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不動産

不動産仲介の営業KPI5つ—反響数・内見率・成約率・客単価・リードタイムをスプレッドシートで追う

8分で読める

この記事の数値について

SalesDockが支援・観察してきた現場での実測にもとづく数値です。公表された統計ではないため、業種・規模・体制によって変わります。

対象
従業員5〜30名規模の売買仲介・賃貸仲介

不動産仲介の営業KPI5つの結論

まずこの1シートから始める実践ステップと、よくある失敗パターンまでを扱います。

  • 追うべきKPIは反響数・内見率・成約率・客単価・リードタイムの5つ
  • 高いツールは不要。スプレッドシート1枚あれば今日から計測を始められる
  • 各KPIの目安値・計算方法・シートの列構成を決め、関数で自動計算する

「うちの営業、数字で管理できてる?」と聞かれて、自信を持って「はい」と答えられる不動産会社はどのくらいあるだろうか。

ポータルサイトの反響件数は見ている。成約件数も月末に数えている。でも「反響から内見に進んだ割合は?」「問い合わせから成約までに平均何日かかってる?」と聞くと、答えに詰まるケースが多い。

KPI管理というと大げさに聞こえるかもしれないが、要は「営業の数字を分解して、どこで落ちているかを見えるようにする」こと。それだけで、打ち手がまるで変わってくる。

この記事で扱うのは、店長・営業マネージャーが見る営業ファネル側のKPIだけ。売上・粗利率・現預金といった経営者向けの財務KPIは扱わないので、そちらを探している場合は「KPI管理シートの作り方—スプレッドシートで中小企業の経営者が追う5つの指標」を見てほしい。

営業KPIとは何か—KGIとの違いと、5つに絞る理由

KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)は、最終目標に向かって「途中経過が順調か」を測るための数字だ。最終目標そのものは KGI(Key Goal Indicator)と呼び、不動産仲介なら月の売上や成約件数がそれに当たる。KGI は結果なので月末まで動かせないが、KPI は反響数や内見数のように週の途中でも手を打てる数字を選ぶ。ここを取り違えると「成約率を上げろ」と言うだけの会議になる。

指標は増やすほど管理が重くなり、誰も入力しなくなる。反響から成約までの流れを「入口の量(反響数)→途中の歩留まり(内見率・成約率)→1件の大きさ(客単価)→速さ(リードタイム)」の4つの観点で切ると、5つで足りる。行動量(電話件数・提案件数)のKPIを足すのは、この5つが毎週埋まるようになってからでよい。

不動産営業で可視化すべき5つのKPI(指標)

従業員5〜30名規模の売買仲介・賃貸仲介を想定している。まずはこの5つを押さえれば、営業のボトルネックが見える。

1. 反響数(月間)

SUUMOやHOME'S、自社サイトからの問い合わせ件数の合計。すべての起点になる数字なので、チャネル別に分けて記録するのが大事。

目安: 営業1人あたり月20〜40件(賃貸仲介の場合)。売買仲介だと月5〜15件が一般的。この数字が足りていないなら、広告や掲載の見直しが先になる。

2. 内見率(反響→内見)

反響があった顧客のうち、実際に内見まで進んだ割合。計算式は「内見実施数 / 反響数 x 100」。

目安: 賃貸で30〜50%、売買で20〜40%。この数字が低い場合、初回対応のスピードや電話・メールの内容に改善余地がある。反響から24時間以内に連絡できているかどうかが、内見率に直結する。

3. 成約率(内見→成約)

内見した顧客のうち、成約に至った割合。「成約数 / 内見実施数 x 100」で算出する。

目安: 賃貸で20〜30%、売買で10〜20%。ここが低い場合は、物件提案の精度やクロージングのタイミングに課題があることが多い。「内見は多いのに決まらない」という会社は、この数字をまず確認してほしい。

4. 客単価(成約あたりの売上)

1成約あたりの仲介手数料の平均値。「月間仲介手数料合計 / 成約件数」で出す。

目安: 賃貸で8〜15万円、売買で80〜150万円。客単価が低い場合、扱っている物件の価格帯を見直すか、オプションサービス(引越し手配、保険など)の提案で底上げできないかを検討する。

5. リードタイム(反響→成約の日数)

問い合わせから成約までにかかった日数の平均。「成約日 - 初回反響日」を案件ごとに計算して平均を取る。

目安: 賃貸で7〜21日、売買で60〜120日。リードタイムが長すぎる場合、フォローが途切れている可能性がある。逆に極端に短い場合は「すぐ決まる客」だけを追っていて、育成が必要な見込み客を取りこぼしているかもしれない。

売上目標から逆算して、各KPIの目標値を決める

5つのKPIは、売上目標から逆算すると自動的に目標値が決まる。順番は成約から入口へさかのぼる。

  • 必要な成約件数 = 月の売上目標 ÷ 客単価
  • 必要な内見件数 = 必要な成約件数 ÷ 成約率
  • 必要な反響数 = 必要な内見件数 ÷ 内見率

例として、月の売上目標が300万円、客単価が50万円なら必要な成約は6件。成約率が30%なら内見は20件、内見率が40%なら反響は50件必要になる。この50件が「今月の反響数の目標」で、月半ばに25件に届いていなければ、月末を待たずに集客側へ手を打てる。逆に反響は足りているのに内見が伸びないなら、初動対応や提案の側に原因がある。どの数字が目標に届いていないかで、打ち手を決める部署が変わるのが逆算の効き目だ。

数字は自社の直近3か月の実績から置く。業界の平均値を目標にすると、自社の商圏や物件種別と合わず、達成できない目標を毎月眺めることになる。まず実績で目標を置き、翌月から1割ずつ上げる。

スプレッドシートの列構成—まずこの1枚から

5つのKPIを計測するために必要なデータは、実はそんなに多くない。以下の列構成で、1枚のシートにまとめる。

列内容入力例
A: 反響日問い合わせが来た日付2026/03/01
B: 顧客名お客様の名前田中 太郎
C: チャネル流入経路(プルダウン)SUUMO / 自社HP / 紹介
D: 担当者営業担当(プルダウン)佐藤
E: 内見日内見を実施した日付2026/03/05
F: 成約日成約した日付2026/03/12
G: 仲介手数料成約時の手数料(円)120000
H: ステータス進捗(プルダウン)反響 / 内見済 / 成約 / 失注

ポイントは「1行1案件」のルール。月ごとにシートを分けたり、担当者ごとにシートを分けたりしない。全案件を1枚に入れて、フィルタで絞る。これだけで集計が格段に楽になる。

関数でKPIを自動計算する

ダッシュボード用のシートを別に作り、以下の関数で5つのKPIを自動集計する。

反響数(今月分)

=COUNTIFS(データ!A:A,">="&DATE(YEAR(TODAY()),MONTH(TODAY()),1),データ!A:A,"<"&DATE(YEAR(TODAY()),MONTH(TODAY())+1,1))

内見率

=COUNTIFS(データ!E:E,"<>",データ!A:A,">="&B1) / COUNTIFS(データ!A:A,">="&B1)

※ B1に対象月の初日を入れる想定。内見日(E列)が空でないレコードを数えて、反響数で割る。

成約率

=COUNTIFS(データ!H:H,"成約",データ!A:A,">="&B1) / COUNTIFS(データ!E:E,"<>",データ!A:A,">="&B1)

客単価

=SUMIFS(データ!G:G,データ!H:H,"成約",データ!A:A,">="&B1) / COUNTIFS(データ!H:H,"成約",データ!A:A,">="&B1)

リードタイム(平均日数)

=AVERAGEIFS(データ!F:F-データ!A:A,データ!H:H,"成約",データ!A:A,">="&B1)

※ リードタイムは成約案件のみ対象。AVERAGEIFS が使えない場合は、I列に「=F2-A2」の補助列を作って、その列をAVERAGEIFSで平均する方法でもOK。

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この記事で紹介した列構成・関数をそのまま使えるスプレッドシートテンプレート

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この1シートをKPIダッシュボードにする—実践ステップ

ステップ1: シートを1枚作る(30分)

上記の列構成(A〜H列)をそのままコピーして、Googleスプレッドシートに貼る。チャネル・担当者・ステータスの列にはプルダウン(データの入力規則)を設定しておく。手入力をなくすだけで、データのブレがなくなる。

ステップ2: 過去1ヶ月分のデータを入れる(1時間)

完璧じゃなくていい。反響日・顧客名・チャネル・ステータスだけでも入れてみる。手元にあるメモや受信メールから拾えるものだけで十分。この作業で「どの情報が記録されていないか」がわかるのが最大の収穫になる。

ステップ3: ダッシュボードシートを作る(30分)

新しいシートを追加して、先ほどの関数を貼る。反響数・内見率・成約率・客単価・リードタイムの5つが自動で表示される状態を作る。

ステップ4: 週次ミーティングで画面共有する

ここが一番大事。シートを作るだけでは定着しない。毎週の営業ミーティングで、このダッシュボードを画面に映して話す。「今月の内見率、先月より10%下がってるけど、何かあった?」—こういう会話が自然に生まれるようになれば、KPI管理は回り始める。

よくある失敗パターン

最後に、KPI管理シートを作ったのにうまくいかないケースを3つ挙げておく。

  • 入力項目が多すぎる。最初から物件名・間取り・家賃・備考まで全部入れようとすると、入力が面倒で続かない。まずはA〜H列の8項目だけに絞る
  • 月ごと・担当ごとにシートを分ける。集計が複雑になるし、横断分析ができなくなる。1枚のシートに全案件を入れて、フィルタで絞る方が圧倒的に楽
  • 数字を見るだけで終わる。KPIは「見て終わり」ではなく「次に何をするか」を決めるための道具。内見率が低いなら初回対応を見直す、リードタイムが長いならフォロー頻度を上げる—数字から打ち手につなげるのがポイント

FAQ

Q. まず追うべきKPIはどれですか?

反響数・内見率・成約率の3つから始めるのがおすすめ。この3つが把握できれば「どこで数字が落ちているか」がわかる。客単価とリードタイムは、3つが安定してから追加すれば十分。

Q. スプレッドシートとCRM、どちらがいいですか?

いきなりCRMを導入する必要はない。まずスプレッドシートで「何を測るか」を決めて運用に乗せることが先。スプレッドシートで数字を見る習慣がついてから、CRMに移行するほうが定着率も高くなる。

Q. シートを作ったのに現場が入力してくれません

入力項目が多すぎることが一番の原因。最初は1行あたり5〜6列に絞り、入力にかかる時間を1件30秒以内にするのがコツ。また、週次ミーティングでシートを画面共有して使う習慣をつけると、入力しないと会議で話せない状態になり、自然と定着する。

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よくある質問

不動産会社がまず追うべきKPIはどれですか?

まずは反響数・内見率・成約率の3つから始めるのがおすすめです。この3つが把握できれば「どこで数字が落ちているか」がわかります。客単価とリードタイムは、3つが安定してから追加すれば十分です。

スプレッドシートでKPI管理するのとCRMを導入するのはどちらがいいですか?

いきなりCRMを導入する必要はありません。まずスプレッドシートで「何を測るか」を決めて運用に乗せることが先です。スプレッドシートで数字を見る習慣がついてから、CRMに移行するほうが定着率も高くなります。

KPI管理シートを作ったのに現場が入力してくれません。どうすればいいですか?

入力項目が多すぎることが一番の原因です。最初は1行あたり5〜6列に絞り、入力にかかる時間を1件30秒以内にするのがコツです。また、週次ミーティングでシートを画面共有して使う習慣をつけると、入力しないと会議で話せない状態になり、自然と定着します。

泉

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI自走プラン(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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この記事の数値について

本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。

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