のことが多い月額保守を別途契約保守+定期的な改善提案がセット

こうして並べると、金額の差の大半が「デザインの手のかけ方」と「物件情報をどう更新するか」に集約されているのがわかる。逆に言うと、物件情報を手動更新でよしとして、原稿と写真を自社で用意できるなら、30万円台でも問い合わせが来るサイトは作れる。300万円が必要になるのは、掲載物件が多くて手動更新が回らない会社か、採用やブランディングまで背負わせたい会社だ。

見積もりを比較するときは、金額そのものより「この価格帯なのに、この行が入っていない/逆に入っている」を探すといい。差の理由が説明できない項目は、そのまま質問に使える。

見積もりの内訳で見るべきポイント

見積書をもらったら、以下の項目が入っているかを確認してみてほしい。

  • デザイン費(トップページ + 下層ページ)
  • コーディング費
  • CMS構築費(WordPress等、自分で更新できる仕組み)
  • 物件情報の掲載方法(手動 or ポータル連動)
  • お問い合わせフォーム設計
  • スマホ対応(レスポンシブ)
  • SEO基本設定(タイトル・メタ・構造化データ)
  • 公開後の保守・運用費

「デザイン費一式 150万」のように中身がわからない見積もりは要注意。何にいくらかかっているかを分解して比較できないと、適正かどうか判断できない。


公開後にかかる費用—初期費用だけで比較すると失敗する

見積もりの内訳に「公開後の保守・運用費」という行はあっても、金額が入っていないことが多い。ここを詰めずに発注すると、公開の直前に「保守は別途、月◯万円です」と言われる。HPは作って終わりではないので、初期費用と3年分のランニングコストを足した金額で比較するのが正しい。

費目金額の決まり方発注前に確認すること
サーバー共用レンタルサーバーなら月1,000円前後から。制作会社が用意する場合は上乗せされることがある契約名義が自社か制作会社か。移管できるか
ドメイン年額。ドメインの種類(.jp / .co.jp / .com など)と登録業者で変わる自社名義で登録されているか。ここが制作会社名義だと、乗り換え時に揉める
SSL証明書共用サーバーの無料独自SSLで足りることが多い有料の証明書を提案されたら、なぜ必要かを説明してもらう
月額保守含まれる作業の範囲で大きく変わるCMS・プラグインの更新、バックアップ、障害時の対応時間、軽微な修正の回数上限
更新代行1回あたりの単価 × 年間の回数どこまでを自社で更新できるようにするか。ここが多いと保守費が膨らむ
ポータル連動物件情報を自動で取り込む仕組みの月額連動先の媒体と、連動が止まったときの復旧をどちらが見るか
解析・改善解析ツール自体は無料。レポート作成や改善提案を依頼すると月額レポートの内容と頻度。数字を見るだけの報告に月額を払わない

サーバーとドメインは、自社で契約して自社名義で持つのが原則だ。制作会社名義のままだと、制作会社を変えるときにサイトごと人質になる。ここは金額の話というより、資産を自分で持てているかの話になる。

計算のしかたはシンプルで、「初期費用 + 月額ランニング × 36ヶ月」を出して並べる。初期30万・月額3万の見積もりと、初期100万・月額1万の見積もりでは、3年で見ると前者が138万、後者が136万でほぼ並ぶ。初期費用の安さだけで選ぶと、この逆転を見落とす。

出典・一次情報

料金は改定されます。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。


HP制作に使える補助金と、対象にならない費用

「補助金を使えば安くなるんでしょ?」と聞かれることが多いので、2026年8月時点の国の制度を整理しておく。結論から言うと、HP制作を丸ごと安くできる国の補助金は存在しない。使える制度はあるが、いずれも条件がついている。

小規模事業者持続化補助金—使えるが、上限は30万円

小規模事業者向けの制度で、一般型の通常枠は補助上限50万円・補助率3分の2(インボイス特例や賃金引上げ特例を使うと上限が上がる)。ウェブサイト関連費は補助対象経費として明記されていて、ウェブサイトの制作・更新や、効果と作業内容が明確なSEO対策、宣材写真の制作費が例に挙がっている。

ただし、ウェブサイト関連費には2つの制限がある。

→ ウェブサイト関連費のみでの申請はできない。必ず他の経費と一緒に申請する。/ウェブサイト関連費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)

ここは注意してほしいところで、以前は「ウェブサイト関連費は交付申請額の4分の1まで」という比率のルールだった。今は比率ではなく30万円という金額の上限に変わっている。ネット上には旧ルールで書かれた解説がまだ大量に残っているので、それを前提に見積もりを組むと計算が合わなくなる。

対象にならない費用もはっきり書かれている。ウェブサイトやシステムに関連するコンサルティング・アドバイス費用と、補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページは対象外。つまり「作ったけど公開が間に合わなかった」は補助されない。また、50万円(税抜)以上で作成・更新したウェブサイトは処分制限財産の扱いになる(通常5年)。

IT導入補助金(現・デジタル化・AI導入補助金)—HP制作は対象外

2026年から名称が「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」に変わった制度。ここでHP制作をやろうとする相談をよく受けるが、通らない。この補助金は事務局に事前登録されたITツールの中から選ぶ仕組みで、そのITツールの登録要領に、ホームページ制作・サイト制作・WEBアプリ制作等の追加開発費用を含むものは登録対象外、ホームページ制作ツールで作った簡易アプリケーションやホームページと同様の仕組みのものも対象外、と明記されている。広告宣伝に類するものも同様だ。

予約管理や顧客管理のSaaSを導入するなら対象になり得るが、それは「HP制作」ではない。ここを曖昧にしたまま制作会社の提案を受けると、後で使えないことがわかる。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金—新規事業のPRサイトなら対象

旧「中小企業新事業進出補助金」と旧「ものづくり補助金」を統合した制度。広告宣伝・販売促進費の中に「補助事業のPR等に係るウェブサイトの構築」が対象経費として入っている。ただし、対象になるのはその補助事業のためのサイトであって、会社全体のPR広告に係る経費は対象外。つまり通常のコーポレートサイトのリニューアルには使えない。

加えて、補助上限は補助事業の年間売上見込み額(税抜)の5%まで、100万円(税抜)以上のウェブサイト構築費は実績報告時に作業単価・工数などの算出資料の提出が必要、ウェブサイト単独では申請できず機械装置・システム構築費または建物費が必要、交付決定後の発注が前提—と条件が重い。空き家再生や新しい事業ラインを立ち上げるタイミングでなければ、現実的な選択肢にはなりにくい。

実際の主戦場は自治体の補助金

国の制度がこの状況なので、HP制作の補助金は実質的に市区町村や都道府県の制度を探すことになる。自治体独自の販路開拓支援やIT化支援の枠でホームページ制作費を見てくれるケースがあり、金額は国の制度より小さいかわりに、条件が緩いことが多い。制度の有無も内容も自治体ごとにまったく違うので、営業エリアの自治体の商工担当窓口か、地元の商工会議所・商工会に直接聞くのが早い。

最後にひとつ。補助金は原則として交付決定の後に発注するのがルールだ。先に契約して制作を始めてしまうと対象外になる制度が多い。「補助金を使いたい」と思っているなら、制作会社に発注する前に申請スケジュールを確認してほしい。逆に言えば、補助金のスケジュールに合わせると公開が数ヶ月遅れることもあるので、急ぎのリニューアルなら使わない判断もありうる。

出典・一次情報

制度は改定されます。補助上限・補助率・公募スケジュールは、申請前に必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。


よくある失敗パターン3つ

僕がこれまで見てきた不動産会社のHP制作で、うまくいかなかったパターンを3つ挙げる。

失敗1: デザインにこだわりすぎて中身がない

「かっこいいサイトにしたい」という気持ちはわかる。ただ、不動産会社のHPを訪れる人が求めているのは、かっこよさよりも「この会社に相談して大丈夫か」という安心感だ。

ある不動産会社(A社)は、200万かけてデザイン重視のサイトを作ったが、代表の顔写真もなく、実績も曖昧で、問い合わせフォームもページの一番下に小さく置いてあるだけだった。結果、月の問い合わせは0〜1件。

→ デザインより先に「誰に何を伝えるか」を決めるのが先。

失敗2: 作ったあと更新できない

制作会社に丸投げして、納品後に自分たちで更新できない状態になるケースも多い。物件情報やお知らせの更新を毎回制作会社に依頼すると、1回数千円〜1万円の更新費がかかる。年間で考えると結構な金額になる。

→ CMSを導入して、最低限の更新(物件情報・お知らせ・ブログ)は自社でできるようにしておく。

失敗3: 問い合わせ導線がない

「電話番号はトップに載せてるから大丈夫」と思っている社長は多いが、今の時代、電話よりフォームで問い合わせたい人のほうが増えている。特に20〜40代の購入検討者はそう。

BeforeAfter
電話番号だけ掲載電話 + フォーム + LINE
フォームがページ最下部全ページにCTAボタン設置
問い合わせ後の返信が翌日以降自動返信 + 当日中に担当から連絡

ある不動産会社では、フォームとLINEを追加して、全ページの目立つ位置にCTAを置いただけで、月の問い合わせが3件から12件に増えた。サイト自体は変えていない。導線だけの問題だった。


「問い合わせが来るHP」に必要な5つの要素

反響が出ているHPに共通しているのは、以下の要素がちゃんと揃っていることだ。

1. ファーストビューで「何の会社か」が伝わる

トップページを開いて3秒で「この会社は何をしてくれるのか」がわかるかどうか。「○○市の不動産売買・賃貸管理」のように、エリアと業態が一目でわかる状態が理想。

2. 代表・スタッフの顔が見える

不動産は高額取引だから、「誰が対応してくれるのか」が見えないと不安になる。代表挨拶、スタッフ紹介、できれば写真付きで。これだけで問い合わせ率が変わる。

3. 実績・お客様の声がある

「年間取引○○件」「お客様満足度○○%」のような数字、あるいは実際のお客様の声。匿名でもいいから載せる。信頼感が段違いになる。

4. 物件情報が見やすい

売買仲介なら物件一覧、買取再販なら施工事例。写真が暗い・少ない・古いだと逆効果になるので、掲載するなら質にもこだわりたい。

5. 問い合わせ導線が複数ある

電話・フォーム・LINE、最低でも2つ。どのページからでもワンタップで問い合わせできる状態にしておく。


発注前に社内で準備すべき4つのこと

制作会社に依頼する前に、以下を社内で整理しておくと、見積もりの精度が上がるし、完成後の「思ってたのと違う」を防げる。

1. HPの目的を明確にする

「問い合わせを増やしたい」「採用を強化したい」「ブランディングしたい」—目的によって作り方がまったく違う。全部盛りにすると焦点がぼやける。まずは1つに絞ってみてほしい。

2. ターゲット顧客を決める

「売主を集めたいのか、買主を集めたいのか」「オーナーからの管理受託を増やしたいのか」。これが決まらないと、載せるべきコンテンツも導線も決まらない。

3. 競合サイトを3〜5社チェックする

同じエリアの競合がどんなHPを持っているかを見ておく。「ここは良い」「ここはうちと差別化できる」という視点で見ると、制作会社への要望が具体的になる。

4. 更新体制を決めておく

「物件情報は誰が更新するのか」「ブログは書くのか」「お知らせは月何回出すのか」。運用のイメージがないまま作ると、公開後に放置されるサイトになる。


制作会社の選び方

最後に、どういう制作会社を選ぶべきかについて。

不動産業界の理解があるか

不動産HPには業界特有の要件がある。物件情報の見せ方、レインズやポータルサイトとの関係、反響対応のスピード感。これを理解していない制作会社に頼むと、説明コストが膨大になる。

→ 過去に不動産会社のHP制作実績があるかを確認する。なければ、最低限こちらの業務フローを丁寧にヒアリングしてくれるかどうかで判断する。

運用・保守まで見てくれるか

HPは作って終わりではない。公開後の更新サポート、アクセス解析、改善提案まで対応してくれるかどうかは重要な判断基準になる。

チェック項目良い制作会社注意が必要な制作会社
公開後のサポート月額保守プランあり納品で終了
アクセス解析GA4設定 + 月次レポート設定なし
改善提案データを見て改善提案依頼があれば対応
更新作業CMS導入 + 操作説明毎回有料で代行

見積もりが明瞭か

前述のとおり、「一式○○万」ではなく、項目ごとに分解された見積もりを出してくれる会社のほうが信頼できる。追加費用が発生する条件(修正回数の上限、素材の準備など)も事前に確認しておく。

「業務の流れ」から一緒に考えてくれるか

HPを作る前に、そもそも「問い合わせが来たあとの対応フロー」が整理されていないケースは多い。反響が来ても対応が遅れたり、追客が属人的だったりすると、せっかくのHPも活きない。

制作だけでなく、業務プロセス全体を見てくれるパートナーを選べると、投資対効果は大きく変わる。


まとめ

不動産会社のHP制作で大事なのは、費用の安さでもデザインのかっこよさでもない。「問い合わせが来る仕組み」として機能するかどうか。

  • 相場は30〜300万。目的と規模に合った選択をする
  • デザインより導線。問い合わせ経路を複数用意する
  • 発注前に目的・ターゲット・更新体制を社内で決めておく
  • 制作会社は「業界理解」と「運用サポート」で選ぶ

HPは作って終わりではなく、運用して育てていくもの。発注の段階で「作ったあとどうするか」まで考えておくと、失敗する確率はぐっと下がる。

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よくある質問

不動産会社のHP制作費用の相場はどのくらいですか?

テンプレート型で30〜80万円、オリジナルデザインで100〜300万円、フリーランスで30〜80万円、WordPress+不動産プラグインで50〜150万円が目安です。高ければいいわけではなく、50万のテンプレート型でも導線設計がしっかりしていれば月5〜10件の問い合わせが来ることもあります。

不動産HPで問い合わせが来ない原因は何ですか?

よくある原因は3つあります。(1)デザインにこだわりすぎて代表の顔写真や実績などの中身がない、(2)CMS未導入で公開後に更新できない、(3)問い合わせ導線が電話番号だけで、フォームやLINEがない。特に問い合わせ導線を複数用意するだけで反響が3倍以上になった事例もあります。

不動産HPの制作会社を選ぶときのポイントは?

不動産業界の理解があるか、運用・保守まで対応してくれるか、見積もりが項目ごとに分解されているか、業務フロー全体を一緒に考えてくれるかの4点が重要です。デザインのかっこよさだけで選ぶと、問い合わせが来ないHPになりがちです。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。

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