2026年版 重要事項説明の実務確認項目|水害ハザード・IT重説・書面電子化
法改正対応を、担当者の記憶ではなく確認フローに落とす
執筆:泉 款太(株式会社SalesDock 代表取締役)累計40社以上の中小企業を支援

制度の結論は、取引時点の法令・自治体資料・顧問の宅建士等に必ず確認してください。
結論
法改正対応を案件フローに組み込むために、まず一次資料を確認し、項目ごとに確認の仕方を分けます。
- 水害ハザードマップは、重要事項説明で対象物件の位置を最新図面で示す
- 省エネ性能ラベルは重説・契約書への記載が必須ではない。混同しない
- IT重説と書面電子化は、実施手順と相手方の意向確認を分けて設計する。重説フローは4つの質問で更新する
法改正の情報を集めるだけでは、重説の漏れは防げません。物件調査、書面作成、説明実施、保管のどの時点で何を確認するかを決め、根拠資料へのリンクを残すことが重要です。ここでは、国土交通省の現行資料で確認できる範囲に絞って整理します。
まず確認する一次資料
国土交通省は、宅地建物取引業法の解釈・運用、重要事項説明の様式例、改正履歴を公開しています。本文や雛形を更新する際は、一般的な解説記事ではなく、まず国土交通省の法令改正・解釈ページと管轄自治体の案内を確認します。
水害ハザードマップ:対象物件の位置を最新図面で示す
宅地建物取引業法施行規則では、水防法に基づき市町村が作成した水害ハザードマップについて、取引対象の宅地・建物の所在地を説明することが求められます。国土交通省は、洪水・雨水出水・高潮の水害ハザードマップを提示し、対象物件のおおむねの位置を示すこと、入手可能な最新の市町村資料を使うことを案内しています。
調査から説明までの確認順
1. 資料の特定:市町村が公開する水害ハザードマップと更新日を記録する。
2. 位置の確認:対象物件の位置を資料上で示せる状態にする。
3. 説明書への反映:使用した資料・確認日・担当者を案件記録に残す。
4. 別制度の確認:土砂災害、津波などは水害ハザードマップと混同せず、該当する法令上の制限を個別に確認する。
水害ハザードマップの説明に関する国交省の案内はこちらです。自治体の図面更新や物件位置の取り違えが起きやすいため、添付しただけで完了にしない運用が大切です。役所の窓口ごとに何が取れ、何が証明にならないかは役所調査の窓口と回る順番で整理しています。
省エネ性能:重説への記載義務と混同しない
建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度には、表示に関する努力義務があります。ただし、国土交通省のFAQでは、省エネ性能ラベルを重要事項説明や契約書へ記載することは必ずしも必要ではないとされています。性能評価書やラベルがある場合も、重説の必須記載事項であるか、広告表示としての情報であるかを混同しないでください。
実務では、物件資料にある情報の出所、確認できない情報、買主・借主への説明内容を分けて管理します。ラベルや等級を推測で補うのではなく、確認できない場合は未確認として扱い、必要に応じて売主・管理会社・専門家へ照会する流れにします。
出典・一次情報
制度・統計は改定されます。最新の情報は公表元でご確認ください。
不動産・建設会社のためのAI業務改善ガイド
反響・見積・契約・管理ごとに、AIに任せる所と法令上人が見る所を分け、修繕依頼の実例と90日の進め方までまとめた全16ページの資料です。
資料を無料でダウンロードIT重説と書面電子化:似ているが別の確認項目
IT重説は、テレビ会議等を用いて重要事項説明を行う方法です。売買取引のIT重説は2021年3月から本格運用され、2022年5月の制度改正では書面の電子化も可能になりました。後者は、説明書等を電磁的方法で提供することへの相手方の意向確認と承諾が必要です。
案件ごとに残す運用記録
IT重説:宅建士の説明、映像・音声の確認、相手方が事前に書面を確認できる状態。
書面電子化:電磁的方法で受け取ることへの意向確認と承諾の記録。
共通:どの手順・様式・根拠資料で実施したかを案件単位で追える状態。
| 確認する観点 | IT重説 | 書面電子化 |
|---|---|---|
| 何をする方法か | テレビ会議等を用いて重要事項説明を行う | 説明書等を電磁的方法で提供する |
| 制度上の経緯 | 売買取引は2021年3月から本格運用 | 2022年5月の制度改正で可能になった |
| 相手方への確認 | 相手方が事前に書面を確認できる状態にする | 電磁的方法で受け取ることへの意向確認と承諾が必要 |
| 案件に残す記録 | 宅建士の説明、映像・音声の確認 | 意向確認と承諾の記録 |
詳細は国土交通省のIT重説・書面電子化の案内と実施マニュアルを基準にしてください。録画の有無や保存方法など、自社の運用判断が必要な事項は、個人情報保護と社内規程も併せて確認します。
重説・契約書の作成から締結までの日数を短くする進め方は、不動産売買の契約プロセスが遅い本当の原因で詳しく解説しています。
重説フローを更新する4つの質問
- 調査:誰が、どの一次資料を、いつ確認したかを案件で追えるか。
- 書面:雛形の更新日と根拠資料が対応しているか。
- 説明:対面・IT重説・書面電子化の手順を混同せず、必要な確認を残せるか。
- レビュー:担当者以外が、未確認項目と例外処理を確認できるか。
まとめ:法改正対応を案件フローに組み込む
重要事項説明の品質は、情報量よりも「最新資料を確認した証跡」と「例外を見逃さないレビュー」で決まります。まずは直近の案件を1件選び、調査・書面・説明・保管の各工程で根拠資料が残るかを点検してください。
法改正全体の確認には2026年の宅建業法・不動産関連法改正まとめ、オンライン説明の基本運用には不動産の電子契約の始め方、契約書まわりの効率化には不動産売買の契約が2週間前後かかるのはなぜか、免許の更新時期と費用の確認には宅建業者の免許更新・登録免許税 2026年の実務ガイドもあわせてご覧ください。
よくある質問
重要事項説明で水害ハザードマップはどこまで説明すればいいですか?
宅地建物取引業法施行規則では、水防法に基づき市町村が作成した水害ハザードマップについて、取引対象の宅地・建物の所在地を説明することが求められます。国土交通省は、洪水・雨水出水・高潮の水害ハザードマップを提示し、対象物件のおおむねの位置を示すこと、入手可能な最新の市町村資料を使うことを案内しています。土砂災害や津波は水害ハザードマップと混同せず、該当する法令上の制限を個別に確認してください。
省エネ性能ラベルは重要事項説明書に記載しないといけませんか?
国土交通省のFAQでは、省エネ性能ラベルを重要事項説明や契約書へ記載することは必ずしも必要ではないとされています。建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度にあるのは、表示に関する努力義務です。性能評価書やラベルがある場合も、重説の必須記載事項であるか、広告表示としての情報であるかを混同しないでください。制度の結論は、取引時点の法令・自治体資料・顧問の宅建士等に必ず確認してください。
IT重説と書面の電子化は何が違いますか?
IT重説はテレビ会議等を用いて重要事項説明を行う方法で、売買取引では2021年3月から本格運用されています。書面の電子化は2022年5月の制度改正で可能になったもので、説明書等を電磁的方法で提供することへの相手方の意向確認と承諾が必要です。似ていますが別の確認項目なので、どの手順・様式・根拠資料で実施したかを案件単位で追える状態にします。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。
運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。
代表者情報を読む →この記事の数値について
本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。
関連記事
CASE
実際の支援では、こう変わりました
人材紹介3ヶ月の伴走支援
サイトの文言変更を、担当者が一人で本番公開まで完了。
防災メーカー3ヶ月の伴走支援
見積書づくりで人が行うのは、粗利をどうするかの判断だけに。
外国人材の就職支援試作からの伴走支援
書類の回収・仕分けと履歴書づくりを、どこまで自動にし、どこを人が確認するかを決めて試作まで完了。