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不動産

不動産仲介の利益率が低い原因を構造から見直す

売上が伸びても利益が残らないなら、コスト構造を疑うべき

8分で読める

この記事は不動産会社の業務改善 完全ガイドの一部です。全体像を知りたい方はまず完全ガイドをご覧ください。

この記事のポイント

仲介会社の営業利益率が5〜10%に留まるのは、広告費・人件費・事務コストの3つが構造的に利益を食っているから。月次P/Lの3行を確認するだけで、どこから手をつけるべきかが見えてくる。

「売上は去年より伸びているのに、なぜか手元にお金が残らない」—仲介会社の経営者から、この相談を受けることが少なくない。売上が1億円を超えていても、営業利益が500万円に満たない会社は珍しくない。問題は売上ではなくコスト構造にある。P/Lを3つの視点で見直すだけで、改善の糸口が見えてくる。

仲介業の営業利益率、御社は何%か

業界平均の利益率データ—5〜10%の現実

中小不動産仲介会社の営業利益率は、おおむね5〜10%。売上1億円なら500万〜1,000万円が手元に残る計算だ。大手仲介会社は10〜15%に達するところもあるが、中小がそこに届かないのには理由がある。規模の経済が効きにくい構造だからだ。

仲介手数料は物件価格×3%+6万円(税別)が上限。売上を伸ばすには「取引件数を増やす」か「高額物件を扱う」しかない。しかし件数を増やすには営業人員が必要で、人件費が上がる。高額物件はそう簡単に増やせない。構造的に、売上を伸ばすほどコストも膨らむ。

「売上は上がっているのに手元に残らない」構造

典型的なパターンはこうだ。売上が前年比120%に伸びた。ところが広告費も130%に増えていて、新人営業を2人採用したから人件費も上がった。結果、営業利益は前年とほぼ同じ。経営者としては頑張っているのに報われない感覚になる。

この構造を変えるには、売上を伸ばす努力と同時に「利益を食っているコスト」を特定して削る必要がある。

利益を食う3大コストの内訳

広告費:売上の15%超えていないか

仲介会社にとって最大の変動費は広告費だ。SUUMO・HOME'S・at homeなどのポータルサイト掲載料、リスティング広告、チラシ印刷。これらを合算すると売上の10〜20%を占めているケースが多い。15%を超えているなら、まずここから見直すべきだ。

問題は「どの媒体から何件の反響が来て、何件成約したか」を把握していない会社が多いこと。媒体別のROIが見えていないまま、前年踏襲で予算を組んでいるなら、無駄が潜んでいる可能性が高い。

人件費:営業1人あたり粗利で見る

営業マンの人件費を「1人あたり粗利」で評価しているだろうか。年間の営業1人あたり粗利が800万円を下回っている場合、人件費率が高すぎる可能性がある。営業マン1人の総コスト(給与+社保+交通費+教育費)は400万〜600万円。粗利が800万円なら、人件費率は50〜75%になる。

人件費を下げる方法は「人を減らす」だけではない。営業マンの生産性を上げる—つまり1人あたりの成約件数を増やす—ことで、人件費率は改善できる。

事務コスト:物件入力・書類作成に月何時間かかっているか

見落としがちなのが事務コストだ。物件情報のポータルサイト入力、契約書類の作成、追客メールの送信、社内報告書の作成。これらは直接P/Lの1行に出てこないが、営業マンの時間を確実に食っている。

営業マン1人が事務作業に月40時間費やしているなら、時給換算で月10万円相当のコストだ。5人の営業チームなら月50万円、年間600万円。これが「見えないコスト」として利益を圧迫している。

仲介会社の利益率診断表

コスト項目売上比率目安危険水域自社の数値
広告宣伝費10〜15%15%超__%
人件費(営業)30〜40%45%超__%
事務所賃料5〜8%10%超__%
システム・ツール費2〜5%7%超__%
その他経費(通信・交通・雑費)5〜8%10%超__%

利益率を5ポイント改善するための優先順位

①広告のROI管理を「媒体別」にする

最も手をつけやすく、効果が出やすいのがここだ。やることはシンプルで、媒体ごとに「反響数」「反響単価」「成約数」「成約単価」を月次で記録するだけ。スプレッドシート1枚で十分だ。

これをやると「SUUMO経由の成約単価は5万円だが、リスティング広告は15万円」といった差が見えてくる。費用対効果の低い媒体を縮小し、高い媒体に予算を寄せるだけで、広告費率を2〜3ポイント下げられるケースは珍しくない。

②営業事務の工数を週5時間削る

営業マンが事務作業に費やしている時間を週5時間削れば、月20時間の余裕が生まれる。この時間を営業活動に充てれば、1人あたりの成約件数が上がり、人件費率が改善する。

具体的には、物件入力の一括化、追客メールのテンプレート化、契約書類の自動生成あたりから始めるのが現実的だ。大きなシステム投資は不要で、既存のツールの使い方を変えるだけで対応できることが多い。

③両手取引率を意識した媒介戦略

仲介手数料は片手なら3%、両手なら6%。同じ1件の取引でも、両手か片手かで売上が倍になる。全取引を両手にするのは現実的ではないが、専任媒介の獲得比率を上げることで両手取引の機会は増やせる。

専任媒介を増やすには、売主との信頼関係がカギになる。査定時の丁寧な説明、売却活動の定期レポート、相場情報の提供—こうした「売主フォロー」を仕組み化しておくことで、専任を獲得しやすくなる。

来週やること:月次P/Lの3行だけ確認する

利益率の改善は、まず現状を知ることから始まる。来週、以下の3つの数字だけ確認してほしい。

1. 広告宣伝費÷売上=何%か

15%を超えていたら、媒体別の内訳を出す。どの媒体に月いくら払っているかをリストにするだけでいい。

2. 営業1人あたりの年間粗利はいくらか

粗利÷営業人数。800万円を下回っていたら、生産性向上の余地がある。

3. 営業マンが事務作業に使っている時間は週何時間か

営業マン本人に聞くのが一番早い。「物件入力・書類作成・メール返信に1日何時間使ってる?」と聞くだけでいい。

この3つの数字を把握するだけで、利益率改善のどこから手をつけるべきかが見えてくる。大掛かりな改革は必要ない。まずは現状の「見える化」から始めよう。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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