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AI内製・技術レビュー

社内ツールのバックアップ、本当に戻せますか—「取っている」と「戻せる」は別物

事故のあとに初めて試すと、そこで詰まる。平常時に1回通しておく

最終更新 2026年8月11日7分で読める

この記事はAIで作った社内ツール、本番導入前チェックリスト12項目の観点3(壊れたときどうするか)を詳しく扱ったものです。

この記事のポイント

バックアップは取ることではなく戻せることが目的。1回試すだけで「どこまで戻るか」「誰が戻せるか」「どのくらい時間がかかるか」「その間業務は回るか」の4つが分かる。頻度は許容できる損失時間から逆算する。

バックアップから実際に復旧を試すと出てくる4つのズレ(中身が想定と違う/戻す手順を誰も知らない/戻せる人が1人しかいない/想定より時間がかかる)をまとめた図
復旧を試すと出てくる4つのズレ。「取っている」と「戻せる」は別物。

「バックアップは取っていますか」と聞くと、たいてい「取っています」と返ってくる。次に「戻したことはありますか」と聞くと、答えが止まる。この2つの間には大きな差がある。バックアップは保険であって、保険は請求してみるまで下りるか分からない。この記事では、1回試すだけで何が分かるのか、どう試すのかを整理する。

試すと出てくる4つのズレ

1|バックアップの中身が想定と違う

取れていたのは設定ファイルだけでデータが入っていない、あるいは逆にデータはあるが動かすための設定がない。「バックアップが動いている」と「必要なものが全部入っている」は別で、これは中を開けないと分からない。

2|戻す手順が誰も分からない

取る仕組みは作ったが、戻す手順は書いていない。作った本人も戻したことがないので、その場で調べながらになる。事故の当日に調べ物を始めることになる

3|戻せる人が1人しかいない

権限が作成者にしかない。その人が休みだと動けない。バックアップがあっても、触れる人がいなければ止まったままになる。

4|想定より時間がかかる

30分で戻ると思っていたら半日かかった、というのはよくある。この時間の見積もりが、業務を止められる時間と合っているかが実際の問題になる。

試し方(30分〜半日)

  1. 本番とは別の場所に、バックアップから復元する。本番に上書きしない。ここは必ず守る
  2. 復元したもので、実際に業務の操作をしてみる。画面が開くだけでなく、登録・検索・出力まで通す
  3. かかった時間を記録する。次に事故が起きたとき、この数字が判断材料になる
  4. 作成者以外の人がやる。これが一番重要。作成者がやると手順が言語化されない

4番を守ると、必然的に手順書ができる。手順書を書いてから試すのではなく、他人が試すことで手順書ができるという順序のほうが、実際に使えるものになる。

頻度は「許容できる損失」から決める

何日おきに取るべきか、という質問には一律の答えがない。決め方はこうなる。

失っても許容できる範囲必要な備え
1日分なら手作業で復元できる日次バックアップで足りる
数時間分でも復元できないより短い間隔。または操作履歴が残る仕組み
1件でも失うと業務が破綻する内製ツールで持つべきかから見直す

3行目が重要。失えないデータを、片手間で作ったツールに持たせない。これは技術の問題ではなく、事業判断の問題になる。

クラウドを使っていても確認は要る

スプレッドシートやクラウドサービス上で動くツールは、サービス側の障害には強い。ただし誤操作による削除は防げない

多くのサービスには一定期間の復元機能があるが、期間も対象も限られる。確認するのは1点、「誰かが誤って消したとき、何日前まで戻せるか」。実際に試せる環境があるなら、テスト用のデータで一度消して戻してみるといい。

出典・一次情報

制度・統計は改定されます。最新の情報は公表元でご確認ください。

復旧できる状態かどうか、第三者に確認してもらう

テクミルは、社内で作ったAIツールについて、第三者のエンジニアが懸念点と対応方針を整理するサービスです。バックアップと復旧の確認だけ、といった範囲を指定した相談もできます。月額8万円(税別)から、初回の相談は30分無料。

テクミルのサービス内容を見る →

まとめ

バックアップの目的は取ることではなく戻すこと。1回試すだけで、机上の想定と現実のズレがほぼ全部出てくる。しかも作成者以外がやれば、手順書まで一緒にできる。半日で終わる作業なので、動いているうちにやっておくといい。

よくある質問

バックアップを取っていれば安心ではないのですか?

取ることと戻せることは別です。実際に戻す作業をやってみると、バックアップの中身が想定と違った、戻す手順が分からない、戻す権限を持つ人が1人しかいない、といった問題が出てきます。事故が起きてから初めて試すと、そこで詰まります。平常時に1回通しておくことが重要です。

どのくらいの頻度でバックアップを取るべきですか?

頻度は「失っても許容できる時間」から逆算します。1日分のデータが消えても手作業で復元できるなら日次で足ります。数時間分でも復元できないなら、より短い間隔か、そもそも内製ツールで持つべきかの検討が必要です。頻度を先に決めるのではなく、許容範囲を先に決めてください。

クラウドサービスを使っていればバックアップは不要ですか?

サービス側の障害には強くなりますが、誤操作による削除は防げません。多くのクラウドサービスには一定期間の復元機能がありますが、期間と対象は限られます。「誰かが誤って消したとき、何日前まで戻せるか」を実際に確認してください。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。

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