外注先の納期遅延、毎回「電話で催促」していませんか?—製造業の仕入れ・外注管理を仕組み化する方法
この記事のポイント
仕入れ・外注管理の属人化は、納期遅延・コスト増・品質リスクに直結する。スプレッドシート1枚で「見える化」するだけで、状況は大きく変わる。
外注先の納期が遅れた。担当者が電話で催促して「来週には出します」と言われて安心する。でも来週、また同じことが起きる。
仕入れ先の選定も「昔からの付き合い」で決まっている。価格比較をしたことがない。そもそも、他にどんな選択肢があるのか調べたこともない。
属人化の極み。担当者が休んだら、誰も状況が分からない。「あの部品、今どうなってる?」と聞いても「担当の山田さんに聞かないと...」で止まる。
よくある問題パターン
製造業の外注管理で見かける問題は、だいたいこの5つに集約される。
- 外注先との連絡が電話・FAX中心で記録が残らない
- 発注書を出したかどうかが担当者の記憶頼み
- 納期回答をもらっていない(「たぶん間に合う」で進んでいる)
- 同じ部品を3社に見積もりを取ったことがない
- 外注先の品質問題が「なんとなく」で許容されている
どれも「うちもそうだ」と思い当たるものがあるはず。問題は、これらが全部つながっていること。記録がないから比較できない。比較できないから改善できない。改善できないから同じトラブルが繰り返される。
仕組み化する3つの管理
外注管理を「電話と記憶」から脱却するために、まず3つの管理を整える。
1. 発注管理—何を・いつ・いくらで・どこに発注したか
当たり前のことだが、発注の記録が一元化されていない会社は多い。担当者のメールボックスに発注書のPDFが散らばっている。FAXの送信履歴が唯一の記録。
発注したら、1行スプレッドシートに入力する。それだけで「今、何がどこに発注されているか」が誰でも見える状態になる。
2. 納期管理—納期回答・進捗確認・遅延アラート
発注したら、必ず納期回答をもらう。「たぶん間に合う」は回答ではない。日付を書面でもらう。
納期の3日前に自動でアラートが飛ぶ仕組みを入れれば、「遅れてから催促する」のではなく「遅れる前に確認する」に変わる。
3. 品質管理—外注先ごとの不良率・納期遵守率
受入検査の結果を記録する。合格・不良の数を入力するだけでいい。3ヶ月も溜めれば、外注先ごとの不良率が見えてくる。
「A社は安いけど不良率3%」「B社は少し高いけど不良率0.2%」。こういう判断材料が数字で出てくるようになる。
スプレッドシートで作る外注管理表
具体的にどんな列を作ればいいか。最低限これだけあれば回る。
| 列 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 発注日 | いつ発注したか | 2026/3/15 |
| 外注先 | どこに出したか | A社 |
| 品名・型番 | 何を発注したか | ブラケット BK-001 |
| 数量 | いくつ | 500個 |
| 単価 | いくらで | @120円 |
| 納期回答 | いつまでにもらえるか | 2026/3/25 |
| 実績納品日 | 実際にいつ届いたか | 2026/3/27 |
| 遅延日数 | 何日遅れたか | 2日 |
| 受入検査結果 | 品質は大丈夫だったか | 合格/不良3個 |
大事なのは「完璧な管理表」を作ろうとしないこと。まずこの9列で始めて、運用しながら必要な列を足していけばいい。
外注先の「成績表」を作る
発注管理表にデータが溜まってくると、外注先ごとの「成績」が見えるようになる。
- 納期遵守率—納期通りに届いた割合。目標は95%以上
- 受入不良率—不良品の割合。目標は1%以下
- 対応スピード—見積もり依頼から回答までの日数
半年に1回、この数字を見ながら外注先と話し合う。「御社の納期遵守率は87%で、ここ3ヶ月で下がっています」と言えるようになる。感覚ではなくデータで会話できる。
外注先にとっても、具体的な数字で指摘されたほうが改善しやすい。「最近遅いよね」と言われるよりも「遅延率が13%あります」と言われたほうが動ける。
発注の「見積もり比較」を仕組みにする
もう一つ、コスト面で効果が大きいのが見積もり比較の仕組み化。
- 新規部品は最低3社に見積もりを取るルールを作る
- 既存部品も年1回は相見積もりを取る
- 比較表をスプレッドシートに残す—次回の発注判断に使える
「昔からの付き合い」で発注先を決めること自体は悪くない。ただ、比較をした上で「やっぱりA社がいい」と判断するのと、比較せずに「いつもA社だから」で決めるのは全然違う。
相見積もりの記録を残しておけば、「3年前にB社に見積もり取ったけど、A社より15%高かった」という情報が会社の資産になる。担当者が変わっても引き継げる。
来週からできること
いきなり全部やろうとしなくていい。まずこの3つから。
- 1. 外注先リストを1枚にまとめる—社名・主な発注品・担当者・連絡先。これが意外とどこにもまとまっていない
- 2. 今月の発注分から記録を始める—発注日・納期回答・実績納品日。過去分は追わなくていい、今月からでいい
- 3. 3ヶ月後に集計する—外注先ごとの納期遵守率を出す。数字が出れば、次のアクションが見える
まとめ
外注管理を「電話と記憶」から「シートと数字」に変えるだけで、納期遅延の予防、コスト削減、品質向上の3つが同時に動き出す。
高価なシステムは要らない。スプレッドシート1枚と、記録する習慣だけ。それだけで、外注先との関係も、社内の情報共有も、大きく変わる。
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SalesDockでは、製造業の外注管理の仕組みづくりから、スプレッドシートの設計、運用ルールの策定まで一気通貫で支援しています。「うちの外注管理、どこから手をつければいいか分からない」という方は、お気軽にご相談ください。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。
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