FAX OCRの精度が落ちる条件と対策|読ませる前に整える方法
読ませる前の状態で、結果はほぼ決まる
執筆:泉 款太(株式会社SalesDock 代表取締役)累計40社以上の中小企業を支援

結論
OCRを入れて失敗する会社は、たいてい「全部を自動で読ませる」設計にしています。
- 精度はソフトの性能より、読ませる紙の状態で決まります。手書き、かすれ、罫線と文字の重なりが三大要因です。
- 全項目を読ませようとしないでください。品番と数量だけを読ませて残りは人が見る、のほうが早く回ります。
- 読み違いはゼロにできません。気づける形にすることが目的です。元のFAX画像をすぐ開けるようにしておきます。
この記事はFAXをOCRで読むときの精度を扱います。FAX受注そのものの進め方はFAX受注を効率化する3ステップで扱っています。不動産会社に届く登記事項証明書や手書きの申込書、販売図面のどれが読めるかは、不動産OCRで読める書類と手書きFAX・図面の線引きで書類の種類別に分けています。
「FAXをOCR(文字認識)で読めば、転記がなくなる」。相談ではよくこの形で始まります。
読めること自体は事実です。ただしFAX OCRの読み取り精度は、ソフトの性能より、読ませる画像の状態で決まります。この記事は、誤認識が起きる条件、読ませる前に整えること、間違いに気づく形の順に書いています。
FAXのOCR精度が落ちる3つの条件
- 手書き:書き手によって差が大きく、同じ取引先でも担当が変わると結果が変わります
- かすれ・にじみ:送信側の機器と回線で変わります。こちらでは直せません
- 罫線と文字の重なり:枠にきっちり書かれていない数字は、罫線ごと1つの文字に見えます
- FAXそのものの画質:白黒2値で、解像度は水平が約200dpi、垂直は標準モードで約100dpi、ファインモードで約200dpiと、スキャンした書類より粗い画像です。細かい文字や小さい数字はつぶれやすくなります
このうち手書き・かすれ・FAXの画質は送信側の事情で、自社では変えられません。だから「精度を上げる」より「精度が低い前提で回る形にする」ほうが現実的です。
AI-OCRに替えれば精度が上がるかどうかは、製品と画像の条件で変わります。崩れた文字に強い製品もありますが、元の画像に写っていない線や文字はどの製品でも読めません。手書きやかすれが多い取引先では、AI-OCRに替える前に、読ませる項目の絞り込みと確認の形を先に決めてください。
読ませる項目を絞る方法
すべての項目を読ませると、どれが間違っているか分からなくなり、結局全部を見直すことになります。品番と数量だけを読ませて、残りは人が見る。これで見る場所が決まります。
何を絞るかは、間違えたときの影響で決めてください。数量の読み違いは出荷に直結します。一方、備考欄は影響が小さい場合が多いものの、納期や特記事項が備考に入る取引先では数量と同じ扱いにしてください。
読ませる前の画像の整え方
FAX OCRの精度を保つために自社でできるのは、受信を紙に出さず画像のまま扱うこと、解像度を落とさないこと、届いた順に決まった場所へ貯めることです。紙に出してからスキャンし直すと、その分だけ画像の情報が落ちます。
解像度の目安は、FAXの標準モードが約200×100dpi、ファインモードが約200×200dpiです(機種により異なります)。FAXの送信側がファインモードで送ると、標準モードより垂直方向の解像度が2倍になり、小さい数字の誤認識を減らせます。ただし、設定を頼めるかは取引先との関係次第です。
| 原因 | 起きやすい誤認識 | 自社でできる対処 |
|---|---|---|
| 手書き | 1と7、0と6の取り違え | 読ませる項目を数量などに絞り、人の確認を前提にする |
| かすれ・にじみ | 文字の欠け、別の文字への置き換わり | 自社では直せない。原本画像へすぐ戻れる形にする |
| 罫線と文字の重なり | 罫線を「1」や「l」と読む | 様式を取引先と揃える。揃わない先は人が読む |
| 解像度・2値化 | 小さい数字・細い文字がつぶれる | ファイン設定を依頼する。紙に出さず画像のまま取り込む |
誤認識に気づける形の作り方
読み違いはゼロにできません。目的は、起きたときに気づけることです。
元のFAX画像を1クリックで開けるようにしておいてください。これが一番効きます。読み取った値の隣に元画像へのリンクがあれば、疑わしい行だけをその場で確かめられます。
あわせて、前回実績と大きく違う数量に印を出すと、見るべき行が絞れます。
FAX OCRのよくある質問
手書きのFAXは読めますか?
読める場合もありますが、書き手によって差が大きく、安定しません。手書きが混ざる取引先については、読ませる項目を数量だけに絞るか、最初から人が見る前提にしたほうが結果的に早く回ります。
精度は何パーセントくらいですか?
紙の状態と項目によって大きく変わるので、一般的な数字で見積もらないでください。自社の実物を何十枚か読ませて、項目ごとに間違いの数を数えるのが唯一確かな方法です。
複合機の付属機能で足りますか?
受けたFAXを画像として保存するだけなら足ります。項目を取り出して台帳へ渡すところまで必要なら、そこが備わっているかを確認してください。保存と読み取りは別の機能です。
読み違いが起きたとき、どう気づけばいいですか?
元のFAX画像を1クリックで開けるようにしておくのが一番確実です。数字の桁が変わる項目には、前回実績と大きく違うときに印が出る仕組みを足すと、見るべき行が絞れます。
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泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。
運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。
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