不動産会社の内製化と外注、どっちが得?業務改善の判断基準と費用の比べ方
結論:不動産会社の業務改善は内製化と外注のどちらが得か
不動産会社の業務改善で外注と内製化のどちらが得かは、期限に間に合う方法だけを残し、同じ業務範囲の12か月総額で比べて決める。3か月以内に成果が要るか、業務が3部署以上にまたがるなら外注を優先する。6か月以上かけられ、担当者が月20時間以上使え、2部署までで完結するなら内製化を検討する。その中間は、構築を外注して運用を社内へ移すハイブリッド型が候補になる。ハイブリッド型は3か月超〜6か月未満で月10時間超を使える場合、または6か月以上で月10時間超〜20時間未満の場合が目安だ。ここに示す期間・時間・部署数は比較を始めるための仮の線引きであり、自社の工数記録と見積もりで置き直す。
- 期限3か月以内:外注を優先し、納品範囲と定着支援の期間を見積書で決める
- 3か月超〜6か月未満:担当者が改善と運用に月10時間超を使えればハイブリッド型、使えなければ外注を検討する
- 6か月以上かけられる場合、月10時間以下は外注、月10時間超〜20時間未満はハイブリッド型。月20時間以上かつ2部署までで完結する業務は内製化を検討する
- 3部署以上にまたがる業務は初期設計の外注を優先する。担当者が月10時間以下なら運用・保守も外注に残し、月10時間超なら運用の社内移管を検討する
- 外注は初期の設計・構築費と月額の保守・改善費を分けて見積もる。基幹システム連携やAPI開発は別に範囲と費用を確認する
- 内製化は無料ではない。人件費・学習時間・属人化・機会損失という隠れコストがある
- 内製化の人件費は給与按分だけでも発生する。例:月給30万円・月160時間の担当者が月20時間使うと12か月で45万円(事業主負担・学習・保守の時間は含まない)
- 外注は初期費用+月額×12か月+追加開発費に、社内担当者の要件説明・打ち合わせ・研修の時間も加える。例:初期20万円・月額3万円なら外注費だけで12か月56万円(社内の時間は含まない)。いずれも仮の数字で相場ではない
「業務改善をやりたいけど、外注するか自分たちでやるか決められない」
不動産会社の社長や管理部門の方から、この相談をよく受ける。従業員規模だけで答えは決まらない。
判断は、成果が必要な期限・担当者が改善と運用に使える月あたりの時間・業務がまたがる部署数の3つで行う。
不動産会社なら、反響管理と追客のように営業と事務で完結する業務は、担当者が改善と運用に月20時間以上使え、成果まで6か月以上かけられるなら内製化しやすい。物件入力からポータル連携・契約書作成まで3部署以上にまたがる業務は初期設計の外注を優先する。外注の見積もりでは、設計・構築と保守・運用、業務フローの見直しやツール導入支援を分けて確認する。初期費用だけ、または月額だけでは総額を比べられない。
不動産会社の内製化と外注はどっちが得か:期限・改善時間・部署数で決める
不動産会社の業務改善で内製化と外注のどちらが得かは、2段階で決める。まず、成果が必要な期限・担当者が改善と運用に使える月あたりの時間・業務がまたがる部署数で、実行できる方法に絞る。次に、残った方法を同じ業務範囲の12か月総額で比べる。外注は初期費用・月額・追加開発費に社内担当者の打ち合わせ時間を加え、内製化は人件費・学習・保守の時間を加える。成果の期限が3か月以内か、業務が3部署以上にまたがるなら、総額を比べる前に初期設計の外注を優先する。
軸1: 成果が必要な期限
- 3か月以内:社内の体制にかかわらず、外注を優先する。
- 3か月超〜6か月未満:担当者が改善と運用に月10時間超を使えるなら、構築を外注して運用を社内へ移すハイブリッド型を検討する。確保できなければ外注を検討する。
- 6か月以上:月あたりに確保できる時間と部署数で、外注・ハイブリッド型・内製化から選ぶ。
期間は仮の目安です。自社の業務と見積もりに合わせて置き直してください。
軸2: 改善に使える時間(体制)
成果まで6か月以上かけられる場合は、担当者が改善と運用に毎月使える時間で選ぶ。月10時間以下なら外注、月10時間超〜20時間未満なら構築を外注して運用を社内へ移すハイブリッド型、月20時間以上かつ業務が2部署までで完結するなら内製化を検討する。3部署以上にまたがる業務は時間にかかわらず初期設計の外注を優先する。1人で運用する場合は引き継ぎ資料と代替担当を用意する。月10時間・20時間は、自社の記録と見積もりに合わせて置き直す仮の目安だ。
軸3: 業務がまたがる部署の数
反響管理と追客のように営業と事務の2部署までで完結する業務は、期限と担当者の時間に応じて外注・ハイブリッド型・内製化を選ぶ。物件情報の入力からポータル連携・追客・契約書作成まで3部署以上にまたがる業務は、期限や担当者の時間にかかわらず初期設計の外注を優先する。担当者が月10時間超を確保できる場合だけ運用の社内移管を検討し、月10時間以下なら運用・保守も外注に残す。3部署という線引きも、自社の業務フローに合わせて置き直す仮の目安だ。
候補を同じ12か月の総額で比べる
不動産会社の業務改善で外注・ハイブリッド型・内製化の費用を比べるときは、成果が必要な期限に間に合う方法だけを候補に残し、同じ業務範囲の12か月総額を予算上限と比べる。外注の追加開発費と、内製化の会社負担の人件費・学習・保守費も含める。ハイブリッド型の12か月総額は、外注の初期費用と引き継ぎまでの月額に、社内担当者の12か月分の人件費を足して計算する。仮に初期20万円、月額3万円の外部支援を3か月、担当者(月給30万円・月160時間勤務、時給換算1,875円)が改善と運用に月15時間を12か月使うと、20万円+9万円+33万7,500円で合計62万7,500円になる。引き継ぎを2か月に縮めれば59万7,500円になる。いずれも仮の数字で、引き継ぎ期間と社内の時間は見積もりで確認する。
外注と内製化でよくある失敗パターン
不動産会社が業務改善を外注したときと内製化したときに起きやすい失敗も確認しておく。
外注で失敗するケース
- 「作って終わり」の外注先を選んでしまう。システムやシートを納品されたけど、現場が使いこなせず3ヶ月で元のやり方に戻った
- 業務の構造を整理しないまま発注する。「とにかくDXしたい」で発注して、現場の実態と合わない仕組みができてしまった
- 費用対効果を測っていない。50万円かけて作って月2時間を削減しても、時給1,875円(月給30万円・月160時間)で換算すると効果は月3,750円。単純回収に約11年かかる
業務の構造を整理しないまま外注に発注する失敗は、渡す側のデータが揃っていないことが原因になりやすい。何を先に型にしておくかは、オンライン秘書に頼む前に整えるべき3つのデータの型にまとめた。
内製化で失敗するケース
- 「できる人」に依存する。事務のAさんがExcelに詳しいからとお願いしたら、Aさんが退職して誰もメンテできなくなった
- 本業の時間を食う。営業担当がスプレッドシートの整備に毎週3時間使っていて、商談件数が減っている
- 「60点」で止まる。自分たちで始めたものの、専門知識がないため中途半端な状態で運用が続いている
不動産会社の業務改善を外注する費用の比べ方
不動産会社の業務改善を外注する費用は、対象業務と連携範囲で大きく変わるため、一律の金額目安は示せない。初期の設計・構築費+月額の保守・改善費×契約月数+追加開発費を、同じ12か月の総額で比べる。次の表の範囲を仕様書にそろえて複数社から見積もる。
| 業務内容 | 初期費用に含める範囲 | 月額保守で確認する範囲 |
|---|---|---|
| スプレッドシート再設計+ダッシュボード | 現状整理、シート設計、画面作成、移行 | 数値修正、権限管理、変更依頼の回数 |
| 反響管理+追客フローの構築 | 入力項目、通知、担当者の割り当て、研修 | 通知ルール変更、障害対応、問い合わせ窓口 |
| 複数業務の横断的な仕組み化 | 部署間の業務整理、連携、試験、引き継ぎ | 部署ごとの変更、運用会議、改善作業 |
| 基幹システム連携・API開発 | API仕様、認証、データ移行、結合試験 | 接続の監視、障害対応、API変更への追随 |
伴走型を選ぶなら、構築後に現場が自走できるまで何か月支援するか、月額に研修や改修が何回含まれるかを見積書に書いてもらう。総額は「初期費用+月額費用×契約月数+追加開発費」で計算し、納品物と運用の引き継ぎ条件も比較する。
内製化の「隠れコスト」を見落とさない
内製化には担当者の人件費・学習時間・引き継ぎの負担がかかる。外注見積もりと比べるときは、営業機会への影響も確かめる。
- 人件費。仮に月給30万円・月160時間勤務のスタッフが業務改善に月20時間使えば、給与の時間按分だけで月3万7,500円。外注見積もりと同じ期間で比べる
- 学習時間。関数・ダッシュボード設計・ツール選定をゼロから学ぶ場合、学習時間も別にかかる。担当者の学習時間を人件費に含めて見積もる
- 属人化リスク。「作った人」が辞めたら、仕組みごと消える。引き継ぎ資料がなければ、ゼロからやり直し
- 機会損失。営業担当が改善に時間を使う場合、その間に対応できない商談がないか確かめる。売上への影響は自社の商談数と成約率で計算する
月給30万円・月160時間勤務の担当者が業務改善に月20時間使う場合、給与の時間按分だけで月3万7,500円、12か月で45万円になる。社会保険料の事業主負担や学習・保守の時間を含まない下限の計算例だ。外注の仮見積もりが初期20万円・月額保守3万円・追加開発なしなら、12か月総額は56万円になる。この56万円も相場ではなく計算例であり、実際の金額は同じ業務範囲の見積もりで確かめる。比較するときは内製化の45万円に会社負担分と学習・保守の人件費を加え、外注の56万円にも社内担当者が要件説明・打ち合わせ・研修に使う時間を時給換算で加えて、同じ12か月で並べる。差が小さければ期限と属人化リスクも比べる。
外注向き・内製化向きのチェックリスト
次の項目で、担当者の時間・業務の範囲・期限を確かめる。数を数えて決めず、当てはまった項目を判断の材料にする。
外注向きの会社
- ☐ 業務改善に割ける社内リソースが月10時間以下
- ☐ 改善したい業務が3部署以上にまたがっている
- ☐ スプレッドシートやExcelに詳しい社員がいない
- ☐ 過去に内製で改善を試みたが、途中で止まった経験がある
- ☐ 3ヶ月以内に成果を出したい
内製化向きの会社
- ☐ ITに強い事務スタッフがいて、月20時間以上を改善に充てられる
- ☐ 改善したい業務が2部署までで完結している
- ☐ 予算を初期投資に回すより、人件費として吸収したい
- ☐ 半年〜1年かけてじっくり進めて問題ない
- ☐ 社内にナレッジを溜めることを重視している
外注向き・内製化向きのチェック項目は、当てはまる数だけで決めない。期限が3か月以内、または業務が3部署以上なら初期設計の外注を優先する。社内の改善時間が月10時間以下なら、初期設計に加えて運用・保守も外注に残す。6か月以上かけられ、月20時間以上使え、2部署までで完結するなら内製化を検討する。これらは自社の記録で置き直す仮の線引きだ。表計算に詳しい人がいない、過去に内製で止まった場合は外部の設計支援を厚くし、社内に知識を残したい場合は運用の引き継ぎを契約に含める。予算を人件費に回す場合も、学習・保守と会社負担の人件費を含めて比べる。
ハイブリッド型:外注で作り、運用を内製化する
ハイブリッド型は、業務改善の骨組み(業務整理・シートや画面の設計)を外注で作り、伴走期間を経て運用を社内に移す進め方だ。構築と運用の担当を分けるので、納品物と引き継ぎの条件を初めに決める。
ハイブリッド型の進め方の一例として、1か月目に外注先が骨組みを作り、2〜3か月目に現場へ運用を移す。3か月で引き継ぐ例でも、効果を測れるのは4か月目以降になる。成果の期限が3か月以内なら初期設計と運用を外注して期限を満たせるか確認し、3か月を超えて余裕がある場合に運用の社内移管を検討する。
- Month 1: 外注で業務の構造を整理し、シートやダッシュボードの骨組みを作る
- Month 2: 現場スタッフと一緒に運用しながら、微調整を重ねる
- Month 3: 運用が定着したら外部支援を終了。以降は社内で回す
初期構築は外部に任せて、運用は自分たちでやる。こうすれば、外注の「作って終わり」リスクも、内製化の「属人化」リスクも減らせる。
外注先を選ぶときの3つのポイント
外注先を選ぶときは、業務の理解、伴走期間、自社で運用を続けられる設計の3点を確認する。
- 1. 業務の構造化から入ってくれるか。いきなりツールの話をする外注先は要注意。まず「どの業務を、どう整理するか」を一緒に考えてくれる相手を選ぶ
- 2. 伴走期間があるか。納品して終わりではなく、現場に定着するまで一緒に走ってくれるか。必要な伴走期間と研修・改修の回数を見積書で決める
- 3. 自走できる設計になっているか。外注先がいなくなっても、社内で運用・改善を続けられる仕組みになっているか。ブラックボックスなシステムを作る外注先は避ける
まとめ
不動産会社の業務改善は、期限・担当者が使える時間・部署数で実行できる方法に絞ってから、同じ業務範囲の12か月総額を比べる。
- 外注:3か月以内に成果が必要な場合、または業務が3部署以上にまたがる場合に優先する。
- 内製化:6か月以上かけられ、担当者が月20時間以上使え、2部署までで完結する場合に検討する。
- ハイブリッド型:上記の中間で、構築を外注し運用を社内へ移せる場合に検討する。
費用には、外注時の社内打ち合わせ、内製化時の学習・保守と会社負担の人件費も含める。
迷ったら、まずは今の業務フローを書き出してみることから始めるといい。どこに時間がかかっているのか、誰がどの作業をしているのか。これが見えるだけで、外注すべき部分と内製化で回せる部分が自然と分かれてくる。
業務フローの書き出し方がわからない、という方は気軽に相談してほしい。一緒に整理するところから始められる。
よくある質問
Q. 不動産会社の業務改善の外注費用はどう見積もって比べればよいですか?
業務の範囲で見積もりは変わる。スプレッドシートの再設計か、複数部署の仕組み化か、基幹システム連携まで含むかを仕様書に書き、初期の設計・構築費、月額の保守・改善費、追加開発費を分けて複数社から見積もる。12か月の総額で比較すると、初期費用だけで選ぶ失敗を避けやすい。
Q. 不動産会社が業務改善を内製化するときの注意点は?
内製化は無料ではない。担当者の人件費と学習時間がかかるうえに、作った人が辞めると仕組みごと止まる属人化のリスクもある。成果まで6か月以上かけられ、改善に月20時間以上を割ける担当者がいて、対象の業務が2部署までで完結していると内製化しやすい。引き継ぎ資料を残し、複数人で運用できる体制を整えておく。
Q. 社員数が少ない不動産会社でも外注したほうがいいですか?
社員数だけでは判断できない。ポイントは「改善したい業務に詳しい人が社内にいるか」「その人が改善に割ける時間があるか」の2点。社員5名でも全員が営業で手が空かないなら外注のほうが早い。逆に6か月以上かけられ、ITに強い事務スタッフが改善と運用に月20時間以上を確保でき、改善したい業務が2部署までで完結しているなら内製化を検討できる。
Q. 外注した業務改善が社内に定着しないリスクはありますか?
ある。外注先が「作って納品して終わり」のスタイルだと、現場が使いこなせずに元のやり方へ戻るリスクがある。対策は、現場スタッフと一緒に運用しながら定着させる伴走型を選び、伴走期間(例:3か月程度)と月額に含まれる研修・改修の回数を見積書に書いてもらうこと。納品物だけでなく「運用の型」まで含めて依頼するのがポイント。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。
運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI自走プラン(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。
代表者情報を読む →この記事の数値について
本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。
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