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不動産

買取再販の利益率はどれくらい?—相場・計算方法・利益率を上げる3つの打ち手

10分で読める

この記事のポイント

買取再販の利益率は業界平均15〜25%。ただしエリア・物件タイプ・リノベ戦略で大きく変わる。見落としがちなコストを含む正しい計算方法と、利益率を上げる3つの打ち手を解説。

「買取再販の利益率ってどれくらいが普通なの?」—不動産会社の経営者から最も多い質問の1つだ。

結論から言うと、業界平均は15〜25%。ただしこの数字はエリア・物件タイプ・リノベ戦略で大きく変わる。「うちは15%しか出ていない」と不安に思う必要はないし、「25%出ているから大丈夫」と安心するのも早い。

この記事では、物件タイプ別の利益率の相場、見落としがちなコストを含む正しい計算方法、そして利益率を上げるための具体的な打ち手を整理する。

買取再販の利益率の相場

物件タイプによって利益率の目安は異なる。まずは全体像を押さえておこう。

物件タイプ粗利率の目安備考
区分マンション15〜20%価格帯が安定しやすく、回転率重視
戸建て20〜30%リノベの幅が大きい分、利益率も高い
土地10〜15%加工余地が少なく、薄利
カチタス(上場)約30%地方戸建て特化、仕入れ〜施工の内製化
ムゲンエステート(上場)約20%都心マンション中心

上場企業の数字は公開されているIR資料から確認できる。自社の利益率と比較するときの参考になる。ただし上場企業はスケールメリットがあるため、中小の買取再販会社がそのまま同じ水準を目指す必要はない。

利益率の正しい計算方法—見落としがちなコスト

買取再販の粗利を正しく計算するには、以下のすべてを含める必要がある。

粗利の計算式

粗利 = 再販価格 −(仕入れ価格 + リノベ費用 + 仲介手数料 + 登記費用 + 固定資産税 + 金利 + 保有期間コスト)

問題は、多くの会社が「仕入れ価格 + リノベ費用」だけで粗利を計算してしまっていること。実際にはそこに乗ってくるコストがかなりある。

よく抜ける3つのコスト:

  • 金利—融資を利用している場合、月0.3〜0.5%の金利がかかる。2,000万円の物件なら月6〜10万円。6ヶ月保有すれば36〜60万円
  • 保有期間コスト—固定資産税・都市計画税、マンションなら管理費・修繕積立金、火災保険料。月2〜5万円が地味に積み上がる
  • 仲介手数料—売買それぞれで最大「3%+6万円」。仕入れ2,000万円なら66万円、再販3,500万円なら111万円。合計177万円

具体的な計算例

仕入れ2,000万円、リノベ500万円、再販3,500万円の場合:

  • 再販価格: 3,500万円
  • 仕入れ価格: -2,000万円
  • リノベ費用: -500万円
  • 仲介手数料(売買合計): -177万円
  • 登記費用: -40万円
  • 金利(6ヶ月): -48万円
  • 保有期間コスト(6ヶ月): -18万円
  • 粗利: 717万円(粗利率 約20.5%)

もし金利・保有コスト・仲介手数料を抜いて計算すると「粗利1,000万円(28.6%)」になる。実態との差は約280万円。この差が見えていないと、仕入れ判断を誤る。

利益率を上げる3つの打ち手

打ち手①:仕入れの目利き精度を上げる

利益率の8割は仕入れで決まる。周辺相場を正しく把握できていれば、「この価格で買って、いくらで売れるか」の判断精度が上がる。国土交通省が提供する不動産情報ライブラリAPIを使えば、周辺の成約価格を自動で取得できる。1件60分かかっていた仕入れ判断が10分に短縮できる。

打ち手②:リノベコストを標準化する

施工パートナーとの間で、部位ごとの単価表を作る。キッチン交換○万円、クロス張替え○円/m2、フローリング○円/m2。これがあれば、物件を見た段階でリノベ費用の概算が出せる。見積もり精度が上がれば、想定外のコスト超過を防げる。

打ち手③:保有期間を短縮する

仕入れからリノベ、再販までのリードタイムを6ヶ月から4ヶ月に縮める。2ヶ月短縮するだけで、金利と固都税・管理費が浮く。先ほどの計算例なら約22万円のコスト削減。年間10件回せば220万円の差になる。リノベの着工を早める、販売価格の見直しタイミングを決めておく、といった運用ルールが効く。

利益率が低い会社に共通する3つのパターン

利益率が伸びない会社には、共通するパターンがある。

  • 仕入れ価格の交渉が甘い—周辺相場を調べずに売主の言い値で買ってしまう。相場データなしで交渉すると、根拠のない金額提示になり、結果的に高値掴みする
  • リノベの「やりすぎ」—ターゲットに対してオーバースペックな仕様にしてしまう。3,000万円台の物件にハイグレードキッチンを入れても、販売価格にはほぼ反映されない
  • 保有期間が長すぎる—「もう少し待てば高く売れるかも」と販売価格を下げるタイミングの判断が遅れる。その間も金利と固都税は積み上がり続ける

効果をどう測るか

指標現状(よくあるパターン)改善後
粗利率12〜15%20〜25%
仕入れ判断の時間1件60分1件10分
平均保有期間6ヶ月4ヶ月
リノベコストの見積もり精度±20%±5%

これらの数字を案件ごとに記録していくだけで、「どこで利益が漏れているか」が見えてくる。

最後に

御社の直近10件の買取再販、粗利率は何%だったか即答できるだろうか。

「だいたい20%くらい」ではなく、金利や保有コストを含めた実質の粗利率。もし即答できないなら、まずは直近の案件1件だけでいいから、この記事の計算式に当てはめて出してみてほしい。

数字が見えれば、次に何をすべきかが見える。仕入れの精度を上げるのか、リノベコストを見直すのか、保有期間を縮めるのか。打ち手の優先順位が明確になる。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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