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業務改善

業務委託5人を超えたら「今月の利益いくら?」に答えられなくなった

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この記事のポイント

業務委託が5人を超えると、案件管理・収支管理が「なんとなく」では回らなくなる。壊れるポイント5つと、スプレッドシート1枚から始められる整理法を解説。

正社員1〜2人、業務委託7〜8人——こういう体制で回している会社が増えている。

営業支援、コンサル、制作代行、マーケ支援。少人数で立ち上げて、案件が増えたら業務委託で人を足す。合理的なやり方だと思う。

ただ、支援先やまわりの経営者と話していると、5人を超えたあたりから同じことが起きている。「今月この人にいくら払うんだっけ」「この案件、結局利益出てるのか」が曖昧になってくる。

今日は、業務委託を多く活用する会社で起きがちな5つの「壊れるポイント」を、支援の現場で見てきたことをベースに書いてみる。

壊れるポイント①:案件の切れ目で人が浮く

これが一番キツいと、ある営業支援会社の代表が話していた。

案件が終了して、そこに入ってくれていた業務委託の方に「次の案件、今はないです」と伝える。「案件が出たら声かけますね」と言うしかないんだけど、相手も生活がある。待ってくれるとは限らない。実際、別の案件を受けてしまって、いざこちらに案件が来たときにはもうアサインできない——ということが起きる。

営業代行や支援系の会社は、案件にシーズンの波がある。1〜3月は動くけど4月は止まる、みたいなことがザラにある。この波と業務委託メンバーの稼働をどう合わせるかが、最初にぶつかる壁だと思う。

壊れるポイント②:売上と外注費のバランスが「感覚値」

たとえば、ある案件の月額売上が30万円。業務委託メンバーへの支払いが24万円。残り6万円。

……これ、利益出てるか?

代表自身の稼働も月に20時間くらい入っている。それを時給換算すると、完全に赤字。でも「関係性を作るために最初は仕方ない」と思ってやっている。その判断自体は間違っていないかもしれない。でも、どの案件が赤でどの案件が黒なのかが見えていない状態で判断しているのが問題。

「初月は売上の50%以上を業務委託に支払う」みたいなルールを持っている会社もあるけど、それも感覚値。案件の難易度も稼働量も違うのに、一律のルールで回すのは無理がある。

報酬を上げたい気持ちはある。でも案件の売上が上がらないと上げられない。「来月、案件が増えたら上げますね」と伝えるけど、増えるかどうかは未確定。この不確実性の中で報酬交渉をするのは、お互いにストレスが大きい。

壊れるポイント③:時給型と成果型が混在して集計が崩壊する

業務委託の報酬体系がバラバラなのは、ある意味当然。テレアポ担当は時給制。右腕的に動いてくれている人は月額固定。案件ベースで入る人は案件単位。

これを月末にまとめて「今月の外注費はいくらだったか」を出そうとすると、地味に時間がかかる。スプレッドシートで管理していても、入力が遅れたり、案件の途中で条件が変わったりして、数字が合わない。

freee業務委託管理のようなSaaSを使えば発注・請求・支払は一元化できる。ただ、「この案件に何時間使って、粗利はいくらだったか」まではツールだけでは出ない。結局、自分で案件ごとの収支を整理する作業が残る。

壊れるポイント④:契約形態のミスマッチが静かに広がる

業務委託で入っている人から「社会保険に入りたいので雇用契約にしてもらえませんか」と相談される。これ、けっこうある話。

気持ちはわかる。業務委託だと社保がない。確定申告もある。安定を求める気持ちは当然。でも、発注側としては雇用契約にすると社会保険料の負担が発生するし、案件がなくなっても簡単に契約を終了できない。

逆に、正社員的に動いてくれている人が「業務委託の方が自由度が高いから切り替えたい」というケースもある。ただ、そうすると福利厚生がなくなることへの不安もあって、なかなか踏み切れない。

この「雇用と業務委託の間」にいる人が増えてくると、一人ひとりの条件が違いすぎて、管理コストが跳ね上がる。

壊れるポイント⑤:育成コストが回収できない

「業務委託で人を入れれば、その分売上が増える」——多くの経営者が最初にそう考える。

でも、実際はそうならない。特にテレアポ代行のような業務では、商材理解・トークスクリプトの習得・ツールの使い方、最低でも2〜3週間の立ち上げ期間が必要。その間は売上ゼロなのに、教育コスト(時間)はかかる。

立ち上がった頃に「やっぱり合わないので辞めます」と言われると、育成コストが丸ごと消える。これが2回続くと、もう自分でやった方が早いという判断になる。でも自分でやると、時給仕事から抜け出せない。

このジレンマは、業務委託を活用する小規模事業者のほぼ全員がぶつかるところだと思う。

なぜ「なんとなく」で回ってしまうのか

創業初期は案件も人も少ない。案件2つ、業務委託3人。これなら頭の中で全部管理できる。

だから仕組み化の優先度が上がらない。「今月はいくら払って、いくら残った」がざっくりわかっていれば十分。スプレッドシートすら作らない。

ところが5人を超えると、急に情報量が増える。案件×人×報酬体系×稼働時間の組み合わせが爆発する。でもその時点で「ちょっと待って、一回整理しよう」とはならない。目の前の案件をこなすのに忙しいから。

気づいたら「先月の利益っていくらだったんだろう」が答えられない状態になっている。

来週からできる3つの整理

大げさな仕組みはいらない。まずはこの3つだけ。

ステップ1:案件×人×月の一覧表をつくる(15分)

スプレッドシートでいい。縦軸に案件名、横軸に業務委託メンバーの名前。セルに「月額○万円」or「時給○円×○時間」を入れる。これだけで「誰がどの案件にいくらで入っているか」が一覧になる。

ステップ2:案件ごとの粗利を出す

売上 − 外注費 − 自分の稼働コスト(時給換算)。自分の時給は仮で5,000円とか置けばいい。完璧な数字じゃなくていいから、赤字案件と黒字案件を色分けする。

ステップ3:契約形態と報酬ルールを1枚にまとめる

メンバーごとに「契約形態(業務委託/雇用)」「報酬体系(時給/月額/案件)」「現在の報酬額」「次回見直し時期」を一覧にする。口頭で握っている条件を、一回ちゃんと書き出す。

効果をどう測るか

指標BeforeAfter(目標)
案件ごとの粗利率不明全案件で把握
月末の外注費確定にかかる時間半日〜1日30分以内
待機中のメンバー数把握していないリアルタイムで把握

数字が見えるようになると、「この案件は単価を上げないと続けられない」「この人は来月アサインする案件がないから、今のうちに別の案件を探す」という判断が早くなる。

最後に

あなたの会社の業務委託メンバー、今月の稼働時間と請求額、即答できるだろうか。

「だいたいこれくらい」で答えられるなら、まだ大丈夫。でも「ちょっと確認します」が出始めたら、それは仕組み化のサイン。

大きなシステムを入れる必要はない。スプレッドシート1枚でいいから、案件×人×お金の一覧を作る。それだけで景色が変わる。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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