「業務効率化」で不動産の社長は動かない。動くのは「反響を取りこぼしてる」と気づいたとき
この記事のポイント
「業務効率化」では社長は動かない。動くのは「反響を取りこぼしている」と気づいたとき。反響対応スピードと追客回数の2つの数字を見るだけで、売上の伸びしろが見える。
「業務効率化してどうなるの?」という社長の反応は、間違っていない
不動産会社の社長に「業務効率化しませんか」と提案すると、だいたいこう返ってくる。
「業務効率化してどうなるの?」
「事務員さんに任せたらいいんじゃないの? うちの事務員さん、結構いい仕事するよ」
「最後は人が確認しないといけないでしょ」
「それで月10万? 高いよ」
正直、この反応は間違っていないと思う。
「業務効率化」という言葉は"守り"の話だ。事務作業が楽になる、時間が浮く、ミスが減る。どれも大事だけど、社長にとっては「だから何?」になりやすい。事務員さんがちゃんとやってくれているなら、わざわざお金を払って変える理由がない。
では、社長が身を乗り出す話は何か。
「売上を逃している」という話だ。
反響対応が15時間後—その間にお客さんは競合に流れている
不動産仲介における反響対応の平均時間は、業界全体で見ると15時間以上というデータがある。ポータルサイトから問い合わせが来て、翌朝出社してから確認して、昼過ぎに電話する。よくある光景だと思う。
ここに、こんなデータがある。
- 5分以内に反響対応すると、30分後の対応と比べてリード獲得率が21倍になる
- 60秒以内に対応した場合、成約率は55%向上する
- 買主の78%は、最初に連絡してきた営業マンに依頼する
つまり、反響が来てから対応するまでの時間が長いほど、お客さんは他社に流れている。「反響が減った」と感じているなら、反響の数ではなく、対応の速度がボトルネックになっている可能性がある。
月に50件の反響があって、平均対応時間が15時間だとする。仮にそのうち30%が「もう他社に連絡しちゃいました」になっているなら、毎月15件のお客さんを競合に渡している計算になる。
これは「業務効率化」の話ではない。「売上の取りこぼし」の話だ。
反響対応の初動が遅いとどうなるかは、こちらの記事でも書いた。
もうひとつの穴: 追客が3回目で止まっている
反響対応のスピードと同じくらい大きいのが、追客の回数だ。
ほとんどの営業マンは、2〜3回連絡がつかなかったら追うのをやめる。「しつこいと思われたくない」「他の反響も来るし」というのが本音だろう。
ただ、データはこう言っている。
- 6回以上の追客を行ったリードは、成約率が70%高い
- 長期追客を仕組みとしてやっている会社の成約率は10〜50%
3回で止めている会社と、6回以上やっている会社では、同じ反響数でも成約数がまるで違う。
「うちの営業は頑張っている」と社長が思っていても、追客の実態を数字で見ると、3回目以降はほぼゼロ—ということは珍しくない。これも営業マン個人の怠慢ではなく、仕組みがないから起きている問題だ。
不動産DXで成果を出した6社に共通していたのも、この「仕組み化」の順番だった。詳しくはこちらの記事を参考にしてほしい。
「業務効率化」ではなく「取りこぼしを止める仕組み」
ここまで読んで気づいた方もいると思うが、話しているのは事務員さんの仕事をAIに置き換える話ではない。
やりたいのはこういうことだ。
反響対応:
- 問い合わせが来た瞬間に、自動で「ご連絡ありがとうございます」の初回メールを送る
- 同時に営業マンのスマホに通知が飛ぶ
- 営業マンは「温まった状態」のお客さんに電話できる
追客:
- 初回連絡後、3日後・7日後・14日後に自動でフォローメールが送られる
- 営業マンが「あ、あの人フォローしてなかった」と気づく前に、仕組みが動いている
- 反応があったお客さんだけ営業マンに通知が来る
事務員さんの仕事は変わらない。事務員さんがやっている仕事を奪うのではなく、営業の「取りこぼし」を仕組みで止める。社長に伝えるなら、こう言ったほうがいい。
「月◯件の反響のうち、何件取りこぼしていますか?」
不動産会社のAI活用で9割が同じところで止まっているのも、この「仕組み化」が原因だ。詳しくはこちらの記事を参考にしてほしい。
まず確認してほしい2つの数字
AIとか業務効率化とか、ツールの話は後でいい。まず見てほしいのは、この2つの数字だけだ。
1. 反響から初回連絡までの平均時間
今月の反響10件をサンプルに、問い合わせが来た時刻と最初に連絡した時刻を並べてみてほしい。5分以内がどれだけあるか。翌日になっているものがどれだけあるか。
目安として、5分以内が理想。1時間以内なら及第点。翌日以降は、ほぼ競合に渡っている。
2. 追客が何回目で止まっているか
成約しなかったお客さんに対して、営業マンが何回連絡したかを数えてみてほしい。おそらく平均2〜3回で止まっているはずだ。
目安として、6回以上が業界の成功ラインとされている。
この2つの数字を見るだけで、「うちは毎月何件の反響を取りこぼしているか」がだいたい見える。そこが見えたら、初めて「じゃあどう仕組みで止めるか」という話になる。
| 指標 | 現状(多くの会社) | 目標 |
|---|---|---|
| 初回対応スピード | 平均15時間以上 | 5分以内 |
| 追客回数 | 2〜3回で終了 | 6回以上 |
費用感が気になる方は、業務効率化の外注コストについてまとめた記事も参考にしてほしい。
社長に聞いてみてほしい
今月の反響、何件ありましたか?
そのうち、5分以内に対応できたのは何件ですか?
追客は、何回目で止まっていますか?
この3つの質問の答えに、売上の伸びしろが隠れている。
SalesDockでは、不動産会社の反響対応フローの設計から、追客の仕組み化、通知の自動化まで一気通貫で支援しています。「うちの反響対応、どうなってるんだろう」と思ったら、お気軽にご相談ください。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。
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