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AI内製・技術レビュー

Claude Codeで業務ツールを作るときの注意点—チャット型AIとは別のリスクがある

「何を貼らないか」ではなく「何を見せるか・何をさせるか」を決める道具

最終更新 2026年8月11日8分で読める

この記事のポイント

Claude Codeのような開発支援ツールは、許可した範囲のファイルを自分で読み、コマンドを実行する。だから注意点はチャット型と違い「見せるフォルダの範囲」「実行させる操作」「生成物の置き場所」の3点になる。最初に作業フォルダを分けるだけで、事故の大半は防げる。

生成AIの社内ルールは「機密情報を貼り付けない」を中心に作られていることが多い。チャット型を前提にすれば、それで妥当だ。ただしClaude Codeのようにファイルを直接読み書きするツールを使い始めると、この前提が崩れる。貼り付けていなくても、フォルダの中身は読まれている。この記事では、何が違うのか、業務で使うなら何を決めておくのかを整理する。

チャット型と何が違うのか

チャット型の生成AIは、こちらが貼り付けたテキストしか見ない。だから「貼らない」というルールが有効に機能する。

Claude Codeのような開発支援ツールは、動作の前提が違う。許可した範囲のファイルを自分で開いて読み、必要ならコマンドを実行し、ファイルを書き換える。これが便利さの理由であり、同時に注意点が変わる理由でもある。

つまり、決めるべきことが「何を貼らないか」から「何を見せるか、何をさせるか」に移る。ルールの作り方そのものが変わる。

観点1|見せるフォルダの範囲

最も重要で、最も簡単に対策できるのがこれ。起動する場所を間違えない、それだけだ。

デスクトップやドキュメントフォルダの直下で起動すると、そこにある全部が読める範囲に入る。顧客リストのExcel、経理の資料、他社との契約書。作業には一切関係ないものまで含まれる。

  • 作業用のフォルダを新しく作り、その中だけで動かす。これが基本
  • 作業に必要なファイルだけ、そのフォルダにコピーして持ち込む
  • 共有ドライブの直下では起動しない。他部署のファイルまで範囲に入る

フォルダを分けるだけで、見せてはいけないものを見せる事故はほぼ防げる。ルールとしても簡単で、非エンジニアにも守れる。

出典・一次情報

仕様は変更されます。最新の情報は公表元でご確認ください。

観点2|実行させる操作

この種のツールはコマンドを実行できる。ファイルの削除、外部への通信、インストール。便利だが、業務PCで動かす以上は線を引いておく。

  • 削除を伴う操作は、実行前に内容を読む。提案されたコマンドをそのまま承認しない
  • 外部にデータを送る操作は、送り先を確認する。どのサービスに、何を送るのか
  • 本番環境に直接つながる操作はさせない。作業は必ず手元か検証用の環境で行う

特に3つ目。本番のデータベースに接続した状態で作業すると、確認のつもりの操作が本番データを変えてしまうことがある。「動かしながら直す」を本番でやらない、という一線は引いておく。

観点3|生成物の置き場所

できあがったツールをどこに置くかは、作った後に慌てて決められがちだ。ここで判断を誤ると、後から直すのが面倒になる。

  • 個人のアカウントで公開しない。その人が抜けた瞬間に止まる。引き継ぎの問題に直結する
  • 認証をかけずに公開しない。社内向けのつもりでもURLは広がる
  • 動作確認用に書いた認証情報が残っていないか確認する。これがAPIキーの直書きとして残る典型パターン
観点起こりうること決めておくこと
1. 見せるフォルダの範囲デスクトップや共有ドライブの直下で起動すると、顧客リストのExcel・経理の資料・他社との契約書まで読める範囲に入る作業用フォルダを新しく作り、その中だけで動かす。必要なファイルだけコピーして持ち込む
2. 実行させる操作ファイルの削除・外部への通信・インストールが実行される。本番につないだまま作業すると、確認のつもりの操作が本番データを変える削除・外部送信を伴う操作は実行前に内容を読む。本番環境に直接つながる操作はさせず、手元か検証用の環境で作業する
3. 生成物の置き場所個人アカウントで公開するとその人が抜けた瞬間に止まる。認証をかけないとURLは広がる。動作確認用の認証情報が残る個人のアカウントで公開しない。認証をかける。書き込んだ認証情報が残っていないか確認する

「作れてしまう」ことの副作用

技術的な話から少し離れる。この種のツールを使い始めた組織で共通して起きるのが、ツールの数が管理できる量を超えることだ。

1つ目は本人が全部把握している。3つ目くらいまでは覚えている。5つを超えたあたりで、何が動いていて何が使われていないのかが分からなくなる。使われていないツールも、認証情報を持ったまま動き続ける。

対策は単純で、作ったら台帳に1行足す。ツール名、作った人、何をするもの、置き場所。これだけでいい。作るコストが下がったぶん、記録するコストを払う。

業務利用のルールとして書くなら

既存の生成AI利用ルールに、次の4行を足せば足りる。

  1. 作業用フォルダを作り、その中だけで起動する。顧客データ・経理資料のあるフォルダでは起動しない
  2. 削除・外部送信を伴う操作は、実行前に内容を確認する
  3. 本番環境に直接接続した状態で作業しない
  4. 作ったツールは台帳に登録する(名前・作成者・用途・置き場所)

ルール全体の作り方は生成AIの社内ルール、どう作る?を参照。

作ったツールを、公開前に第三者に見てもらう

テクミルは、社内で作ったAIツールについて、第三者のエンジニアが本番導入前の懸念点と対応方針を整理するサービスです。確認したい範囲を指定して相談できます。月額8万円(税別)から、初回の相談は30分無料。

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まとめ

Claude Codeのような道具は、非エンジニアが業務ツールを持てるようにした。使うべきでないという話ではない。ただしチャット型を前提に作られた社内ルールでは、想定が合わない。「見せる範囲を絞る」「させる操作に線を引く」「作ったものを記録する」——この3つを足すだけで、扱いはかなり安全になる。

よくある質問

Claude Codeはチャット型の生成AIと何が違いますか?

チャット型は、こちらが貼り付けたテキストだけを見ます。Claude Codeのような開発支援ツールは、許可した範囲のファイルを自分で読み、コマンドを実行し、ファイルを書き換えます。便利さの source であると同時に、注意点が変わる理由でもあります。「何を貼らないか」ではなく「何を見せるか・何をさせるか」を決める話になります。

業務で使うとき、最初に決めるべきことは何ですか?

作業フォルダの範囲です。顧客データや経理ファイルが入っているフォルダの中で起動しないこと。作業用のフォルダを分けて、その中だけで動かすのが基本になります。フォルダを分けるだけで、見せてはいけないものを見せる事故はほぼ防げます。

生成されたコードはそのまま本番で使ってよいですか?

動作確認をしただけでは足りません。動くことと安全に運用できることは別で、情報の置き場所・閲覧権限・障害時の復旧・引き継ぎの4点は別途確認が必要です。特に、動作確認のために一時的に書き込んだ認証情報が残っていないかは必ず見てください。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。

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