不動産会社のChatGPT活用方法|使える業務7つとプロンプト例、確認ルール
不動産会社のChatGPT活用の結論
ChatGPTは、判断を任せる道具ではなく、下書きや整理を助ける道具として使います。人が原本と照合できる業務から始め、入力してよい情報、必ず確認する情報、確認する人を先に決めておくことが、現場に定着させる近道です。
- 最初の3業務: 物件紹介文・反響メール・議事録の下書き
- 慣れたら広げる4業務: 査定書のコメント欄・役所調査メモの整理・ポータルへの入稿文・追客メールの文面案
- AIに任せるのは「文章にする」ところまで。金額・法令・掲載可否は人が判断する
- 使い始める前に、入力してよい情報と会社として使うアカウントを決める
不動産会社でAIを使うなら、まずは情報の整理や文案の下書きなど、人が最終確認できる業務から始めるのが現実的です。顧客や物件に関する判断、法令・価格・掲載内容の確定をAIに任せないことが前提になります。
ChatGPTを使える不動産業務:まず始めやすい3つ
物件紹介文の下書き:確認済みの物件情報だけを入力し、表現案を作る。
反響メールの下書き:会社の対応方針や案内項目をもとに、担当者が送信前に整える。
議事録・社内メモの要約:個人情報や機密情報を扱うルールを守りながら、次の対応を整理する。
| 業務 | AIに任せること | 人がやること |
|---|---|---|
| 物件紹介文の下書き | 表現案を作る | 確認済みの物件情報だけを入力する |
| 反響メールの下書き | 会社の対応方針や案内項目をもとに文案を作る | 担当者が送信前に整える |
| 議事録・社内メモの要約 | 内容を要約し、次の対応を整理する | 個人情報や機密情報を扱うルールを守る |
そのまま使えるプロンプト例
「AIに聞いてみて」と言われても、何をどう書けばよいかで手が止まります。下の3つは、上の3業務にそのまま対応した書き方です。共通するのは、役割・材料・条件・出力形式の4つを分けて書くことと、材料の中に確認済みの情報しか入れないことです。【 】の中は自社の情報に置き換えてください。
1. 物件紹介文の下書き
あなたは不動産仲介会社の広告担当です。 以下の物件情報だけを使って、ポータルサイト掲載用の紹介文を作ってください。 【物件情報】 ・種別: ・所在(町名まで): ・最寄り駅と徒歩分数: ・専有面積 / 間取り: ・築年 / 構造: ・設備で特筆すること: ・周辺環境で確認済みの事実: 【条件】 ・与えた情報に書かれていないことは書かない。推測で補わない ・「日当たり良好」「閑静」などの断定は、根拠となる情報がある場合のみ使う ・断定できない項目は【要確認】と書いて空欄にする 【出力】 ・250字程度の本文を3案。それぞれ訴求点を変える
最後の「書かれていないことは書かない」「断定できない項目は【要確認】」の2行が要です。これを入れないと、AIは足りない情報を自然な日本語で埋めてしまい、原本と照合する担当者がどこを確認すべきか分からなくなります。
2. 反響メールの返信案
あなたは不動産仲介会社の反響対応担当です。 以下の問い合わせに対する返信メールの下書きを作ってください。 【問い合わせ内容】(氏名・連絡先は削除済み) 【当社の対応方針】 ・内見の案内は原則○曜日〜○曜日 ・初期費用の概算は面談時に提示する ・在庫状況の確定回答は担当者が確認してから行う 【条件】 ・在庫の有無、価格、契約条件を断定しない ・確認が必要な事項は「確認のうえご連絡します」と書く ・署名は入れない 【出力】 ・件名と本文。300字以内
3. 議事録・社内メモの要約
以下の打ち合わせメモを、次の3項目に整理してください。 【メモ】(個人名は A様 / B社 に置換済み) 【出力形式】 1. 決まったこと(箇条書き) 2. 決まっていないこと・持ち帰り(担当と期限が分かるものは併記) 3. 次にやること(誰が・いつまでに) 【条件】 ・メモに書かれていない担当者名や期限を補わない ・不明な場合は「未定」と書く
3つとも、入力する前に氏名・連絡先・個別事情を落としてから貼るのが前提です。置換のルール(A様、B社のように記号化する)を社内で1つ決めておくと、担当者ごとの判断のばらつきがなくなります。
試してみて「思ったような文章にならない」と感じたときは、モデルを変える前に渡し方を見直します。切り分けの手順は「ChatGPTで精度が出ないときの原因と手当て」にまとめています。
慣れてきたら広げられる不動産固有の4業務
上の3業務が回り始めたら、同じ考え方で広げられる業務があります。いずれも「人が最終確認できる」「原本と照合できる」という条件は変わりません。
| 業務 | AIに任せること | 必ず人が確認すること |
|---|---|---|
| 査定書のコメント欄 | 算出済みの査定額と根拠データをもとに、売主向けの説明文を組み立てる | 査定額そのものと、参照した取引事例。金額の算出はAIに任せない |
| 役所調査メモの整理 | 窓口で取ったメモを、確認先ごとに並べ替えて抜けを一覧にする | 法令・制限の内容。調査結果の解釈はAIに書かせない |
| ポータルへの入稿文 | 確定済みの物件情報から、媒体ごとの文字数に合わせた文面を作る | 数値・条件・広告表示のルール。掲載前に原本と突き合わせる |
| 追客メールの文面案 | 状況別のテンプレートを複数案作る | 送信対象の抽出と送信操作。宛先の判断は人が行う |
共通しているのは、AIが担当するのは「文章にする」ところまでで、金額・法令・掲載可否といった判断は人が持つという線引きです。この線を業務ごとに引いておくと、担当者が迷わずに使えます。
不動産会社のためのAI活用チェックリスト25
ツールを選ぶ前に、いまの業務のどこに「もったいない」が残っているかを確かめる25項目。仲介・買取再販・賃貸管理の現場でそのまま使えます
資料を無料でダウンロード利用するアカウントを決めるときに確認すること
個人のアカウントで各自が勝手に使っている状態は、入力ルールを決めても守られているか確認できません。会社として使うアカウントを決める段階で、提供元の公式なドキュメントを見て、次の点を確認してください。サービスの仕様や規約は改定されるため、社内ルールに書き写すときは確認した日付を残しておくと、次に見直すときに判断しやすくなります。
- 入力した内容がモデルの学習に使われるかどうか。使われる場合、それを止める設定があるか
- その設定は利用者が個別に変えられるのか、管理者側でまとめて設定できるのか
- 入力・出力の履歴がどこにどれだけ保存され、削除できるか
- 管理者が、誰がいつ使ったかを確認できるか
- 退職・異動のときにアカウントを回収・停止できるか
- 個人アカウントでの業務利用を認めるのか、認めないのか
この6点が決まっていれば、あとは「どのプランを使うか」の話に落ちます。逆に、プランを先に決めても、上の6点が社内で共有されていなければ運用は揃いません。
入力してよい情報を決める
氏名、連絡先、本人確認書類、未公開の契約条件、売主・買主の個別事情などは、入力範囲を社内で明確にするまで扱わない方がよいです。物件情報でも、公開前の情報や正確性が求められる数値は、原本と照合できる担当者が確認します。社内ルールの作り方は、AI利用ルールの整え方を参考にしてください。
出典・一次情報
制度・統計は改定されます。最新の情報は公表元でご確認ください。
人が確認するポイント
出力をそのまま公開・送信しないこと。物件の所在地、面積、価格、取引条件、法令に関する説明、広告表示は、必ず原本と照合します。AIの出力が事実らしく見えても、正しいとは限りません。担当者、確認元、公開の最終判断者を記録する運用にします。
お客様がChatGPTで物件や会社を探すときに備えること
社内での活用とは別に、「ChatGPTで物件を探す」「売却の相談先をChatGPTに聞く」お客様も出てきています。ChatGPTの回答に自社の物件や会社を載せる確実な方法はありません。できるのは、AIが材料にする自社サイトの文章を正確に整えておくことです。
- 対応エリア、得意な物件種別(売買・賃貸・土地など)を、ページの文章として書く
- 売却・仲介の進め方、料金の考え方、担当者や実績を、問い合わせ前に読める形で載せる
- ChatGPTの検索機能は、OpenAIの検索用クローラー(OAI-SearchBot)が集めたページを表示に使います。robots.txtでこのクローラーを止めていないか確認する
いずれも、検索エンジン向けの基本対策と同じ作業です。AI検索に引用されやすい情報の書き方は、不動産会社のAIO対策とは?AI検索に引用される情報設計と始め方で詳しく整理しています。
小さく試して、運用へ広げる
一つの業務、少人数、短い期間で試し、修正が多かった箇所や判断に迷った箇所を記録します。その内容をプロンプトやチェックリストに反映してから対象業務を増やすと、使う人による品質差を抑えやすくなります。中小企業がAI活用を始める手順もあわせて確認してください。
よくある質問
不動産会社はChatGPTをどの業務から使い始めればいいですか?
人が最終確認できる業務から始めるのが現実的です。始めやすいのは、確認済みの物件情報だけを入力して表現案を作る物件紹介文の下書き、会社の対応方針や案内項目をもとに担当者が送信前に整える反響メールの下書き、個人情報や機密情報を扱うルールを守りながら次の対応を整理する議事録・社内メモの要約の3つです。
ChatGPTに顧客の氏名や連絡先を入力してもいいですか?
氏名、連絡先、本人確認書類、未公開の契約条件、売主・買主の個別事情などは、入力範囲を社内で明確にするまで扱わない方がよいです。物件情報でも、公開前の情報や正確性が求められる数値は、原本と照合できる担当者が確認します。
お客様がChatGPTで物件や不動産会社を探すようになったら、何をすればいいですか?
ChatGPTの回答に自社の物件や会社を載せる確実な方法はありません。できるのは、対応エリア、得意な物件種別、売却・仲介の進め方、料金の考え方、担当者や実績を、自社サイトの文章として正確に書いておくことです。AI検索は公開されている文章を材料にするため、検索エンジン向けの基本対策と同じ作業になります。
ChatGPTが作った物件紹介文はそのまま公開してよいですか?
そのまま公開・送信しないでください。物件の所在地、面積、価格、取引条件、法令に関する説明、広告表示は、必ず原本と照合します。AIの出力が事実らしく見えても正しいとは限らないため、担当者、確認元、公開の最終判断者を記録する運用にします。
不動産業務でChatGPTを安全に使いたい方へ
いまの業務の流れとデータの扱いを確認し、AIに任せる範囲と人が確認する範囲を一緒に整理します。60分の無料オンライン相談で、最初に試す1業務と、試す期間・確認する人を決めるところまで進めます。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。
運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI自走プラン(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。
代表者情報を読む →この記事の数値について
本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。
CASE
実際の支援では、こう変わりました
人材紹介3ヶ月の伴走支援
サイトの文言変更を、担当者が一人で本番公開まで完了。
広告・マーケティング3ヶ月の伴走支援
見積書づくりで人が行うのは、粗利をどうするかの判断だけに。
外国人材の就職支援試作からの伴走支援
書類の回収・仕分けと履歴書づくりを、どこまで自動にし、どこを人が確認するかを決めて試作まで完了。