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KPI管理シートの作り方—スプレッドシートで中小企業の経営者が追う5つの指標

12分で読める

KPI管理シートの作り方の結論

準備1:指標を決めるところから読む

KPI管理シートは、目標と実績を並べ、基準を外れたときの次の手まで決めるためのスプレッドシートだ。追う5指標と警戒ラインを先に決めたうえで、本文のStep 1〜5の順に作る。①ローデータ・計算・ダッシュボードの3タブを作る、②ローデータに年月・部門ごとの数字を1行ずつ入れる、③計算タブにQUERYとSUMIFSを置く、④ダッシュボードに指標の表・SPARKLINE・条件付き書式を置く、⑤週次会議で基準を外れた指標の次の手を決める。

  • 追う指標は5つに絞る。月次売上・粗利率・顧客獲得コスト・リピート率・月末の現預金残高。
  • 1つの指標につき「指標名・目標・実績・達成率または前月差・判断の基準・次の手・担当と期限」を横に並べる。数字だけの表にしない。
  • シートは入力(ローデータ)・計算・表示(ダッシュボード)の3枚に分け、入力する人と見る人が触る場所を分ける。
  • 週1回30分、前回決めた次の手の進みを確認する。数字が更新された週は、基準を外れた指標の原因と次の手を決める。

KPI管理シートとは—目標と実績を並べて、次の手を決める1枚

KPI管理シートは、会社の最終目標(KGI。たとえば年間の売上や営業利益)の達成に向けて、途中で追う指標(KPI)の目標と実績を並べておく表のことだ。この記事では入力・計算・表示の3タブを含むファイル全体を「KPI管理シート」と呼び、経営者が見る表示用の表を「ダッシュボード」と呼ぶ。売上の集計表や月次の試算表と違うのは、「目標に対してどうか」と「外れたら何をするか」まで表示用の1枚に載せる点にある。

  • 集計表—「いくらだったか」を記録する
  • KPI管理シート—「このままで目標に届くか、届かないなら何を変えるか」を決める

KPI管理シートでは、数字を並べるだけでなく、目標との差と、基準を外れたときの次の手を列に入れる。

KGI|最終目標年間の売上・利益月次売上粗利率獲得コストリピート率現預金残高各KPIに 目標・実績・達成率 を置く基準を外れた指標だけ、次の手と担当を決める
KPI管理シートは「外れたら何をするか」まで載せる表です。目標と実績だけでは、見たあとに次の行動へ移れません。

KGIとKPIの関係を先に決めておくと、指標を増やしたくなったときの判断もつく。「この指標が動くと、KGIのどれが動くのか」を説明できないものは、KPI管理シートに載せない。

ここまでが管理シートの目的だ。以下では準備1で5指標と警戒ライン、準備2で表示用の列を決め、その後のStep 1〜5で3タブの作成から週次運用まで進める。

準備1:管理シートで追う5つのKPIを決める

KPIは多ければいいわけじゃない。むしろ多すぎると誰も見なくなる。経験上、中小企業であれば5つで十分だと感じている。

1. 月次売上

月次売上は管理シートで追う基本の指標だ。この記事の最小構成では月ごとの会社全体の売上を出す。商品別・サービス別・顧客セグメント別に分解したい場合は、ローデータに区分の列を追加して別途集計する。

たとえば不動産仲介なら、「売買仲介」と「賃貸管理」で分ける。製造業なら、「既存顧客からのリピート受注」と「新規案件」で分ける。どこから売上が来ているのかがわかると、打ち手が具体的になる。

2. 粗利率

売上が伸びていても、粗利率が下がっていたら忙しくなるだけで利益は増えない。たとえば製造業では、原材料費の高騰を価格に転嫁できていない、値引き受注が増えている—こうした問題は、粗利率を毎月追っていないと見逃す。

たとえば自社で「粗利率30%未満、または前月比で3ポイント以上の低下」を警戒ラインにする。水準と変化のどちらかに当たったら原因を調べ、翌月までに手を打つ。数値は自社の過去実績から決める。

3. 顧客獲得コスト(CAC)

「新しいお客さんを1社獲得するのに、いくらかかっているか」。広告費・営業人件費・展示会費用などを合計して、新規獲得数で割る。

たとえば、月の広告費が30万円、営業の人件費按分が50万円、新規獲得が4社なら、CACは20万円。1社あたりの初年度の粗利が20万円より少なければ、初年度だけでは獲得費を回収できない。継続取引を含めて何年で回収するかも、別に確認する。

チャネル別のCACを見るには、広告や紹介などの流入経路も別に記録する。この記事の最小構成のシートにはチャネル列がないため、まず全体の広告費ベースCACを計算する。チャネル別に比べたい段階で、ローデータに流入経路の列を追加し、広告費と新規顧客数を経路ごとに集計する。

4. リピート率(既存顧客の継続率)

新規顧客を増やしても、既存顧客との取引が減れば売上は伸びにくい。既存顧客がどれだけ継続しているかを、新規獲得数と一緒に見る。

製造業なら「前四半期に取引があった顧客のうち、今四半期も受注がある割合」。継続契約のあるサービス業なら「期首の契約顧客のうち、期末まで継続した割合」を使う。解約率を「期首の契約顧客のうち期中に解約した割合」で出している場合、リピート率は1からその解約率を引いた値と一致する。警戒ラインは自社の過去実績から決める。たとえば80%を下回ったら、既存顧客のフォロー体制を見直す。

5. 現預金残高(月末時点)

利益が出ていても、入金より支払いが先に来れば資金繰りは苦しくなる。入金まで期間が空く取引に備えるため、月末の現預金残高を追っておきたい。

「月末残高が固定費の3ヶ月分を下回ったらアラート」くらいのルールを決めておくと、資金繰りの問題に早めに気づける。

KPI計算式確認頻度アラート基準の例
月次売上月次の会社全体の合計月次目標比-10%以下(例)
粗利率(売上 - 原価)÷ 売上月次30%未満、または前月比 -3pt以下(例)
CAC(広告費+営業費)÷新規数。本記事のシートでは広告費÷新規数の簡易値から始める月次自社で決めた回収上限を超過
リピート率継続顧客数 ÷ 前期顧客数四半期自社実績から設定(例:80%未満)
現預金残高月末時点の残高月次固定費3ヶ月分未満

準備2:管理シートの列を設計する—目標・実績・達成率・次の手

KPI管理シートのうち経営者が見るダッシュボードでは、1つの指標を1行にし、表示用に「指標名・目標・実績・達成率または前月差・判断の基準・次の手・担当と期限」の7列(A〜G列)を並べる。判断の基準と次の手を置くことで、数字を見た後の行動まで決められる。前月実績の補助列と推移を示すSPARKLINEの置き方はStep 4で説明する。

コピー用のヘッダー行(表示用7列+計算補助1列)。A列からH列に貼り付け、1行目を見出しにする。H列「前月実績」は前月差を見る行(例:粗利率)だけで使う。

指標名 目標 実績 達成率・前月差 判断の基準 次の手 担当・期限 前月実績
列入れるもの決めておくこと
指標名月次売上・粗利率など計算式を1つに固定する(部署ごとに変えない)
目標今月の目標値年間目標を月に割るか、前年同月から置くか
実績計算シートから自動で入る値いつ時点の数字か(月末締め・毎週月曜など)
達成率・前月差実績÷目標、今月−前月。CACのように低いほどよい指標は上限内かどうかを見る関数で出す。手で打たない
判断の基準売上は目標比-10%以下、粗利率は30%未満または前月比-3ポイント以下など数値は自社実績から決める
次の手基準を外れたときにやること週次会議で1つだけ書く
担当・期限次の手を持つ人と日付1つの手に担当は1人

ダッシュボード用のシート(経営者が見る表示用のタブ)のA列を指標名、B列を目標、C列を実績とする。2〜6行目に月次売上・粗利率・広告費ベースCAC・リピート率・現預金残高を順に並べる。D列では、売上など高いほどよい指標は達成率、CACのように低いほどよい指標は上限内かどうかを見る。具体的な式はStep 4でまとめて設定する。

目標と実績だけのテンプレートを使う場合も、「判断の基準」「次の手」「担当・期限」の3列が無ければ足してから使う。この3列が無いと、見たあとに誰も動かない表になりやすい。逆に、この3列があれば、見た目が素朴でも次の行動を決める表として使える。

以下は架空の会社の記入例。数値や警戒ラインは業種と過去実績に合わせて置き換える。

指標目標実績達成率・前月差判断の基準次の手担当・期限
月次売上1,000万円880万円達成率88%目標比-10%以下未受注案件を確認営業責任者・10/3
粗利率35%31%前月34%から-3pt30%未満、または前月比-3pt以下値引き案件を確認営業責任者・10/3
広告費ベースCAC20万円18万円上限内20万円を超過超過時にチャネル別に確認営業責任者・10/3
リピート率80%76%目標比-4pt自社実績から決めた80%未満離反顧客を確認顧客担当・10/3
現預金残高1,500万円1,400万円下限割れ固定費500万円の3か月分未満入出金予定を更新経理責任者・10/3

KPI記入例のCACは広告費だけで計算した簡易値で、20万円は広告費ベースの顧客獲得コストの上限例だ。営業人件費を含めるなら、実績と上限の両方を同じ費用範囲で置き直す。

実際のダッシュボード事例を見てみる

スプレッドシートだけで作れるKPIダッシュボードの実例を紹介しています

事例を見る →

KPI管理シートをGoogle スプレッドシートで作る手順

ここからはGoogle スプレッドシートでの作り方を書く。3枚の分け方と列の設計はExcelでも使えるが、QUERY・IMPORTRANGEはGoogle スプレッドシートの関数だ。ExcelではSUMIFSやピボットテーブル、Power Queryなどに置き換える。SPARKLINEもExcelでは関数ではなくスパークライン機能を使う。

なお、ここで作るのはKPIに絞った1枚だが、シートの分け方・関数・条件付き書式の考え方はダッシュボード全般で共通している。土台から組みたい場合はBIツールなしで経営ダッシュボードを作る—スプレッドシートだけで始める見える化に3枚構成の設計をまとめている。

Step 1: シート構成を決める

まず、以下の3枚構成にする。これが一番シンプルで壊れにくい。

シート名役割触る人
ローデータ毎月の売上・原価・顧客数・広告費などを入力する経理・営業
計算シートローデータから各KPIを自動計算する(関数が入っている)四半期末にK列へ年月を追記する担当者のみ
ダッシュボードKPIの一覧・推移グラフ・アラートを表示する経営者・管理者
ローデータ1行1レコードで入力経理・営業が触る計算シートQUERYで自動計算関数の列は編集しないダッシュボード色と推移で見る経営者が見る週次会議で次の手を決める
入力する場所と見る場所を分けるのが要点です。計算シートでは四半期末の年月をK列へ追記する以外、関数の列を直接編集しません。

大事なのは入力と表示を分離すること。毎月の実績はローデータに入力し、経営者はダッシュボードだけを見る。計算シートは四半期末の年月をK列に追記する担当者だけが触り、関数のある列には入力しない。これで関数の上書きを防ぎやすくなる。なお、ここでのローデータは月次の集計値なので、営業が日々動かす案件単位のシートは別に1枚持つことになる。その列とステータスの決め方は営業の案件管理シートを1枚で回す—ステータス・次回アクション日・COUNTIF集計の設計にまとめている。

Step 2: ローデータの列を設計する

ローデータシートの列は、できるだけシンプルに。以下が最小構成の例。

| 年月 | 部門 | 売上 | 原価 | 広告費 | 新規顧客数 | 前期顧客数 | 現預金残高 | 継続顧客数 | |---------|--------|-----------|-----------|---------|------------|------------|-------------|------------| | 2026-01 | 営業1課 | 5,200,000 | 2,600,000 | 300,000 | 3 | | 12,500,000 | | | 2026-01 | 営業2課 | 3,800,000 | 1,900,000 | 200,000 | 2 | | | | | 2026-02 | 営業1課 | 4,900,000 | 2,450,000 | 250,000 | 4 | | 11,800,000 | | | 2026-03 | 営業1課 | 5,100,000 | 2,550,000 | 260,000 | 3 | 22 | 12,100,000 | 20 |

ポイントは1行1レコードにすること。「年月」と「部門」の組み合わせで1行。月ごとにシートを分けたり、部門ごとにシートを分けたりしない。1枚に全部入れる。これがあとの集計を圧倒的にラクにする。

前期顧客数(G列)と継続顧客数(I列)は、四半期末の行に顧客台帳から転記する。複数部門で取引した顧客は会社全体で1人として数え、四半期末のうち1部門の行にだけ入力する。前期の顧客のうち今期も取引した人数だけを継続顧客数に入れ、新規顧客は含めない。現預金残高(H列)は会社全体の値なので、各月に1行(例:先頭の部門の行)だけ入力し、ほかの部門の行は空欄にする。部門別に合計すると二重計上になる。

Step 3: 計算シートでKPIを自動算出する

計算シートでは、ローデータから各KPIを自動計算する。ここでQUERY関数が活躍する。

出力が重ならないよう、売上のQUERYは計算シートのA1、粗利率はD1、広告費ベースCACはG1に置く。どれも年月と値の2列を出し、間に1列空ける。四半期のリピート率は後述のK・L列に置く。

月別の売上合計を出す(QUERY関数):

=QUERY(ローデータ!A:H, "SELECT A, SUM(C) WHERE A IS NOT NULL GROUP BY A LABEL SUM(C) '売上合計'")

QUERY関数はSQL風の書き方でデータを集計できる。SUMIFSを何個も書くより、圧倒的に読みやすくてメンテナンスしやすい。

出典・一次情報

制度・統計は改定されます。最新の情報は公表元でご確認ください。

粗利率を計算する:

=QUERY(ローデータ!A:H, "SELECT A, (SUM(C)-SUM(D))/SUM(C) WHERE A IS NOT NULL GROUP BY A LABEL (SUM(C)-SUM(D))/SUM(C) '粗利率'")

広告費ベースの簡易CACを算出する:

=QUERY(ローデータ!A:H, "SELECT A, SUM(E)/SUM(F) WHERE A IS NOT NULL GROUP BY A LABEL SUM(E)/SUM(F) 'CAC'")

Google スプレッドシートのQUERY関数で広告費の合計を新規顧客数の合計で割って出すCACは、広告費だけを使った簡易値だ。営業人件費を含むCACとは区別し、比較する目標や警戒ラインも広告費ベースで決める。人件費を加えるときは、分子と目標の費用範囲をそろえて更新する。

四半期のリピート率を算出する:

計算シートで月次のQUERY出力とは別に、K1を「四半期末」、L1を「リピート率」の見出しにする。前期顧客数と継続顧客数をローデータに入力し終えた四半期末の年月だけを、K列へ1行ずつ追記する(K2=2026-03、その次の確定後にK3=2026-06など)。先の四半期は並べない。L2に次の式を入れて下の行へコピーする。

=IFERROR(SUMIFS(ローデータ!I:I,ローデータ!A:A,K2)/SUMIFS(ローデータ!G:G,ローデータ!A:A,K2),"")

リピート率は、四半期末の月の行に入力した継続顧客数を、同じ行の前期顧客数で割って出す。両方を同じ行に入れれば、同じ四半期の人数どうしを比べられる。

Step 4: ダッシュボードを作る

ダッシュボードは表示用のA〜G列、計算補助のH列、SPARKLINE用のI列で作る。A〜G列には指標名・目標・実績・達成率または前月差・判断の基準・次の手・担当と期限を置き、2〜6行目に5指標を1行ずつ並べる。H列「前月実績」は粗利率など前月差を見る行だけに使い、必要なら非表示にする。目標と判断の基準は表に入力し、実績は計算シートまたはローデータの直近値を参照する。担当と期限は会議で更新する。

計算シートのQUERY結果が古い月から新しい月へ隙間なく並ぶ場合、ダッシュボードのC2(月次売上の実績)には次の式を入れる。計算シートA列の最終行に対応するB列の値を取るため、月が増えても更新される。

=IF(COUNTA(計算シート!A:A)<2,"",INDEX(計算シート!B:B,COUNTA(計算シート!A:A)))

計算シートD1に置いた粗利率のQUERYは、D列に年月、E列に粗利率を出す。ダッシュボードのC3には、E列の最新月の値を取る次の式を入れる。

=IF(COUNTA(計算シート!D:D)<2,"",INDEX(計算シート!E:E,COUNTA(計算シート!D:D)))

広告費ベースCACは、計算シートG列の年月に対応するH列の直近値をダッシュボードのC4へ入れる。

=IF(COUNTA(計算シート!G:G)<2,"",INDEX(計算シート!H:H,COUNTA(計算シート!G:G)))

リピート率は四半期末だけ更新する。計算シートK列に入力した年月の最終行に対応するL列の値をC5へ入れる。

=IF(COUNTA(計算シート!K:K)<2,"",INDEX(計算シート!L:L,COUNTA(計算シート!K:K)))

現預金残高は各月に1行だけ入力したローデータH列から、最後の数値をC6へ取る。H列の下に新しい月の値を追記すれば更新される。

=IFERROR(INDEX(FILTER(ローデータ!H2:H,ISNUMBER(ローデータ!H2:H)),COUNT(ローデータ!H2:H)),"")

D2には月次売上の達成率を入れる。目標または実績が空欄、目標が0なら空欄にする。目標列には数値だけを入力し、「以上」「以下」は判断の基準列に書く。

=IF(OR(B2="",C2="",B2=0),"",C2/B2)

CACのように低いほどよい指標は達成率ではなく、D4で上限内かを判定する。現預金残高のような下限は、実績が目標以上かで判定する。

=IF(OR(B4="",C4=""),"",IF(C4<=B4,"上限内","超過"))

粗利率の行(3行目)のH3へ、計算シートE列の1行前の値を入れる。

=IF(COUNTA(計算シート!D:D)<3,"",INDEX(計算シート!E:E,COUNTA(計算シート!D:D)-1))

D3には粗利率の前月差、D5にはリピート率の目標との差、D6には現預金残高の下限判定を入れる。D3とD5はパーセント表示にする。

D3: =IF(OR(C3="",H3=""),"",C3-H3) D5: =IF(OR(B5="",C5=""),"",C5-B5) D6: =IF(OR(B6="",C6=""),"",IF(C6>=B6,"下限以上","下限割れ"))

ダッシュボードシートでは、計算シートの結果を見やすく表示する。ここで使うのがSPARKLINE関数と条件付き書式。

SPARKLINE—ダッシュボードのI2に月次売上のミニグラフを表示する:

=IF(COUNTA(計算シート!A:A)<2,"",SPARKLINE(OFFSET(計算シート!B2,MAX(0,COUNTA(計算シート!A:A)-13),0,MIN(12,COUNTA(計算シート!A:A)-1),1), {"charttype","line"; "color","#2563eb"; "linewidth",2}))

ダッシュボードのI2(表示表の右隣)に式を入れる。計算シートA列の年月で最終行を探し、B列の直近12行(12か月未満なら入力済みの月)をミニグラフにする。新しい月の行が増えても、参照範囲が追随する。

条件付き書式—決めた基準から外れたら色を変える:

粗利率のC3を適用範囲にして、C3に今月、H3に前月の実績がある場合に次の条件付き書式のカスタム数式を設定すると、「30%未満、または前月比-3ポイント以下」のどちらかに当たったとき赤くなる。数値は自社の過去実績から決める。

=AND(ISNUMBER(C3),OR(C3<30%,AND(ISNUMBER(H3),ROUND(C3-H3,4)<=-0.03)))

この条件付き書式の式は、前月実績をH3に入れた粗利率のC3だけに使う。月次売上・CAC・リピート率・現預金残高にも色を付けるには、各指標の判断基準に合わせて別の条件付き書式を設定する。

IMPORTRANGEで別シートのデータを取り込む:

=IMPORTRANGE("https://docs.google.com/spreadsheets/d/XXXXX", "売上データ!A1:I100")

経理・営業・在庫管理のデータが別々のGoogle スプレッドシートにある場合は、IMPORTRANGEで参照できる。会計ソフトのデータを直接取り込む関数ではないため、会計ソフトのCSVはいったんシートへ取り込む。

Step 5: 週次の確認サイクルに組み込む

ダッシュボードを作っただけでは意味がない。見る習慣を作る仕組みが必要。

おすすめは、毎週の経営会議で30分だけダッシュボードを画面共有すること。月次・四半期の指標は更新された週に確認し、数字が動かない週は前回決めた次の手の進みを見る。アジェンダはシンプルに3つだけ。

時間やること
5分前回決めた次の手の進みと、更新されたKPIに赤い数字があるかを確認
15分アラートが出ている指標について原因を議論。先週の打ち手の結果はどうだったか?
10分来週までにやることを1つだけ決める(担当者・期限つき)

週1回30分のKPI会議で「前回の次の手を確認→基準を外れた数字の原因を考える→次の手と担当を決める」を繰り返すと、結果まで確認できる。ダッシュボードは、このサイクルを回すための「道具」にすぎない。

KPIダッシュボードでよくある3つの失敗

失敗1: KPIを欲張りすぎる

「せっかく作るなら、あれもこれも」と20個も30個もKPIを並べるケース。全部追えるわけがない。見た瞬間に「情報が多すぎてどこを見ればいいかわからない」となって、結局誰も見なくなる。

最初は5つ以内。慣れてきても10個を超えないようにする。「これ本当に見てますか?」と聞いて「見てない」と言われたKPIは外す。

失敗2: 入力が手作業のまま

ダッシュボードは自動なのに、元のデータ入力が手作業だと結局めんどくさくて更新されなくなる。

対策は2つ。入力の手間を減らすため、月1回、部門ごとにローデータ1行へ入力をまとめ、数値列は5つのKPIの計算に必要なものに限る。もしくは、既存の業務フローから取得する。別のGoogle スプレッドシートならIMPORTRANGEで参照できるが、初回のアクセス許可と参照元の閲覧権限が必要だ。会計ソフトのCSVは、いったんシートへ取り込む必要がある。定期的に自動取込するなら、そのための仕組みも別に用意する。

失敗3: 数字を見ても「次のアクション」がない

「粗利率が下がってるな…」で終わるケース。数字を見ること自体が目的になっていて、「だから何をするか」まで決まっていない。

KPIごとに「基準値」と「基準値から外れたときのアクション」をあらかじめ決めておくのが大事。たとえば自社の警戒ラインを「粗利率30%未満、または前月比-3ポイント以下」と決め、該当したら翌週中に値引き案件をリストアップして見直す。数字→アクションの回路を先に設計しておく。

KPI管理シートをスプレッドシートで始めやすい理由

「KPI管理」と聞くと、BIツールやSFAの導入を思い浮かべるかもしれない。まずは既存のシートで入力・更新・共有を回せるかを確認したい。スプレッドシートから始めやすい理由は3つある。

1. 手元の道具で小さく始められる

既に使っているシートなら、新しい道具の導入や設定を待たずに、目標・実績・次の手の列を足して週次会議で試せる。Power BIには無料アカウントもあるが、レポートを社内で共有するにはProなどが必要だ。Power BI Proは公式価格で1ユーザー月額2,098円相当(年払い・税抜、2026年9月確認)。費用だけで選ばず、導入と運用の手間も比べる。

2. 学習コストが低い

Excelやスプレッドシートを日常業務で使っている社員なら、操作を覚える負担を抑えやすい。ただし、入力ルールや更新担当を決めなければ運用が止まる。KPI管理で一番大事なのは「数字を見る習慣をつけること」で、ツールの使い方を覚えることじゃない。

3. 業務に合わせて柔軟に変えられる

SFAやBIツールは、項目や画面をツールの作法に沿って設定する手間がかかる。スプレッドシートなら、自社の業務フローに合わせて列を足し引きしやすい。製造業の「不良率」も不動産の「反響数」も、同じシートの中で管理できる。

スプレッドシートでKPIを管理する場合、関数を直せる人がいないと計算式のエラーを放置しやすく、データの出どころが増えると転記や照合に時間がかかる。後半の「自分で作るのが難しくなるタイミング」で移行の目安も確認する。

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自分で作るのが難しくなるタイミング

スプレッドシートでのKPI管理は、ある程度までは自分たちで回せる。ただ、以下のサインが出てきたら、外部の手を借りることを検討してもいいかもしれない。

  • シートが複雑になりすぎて、誰かが関数を壊すと直せない—属人化の兆候。設計を見直すタイミング
  • データソースが3つ以上に分散している—会計ソフト、営業シート、在庫管理シートを手動で突合する時間が増えたら、Google スプレッドシート同士はIMPORTRANGE、会計ソフトのCSVは取込手順やGAS(Google Apps Script)による別の仕組みを検討
  • 「数字は見えるけど、何をすればいいかわからない」状態が続く—ダッシュボードの設計は問題ないけど、KPIの選び方やアクションの設計が合っていない可能性がある
  • 部門ごとにダッシュボードが欲しいと言われ始めた—組織が成長しているサイン。シートの設計を最初からやり直す必要があるかもしれない

こうしたタイミングで、シートの再設計・ダッシュボード構築・運用定着の支援を一括で頼めると、自分たちで試行錯誤する時間を節約できる。

まとめ

中小企業のKPI管理は、高いツールを入れなくても始められる。Google スプレッドシートのダッシュボード1枚に、売上・粗利率・CAC・リピート率・月末の現預金残高の5つを並べれば、確認と次の手を決める場を作れる。

大事なのは、完璧なダッシュボードを作ることじゃない。数字を見て、考えて、手を打つサイクルを回し始めること。最初は粗くていい。まず5つのKPIを1枚のシートに並べるところから始めてみてほしい。

そして、もしシートの設計やダッシュボードの構築で手が止まったら、スプレッドシートを見せてもらえれば何ができるかすぐにわかる。まずは現状のシートを見るところから始めたい。

関連する支援事例

中小企業のKPI管理でお悩みの方は、業種・課題別の導入事例一覧もご覧ください。

よくある質問

中小企業がKPI管理を始めるとき、最初に追うべき指標は何ですか?

まずは「月次売上」「粗利率」「顧客獲得コスト(CAC)」の3つから始めるのがおすすめです。この3つが見えるだけで、売上が伸びているのに利益が出ていない、広告費をかけすぎている、といった問題に早く気づけるようになります。慣れてきたらリピート率と月末の現預金残高を追加します。

KPI管理シートには、どんな項目(列)を入れればいいですか?

1つの指標を1行にして、指標名・目標・実績・達成率(または前月差)・判断の基準・次の手・担当と期限を横に並べます。目標と実績だけの表は記録で終わりやすいので、基準を外れたときに何をするか、誰がやるかの列を必ず入れます。達成率や前月差は関数で出し、手で打たないようにします。

スプレッドシートでKPI管理するのと、専用ツールを導入するのはどちらがいいですか?

まずスプレッドシートから始め、入力・更新・共有が回らなくなったら専用ツールを検討します。今ある道具で小さく始められ、社内に使える人がいて、列や計算を業務に合わせて変えやすいからです。従業員数だけで決めず、実際の運用が回るかで判断します。

KPIダッシュボードを作ったのに社内で使われません。どうすればいいですか?

ダッシュボードが使われない原因の多くは、入力が面倒・数字を見ても何をすればいいかわからない、の2つです。月1回、部門ごとに年月・売上・原価・広告費などをローデータ(入力用のシート)の1行へまとめる、数字が基準から外れたら色が変わる条件付き書式を入れる、週次会議で前回の次の手と更新された数字を確認する—この3つを試します。

Google スプレッドシートでKPIダッシュボードを作るのにどんな関数を使いますか?

月別の売上・粗利率・広告費ベースCACはQUERY関数で集計し、四半期のリピート率はSUMIFS関数で出します。推移にはSPARKLINE関数、基準を外れた数字の色分けには条件付き書式を使います。別のGoogle スプレッドシートのデータはIMPORTRANGEで取り込めます。初回はセルに出る「アクセスを許可」を押す必要があり、参照元ファイルの閲覧権限も要ります。

泉

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI自走プラン(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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この記事の数値について

本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。

CASE

実際の支援では、こう変わりました

  • 人材紹介3ヶ月の伴走支援

    サイトの文言変更を、担当者が一人で本番公開まで完了。

  • 広告・マーケティング3ヶ月の伴走支援

    見積書づくりで人が行うのは、粗利をどうするかの判断だけに。

  • 外国人材の就職支援試作からの伴走支援

    書類の回収・仕分けと履歴書づくりを、どこまで自動にし、どこを人が確認するかを決めて試作まで完了。

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