3分で診断結果がその場で分かる

20問に答えるだけ。御社の課題と優先順位を自動判定します

無料で診断
SalesDock ロゴSalesDock
製造業

製造業の原価管理をExcelで始める方法—材料費・労務費・経費を見える化するテンプレート付き

「原価がよくわからない」から脱却する、現場で使えるExcelテンプレートの作り方

8分で読める

この記事は製造業の業務改善 完全ガイドの一部です。全体像を知りたい方はまず完全ガイドをご覧ください。

この記事のポイント

原価管理は「材料費・労務費・経費」の3要素をExcelで整理するところから始められる。高額なシステムは不要。テンプレートの列構成と自動計算式を整えれば、月次で原価率の推移が見えるようになり、利益改善のアクションが打てる。

「うちは原価管理をやっていない」—そう言う製造業の経営者は少なくない。正確に言えば、やっていないのではなく「見える形になっていない」。材料を仕入れて、人を動かして、電気を使って、モノを作っている。原価はすでに発生している。問題はそれが数字として整理されていないことにある。

なぜ原価管理が必要なのか—「儲かっているはず」の落とし穴

売上は伸びているのに、手元にお金が残らない。その原因の多くは原価の把握不足にある。ある金属加工会社(従業員35名)では、売上3億円に対して利益がわずか500万円。調べてみると、特定の製品の材料費が2年間で15%上がっていたのに、売価は据え置きのままだった。原価を把握していれば、値上げ交渉か工程の見直しで年間400万円の利益改善ができた計算になる。

原価の3要素—材料費・労務費・経費の整理方法

原価管理の第一歩は、コストを3つに分類することから始まる。

要素含まれるもの製造業の目安比率把握のコツ
材料費主原料・副資材・梱包材原価の40〜60%仕入れ伝票を品目別に集計
労務費直接工の賃金・残業代・社会保険料原価の20〜35%工数×時間単価で計算
経費電力・ガス・消耗品・外注加工費・減価償却原価の10〜25%月額固定費÷生産数で按分

最初から完璧に分類する必要はない。まずは「だいたいこのくらい」の精度で構わないので、3つの箱に振り分けるところから始める。精度は後から上げていけばいい。

Excelテンプレートの列構成—12列で原価が見える

実際にExcelで原価管理を始めるためのテンプレート列構成を紹介する。この12列があれば、製品別の原価と原価率が一目でわかる。

原価管理Excelテンプレート—列構成

項目入力例
A製品名部品A-001
Bロット番号LOT-20260301
C製造日2026/03/01
D材料費合計¥45,000
E労務費合計¥22,500
F経費合計¥8,000
G原価合計(D+E+F)¥75,500(自動計算)
H数量100個
I個あたり原価(G÷H)¥755(自動計算)
J売価(個あたり)¥1,100
K原価率(I÷J)68.6%(自動計算)
L備考材料値上げ反映済

ポイント

G列・I列・K列は数式で自動計算にしておく。手入力にすると入力ミスが増えるし、更新も面倒になる。=D2+E2+F2、=G2/H2、=I2/J2 の3つだけで十分。

原価率の自動計算と異常値の検出

テンプレートを作ったら、次は「異常値」を自動で検出する仕組みを入れる。Excelの条件付き書式を使えば、原価率が一定の閾値を超えたセルを赤く表示できる。

条件付き書式の設定例

原価率80%以上:セルを赤色に → 即座に売価見直しか工程改善が必要

原価率70〜80%:セルを黄色に → 要ウォッチ。3ヶ月連続なら対策を検討

原価率70%未満:通常(緑色)→ 適正範囲

もう1つ有効なのが、前月比の変動率を出す列を追加すること。前月の原価率との差分を計算し、3ポイント以上変動した製品を自動でハイライトする。これで「知らないうちにコストが上がっていた」を防げる。

月次レビューの仕組み—作って終わりにしない

原価管理の最大の敵は「最初は頑張るけど3ヶ月で止まる」こと。これを防ぐには、月次レビューの仕組みを最初から組み込む。

月次原価レビュー—3つのステップ

1

月末にデータ入力を締める(所要時間:30分)

その月の材料費・労務費・経費を集計してExcelに入力。仕入れ伝票と勤怠データから転記するだけ。

2

異常値をピックアップ(所要時間:15分)

条件付き書式で赤・黄色になっている製品をリストアップ。原因が材料費なのか労務費なのか経費なのかを特定する。

3

アクションを決める(所要時間:15分)

値上げ交渉・工程見直し・仕入先変更など、具体的なアクションを1つ決めて実行する。全部やろうとしない。1つだけ。

月1回、合計1時間の作業で原価が見えるようになる

よくある失敗パターンと対策

失敗パターン原因対策
列が多すぎて入力が続かない最初から完璧を目指したまず12列で始める。細分化は3ヶ月後
入力するのが経理だけ現場との連携がない材料費は購買担当、労務費は現場リーダーが入力する分担制に
データは溜まるがアクションがないレビューの仕組みがない毎月1日に30分の原価レビュー会議を設定

まとめ—原価管理は「見える化」がゴールではない

Excelで原価を見える化するのはあくまでスタート地点。本当のゴールは「見えた数字をもとにアクションを打つ」こと。材料費が上がっていたら仕入先を見直す。労務費が高い製品は工程を改善する。経費が膨らんでいたら設備の稼働率を確認する。

まずは今月から、Excelを1枚作るところから始めてほしい。12列のテンプレートと月1回のレビュー。これだけで、「なんとなく儲かっている気がする」から「どの製品でいくら儲かっているか」が見える状態に変わる。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

代表メッセージを読む →

関連記事

原価管理の仕組みづくりを無料でご相談

Excelテンプレートの作成から月次レビューの定着まで、御社に合った方法をご提案します

無料で相談する