SalesDock ロゴSalesDock
業務改善

Notionに顧客DBを作ったのに情報が集まらない—「同じ会社が3行ある」を直す名寄せ設計

Notionで顧客管理を始めると、同じ会社が表記の違いで複数行に分かれ、議事録や案件が別々の行にぶら下がります。行を消す前に、突合キーを決める設計の話をします。

最終更新 2026年8月11日8分で読める

この記事で答えること

Notionの顧客DBで同じ会社が重複していて、どう統合・整理すればよいか知りたい。その疑問に答えます。

この記事のポイント

  • 「情報が集まらない」の正体は入力不足ではなく、同じ会社が複数行に割れていることが多い。
  • 重複は表記ゆれから生まれる。法人格の有無、中黒の有無、略称、担当者名での登録が典型。
  • 行を消す前に、何をキーに同一と判定するかを決める。決めないとマージした翌月にまた増える。
  • 会社を一意に識別できる外部の番号を持たせると、判定を人の記憶に頼らずに済む。

「議事録を紐づけたのに機能しない」ときに実際に起きていること

顧客DBを作ってしばらく運用すると、「入力しているのに情報が集まらない」という状態になります。自社の顧客DBを実際に1行ずつ調べたことがあるのですが、原因は入力漏れではありませんでした。同じ会社が別の行として複数存在していて、議事録はA行に、案件はB行に、契約状態はC行に付いていたためです。

どの行も間違った情報ではありません。ただ、実体としては1社なのに、システム上は3社として扱われている。そのため、どの行を開いても「情報が足りない」ように見えます。紐付けの作業自体は成功していて、紐付け先が割れていたという構造です。

この状態はダッシュボードやレポートを作った瞬間に表面化します。集計が参照する行と、現場が更新している行が違うからです。数字が合わないので、まず集計の式を疑うことになりますが、原因は式ではなくデータの側にあります。

表記ゆれは4パターンに整理できる

実際に出てきた重複を分類すると、ほとんどが次の4つのどれかでした。人によって入力の癖が違うだけで、悪意も不注意もありません。だからこそ、注意喚起では止まりません。

重要なのは、この4つが「あとから機械的に直せるもの」と「直せないもの」に分かれることです。法人格や中黒は文字列処理でほぼ吸収できますが、担当者名で登録された行は、その人が誰の担当だったかを知らないと同一判定ができません。

パターン例の形機械的に吸収できるか
法人格の有無「株式会社◯◯」と「◯◯」できる(前後の法人格を除去して比較)
中黒・スペースの有無「◯◯・△△」と「◯◯△△」できる(記号と空白を除去して比較)
略称・通称正式名称と社内での呼び方半分。対応表を人が一度作る必要がある
担当者名で登録会社名の欄に個人名が入っているできない。人の記憶に依存する

行を消す前に、突合キーを決める

重複を見つけると、まず統合したくなります。ただ、統合だけを先にやると同じことが翌月また起きます。新しく行を作る人は、既存の行があることを知らないからです。

先に決めるのは「何が一致していたら同じ会社とみなすか」です。会社名の文字列を正規化して比較するのが最初の一歩ですが、これだけだと同名の別会社を潰してしまう危険が残ります。

実務で使いやすいのは、国税庁が公表している法人番号です。1法人に1つ割り当てられていて、公開情報として誰でも参照できます。顧客DBに法人番号のプロパティを持たせ、新規作成時にそれを入れる運用にすると、同一判定を人の記憶から切り離せます。個人事業主など法人番号を持たない相手は別扱いになるので、そこは運用でカバーします。

出典・一次情報:法人番号とは(国税庁法人番号公表サイト)。法人番号は株式会社などの法人等が持つ13桁の番号で、利用範囲の制約がなく誰でも自由に利用できること、指定を受けた法人等の基本3情報(商号又は名称・本店又は主たる事務所の所在地・法人番号)が国税庁の法人番号公表サイトで公表されることが説明されています。制度は改定されます。最新の情報は公表元でご確認ください。

キーが決まると、統合の作業も判断が要らなくなります。同じ番号の行をまとめる、それだけです。

マージの順番を間違えると、履歴が消える

統合するとき、どの行を残すかは「プロパティが埋まっている行」ではなく「他のデータベースから参照されている行」で決めます。議事録や案件がリレーションでぶら下がっている行を消すと、その紐付けごと消えるためです。

先に参照関係を移し替えてから、空になった行を消す。この順番にすると、途中で作業が止まっても情報は失われません。件数が多い場合は、参照が付いている行を先に一覧化してから始めると安全です。

統合が終わったら、重複が再発していないかを定期的に見る仕組みを置きます。毎日見る必要はありません。新規作成が発生する頻度に合わせて、週に一度、正規化した会社名で同じものが2行以上ないかを確認できれば十分です。

よくある質問

Notionの顧客DBで同じ会社が何行もできてしまうのはなぜですか?

ほとんどが表記ゆれです。法人格の有無(「株式会社◯◯」と「◯◯」)、中黒やスペースの有無、略称・通称、会社名の欄に担当者名が入っている、の4パターンに整理できます。人によって入力の癖が違うだけなので、注意喚起では止まりません。結果として議事録はA行、案件はB行、契約状態はC行に付き、どの行を開いても情報が足りないように見えます。

重複した行は、見つけたらすぐ統合してしまっていいですか?

統合だけを先にやると、同じことが翌月また起きます。新しく行を作る人は既存の行があることを知らないためです。先に決めるのは「何が一致していたら同じ会社とみなすか」という突合キーです。会社名の文字列を正規化して比較するのが第一歩ですが、それだけだと同名の別会社を潰す危険が残ります。国税庁が公表している法人番号のような、1法人に1つ割り当てられた番号をプロパティに持たせると、同一判定を人の記憶から切り離せます。

重複行をマージするとき、どの行を残せばいいですか?

プロパティが埋まっている行ではなく、他のデータベースから参照されている行を残します。議事録や案件がリレーションでぶら下がっている行を消すと、その紐付けごと消えるためです。先に参照関係を移し替えてから、空になった行を消す。この順番なら途中で作業が止まっても情報は失われません。統合後は、新規作成の頻度に合わせて週に一度程度、正規化した会社名で同じものが2行以上ないかを確認します。

導入前のチェックリスト

同じ会社が複数行に分かれていないか、正規化した名前で確認した
何が一致したら同一とみなすか(突合キー)を決めた
統合前に、リレーションが付いている行を特定した
新規作成のときにキーを入れる運用になっている

SalesDockでできること

無料相談へ進む

「Notion 会社名 重複」で調べても、名寄せの解説はデータクレンジングツールのベンダー記事に偏っていて、Notionの文脈と接続されていない。ツールを買う前に、自分のデータベースの中で突合キーを決めるという設計の話が空白になっている。SalesDockは自社の顧客DBで同じ問題を実際に調べて直しているので、判断の順番を書ける。 単体のツール選定だけで終わらせず、現場で使う業務の流れまで一緒に整えます。

詳しく見る

関連記事

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。

代表メッセージを読む →

NEXT STEP

業務・判断・データの詰まりを、3分で整理

自動化やシステム導入の前に、自社が先に整える場所を確認できます。