楽待の掲載料金はどう決まるのか|プラン構成と反響単価の見方
金額の掲載について:掲載プランと料金は改定されるため、この記事では具体的な金額を書いていません。最新の金額は楽待の公式サイトの掲載案内でご確認ください。この記事が扱うのは、提示された金額を社内でどう評価するかという部分です。
この記事のポイント
掲載料で最初に確認するのは金額ではなく課金の単位です。枠なのか、物件数なのか、期間なのか。ここが分かると「物件を10件に増やしたら費用がいくらになるか」が事前に計算でき、増やす前に判断できます。
収益物件のポータル掲載を検討している会社から「楽待って高いんですか」と聞かれることがあります。この質問には、そのままでは答えられません。月額の絶対額は、扱う物件の価格帯と粗利によって高くも安くもなるからです。
一棟の収益物件を1件仲介したときの手数料と、区分ワンルームを1件仲介したときの手数料では、桁が違うこともあります。同じ月額でも、前者を扱う会社にとっては安く、後者しか扱わない会社にとっては高い。だから金額を単体で見ても判断できません。
この記事では、掲載料を社内で判断できる形に置き直す手順を整理します。実際にやることは3つです。課金の単位を読む、反響単価に換算する、増やしたときの費用の伸び方を計算する。
収益物件ポータルの料金は、居住用と別の読み方をする
居住用の総合ポータルの料金体系については「不動産ポータルサイトの掲載料金比較」と「不動産ポータルの課金方式3つ」で扱っています。収益物件のポータルをこの表に並べても、比較としては成立しません。理由は3つあります。
1. 読者の母数が違う
居住用ポータルの利用者は住まいを探している人全般で、母数が大きいぶん反響も多く出ます。収益物件のポータルは投資家に絞られるので、反響の絶対数は少なくなります。件数だけを比べると必ず収益物件側が負けます。
2. 1件あたりの単価が違う
反響が少なくても、1件が成約したときの手数料が大きければ成立します。評価は件数ではなく単価まで落として行う必要があります。
3. 掲載する物件の入れ替わり方が違う
賃貸の居住用は毎月大量に入れ替わりますが、収益物件は同じ物件が数ヶ月掲載され続けることがあります。掲載期間で課金される仕組みだと、長期化した物件のコストが積み上がります。
まず「何に対して課金されているか」を1行で書き出す
見積もりや掲載案内を受け取ったら、金額の前にこの1行を書き出します。「当社は◯◯が1つ増えるごとに◯円払っている」。この◯◯の部分が課金単位です。
| 課金の単位 | 物件を増やしたときの伸び方 | 注意して見るところ |
|---|---|---|
| 掲載枠の数 | 枠の上限までは費用が変わらない。上限を超えた瞬間に段差で上がる | 上限に張り付いていないか。空いている枠があるなら実質的に単価が上がっている |
| 物件数 | 物件数に比例して増える | 売れ残っている物件がそのまま費用になる。掲載を止める判断基準が必要 |
| 掲載期間 | 物件数ではなく、長引いた物件の分だけ増える | 平均掲載日数を把握しているか。長期化物件が費用を押し上げる |
| オプション(上位表示・特集など) | 基本料と別に、都度または月額で上乗せ | 効果測定をしていないと外せなくなる。使った月と使わなかった月の反響を比べる |
実務で見ていて多いのは、枠課金なのに枠を余らせているケースです。5枠契約していて常時3枠しか使っていないなら、実質の単価は契約時の想定より高くなっています。これは料金表を見ても気づけません。自社の掲載件数の推移を月次で見て初めて分かります。
反響単価と成約単価に換算する
金額の評価は、次の2つの割り算だけで足ります。
反響単価= その媒体に払った月額 ÷ その媒体から来た月間の反響件数
成約単価= その媒体に払った月額 ÷ その媒体経由の月間の成約件数
成約は月によってゼロになるため、成約単価は3ヶ月または6ヶ月の合計で出します。単月で見ると意味のある数字になりません。
この計算をするには、反響がどの媒体から来たかを記録している必要があります。ここでつまずく会社が多い、というより、ほとんどの会社がここでつまずきます。問い合わせフォームからの反響も電話も、媒体名を残さないまま営業のメモに埋もれるからです。
支援先で最初にやってもらうのは、反響の記録欄に「媒体」という列を1つ足すことだけです。選択肢を5つ以内に絞って、必ず選ばせる。これだけで翌月から反響単価が出せるようになります。広告費の投資対効果の考え方そのものは「ポータル広告費の費用対効果をどう測るか」でも扱っています。媒体が変わっても、測り方の骨格は同じです。
収益物件は「反響単価が高くても成立する」ことがある
居住用の感覚で反響単価を見ると、収益物件のポータルは高く見えます。ただ、判断の分岐はそこではありません。見るべきは成約1件あたりの粗利に対して、成約単価が何パーセントかです。
一棟物件を扱う会社と区分を扱う会社では、この比率がまったく違う値になります。同じ月額でも、前者では広告費比率が数パーセントに収まり、後者では二桁になることがあります。自社の平均成約単価がいくらなのかを先に出しておかないと、掲載料の話は結論が出ません。
なお、投資家からの問い合わせには情報収集目的のものも一定数含まれます。反響件数を分母に置くとき、この層を含めるかどうかで単価が変わります。含めた数字と除いた数字の両方を持つのではなく、どちらか一方に決めて社内で統一するほうが実務では機能します。一次仕分けの基準は「楽待の反響をさばく順番」で整理しました。
規模によって、判断の材料が変わる
| 規模 | 典型的な状況 | 先に決めること |
|---|---|---|
| 中小(〜30人) | 掲載件数が少なく、月ごとの反響のブレが大きい。単月の数字では判断できない | 評価の期間を6ヶ月に固定する。3ヶ月未満で増減を判断しない |
| 準大手(50〜300人) | 媒体費が部署・支店ごとに分散していて、全社の合計が誰にも見えていない | 媒体ごとの支払を1枚に集約する。支店別の反響単価を並べると差が見える |
準大手で起きがちなのは、同じ媒体に複数の部署が別契約で払っているケースです。合算すればまとめて交渉できる金額になっているのに、1件ずつでは交渉の材料になりません。掲載料の見直しは、金額を下げる交渉より先に、支払を1枚にまとめるところから始まります。
掲載内容を整えるほうが、値下げより早いことがある
反響単価は分母(反響件数)でも下がります。そして分母は、掲載内容を整えるだけで動くことがあります。
実際によく見るのは、募集が終わっている物件が掲載に残っている、価格改定が反映されていない、写真が数枚しかない、といった状態です。これらは掲載料と無関係に反響を落とします。掲載の更新運用については「収益物件の掲載運用」と「ポータル更新もれを防ぐ仕組み」で扱っています。
なお、実際には取引できない物件を掲載し続けることは、広告表示のルール上も問題になります。不動産の広告表示には公正競争規約があり、おとり広告についての考え方も公表されています。掲載を止める判断は、費用の話であると同時に表示ルールの話でもある、という前提で運用を決めておくほうが安全です。
まとめ
掲載料の判断は、金額を見る前に課金単位を1行で書き出すところから始めます。次に反響単価と成約単価に換算し、成約1件の粗利に対する比率で評価する。この2ステップを踏むと、「高いか安いか」という主観の議論が「増やすか減らすか」の判断に変わります。
そのために必要なのは、反響の記録に媒体の列を1つ足すことだけです。ここが埋まっていない状態で料金表を眺めても、判断の材料は増えません。
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出典・一次情報
- 楽待(収益物件専門の不動産ポータル)— 掲載プラン・料金は公式の掲載案内をご確認ください
- 公正競争規約の紹介(不動産公正取引協議会連合会)
- 「おとり広告」の規制概要及びインターネット広告の留意事項(PDF)
掲載プラン・料金・規約はいずれも改定されます。判断に用いる際は公表元で最新の内容をご確認ください。本記事の運用に関する記述は、当社が支援している会社の事例をもとに一般化したものです。
よくある質問
楽待の掲載料金はいくらですか?
掲載プランと料金はポータル側で改定されるため、金額は必ず公式の掲載案内で最新のものを確認してください。この記事では具体的な金額ではなく、料金が「何に対して課金されているか」の読み方を扱っています。収益物件ポータルの料金は、掲載枠の数・掲載する物件数・掲載期間・オプション広告のいずれか、あるいはその組み合わせで決まる形が一般的です。どの単位で課金されているかが分かると、物件を増やしたときに費用がどう伸びるかを事前に計算できます。
掲載料が高いかどうかは、何と比べれば判断できますか?
月額そのものではなく、反響単価(月額 ÷ 月間の反響件数)と成約単価(月額 ÷ 月間の成約件数)に換算して比べます。収益物件は1件あたりの粗利が実需より大きいことが多いため、反響単価が居住用ポータルより高くても成立する場合があります。逆に、反響件数が読めないうちに枠を増やすと、単価だけが上がります。3ヶ月ぶんの実績を出してから増減を決めるのが安全です。
掲載料を下げるより先にやることはありますか?
掲載している物件の情報が古くないかを確認するほうが先です。募集終了のまま残っている物件や、価格改定が反映されていない物件があると、反響が落ちるだけでなく問い合わせの質も下がります。同じ料金で反響が増えれば反響単価は下がるので、実質的な値下げと同じ効果になります。プラン変更の交渉は、掲載内容を整えたうえで実績の数字を持って行うほうが話が早く進みます。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。
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