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不動産

楽待と健美家をどう使い分けるか|収益物件ポータルの併用設計

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この記事は各サービスの機能比較ではありません。掲載プラン・機能・料金は改定されるため、比較の前提となる情報は楽待健美家の公式情報でご確認ください。ここで扱うのは、2媒体を運用する側の判断と作業設計です。

この記事のポイント

併用の判断は、掲載料の合計ではなく更新作業の総量で決まります。媒体を1つ増やすと、新規登録・価格改定・募集終了の3作業が2倍になる。この人手が確保できないなら、媒体を増やすより1媒体の掲載精度を上げるほうが結果が出ます。

収益物件のポータルを1つ使っている会社から「もう1つ増やしたほうがいいか」と相談されることがあります。このとき最初に聞くのは、料金でも反響数でもありません。「価格を改定したとき、掲載に反映されるまで何日かかっていますか」です。

この答えが「その日のうち」なら、増やしても回ります。「気づいたときに直している」なら、増やすと2媒体とも古い情報になります。掲載先を増やして困るのは料金ではなく、更新が追いつかなくなることです。

媒体を増やすと、何が2倍になるのか

掲載先が1つ増えたときに増える作業は、思っているより多岐にわたります。新規登録だけなら1物件あたり数十分の話ですが、実際に効いてくるのは登録後に発生する更新のほうです。

作業発生頻度漏れたときに起きること
新規登録物件を預かるたび掲載開始が遅れる。売主への報告と実態がずれる
価格改定物件によっては月1回以上古い価格で問い合わせが来る。説明のやりとりが増える
レントロールの更新入退去のたび掲載の利回りと現況が合わなくなる。商談の途中で数字を出し直すことになる
募集終了成約・取り下げのたび取引できない物件が掲載に残る。広告表示のルール上も問題になる

このうち最も漏れやすいのが募集終了です。成約したときは営業が動いていて掲載のことは頭にありませんし、取り下げは売主からの連絡が起点なので通知が営業個人で止まります。掲載の更新もれ全般の防ぎ方は「ポータル更新もれを防ぐ仕組み」で扱っています。媒体が2つになると、この漏れが2箇所で起きます。

併用するなら、分け方は1つの基準に絞る

併用の形は大きく2つです。全物件を両方に出すか、物件を振り分けるか。振り分ける場合、基準は1つだけにします。

価格帯で分ける

一棟と区分で買主の層が違うため、価格帯を境にする分け方は担当者にも説明しやすい形です。境目の金額を1つ決めて、迷ったら上の媒体に出す、と決めておきます。

エリアで分ける

複数エリアで仕入れている会社向けです。ただしエリアの境は物件によって曖昧になるので、市区町村単位まで落として一覧にしておかないと運用で崩れます。

物件種別で分ける

一棟マンション・一棟アパート・区分・戸建・土地のうち、どれをどちらに出すかを決めます。種別は物件登録の時点で確定しているので、判断に迷いが出にくい分け方です。

やってはいけないのは「反響が取れそうなほうに出す」という基準です。これは基準ではなく担当者の勘なので、人が替わった瞬間に運用が変わります。そして後から振り返っても、どちらの媒体が効いていたのかが分からなくなります。

2媒体目を入れるなら、テスト期間を先に決める

媒体を追加するとき、期間を決めずに始めると、やめる判断が永久に来ません。毎月の固定費として定着し、3年後に「昔から入れているので」という理由で残っている状態になります。

支援先には、追加する前に次の3つを紙に書いてもらっています。

1. 判断する時期:6ヶ月後の何月に判断するかを日付で書く。成約は月によってゼロになるので、3ヶ月では判断材料がそろいません。

2. 判断に使う数字:媒体別の反響件数と成約件数。これを取るために、反響の記録に媒体の列を先に足しておきます。

3. 続ける条件:「成約単価が既存媒体の◯倍以内」あるいは「6ヶ月で成約◯件」など、続ける側の条件を先に書きます。やめる条件ではなく続ける条件にするのは、そのほうが判断が甘くならないためです。

反響単価・成約単価の出し方は「楽待の掲載料金はどう決まるのか」に整理しました。媒体が違っても、換算の手順は同じです。

同じ買主が両方から来ることをどう扱うか

併用すると、同じ投資家が両方の媒体から問い合わせてくることがあります。このとき媒体別の反響件数をそのまま足すと、実際より多く見えます。

対処はシンプルで、顧客側で名寄せしてから媒体を数えることです。同じ人からの2件目以降は「重複」として別に数え、媒体別の件数からは外す。少し手間ですが、この処理をしないと2媒体目の効果が実態より大きく見え、やめる判断ができなくなります。

名寄せの基準は電話番号かメールアドレスのどちらかに固定します。氏名で寄せると、法人名義と個人名義が混ざったときに崩れます。反響データを顧客の資産として積み上げる考え方は「追客データを資産にする」でも触れています。

規模別に見た、併用が向くかどうか

規模併用の向き不向き理由
中小(〜30人)掲載更新の担当が1人で兼務なら、まず1媒体に寄せる更新作業が2倍になると、他の業務を優先した週に必ず遅れが出る。古い情報での反響は対応コストが高い
準大手(50〜300人)併用の余地はある。ただし媒体ごとに担当が別だと情報がずれる物件情報の正本を1箇所に決め、そこから各媒体へ反映する順番を固定できるかが分かれ目

準大手の場合、媒体を増やす前に決めるべきなのは物件情報の正本をどこに置くかです。正本が決まっていれば媒体は増やせますし、決まっていなければ1媒体でも情報がずれます。これは媒体の問題ではなく社内のデータの問題です。「物件情報の入力を効率化する」で、正本と掲載先の関係を整理しています。

まとめ

収益物件ポータルの併用は、料金の足し算ではなく更新作業の掛け算で考えます。価格改定と募集終了が当日中に反映できているなら併用は回ります。そうでないなら、媒体を増やす前に1媒体の更新を早くするほうが、反響の質も量も改善します。

併用するなら、分け方は1基準に絞り、判断する時期と続ける条件を先に紙に書く。これだけで、なんとなく続く固定費になることを防げます。

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※ 掲載プラン・料金・利用条件は各サービスで改定されます。比較・判断の際は必ず公表元で最新の内容をご確認ください。本記事の運用に関する記述は、当社が支援している会社の事例をもとに一般化したもので、特定の企業の情報ではありません。

よくある質問

収益物件のポータルは、2つ併用したほうがよいですか?

掲載できる物件数と、更新作業に使える人手の両方に余裕があるなら併用の価値があります。ただし掲載先が1つ増えると、新規登録・価格改定・募集終了の反映という3つの作業がそのまま増えます。この作業を担当する人が決まっていない状態で併用を始めると、片方の情報が古いまま残り、反響の質が落ちます。まず1媒体で運用を回せる状態を作り、更新が遅れなくなってから2媒体目を検討する順番をおすすめしています。

併用する場合、どう分ければよいですか?

物件を分けるか、全物件を両方に出すかの2択です。物件を分ける場合の基準は、価格帯・エリア・物件種別のいずれか1つに絞ってください。2つ以上の基準を組み合わせると、担当者が判断に迷って結局どちらにも出すか、どちらにも出さないかになります。全物件を両方に出す場合は、更新作業が単純に2倍になるので、掲載情報の更新手順を先に決めておく必要があります。

併用をやめる判断はどうすればよいですか?

媒体ごとの反響件数と成約件数を6ヶ月ぶん並べて、成約単価(媒体費 ÷ 成約件数)を比べます。単月や3ヶ月では成約がゼロの月が混ざるため、判断材料になりません。あわせて確認したいのは、片方の媒体でしか出会えなかった買主がいたかどうかです。件数が少なくても、そこでしか取れない層があるなら残す判断もあります。数字だけで切ると、あとで取り戻すのに時間がかかります。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。

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