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製造業

製造業の見積もりをExcelで自動化する方法—関数テンプレートと単価マスタの作り方

8分で読める

この記事は製造業のAI活用・業務効率化 完全ガイドの一部です。全体像を知りたい方はまず完全ガイドをご覧ください。

この記事のポイント

製造業の見積もりをExcel関数で半自動化する具体的な手順を解説。単価マスタの設計→VLOOKUP/INDEX-MATCHでの参照→数量別単価の自動切り替えまで、コピペで使えるテンプレート構成付き。

「見積もりをExcelで作っているけど、毎回同じ作業をしている気がする」—そう感じている製造業の方は多いと思う。

材質を確認して、単価表を探して、電卓で計算して、セルに手入力。これを月に20件、30件とやっていると、それだけで担当者の1日が埋まる。しかも、単価表が古かったり、担当者ごとに利益率の基準が違ったりすると、同じ案件なのに見積もり金額がバラつく。

この記事では、Excelの関数だけで見積もり作成を半自動化する方法を書いていく。特別なソフトは使わない。VLOOKUP、INDEX-MATCH、IFの3つの関数と、単価マスタの設計だけで、見積もり1件あたりの作成時間を40分→15分に短縮できる。

Excel見積もりの「限界」はどこにあるか

最初に正直に書いておくと、Excelの見積もりには限界がある。そこを理解した上で使うのが大事。

Excelでできること

  • 単価マスタからの自動参照(VLOOKUP/INDEX-MATCH)
  • 数量に応じた単価の自動切り替え(IF関数)
  • 利益率・合計金額の自動計算
  • 見積書フォーマットの統一

Excelだけでは難しいこと

  • 過去の類似案件を横断検索して単価を提案する
  • 複数人が同時に見積もりを編集する
  • 見積もりの承認フロー(上長の確認→送付)
  • 見積もりデータの長期的な分析・傾向把握

つまり、Excelは「1件の見積もりを正確に・速く作る」ための道具としては十分に使える。でも「過去のデータを活かして賢く見積もる」「チームで運用する」となると、スプレッドシートやデータベースへの移行が必要になる。

とはいえ、まずExcelで仕組みを作ることには意味がある。ここで「どんなルールで単価を決めているか」を言語化する作業をしておくと、後からシステム化するときにスムーズに移行できる。

単価マスタの設計—まずここを整備する

Excel見積もりの自動化で一番大事なのは、単価マスタの設計。ここがしっかりしていれば、関数は後からいくらでも組める。

単価マスタは「見積もりシート」とは別のシートに作る。シート名は「単価マスタ」でいい。構成はこうなる。

項目入力例
A材質コードSUS304、SS400、A5052
B板厚(mm)1.0、1.5、2.0、3.0
C材料単価(円/kg)350、120、280
D加工単価(円/分)80、60、90
E最終更新日2026/03/01

ポイントは3つある。

1つ目は、材質と板厚の組み合わせを1行にすること。SUS304の板厚1.0mmと3.0mmでは単価が違う。材質だけでは一意に決まらないので、「SUS304_1.0」のように材質コードと板厚を結合したキーを作っておく。A列に結合キーを入れるか、CONCATENATE関数で別列に作るかはどちらでもいい。

2つ目は、最終更新日を必ず入れること。材料費は市況で変わる。半年前の単価で見積もりを出していたら利益が飛ぶ。更新日があれば「この単価、半年以上更新されていないけど大丈夫?」と気づける。

3つ目は、加工単価も同じシートに持つこと。材料費と加工費を別々のシートに分けると管理が煩雑になる。1つのマスタシートに集約しておく方が、後から関数で参照しやすい。

VLOOKUPで単価を自動参照する

単価マスタができたら、見積もりシートから関数で参照する。まずはシンプルなVLOOKUPから。

材料単価の自動参照(見積もりシートのセルに入力)

=VLOOKUP(B3, 単価マスタ!A:C, 3, FALSE)

B3 = 材質コード(例: SUS304_1.0)。単価マスタのA列から一致する行を探し、C列の材料単価を返す。

見積もりシートのB3セルに「SUS304_1.0」と入力するだけで、材料単価が自動で入る。手で単価表を探す必要がなくなる。

ただし、VLOOKUPには制約がある。検索キーは必ず「一番左の列」にないといけない。マスタのレイアウトを変えたくなったときに面倒になる。

INDEX-MATCHで柔軟に参照する

VLOOKUPの制約を超えたいなら、INDEX-MATCHの組み合わせを使う。特に「材質×板厚」の2条件で単価を引きたいときに威力を発揮する。

材質×板厚の2条件で材料単価を参照

=INDEX(単価マスタ!C:C, MATCH(B3&"_"&C3, 単価マスタ!A:A&"_"&単価マスタ!B:B, 0))

B3 = 材質コード、C3 = 板厚。A列の材質とB列の板厚を結合してマッチングし、C列の単価を返す。※配列数式として Ctrl+Shift+Enter で確定(Excel 365では不要)。

この方法なら、マスタの列の順番を気にしなくていい。後から「表面処理」の列を追加しても、関数を書き直す必要がない。

数量別単価の自動切り替え—IF関数の活用

製造業の見積もりでは、数量によって単価が変わるのが普通。10個と100個では段取り替えの回数が違うから、1個あたりの単価も変わる。

数量に応じた加工単価の自動切り替え

=IF(D3>=100, E3*0.8, IF(D3>=50, E3*0.9, E3))

D3 = 数量、E3 = 基本加工単価。100個以上なら20%引き、50個以上なら10%引き、それ以下は定価。

割引率は会社ごとに違うので、自社のルールに合わせて数字を変える。大事なのは、今まで担当者の頭の中にあった「100個超えたら少し下げる」というルールを、関数として明文化すること。これが属人化の解消につながる。

テンプレート全体の構成

ここまでの関数を組み合わせて、見積もりテンプレートの全体構成を整理する。

シート名役割主な内容
見積もり入力担当者が入力するシート品名・材質・板厚・数量を入力。単価・合計は自動計算
単価マスタ材質×板厚別の単価表材料単価・加工単価・最終更新日
見積書客先提出用フォーマット入力シートから自動転記。印刷・PDF出力用
設定利益率・消費税率などの共通設定利益率(デフォルト20%)、消費税率(10%)、自社情報

この4シート構成にしておけば、担当者は「見積もり入力」シートだけを触ればいい。材質と板厚と数量を入力すれば、単価は自動で入り、合計金額は自動で計算され、見積書シートに自動で転記される。

さらに自動化するなら—Excelの先にあるもの

Excelテンプレートで仕組みを作ったら、次のステップも見えてくる。

Googleスプレッドシートへの移行。Excelは基本的にローカルファイルなので、複数人での同時編集ができない。Googleスプレッドシートに移せば、営業と工場が同時にアクセスできるようになる。関数もほぼそのまま使える。

過去データのデータベース化。見積もりが100件、200件と溜まってきたら、1行1案件の一覧表に集約する。「SUS304で板厚2.0mmのレーザー加工、過去にいくらで出した?」が検索で出てくるようになる。この手順は見積もり自動化の全体ガイドで詳しく書いている。

AIによる単価提案。過去データが揃ったら、AIに「この条件に近い過去の見積もりを3件出して、推奨単価を提案して」と指示できるようになる。ここまで来ると、見積もり1件10分以下も現実的になる。

補助金を活用して初期費用を抑える

Excelテンプレート自体は社内で作れるので費用はかからない。ただ、「テンプレートの設計を外部に頼みたい」「スプレッドシートへの移行まで一緒にやってほしい」という場合は、2026年のデジタル化補助金が使える可能性がある。

IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠は、補助率2/3〜3/4。初期構築10万円の案件なら自己負担は2.5〜3.3万円で済む計算になる。申請の手間はあるが、使わない手はない。

製造業の見積もり効率化ソリューション

SalesDockでは、Excelテンプレートの設計から、スプレッドシートへの移行、AIによる単価提案の実装まで、段階的に支援している。初期構築10万円・月額保守3万円から。

詳しく見る →

まとめ

Excelの見積もり自動化は、高いソフトを入れなくてもできる。

単価マスタを整備して、VLOOKUPかINDEX-MATCHで参照する仕組みを作る。数量別の単価切り替えはIF関数で対応する。これだけで見積もり1件40分→15分に短縮できる。

もっと大事なのは、この作業を通じて「今まで頭の中にあった単価の決め方」が関数として明文化されること。これは、将来スプレッドシートやAIに移行するときの土台になる。

まずは単価マスタを1つ作ってみるところから始めてみてほしい。

よくある質問

Q. Excel関数だけで見積もり自動化はどこまでできますか?

単価マスタからの自動参照、数量に応じた単価の自動切り替え、利益率の自動計算、合計金額の算出まではExcel関数だけで対応できる。見積書のPDF出力や番号の自動採番はマクロ(VBA)が必要。

Q. VLOOKUPとINDEX-MATCHはどちらを使うべきですか?

単純に材質名から単価を引くだけならVLOOKUPで十分。材質×板厚×加工方法のように2つ以上の条件で引きたいならINDEX-MATCHの方が柔軟。最初はVLOOKUPで始めて、条件が増えたら切り替えるのが現実的。

Q. Excelの次のステップとして何をすればいいですか?

過去の見積もりデータをGoogleスプレッドシートに集約してデータベース化するのが次のステップ。品名・材質・加工方法・単価で検索できるようになると、類似案件の参照が一瞬になる。詳しくは見積もり自動化の全体ガイドを参照。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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