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AI内製・技術レビュー

社内で何個のAIツールが動いているか、答えられますか—内製ツールの棚卸し手順

作るコストが下がったぶん、記録するコストを払う。台帳は5列で足りる

最終更新 2026年8月11日7分で読める

この記事のポイント

AIで作れるようになると、5つを超えたあたりで誰も全体を把握できなくなる。把握していないツールは、止めることも守ることもできない。棚卸しは完璧を目指さず、5列の表を配って1週間で全体像を出す。以降は作ったら1行足す運用にする。

「社内で動いているツールは何個ありますか」。この質問に即答できる会社は少ない。AIで作れるようになったことで、業務ツールは申請も稟議もなく増えていく。1つ目は本人が覚えている。3つ目くらいまでは把握できる。5つを超えたあたりから、誰も全体を知らない状態になる。この記事では、その状態をどう解消するかを整理する。

把握していないツールは、止められない

棚卸しの目的は管理のための管理ではない。把握していないものは、何かあったときに手が出せないという一点に尽きる。

  • 情報漏洩の疑いが出たとき、どのツールに何が入っているか分からないと調査ができない
  • 退職者が出たとき、どのツールの権限を外せばいいか分からない
  • 外部サービスの障害が起きたとき、影響範囲が特定できない
  • 使っていないツールが、課金され続けデータを持ち続けている

どれも「知らなかった」では済まない場面で、しかもその場で調べ始めることになる。棚卸しは、その時間を先に払っておく作業だ。

完璧なリストを目指すと着手できない

棚卸しが進まない最大の理由は、最初から網羅的にやろうとすることにある。どこまでをツールと呼ぶのか、スプレッドシートのマクロは含むのか、と考え始めると止まる。

現実的なのは、「今月、業務で使ったもの」を各部署に書き出してもらうところから始めること。定義は曖昧でいい。出てきたものを見てから、必要なら基準を決める。

台帳は5列で足りる

書くことなぜ要るか
ツール名呼ばれている通称でよい会話で特定できる
作った人・管理者現在の担当者何かあったとき誰に聞くか
用途一文。使っている部署も止めたときの影響が読める
扱う情報顧客情報・個人情報の有無優先順位はここで決まる
置き場所動いている場所・使っている外部サービス障害・課金・権限の確認先

これ以上増やすと、埋める側の負担で止まる。4列目の「扱う情報」だけは必ず埋めてもらう。ここで顧客情報ありと書かれたツールから優先して確認していけばいい。

出てきたものを3つに仕分ける

台帳が埋まったら、1行ずつ次のどれかに振る。

  1. 使っている・重要(顧客情報あり、または止まると業務が止まる)→ チェックリスト12項目で確認する
  2. 使っている・軽微(個人の作業効率化、情報も軽い)→ 台帳に載せておくだけでよい
  3. 使っていない止める。ただし止め方に注意(下記)

使っていないツールの止め方

「使っていないので放置」が一番危ない。動き続けているツールは、認証情報を持ち、データを保持し、課金が発生している。止めるときは3点セットで行う。

以降は「作ったら1行」でいい

一度棚卸しをしたら、次からは新しく作ったときに台帳へ1行足すだけにする。この運用が回れば、次の棚卸しはほぼ確認作業で終わる。

大事なのは申請制にしないこと。承認を必要にすると、作る速度が落ちるうえに申請せずに作る人が出る。記録だけを求めるほうが、結果的に把握できる範囲が広くなる。

棚卸しで出てきた「要確認」を、第三者に見てもらう

テクミルは、社内で作ったAIツールについて、第三者のエンジニアが懸念点と対応方針を整理するサービスです。台帳から優先度の高いものだけを選んで相談できます。月額8万円(税別)から、初回の相談は30分無料。

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まとめ

内製ツールが増えること自体は前進で、止める必要はない。ただし把握していないものは守れないし、止められない。完璧なリストを目指さず、5列の表を配って1週間で全体像を出す。あとは作ったら1行足す。この運用に乗せてしまえば、棚卸しは負担ではなくなる。

よくある質問

社内ツールの棚卸しは何から始めればよいですか?

全部を一度に洗い出そうとせず、まず「今月、業務で使ったツール」を各部署に書き出してもらうところから始めます。完璧なリストを目指すと着手できません。5列(ツール名・作った人・用途・扱う情報・置き場所)だけの表を配って埋めてもらえば、1週間で全体像が見えます。

使われていないツールは放置してよいですか?

放置は避けてください。使われていなくても、認証情報を持ったまま動き続け、データを保持し、外部サービスの課金が発生していることがあります。使っていないと分かった時点で、停止・データの取り扱い・アカウントの整理をセットで決めてください。

棚卸しはどのくらいの頻度でやるべきですか?

四半期に一度が現実的です。加えて、新しくツールを作ったときに台帳へ1行足す運用を回せば、棚卸しの負担はほぼなくなります。作るコストが下がったぶん、記録するコストを払う、という考え方です。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。

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