ひとり社長の時間棚卸し—単価×時間マトリクスでAIに渡す業務を決める
「時間が足りない」と感じる前にやるべきは、自分の時間がどこに溶けているかの可視化です。今回は、SalesDockが社内で使っている単価×時間マトリクスのテンプレと、AI顧問先で実際にやっている棚卸し手順を書きます。
最初に書き出すのは「直近1週間にやったこと」
棚卸しはシンプルです。紙でも、スプレッドシートでも、付箋でもOK。直近1週間にやった業務を、思い出せるだけ書き出します。30個くらい出ます。
このときコツがあって、抽象的な書き方をしないこと。「営業」じゃなくて「不動産仲介A社の社長と60分商談・帰社後に議事録30分」と書きます。粒度を業務単位まで落とす。これをやらないと、後段の棚卸しがぜんぶ抽象論で終わります。
2つの軸:かかった時間と、生んだ売上
書き出したら、各業務に2つの数字をつけます。
- その業務にかかった時間(分)
- その業務が直接生んでいる売上 or 利益(円・推定でOK)
時間は実測がベスト。やってない人は、勘でいいので書きます。売上は、「この業務をやらなかったら得られないお金」を雑に試算します。経理仕分けは直接の売上を生んでないので0円。商談は契約に直結するので、1件あたりの平均粗利を割り当てる、みたいな感じです。
マトリクスに並べると、左上が「最初に渡す業務」になる
縦軸を時間(多い↑)、横軸を売上(少ない←、多い→)にして、業務をプロットします。すると、4象限ができます。
- 左上:時間は食ってるけど売上は少ない → ★最初にAIに渡す
- 右上:時間も食ってるけど売上も大きい → 自分が握り続ける。ただし作業要素はAIに渡す
- 左下:時間も少なく売上も少ない → 一旦放置でいい
- 右下:時間少なく売上多い → 一番美味しい領域。空いた時間をここに集中させる
左上に集まる代表選手は、議事録・経理仕訳・SNS下書き・請求書発行・メール返信・空き時間検索・スケジュール調整、あたり。ここがAIに渡す優先順位の1位です。
自分のリアル数字:月の左上業務は60時間あった
SalesDockを立ち上げた直後、自分でこの棚卸しをやってみました。月の業務時間が約200時間、そのうち「左上業務」が60時間でした。1日2時間以上、売上に直結しない作業にエネルギーが食われていたわけです。
この60時間のうち、議事録(月12時間)・経理(10時間)・SNS下書き(8時間)の3つから順番にAIに渡したところ、3ヶ月で月30時間まで圧縮できました。残りの30時間は商談と企画に使える時間に変わりました。
棚卸しで一番つらいのは「自分がこんなに作業してた」と気づくこと
この棚卸し、AI顧問のお客様にも初月で必ずやってもらいます。多くの場合、初めて自分の時間配分を直視したリアクションが返ってきます。
「自分は経営者のつもりだったけど、実態は作業者だった」「商談に1日2時間しか使えてなかった」「経理に月15時間も溶かしてた」みたいなコメント。ここを直視するのが、AIに業務を渡す心理的な第一歩になります。
棚卸しの後は「3つだけ渡す」
左上業務が10個出てきても、最初から全部渡そうとすると、ほぼ確実に挫折します。1ヶ月で完全に手放せるのは、せいぜい3つです。
私のおすすめは、議事録・経理・SNS下書きの3つ。順番に着手して、それぞれ1〜2週間で運用に乗せる。1ヶ月で3つ手放せたら、次の月にもう3つ手放す、というペースが現実的です。
棚卸しを一緒に走らせたい方へ
「やる時間が取れない」「1人だと客観性が出ない」という方向けに、SalesDockのAI顧問サービスでは、初月の業務棚卸しを一緒にやるところから始めています。初期構築(15万円・1ヶ月)の中に、棚卸しと優先順位付けが含まれます。
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泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。
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