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不動産

媒介契約の2026年改正と実務影響|記載事項・レインズ登録・違反時ペナルティ

3類型の使い分けと、レインズ・業務処理状況報告の実務

10分で読める

この記事は2026年の宅建業法・不動産関連法改正まとめのスピンオフ記事です。法改正全体を俯瞰したい方はまず親記事をご覧ください。

この記事のポイント

媒介契約の3類型(一般・専任・専属専任)と、2026年時点で押さえるべき記載事項・レインズ登録義務・業務処理状況報告のルールを整理。違反時の行政処分事例と、媒介契約書テンプレートの運用まで解説する。

媒介契約は、不動産会社が売主・貸主から物件の仲介を依頼される際に結ぶ契約で、宅建業法第34条の2で詳細なルールが定められている。近年は消費者保護の観点から記載事項が追加され、書面交付の電子化も進んだ。2026年時点で中小不動産会社が押さえておくべきポイントを、3類型の使い分けと実務フロー別に整理する。

媒介契約の3類型と基本ルール

媒介契約は「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類に分かれる。仲介会社への依頼範囲と売主側の自由度が段階的に変わる仕組みで、それぞれレインズ登録義務と業務処理状況報告の頻度が異なる。

媒介契約3類型の比較

項目一般専任専属専任
複数社への依頼可能不可不可
自己発見取引可能可能不可
契約期間制限なし(3ヶ月が慣習)最長3ヶ月最長3ヶ月
レインズ登録任意7日以内5日以内
業務処理状況報告法定義務なし2週間に1回以上1週間に1回以上

「自己発見取引」とは、売主が自分で見つけた買主と直接契約すること。専属専任媒介ではこれが禁止されているため、もし売主の知人が買主候補として名乗り出ても、仲介会社を介さずに取引することができない。契約時に売主に十分説明しないとトラブルになる。

媒介契約書の記載事項—2026年時点で押さえるべき項目

媒介契約書には、宅建業法および国土交通省標準媒介契約約款に基づき、以下の事項を記載する。近年、消費者保護の観点から記載の明確化が求められている項目を重点的に整理する。

媒介契約書の主な記載事項

1. 物件の表示:所在地・面積・構造等。公簿と実測の差異がある場合は両方を記載。

2. 売買すべき価額:売主の希望価格。査定価格との乖離がある場合は査定の根拠を添付する。

3. 媒介契約の種類と有効期間:3類型のいずれかと期間を明記。

4. 報酬:成功報酬の上限を宅建業法の規定に沿って記載。消費税の扱いも明示。

5. 契約違反時の措置:違約金・違約時の報酬請求権などを具体的に記載。

6. レインズ登録の有無・登録日:登録義務のある媒介契約では必須。

7. 業務処理状況報告の方法:報告方法(書面・メール・電話)と頻度。

8. 媒介価額について意見を述べたときの根拠:査定価格の根拠を説明した資料の添付。

特に「媒介価額の意見の根拠」は、2016年の宅建業法改正で義務化されて以降、行政処分の対象になりやすい項目。類似物件の成約事例・公示地価・路線価などをまとめた査定書を添付するのが標準運用になっている。

レインズ登録義務—登録後の証明書交付と更新

専任媒介・専属専任媒介では、レインズへの登録が義務付けられている。登録期限は専任7日以内、専属専任5日以内。休業日を除いた営業日ベースでの計算になる点に注意。

登録後、レインズから「登録証明書」が発行される。この証明書は売主に遅滞なく引き渡す必要がある。登録証明書の受領は、売主が「本当にレインズに載っているか」を確認する重要な手段になっている。

レインズ登録の実務ポイント

登録証明書の交付:登録後、速やかに売主へ書面または電子データで引き渡す。

登録情報の更新:価格変更・取引状況の変更があった場合は、速やかにレインズ上の情報を更新する。

取引成立時の通知:成約時は成約価格・契約日をレインズに通知する義務がある。

囲い込みの禁止:他社からの問い合わせに「商談中」などと回答して情報を渡さない行為は、宅建業法違反として行政処分の対象。

業務処理状況報告—形骸化を防ぐ運用

専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上、売主に対して業務処理状況を報告する義務がある。報告内容には以下を含めるのが標準。

反響件数と内訳:問い合わせ・資料請求・現地案内の件数と、反響元チャネル。

広告出稿状況:ポータルサイト・自社HP・チラシなどの出稿状況と反響数。

販売活動の評価:想定と実績の差異、今後の戦略変更の有無。

価格交渉の状況:具体的な交渉が入っている場合の内容。

「報告義務を果たしている」ことを形式的にクリアするだけのメールでは、売主との信頼関係は築けない。反響数を正直に伝え、動きが鈍いときは価格見直しや広告戦略の提案を添えるのが、長期的には受注率につながる。

違反時の行政処分と代表的な事例

媒介契約関連の宅建業法違反は、行政処分の対象になる。近年の処分事例に見られる主な違反類型を整理する。

媒介契約関連の行政処分パターン

違反類型典型例処分の目安
囲い込み他社からの問い合わせに「商談中」と回答して情報遮断業務停止(7日〜30日)
レインズ登録義務違反専任媒介で7日以内に登録せず、広告のみを自社で展開指示処分、繰り返しで業務停止
報酬額の上限超過宅建業法の規定を超える報酬の請求・受領業務停止+返還命令
媒介価額の根拠不提示査定書を添付せず感覚的な価格を提示指示処分

特に「囲い込み」は売主の利益を害する悪質な違反として、国土交通省・都道府県ともに摘発を強化している。近年は両手仲介の規制強化議論も続いており、実務としては「他社問い合わせには情報を正確に開示する」運用を徹底するのが無難。

媒介契約書テンプレートの運用

媒介契約書は、国土交通省の標準媒介契約約款をベースに、各社が独自項目を追加している。テンプレートの運用で押さえたいポイントは以下の通り。

電子契約対応:2022年の宅建業法改正で媒介契約書も電子交付が解禁。クラウドサイン・GMOサイン等での締結が増えている。

改版管理:テンプレートの改版履歴を残す。過去の契約書がどのバージョンで締結されたかを追えるようにする。

査定書の統一フォーマット:媒介価額の根拠となる査定書を社内で統一。類似物件・公示地価・路線価を必ず記載する欄を用意。

業務処理状況報告書のテンプレ:報告項目を定型化し、担当者ごとのバラつきを減らす。

電子契約と業務処理状況報告を連動させ、スプレッドシート上で「案件ごとに次回報告予定日」を管理する仕組みを入れている会社が増えている。報告の抜け漏れは、顧客満足度の低下だけでなく行政処分リスクにも直結する。

まとめ:媒介契約は「売主との信頼関係の土台」

媒介契約の記載事項やレインズ登録、業務処理状況報告は、単なる法的義務ではなく、売主との信頼関係を築くための土台になっている。書面に定めたことを愚直に守り、反響状況を正直に伝えるだけで、売主の満足度は大きく上がる。

法改正全般の動向は「2026年の宅建業法・不動産関連法改正まとめ」、免許更新のルールは「宅建業者の免許更新・登録免許税 2026年の実務ガイド」、重要事項説明の変更点は「2026年版 重要事項説明の変更点完全まとめ」でそれぞれ確認してほしい。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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