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不動産

不動産情報ライブラリAPI・レインズAPI活用ガイド—仕入れ調査を60分→7分に短縮する方法

15分で読める

この記事のポイント

レインズAPIは非公開だが、国土交通省の不動産情報ライブラリAPIなら取引価格データを無料で取得できる。APIキー取得からPythonコード例、仕入れスコアリングまで実践的に解説。レインズとの使い分けも紹介。

不動産情報ライブラリAPIとは、国土交通省が2024年4月から提供を開始した、不動産に関する公的データをプログラムから自動取得できるAPIのこと。地価公示、都道府県地価調査、不動産取引価格情報、都市計画情報など、従来はWebサイトで手動検索するしかなかったデータを、システムから直接取得できるようになった。

この記事では、特に不動産取引価格情報を取得するAPI(XIT001)にフォーカスして、APIキーの取得方法から、実際のリクエスト・レスポンスの中身、Pythonでのコード例、そして仕入れ判断に活用するスコアリングの仕組みまでを解説する。

不動産情報ライブラリAPIで取得できるデータ

このAPIから取得できる主なデータは以下の通り。買取再販の仕入れにおいて、それぞれどう役立つかを併記する。

データ種別API ID内容仕入れでの活用
地価公示XKT001全国約26,000地点の公示価格(毎年1月1日時点)エリアの地価トレンドを把握し、値上がり・値下がりエリアを判別
都道府県地価調査XKT002約21,000地点の基準地価(毎年7月1日時点)公示価格と半年ずれた時点でより精度の高いトレンド分析
不動産取引価格情報XIT001実際の売買取引価格(国交省アンケート回収分・2005年Q3〜)周辺の実勢取引価格から、仕入れ価格の妥当性を判断
都市計画情報XTK001用途地域、建ぺい率、容積率、防火地域など再販時の建築可能性(建替え・リノベ)を事前に確認
防災情報XBK系洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域などハザードリスクを仕入れ判断に反映(重説にも必要)

レインズAPIと不動産情報ライブラリAPIの違い・使い分け

「レインズAPI」で検索する不動産会社は多いが、実はレインズ(REINS)には一般公開されたAPIは存在しない。レインズは宅建業者のみがアクセスできるクローズドなシステムで、APIによる外部連携は原則として提供されていない。

一方、不動産情報ライブラリAPIは国土交通省が一般公開しており、誰でもAPIキーを取得してデータを取得できる。両者の違いを整理する。

比較項目レインズ(REINS)不動産情報ライブラリAPI
運営不動産流通機構(民間)国土交通省(公的機関)
API公開非公開(一般利用不可)公開(無料で利用可能)
データ内容現在売り出し中の物件情報(リアルタイム)過去の取引価格・地価公示・都市計画・防災情報
利用条件宅建業者のみ誰でも(APIキー申請のみ)
仕入れでの役割物件の発見・売出価格の確認周辺相場の把握・仕入れ価格の妥当性判断

実務での使い分け

レインズで「売りに出ている物件」を見つけ、不動産情報ライブラリAPIで「その物件の周辺相場・地価トレンド・ハザード情報」を自動取得して仕入れ判断を行う—この組み合わせが最も効率的。レインズの情報を手動で確認しつつ、相場分析の部分をAPIで自動化するイメージ。

APIキーの取得方法(無料・5営業日で発行)

不動産情報ライブラリAPIを使うには、まずAPIキーを取得する必要がある。費用は無料。

APIキー取得の手順

  1. 不動産情報ライブラリ APIマニュアルにアクセス
  2. 「API利用申請」画面で、利用規約に同意のうえ必要事項を入力
  3. 審査・承認後、5営業日以内にAPIキーがメールで届く
  4. リクエスト時はHTTPヘッダーに Ocp-Apim-Subscription-Key としてAPIキーを設定

申請から発行まで最大5営業日かかるので、「使ってみたい」と思ったら先に申請だけしておくのがおすすめ。

取引価格情報API(XIT001)の使い方

不動産取引価格情報を取得するAPIのエンドポイント、パラメータ、レスポンスを具体的に説明する。

エンドポイントとパラメータ

# エンドポイント

GET https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ex-api/external/XIT001

# ヘッダー

Ocp-Apim-Subscription-Key: あなたのAPIキー

# パラメータ例(東京都渋谷区・2025年第4四半期・取引価格)

?year=2025&quarter=4&area=13&city=13113&priceClassification=01

パラメータ必須説明
year必須取引時期(年)2025
quarter任意四半期(1=1-3月, 2=4-6月, 3=7-9月, 4=10-12月)4
area必須都道府県コード(1〜47)13(東京都)
city任意市区町村コード13113(渋谷区)
station任意駅コード
priceClassification任意01=取引価格, 02=成約価格(2021年Q1〜)01

レスポンスで返ってくるデータ(26項目)

レスポンスはJSON形式で、{"status": "OK", "data": [...]} の構造。data配列の中に、1件1件の取引情報がオブジェクトで入っている。

// レスポンス例(1件分)

{

"Type": "宅地(土地と建物)",

"Prefecture": "東京都",

"Municipality": "渋谷区",

"DistrictName": "恵比寿南",

"TradePrice": "98000000", // 取引価格(円)

"PricePerUnit": "1650000", // 坪単価(円)

"Area": "65", // 面積(㎡)

"FloorPlan": "2LDK",

"BuildingYear": "平成20年",

"Structure": "RC",

"CityPlanning": "商業地域", // 用途地域

"CoverageRatio": "80", // 建ぺい率(%)

"FloorAreaRatio": "500", // 容積率(%)

"Period": "2025年第4四半期",

// ... 他12項目

}

仕入れ判断で特に重要なのは TradePrice(取引価格)PricePerUnit(坪単価)CityPlanning(用途地域)CoverageRatio/FloorAreaRatio(建ぺい率/容積率)の4項目。これらを周辺物件と比較することで、仕入れ価格の妥当性を判断できる。

Pythonで取引価格情報を取得するコード例

実際にAPIを叩いて取引価格情報を取得するPythonコードを示す。Google ColaboratoryやローカルのPython環境で動く。

# 不動産情報ライブラリAPI 取引価格情報取得

import

requests

import

pandas as pd

API_KEY = "あなたのAPIキー"

BASE_URL = "https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ex-api/external/XIT001"

headers = {"Ocp-Apim-Subscription-Key": API_KEY}

# 東京都渋谷区・2025年・取引価格を取得

params = {

"year": "2025",

"area": "13",

"city": "13113",

"priceClassification": "01"

}

response = requests.get(BASE_URL, headers=headers, params=params)

data = response.json()

# DataFrameに変換して一覧表示

df = pd.DataFrame(data["data"])

df[["DistrictName", "TradePrice", "PricePerUnit", "Area", "FloorPlan", "BuildingYear"]]

これだけで、渋谷区の2025年の全取引データがDataFrameとして手に入る。市区町村コードの一覧は別のAPI(XIT002)で取得できる。

従来の仕入れ調査との違い

買取再販の仕入れ調査は、これまで次のような手順で行われていた。

従来の仕入れ調査フロー(1物件あたり)

1. ポータルサイト(レインズ・アットホーム・楽待等)で物件をピックアップ …15分

2. 国交省「不動産情報ライブラリ」サイトで地価公示を手動検索 …10分

3. 同サイトで周辺の取引価格情報を手動検索 …10分

4. 都市計画情報を自治体サイトで確認 …10分

5. ハザードマップポータルで防災情報を確認 …5分

6. 情報をExcelに転記して整理 …10分

合計:1物件あたり約60分(5物件チェックで5時間)

API活用後の仕入れ調査フロー(1物件あたり)

1. 物件の住所・条件を入力 …2分

2. APIが地価公示・取引価格情報・都市計画・防災情報を自動取得 …自動(数秒)

3. スコアリングロジックが仕入れ推奨度を自動算出 …自動

4. ダッシュボードで結果を確認し、判断 …5分

合計:1物件あたり約7分(5物件チェックで35分)

同じ5物件の調査にかかる時間が、5時間→35分に短縮される。これは単なる時短ではなく、「1日にチェックできる物件数」が大幅に増えることを意味する。良い物件は早い者勝ちの世界で、この差は仕入れの成約率に直結する。

取引価格情報APIデータを使った仕入れスコアリングの仕組み

APIから取得したデータを単に見るだけでは、手動検索の延長線にすぎない。本当の価値は、データをもとに「仕入れるべきかどうか」を自動でスコアリングできることにある。

スコアリングの考え方(買取再販の場合)

買取再販の利益は「仕入れ価格」と「再販価格」の差で決まる。つまり、スコアリングで評価すべきは以下の3点。

① 再販価格の予測精度(取引価格情報APIで取得)

周辺のTradePrice(取引価格)とPricePerUnit(坪単価)から、リノベ後の再販想定価格を推計。取引事例が5件以上あるエリアは予測精度が高く、スコアを加点。

② エリアの将来性(地価公示APIで取得)

地価公示・基準地価の過去5年の推移から、地価が上昇傾向か下落傾向かを判定。上昇エリアは再販時にも値上がりが期待でき、スコアを加点。

③ リスク要因の有無(都市計画・防災APIで取得)

CityPlanning(用途地域)、CoverageRatio(建ぺい率)と防災情報をAPI取得し、再建築不可リスクやハザードリスクがある物件はスコアを減点。

スコア例:物件Aと物件Bの比較

評価項目物件A物件B
周辺取引事例数(API取得)12件(◎)2件(△)
地価トレンド(5年)+8.2%(◎)-3.1%(×)
想定利益率18%(○)22%(◎)
ハザードリスクなし(◎)浸水想定区域(×)
総合スコア85点(仕入れ推奨)42点(要注意)

物件Bは想定利益率だけ見ると魅力的だが、地価下落エリアかつ浸水想定区域内のため、再販リスクが高い。こうした判断を、ベテランは「経験」でやっているが、APIデータとスコアリングを使えば経験3年目の営業マンでも同水準の判断が可能になる。

API活用の注意点

取引価格情報データの更新頻度と偏り

地価公示は年1回(1月1日時点、3月公表)、取引価格情報は四半期ごとの更新。リアルタイムの市況を反映しているわけではないため、直近の市場動向はレインズや業者間ネットワークの情報と組み合わせて判断する必要がある。

また、不動産取引価格情報は国交省のアンケートに回答した取引のみが掲載されている。回収率は約30%程度とされ、すべての取引をカバーしているわけではない。特に地方や取引件数が少ないエリアでは、データが不足する場合がある。

APIの利用制限

不動産情報ライブラリAPIは無料で利用できるが、リクエスト数に制限がある。大量の物件を一括チェックする場合は、キャッシュの仕組みやリクエストの最適化が必要。

自社で開発するか、既存サービスを使うか

不動産情報ライブラリAPIは公開APIなので、自社でエンジニアを雇って開発することも可能。ただし、APIの仕様理解、データの正規化、スコアリングロジックの設計、UIの開発まで含めると、最低でも3〜6ヶ月の開発期間と数百万円のコストがかかる。

社内にエンジニアがいない場合は、すでにAPIを組み込んだサービスを利用する方が現実的。SalesDockでは、不動産情報ライブラリAPIを活用した仕入れ効率化の仕組みを、API連携・スコアリング・ダッシュボードのパッケージで提供している。

まとめ:取引価格情報APIをどう「使うか」が差になる

不動産情報ライブラリAPIは、不動産業界のデジタル化を大きく後押しする公的インフラ。しかし、APIが公開されたこと自体は全プレイヤーに平等。差がつくのは「取得した取引価格情報データをどう仕入れ判断に活かすか」というロジック部分。

データの取得は自動化できても、判断基準のスコアリングは各社の仕入れ戦略に依存する。自社のエリア特性や物件タイプに合わせたスコアリングを設計することが、API活用の最大のポイント。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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