買取再販の利益率はどれくらい?—相場・計算方法・利益率を上げる3つの打ち手
この記事のポイント
買取再販の利益率は業界平均15〜25%。ただしエリア・物件タイプ・リノベ戦略で大きく変わる。見落としがちなコストを含む正しい計算方法と、利益率を上げる3つの打ち手を解説。
「買取再販の利益率ってどれくらいが普通なの?」—不動産会社の経営者から最も多い質問の1つだ。
結論から言うと、業界平均は15〜25%。ただしこの数字はエリア・物件タイプ・リノベ戦略で大きく変わる。「うちは15%しか出ていない」と不安に思う必要はないし、「25%出ているから大丈夫」と安心するのも早い。
この記事では、物件タイプ別の利益率の相場、見落としがちなコストを含む正しい計算方法、そして利益率を上げるための具体的な打ち手を整理する。
買取再販の利益率の相場
物件タイプによって利益率の目安は異なる。まずは全体像を押さえておこう。
| 物件タイプ | 粗利率の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 区分マンション | 15〜20% | 価格帯が安定しやすく、回転率重視 |
| 戸建て | 20〜30% | リノベの幅が大きい分、利益率も高い |
| 土地 | 10〜15% | 加工余地が少なく、薄利 |
| カチタス(上場) | 約30% | 地方戸建て特化、仕入れ〜施工の内製化 |
| ムゲンエステート(上場) | 約20% | 都心マンション中心 |
上場企業の数字は公開されているIR資料から確認できる。自社の利益率と比較するときの参考になる。ただし上場企業はスケールメリットがあるため、中小の買取再販会社がそのまま同じ水準を目指す必要はない。
利益率の正しい計算方法—見落としがちなコスト
買取再販の粗利を正しく計算するには、以下のすべてを含める必要がある。
粗利の計算式
粗利 = 再販価格 −(仕入れ価格 + リノベ費用 + 仲介手数料 + 登記費用 + 固定資産税 + 金利 + 保有期間コスト)
問題は、多くの会社が「仕入れ価格 + リノベ費用」だけで粗利を計算してしまっていること。実際にはそこに乗ってくるコストがかなりある。
よく抜ける3つのコスト:
- 金利—融資を利用している場合、月0.3〜0.5%の金利がかかる。2,000万円の物件なら月6〜10万円。6ヶ月保有すれば36〜60万円
- 保有期間コスト—固定資産税・都市計画税、マンションなら管理費・修繕積立金、火災保険料。月2〜5万円が地味に積み上がる
- 仲介手数料—売買それぞれで最大「3%+6万円」。仕入れ2,000万円なら66万円、再販3,500万円なら111万円。合計177万円
具体的な計算例
仕入れ2,000万円、リノベ500万円、再販3,500万円の場合:
- 再販価格: 3,500万円
- 仕入れ価格: -2,000万円
- リノベ費用: -500万円
- 仲介手数料(売買合計): -177万円
- 登記費用: -40万円
- 金利(6ヶ月): -48万円
- 保有期間コスト(6ヶ月): -18万円
- 粗利: 717万円(粗利率 約20.5%)
もし金利・保有コスト・仲介手数料を抜いて計算すると「粗利1,000万円(28.6%)」になる。実態との差は約280万円。この差が見えていないと、仕入れ判断を誤る。
利益率を上げる3つの打ち手
打ち手①:仕入れの目利き精度を上げる
利益率の8割は仕入れで決まる。周辺相場を正しく把握できていれば、「この価格で買って、いくらで売れるか」の判断精度が上がる。国土交通省が提供する不動産情報ライブラリAPIを使えば、周辺の成約価格を自動で取得できる。1件60分かかっていた仕入れ判断が10分に短縮できる。
打ち手②:リノベコストを標準化する
施工パートナーとの間で、部位ごとの単価表を作る。キッチン交換○万円、クロス張替え○円/m2、フローリング○円/m2。これがあれば、物件を見た段階でリノベ費用の概算が出せる。見積もり精度が上がれば、想定外のコスト超過を防げる。
打ち手③:保有期間を短縮する
仕入れからリノベ、再販までのリードタイムを6ヶ月から4ヶ月に縮める。2ヶ月短縮するだけで、金利と固都税・管理費が浮く。先ほどの計算例なら約22万円のコスト削減。年間10件回せば220万円の差になる。リノベの着工を早める、販売価格の見直しタイミングを決めておく、といった運用ルールが効く。
利益率が低い会社に共通する3つのパターン
利益率が伸びない会社には、共通するパターンがある。
- 仕入れ価格の交渉が甘い—周辺相場を調べずに売主の言い値で買ってしまう。相場データなしで交渉すると、根拠のない金額提示になり、結果的に高値掴みする
- リノベの「やりすぎ」—ターゲットに対してオーバースペックな仕様にしてしまう。3,000万円台の物件にハイグレードキッチンを入れても、販売価格にはほぼ反映されない
- 保有期間が長すぎる—「もう少し待てば高く売れるかも」と販売価格を下げるタイミングの判断が遅れる。その間も金利と固都税は積み上がり続ける
効果をどう測るか
| 指標 | 現状(よくあるパターン) | 改善後 |
|---|---|---|
| 粗利率 | 12〜15% | 20〜25% |
| 仕入れ判断の時間 | 1件60分 | 1件10分 |
| 平均保有期間 | 6ヶ月 | 4ヶ月 |
| リノベコストの見積もり精度 | ±20% | ±5% |
これらの数字を案件ごとに記録していくだけで、「どこで利益が漏れているか」が見えてくる。
最後に
御社の直近10件の買取再販、粗利率は何%だったか即答できるだろうか。
「だいたい20%くらい」ではなく、金利や保有コストを含めた実質の粗利率。もし即答できないなら、まずは直近の案件1件だけでいいから、この記事の計算式に当てはめて出してみてほしい。
数字が見えれば、次に何をすべきかが見える。仕入れの精度を上げるのか、リノベコストを見直すのか、保有期間を縮めるのか。打ち手の優先順位が明確になる。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。
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