不動産情報ライブラリAPIの使い方|レインズAPI代替とPython取得例
この記事のポイント
不動産情報ライブラリAPIの使い方を、APIキー取得、取引価格情報API(XIT001)、Pythonでの取得例、レインズAPIが一般公開されていない場合の相場調査手順に分けて整理。実装前に確認すべきデータ範囲と利用条件も解説。
不動産情報ライブラリAPIとは、国土交通省が2024年4月から提供を開始した、不動産に関する公的データをプログラムから自動取得できるAPIのこと。地価公示、都道府県地価調査、不動産取引価格情報、都市計画情報など、従来はWebサイトで手動検索するしかなかったデータを、システムから直接取得できるようになった。
この記事では、無料で使える国交省APIの具体的な活用事例を3つ紹介し、APIキーの取得方法からPythonコード例、仕入れスコアリングの仕組みまでを解説する。
無料で使える活用事例3選
仕入れ判断の自動スコアリング
取引価格情報を取得・集計し、周辺相場を確認する工程を仕組みに組み込む。
エリア別の地価トレンド分析
地価公示・地価調査などの公的データを、エリア比較の材料として整理する。
ハザードリスクの一括チェック
防災・都市計画情報を確認項目に加え、個別の確認が必要な案件を見落としにくくする。
実際の効果は、対象データ・業務フロー・確認責任の設計によって変わります。以下で確認手順を解説します。
不動産情報ライブラリAPIで取得できるデータ
このAPIから取得できる主なデータは以下の通り。買取再販の仕入れにおいて、それぞれどう役立つかを併記する。
なおこれらは数値データとして扱うだけでなく、地図に重ねて見たほうが判断しやすいものも多い。ハザードや用途地域を地図上で突き合わせる使い方はGIS×不動産DX—国交省「不動産情報ライブラリ」で実現する仕入れ・査定・顧客提案の高度化でまとめている。
| データ種別 | API ID | 内容 | 仕入れでの活用 |
|---|---|---|---|
| 地価公示 | XKT001 | 全国約26,000地点の公示価格(毎年1月1日時点) | エリアの地価トレンドを把握し、値上がり・値下がりエリアを判別 |
| 都道府県地価調査 | XKT002 | 約21,000地点の基準地価(毎年7月1日時点) | 公示価格と半年ずれた時点でより精度の高いトレンド分析 |
| 不動産取引価格情報 | XIT001 | 実際の売買取引価格(国交省アンケート回収分・2005年Q3〜) | 周辺の実勢取引価格から、仕入れ価格の妥当性を判断 |
| 都市計画情報 | XTK001 | 用途地域、建ぺい率、容積率、防火地域など | 再販時の建築可能性(建替え・リノベ)を事前に確認 |
| 防災情報 | XBK系 | 洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域など | ハザードリスクを仕入れ判断に反映(重説にも必要) |
出典・一次情報
- 不動産情報ライブラリ「API操作説明」(公開API一覧・データの整備範囲・APIキーの申請)(国土交通省)
- 「不動産情報ライブラリの概要について」PDF(国土交通省 地理空間情報課)
- 「令和8年地価公示の概要」PDF(国土交通省)
- 「令和7年都道府県地価調査の概要」PDF(国土交通省)
制度・統計は改定されます。最新の情報は公表元でご確認ください。
レインズAPIと不動産情報ライブラリAPIの違い・使い分け
「レインズAPI」で検索する不動産会社は多いが、実はレインズ(REINS)には一般公開されたAPIは存在しない。レインズは宅建業者のみがアクセスできるクローズドなシステムで、APIによる外部連携は原則として提供されていない。
一方、不動産情報ライブラリAPIは国土交通省が一般公開しており、誰でもAPIキーを取得してデータを取得できる。両者の違いを整理する。
| 比較項目 | レインズ(REINS) | 不動産情報ライブラリAPI |
|---|---|---|
| 運営 | 不動産流通機構(民間) | 国土交通省(公的機関) |
| API公開 | 非公開(一般利用不可) | 公開(無料で利用可能) |
| データ内容 | 現在売り出し中の物件情報(リアルタイム) | 過去の取引価格・地価公示・都市計画・防災情報 |
| 利用条件 | 宅建業者のみ | 誰でも(APIキー申請のみ) |
| 仕入れでの役割 | 物件の発見・売出価格の確認 | 周辺相場の把握・仕入れ価格の妥当性判断 |
実務での使い分け
レインズで「売りに出ている物件」を見つけ、不動産情報ライブラリAPIで「その物件の周辺相場・地価トレンド・ハザード情報」を自動取得して仕入れ判断を行う—この組み合わせが最も効率的。レインズの情報を手動で確認しつつ、相場分析の部分をAPIで自動化するイメージ。
APIキーの取得方法
不動産情報ライブラリAPIを使うには、まずAPIキーを取得する必要がある。申請条件や利用上の注意は、実行前に公式のAPI操作説明と利用規約を確認する。
APIキー取得の手順
- 不動産情報ライブラリ APIマニュアルにアクセス
- 「API利用申請」画面で、利用規約に同意のうえ必要事項を入力
- 審査・承認後、APIキーが発行される
- リクエスト時はHTTPヘッダーに
Ocp-Apim-Subscription-KeyとしてAPIキーを設定
発行時期は申請状況によって変わるため、利用開始日が決まっている場合は余裕を持って申請する。最新の案内は公式のAPI操作説明を確認する。
取引価格情報API(XIT001)の使い方
不動産取引価格情報を取得するAPIのエンドポイント、パラメータ、レスポンスを具体的に説明する。
エンドポイントとパラメータ
# エンドポイント
GET https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ex-api/external/XIT001
# ヘッダー
Ocp-Apim-Subscription-Key: あなたのAPIキー
# パラメータ例(東京都渋谷区・2025年第4四半期・取引価格)
?year=2025&quarter=4&area=13&city=13113&priceClassification=01
| パラメータ | 必須 | 説明 | 例 |
|---|---|---|---|
| year | 必須 | 取引時期(年) | 2025 |
| quarter | 任意 | 四半期(1=1-3月, 2=4-6月, 3=7-9月, 4=10-12月) | 4 |
| area | 必須 | 都道府県コード(1〜47) | 13(東京都) |
| city | 任意 | 市区町村コード | 13113(渋谷区) |
| station | 任意 | 駅コード | — |
| priceClassification | 任意 | 01=取引価格, 02=成約価格(2021年Q1〜) | 01 |
レスポンスで返ってくるデータ
レスポンスはJSON形式で、{"status": "OK", "data": [...]} の構造。data配列の中に、1件1件の取引情報がオブジェクトで入っている。
// レスポンス例(1件分)
{
"Type": "宅地(土地と建物)",
"Prefecture": "東京都",
"Municipality": "渋谷区",
"DistrictName": "恵比寿南",
"TradePrice": "98000000", // 取引価格(円)
"PricePerUnit": "1650000", // 坪単価(円)
"Area": "65", // 面積(㎡)
"FloorPlan": "2LDK",
"BuildingYear": "平成20年",
"Structure": "RC",
"CityPlanning": "商業地域", // 用途地域
"CoverageRatio": "80", // 建ぺい率(%)
"FloorAreaRatio": "500", // 容積率(%)
"Period": "2025年第4四半期",
// ... 返却項目は公式仕様を確認
}
仕入れ判断で特に重要なのは TradePrice(取引価格)、PricePerUnit(坪単価)、CityPlanning(用途地域)、CoverageRatio/FloorAreaRatio(建ぺい率/容積率)の4項目。これらを周辺物件と比較することで、仕入れ価格の妥当性を判断できる。
Pythonで取引価格情報を取得するコード例
実際にAPIを叩いて取引価格情報を取得するPythonコードを示す。Google ColaboratoryやローカルのPython環境で動く。
# 不動産情報ライブラリAPI 取引価格情報取得
import
requests
import
pandas as pd
API_KEY = "あなたのAPIキー"
BASE_URL = "https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ex-api/external/XIT001"
headers = {"Ocp-Apim-Subscription-Key": API_KEY}
# 東京都渋谷区・2025年・取引価格を取得
params = {
"year": "2025",
"area": "13",
"city": "13113",
"priceClassification": "01"
}
response = requests.get(BASE_URL, headers=headers, params=params)
data = response.json()
# DataFrameに変換して一覧表示
df = pd.DataFrame(data["data"])
df[["DistrictName", "TradePrice", "PricePerUnit", "Area", "FloorPlan", "BuildingYear"]]
これだけで、渋谷区の2025年の全取引データがDataFrameとして手に入る。市区町村コードの一覧は別のAPI(XIT002)で取得できる。
取得したデータをTableauやLooker Studioで社内に共有したくなった場合は、BIツールからこのAPIを直接叩かず、定期取得して保存する層を1つ挟む構成にする。認証ヘッダー・GeoJSON・アクセス制限のどれかで詰まるためで、スプレッドシート経由とBigQuery経由の使い分けは不動産情報ライブラリAPIをBIツールに繋ぐ手順に整理してある。
仕入れ・営業・データの詰まりを診断する
自社で先に整えるべき業務とデータの場所を3分で確認
従来の仕入れ調査との違い
買取再販の仕入れ調査は、これまで次のような手順で行われていた。
手作業で調べる場合の確認項目
1. ポータル・業者間流通で対象物件を確認
2. 取引価格・地価公示・都市計画・防災情報を確認
3. 必要な情報を案件ごとの判断資料へ整理
確認時間は、対象エリア・確認項目・既存の帳票によって異なる
APIを組み込む場合の設計例
1. 物件の住所・条件を入力
2. 必要なAPIからデータを取得し、案件にひも付ける
3. 社内で定めた確認項目を表示し、担当者が判断する
削減効果は、導入前後で同じ案件群を計測して評価する
API導入の価値は、取得作業を減らすことだけではない。誰が何を確認し、どの条件で次の判断に進むかを共通化しやすくなる点にある。導入効果は、作業時間だけでなく、確認漏れ・差し戻し・判断待ちも含めて比較する。
【事例1】取引価格APIで仕入れを自動スコアリングする
APIから取得したデータを単に見るだけでは、手動検索の延長線にすぎない。本当の価値は、データをもとに「仕入れるべきかどうか」を自動でスコアリングできることにある。
スコアリングの考え方(買取再販の場合)
買取再販の利益は「仕入れ価格」と「再販価格」の差で決まる。つまり、スコアリングで評価すべきは以下の3点。
① 再販価格の予測精度(取引価格情報APIで取得)
周辺のTradePrice(取引価格)とPricePerUnit(坪単価)から、リノベ後の再販想定価格を推計。取引事例が5件以上あるエリアは予測精度が高く、スコアを加点。
② 【事例2】エリアの将来性を地価トレンドで判定
地価公示・基準地価の過去5年の推移から、地価が上昇傾向か下落傾向かを判定。上昇エリアは再販時にも値上がりが期待でき、スコアを加点。
③ 【事例3】ハザードリスクを防災APIで一括チェック
CityPlanning(用途地域)、CoverageRatio(建ぺい率)と防災情報をAPI取得し、再建築不可リスクやハザードリスクがある物件はスコアを減点。
スコア例:物件Aと物件Bの比較
| 評価項目 | 物件A | 物件B |
|---|---|---|
| 周辺取引事例数(API取得) | 12件(◎) | 2件(△) |
| 地価トレンド(5年) | +8.2%(◎) | -3.1%(×) |
| 想定利益率 | 18%(○) | 22%(◎) |
| ハザードリスク | なし(◎) | 浸水想定区域(×) |
| 総合スコア | 85点(仕入れ推奨) | 42点(要注意) |
この表は判断基準の置き方を説明するための例であり、実在の物件や成約を示すものではない。APIデータは判断材料の一つとして使い、最終判断は自社の仕入れ基準と必要な確認を踏まえて行う。
API活用の注意点
取引価格情報データの更新頻度と偏り
地価公示は年1回(1月1日時点、3月公表)、取引価格情報は四半期ごとの更新。リアルタイムの市況を反映しているわけではないため、直近の市場動向はレインズや業者間ネットワークの情報と組み合わせて判断する必要がある。
不動産取引価格情報には、対象時期・地域・物件種別によってデータが十分でない場合がある。個別の仕入れ判断では、公開データだけで完結させず、必要な一次情報や社内基準と合わせて確認する。
APIの利用制限
同一APIキーから多数のリクエストがある場合、アクセス制限が設けられることがある。明確な上限は公開されていないため、連続実行を避け、キャッシュや間隔制御を設計する。詳細は公式のAPI操作説明を確認する。
自社で開発するか、既存サービスを使うか
不動産情報ライブラリAPIは公開APIなので、自社で開発することも可能。必要な工数と費用は、対象データ、既存システムとの連携、判断ロジック、運用・保守の範囲で大きく変わる。先に小さな対象業務で要件と効果を検証すると判断しやすい。
社内にエンジニアがいない場合でも、最初に必要なのは「何を自動取得し、誰が最終確認するか」の整理。SalesDockでは、仕入れ・営業・経営データを含めた業務基盤の設計から相談できる。
まとめ:取引価格情報APIをどう「使うか」が差になる
不動産情報ライブラリAPIは、不動産業界のデジタル化を大きく後押しする公的インフラ。しかし、APIが公開されたこと自体は全プレイヤーに平等。差がつくのは「取得した取引価格情報データをどう仕入れ判断に活かすか」というロジック部分。
データの取得は自動化できても、判断基準のスコアリングは各社の仕入れ戦略に依存する。自社のエリア特性や物件タイプに合わせたスコアリングを設計することが、API活用の最大のポイント。
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よくある質問
不動産情報ライブラリの取引価格情報APIとは何ですか?
不動産情報ライブラリは、国土交通省が公開する不動産取引価格、地価公示、防災・都市計画などの情報を扱うサイトです。XIT001は不動産価格(取引価格・成約価格)情報を取得する公開APIです。利用には規約への同意とAPI利用申請、発行されたAPIキーの設定が必要です。
不動産情報ライブラリAPIのAPIキーはどうやって取得しますか?
不動産情報ライブラリの公式サイトからAPI利用申請を行います。利用規約に同意のうえ必要事項を入力し、審査・承認後に発行されたAPIキーをリクエストヘッダーの「Ocp-Apim-Subscription-Key」に設定します。発行時期や利用条件は公式のAPI操作説明で確認してください。
不動産情報ライブラリAPIを活用すると仕入れ調査はどれくらい効率化できますか?
APIを使うと、複数の公的データを取得・集計する処理を仕組みに組み込めます。削減できる時間は、対象エリア、確認項目、既存の業務フロー、実装内容によって異なります。導入前に、手作業の工程と確認責任を整理してから検証してください。
レインズAPIは一般公開されていますか?
レインズ(REINS)には一般公開されたAPIは存在しません。レインズは宅建業者のみがアクセスできるクローズドなシステムです。不動産の取引価格データをAPIで取得したい場合は、国土交通省の不動産情報ライブラリAPI(XIT001)を利用します。レインズで物件を見つけ、不動産情報ライブラリAPIで周辺相場を自動取得する組み合わせが効率的です。
不動産取引価格情報APIで取得できるデータ項目は何ですか?
不動産価格(取引価格・成約価格)情報取得APIでは、取引価格情報と成約価格情報を取得できます。取引価格情報は2005年第3四半期以降、成約価格情報は2021年第1四半期以降が整備範囲です。返却項目と最新の仕様は公式の個別API操作説明で確認してください。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。
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