宅建業法 2026年改正まとめ|中小不動産が今すぐ対応すべき5つの実務変更
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法令・税務の適用は取引内容、免許区分、時点により異なります。この記事は社内確認の手順を示すものであり、個別案件の法的・税務的な判断は、管轄機関や専門家へ確認してください。
「宅建業法 改正 2026」で調べると、過去の改正、施行予定、税制の変更が混ざって出てきます。実際のところ、2026年に施行されるのは宅地建物取引業法の本体ではなく、その周辺の制度です。中小不動産会社の実務に効くものを施行日順に並べると、4月1日と10月1日の2つの山に分かれます。
2026年の改正を施行日順に一覧する
| 施行日 | 制度 | 何が変わるか | 主に影響する業務 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月1日 | 不動産登記法(住所等変更登記の義務化) | 所有者の住所・氏名の変更から2年以内の変更登記が義務。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料 | 売却相談の受付、登記簿の事前確認、決済段取り |
| 2026年4月1日 | 区分所有法(23年ぶりの大改正) | 決議要件の緩和、所在不明の区分所有者を決議の分母から除外可能、管理・再生の手法拡充 | マンションの売買仲介、管理組合への説明、重要事項説明 |
| 2026年10月1日 | 不動産登記規則(登記受付帳の様式見直し) | 受付帳から「登記の目的」と「不動産の所在事項」が削除され、受付年月日と受付番号のみになる | 相続・売却見込みの仕入れ、ダイレクトメール営業 |
| 2026年10月1日 | 消費税(インボイス経過措置) | 免税事業者等からの仕入れに係る仕入税額控除が80%から70%へ。50%は2028年10月以降に後ろ倒し | リフォーム外注、広告費、仲介手数料の支払い、経理処理 |
| 2025年1月1日 (施行済み) | 宅建業法施行規則(レインズ) | 専任・専属専任媒介でレインズに登録する際、取引状況(ステータス管理)の登録・更新が義務 | 媒介契約、レインズ登録、売主への報告 |
以下、それぞれの中身を実務への影響とあわせて整理します。制度の一覧を眺めるだけで終わらせず、自社のどの手順・書式・担当者に当たるのかまで落とすのが目的です。
① 住所等変更登記の義務化(2026年4月1日)
不動産の所有者は、住所や氏名を変更した日から2年以内に変更登記を申請する義務を負います。正当な理由なく怠った場合は5万円以下の過料の対象です。施行日より前に住所等が変わっていて変更登記をしていない場合も義務化の対象で、2028年3月末までに申請する必要があります。あわせて、あらかじめ検索用情報を届け出ておけば法務局が職権で住所等の変更登記を行う「スマート変更登記」も同日から始まります。
実務では、売却の相談を受けた時点で登記簿上の住所・氏名が現況と一致しているかを確認する手順を入れておくと安全です。ずれていれば変更登記を先行させることになり、決済までの日程が動きます。詳細と手続きの窓口は法務省の住所等変更登記の義務化特設ページで確認してください。
② 区分所有法の改正(2026年4月1日)
区分所有法が23年ぶりに大きく改正され、2026年4月1日に施行されます。老朽化したマンションの管理と再生を進めやすくすることが狙いで、集会の決議要件の緩和、所在が分からない区分所有者を裁判所の決定を経て決議の分母から除外できる仕組み、管理・再生の手法の拡充が柱です。
マンションの売買仲介では、管理組合の運営状況や修繕・建替えの検討状況が買主への説明材料になります。決議のハードルが下がることで、これまで動かなかった物件の修繕・再生の議論が進む可能性があり、重要事項説明で参照する管理規約や総会議事録の読み方も変わります。改正の全体像は国土交通省が公表した令和7年マンション関係法改正の資料が把握しやすいです。
③ 登記受付帳から登記の目的と所在が消える(2026年10月1日)
不動産登記規則の改正により、2026年10月1日から登記受付帳の記載事項から「登記の目的」と「不動産の所在事項」が削除されます。残るのは受付年月日と受付番号だけです。登記事務のデジタル化で事務処理上これらの項目が不要になったことと、個人情報保護の観点が理由とされています。
影響が大きいのは仕入れです。受付帳から相続登記の動きを拾い、所有者へダイレクトメールを送る手法は、どの物件にどの登記が入ったのか読み取れなくなるため成立しなくなります。施行までに代替の仕入れルートへ移す必要があり、この論点は受付帳DM営業の代替となる仕入れルートの記事で詳しく整理しています。
不動産・建設会社のためのAI業務改善ガイド
反響・見積・契約・管理の4工程を順に点検し、どこで時間が溶けているかを見つける8ページ。着手する順番と、90日で整えるまでの流れまで載せています
資料を無料でダウンロード④ インボイス経過措置が80%から70%へ(2026年10月1日)
免税事業者などインボイスを発行できない相手からの課税仕入れについては、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が続いています。この割合が2026年9月末までの80%から引き下げられます。ここは情報が入れ替わっている箇所で、当初は2026年10月から50%になる予定でしたが、令和8年度税制改正大綱で段階が見直され、2026年10月1日以降は70%、2028年10月1日以降は50%と緩やかになりました。「2026年10月から50%」と書かれた古い記事がまだ多く残っているため、社内資料を作るときは引用元の日付を確認してください。
不動産会社では、リフォームの外注先、広告制作、個人の仲介協力者など、免税事業者との取引が残りやすい支払先が対象になります。税制は宅建業法とは別の制度なので、国税庁の案内と顧問税理士への確認を前提に運用します。
同じタイミングで、割合とは別に金額の上限が入ります。インボイス発行事業者以外からの課税仕入れの合計額(税込)が、その年または事業年度で1億円を超える場合、超えた部分にはこの経過措置を使えません。2026年10月1日以後に開始する課税期間からの適用です。工事の外注が多い会社では単年で1億円に届くことがあるため、割合の変更よりこちらが効く場合があります。仕入先が課税事業者かどうかを支払先単位で集計できる状態にしておくのが実務の要点です。
⑤ 宅建業法まわりで直近に効いているのはレインズの取引状況登録
宅地建物取引業法の本体に2026年施行の大きな改正はありません。宅建業法に関係する直近の変更は施行規則の改正で、専任媒介・専属専任媒介でレインズに物件を登録する際、取引状況(ステータス管理)の登録と更新が義務づけられました。こちらは2025年1月に施行済みで、2026年は運用を定着させる年になります。
登録の遅れや更新漏れは売主への報告義務とも直結するため、媒介契約からレインズ登録までの期限管理は仕組みで持つのが安全です。運用の詰め方はレインズ登録期限の運用と媒介契約の実務確認項目にまとめています。宅建業法の改正履歴そのものは国土交通省の宅地建物取引業法に関する法令改正・解釈が原典です。
影響を受ける業務を一枚にまとめる
・変更の名称、公布日、施行日、一次情報のURL
・影響を受ける取引・書面・説明・広告・免許関連の業務
・自社で使う書式、システム、公開ページ、担当者
・対応内容、確認者、完了日、次回確認日
この一覧があると、制度の内容を知っているだけで終わらず、どの手順・書式・説明資料を見直すべきかを担当者ごとに確認できます。
電子契約と重要事項説明は別々に確認する
書面の電子化と重要事項説明では、対象書面や顧客への説明、保存・運用の要件が異なります。電子的な書面提供の制度説明は国土交通省が案内しています。自社の契約フローへ当てはめる際は、不動産の電子契約ガイド、重要事項説明の確認記事を参照しながら、実際に使う書式と説明手順を確認してください。
なお制度改正とは別に、宅建業免許そのものにも5年ごとの更新と登録免許税の納付があります。改正対応の予定表を作るときは、免許の有効期限も同じ表に載せておくと抜けにくくなります。費用・必要書類・更新を忘れた場合の扱いは宅建業者の免許更新・登録免許税 2026年の実務ガイドにまとめています。
出典・一次情報
- 宅地建物取引業法 第3条(免許の有効期間・更新・登録免許税及び手数料)(e-Gov法令検索)
- 登録免許税法 別表第一(宅地建物取引業の免許に係る登録免許税)(e-Gov法令検索)
- 住所等変更登記の義務化特設ページ(法務省)
- 宅地建物取引業法に関する法令改正・解釈(国土交通省)
- 令和7年マンション関係法改正とこれからのマンション管理(国土交通省 住宅局)
- インボイス制度に関する各種情報(国税庁)
制度・統計は改定されます。最新の情報は公表元でご確認ください。
更新を一回で終わらせない
法令・制度記事は、公開時だけでなく、施行前・施行後にも公式情報を確認します。記事の更新日、参照URL、社内の対応状況をセットで残し、内容が変わる可能性のある数値や期限は原典へ誘導する設計にします。媒介契約の実務は、媒介契約の確認記事も参照してください。
よくある質問
2026年の法改正はいつ施行されますか?
中小不動産会社の実務に関わる2026年の改正は、施行日が4月1日と10月1日に分かれます。2026年4月1日に住所等変更登記の義務化と改正区分所有法が施行され、2026年10月1日に登記受付帳の記載事項の削除と、インボイス(消費税)の仕入税額控除の経過措置の引き下げが重なります。社内の対応予定表は、この2つの日付を基準に組むと抜けにくくなります。
宅建業法そのものは2026年に改正されるのですか?
2026年に施行される主な改正は、宅地建物取引業法の本体ではなく、不動産登記法、区分所有法、不動産登記規則、消費税といった周辺の制度です。宅建業法に関係する直近の変更としては、専任・専属専任媒介でのレインズの取引状況(ステータス管理)の登録義務化が2025年1月に施行済みで、2026年はその運用を定着させる年になります。宅建業法本体の改正履歴は国土交通省が公開しているため、最新の一覧は原典で確認してください。
住所等変更登記の義務化で、不動産会社の実務は何が変わりますか?
所有者は住所や氏名の変更から2年以内に変更登記を申請する義務を負い、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象になります。施行日前に変更があった場合も対象で、2028年3月末までの申請が必要です。売却の相談を受けた段階で登記簿上の住所・氏名が現況と一致しているかを確認し、ずれていれば変更登記を先行させる段取りが必要になります。
登記受付帳を使った仕入れ営業は2026年10月以降どうなりますか?
2026年10月1日から、登記受付帳の記載事項から「登記の目的」と「不動産の所在事項」が削除され、残るのは受付年月日と受付番号だけになります。どの物件にどの登記が入ったのかを受付帳から読み取れなくなるため、相続登記を手がかりにしたダイレクトメール営業は成立しなくなります。代替の仕入れルートは施行前に確保しておく必要があります。
インボイスの経過措置は2026年10月にどう変わりますか?
免税事業者などからの課税仕入れに認められる仕入税額控除の割合が、2026年9月末までの80%から引き下げられます。令和8年度税制改正大綱で段階が見直され、2026年10月1日以降は70%、2028年10月1日以降は50%と、以前公表されていたスケジュールより緩やかになりました。50%への引き下げが2026年10月からと書かれた古い記事が残っているため、国税庁の現行の案内と顧問税理士への確認を前提に運用してください。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。
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