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業務改善

属人化を解消する3ステップ—「あの人がいないと回らない」をなくす方法

洗い出し→手順書化→クロストレーニングで、組織の「見えないリスク」を潰す

10分で読める

この記事のポイント

属人化の解消は「洗い出し→手順書化→クロストレーニング」の3ステップで進める。いきなり全業務に手を付けるのではなく、リスクの高い業務から優先的に着手するのがコツ。

「田中さんが休むと見積もりが出せない」「鈴木さんしかあのExcelを触れない」—中小企業なら心当たりがあるはずだ。属人化は、日常的には回っているからこそ見過ごされやすい。しかし、その人が病気で倒れたとき、退職したとき、業務は一瞬で止まる。この記事では、属人化のリスクを洗い出し、段階的に解消するための3ステップを、製造業・不動産業の具体例を交えて解説する。

ステップ1:属人化している業務を洗い出す

まず「どの業務が、誰に依存しているか」を可視化する。以下のチェックリストに該当する業務は、属人化のリスクが高い。

属人化チェックリスト

☐ その人が休むと業務が止まる(または大幅に遅れる)

☐ 手順書やマニュアルが存在しない

☐ 「やり方はあの人に聞いて」が口癖になっている

☐ 過去の経緯を知っているのがその人だけ

☐ 自作のExcelマクロやツールに業務が依存している

☐ 引き継ぎに1ヶ月以上かかると予想される

洗い出したら、以下のテーブルで優先度をつける。「業務停止の影響度」と「代替要員の有無」の掛け合わせで判断する。

属人化リスク評価テーブル

業務名依存者停止影響度代替要員優先度
見積もり作成ベテラン社員A高(売上直結)なし最優先
顧客データ管理事務担当B中(遅延発生)なし
月次レポート管理職C低(月1回)あり(1名)

ステップ2:手順書を作る(テンプレート付き)

優先度の高い業務から手順書を作成する。ポイントは「誰が読んでも同じ結果が出せる粒度」で書くこと。ただし、完璧を目指すと永遠に完成しない。まずは80%の精度で作り、運用しながら改善するのが現実的だ。

手順書に入れるべき5項目

1. 業務の目的:なぜこの作業が必要なのか(背景を知ると判断できるようになる)

2. 作業手順:ステップごとに画面キャプチャ付きで記載

3. 判断基準:「こういう場合はAを選ぶ、こういう場合はBを選ぶ」の分岐条件

4. よくあるミスと対処法:過去にあったトラブルとその解決方法

5. 緊急連絡先:手順書で対応できない場合の相談先

製造業の例では、ベテラン作業者に「普段どうやっていますか?」と横について観察しながら記録する方法が効果的だった。本人が無意識にやっている「コツ」を言語化するのが、属人化解消の最大のポイントになる。

ステップ3:クロストレーニングで「2人以上できる」状態を作る

手順書ができたら、次は実際に別の人がその業務をやれるようにする。ここで大事なのは「完全に引き継ぐ」のではなく「2人以上ができる状態を作る」こと。メインの担当者は変えなくていい。バックアップ要員を育てるイメージだ。

不動産会社の事例では、物件査定をベテラン1名だけで行っていたのを、月に2回「査定同行日」を設けて若手を同席させた。3ヶ月後には若手が独力で8割の案件を査定できるようになり、ベテランの急な不在にも対応できる体制ができた。

クロストレーニングの進め方は、①見学(1〜2回)→②補助として参加(2〜3回)→③メインで実施(先輩が横でサポート)→④独力で対応、の4段階で進めるのが無理がない。

まとめ:属人化解消は「保険」ではなく「成長の土台」

属人化の解消は、リスク対策として語られることが多い。しかし本質的には「組織として成長するための土台づくり」だ。ノウハウが個人の頭の中にある限り、そのノウハウは組織の資産にならない。

まずは自社の属人化チェックリストを埋めるところから始めてみてほしい。リスクの高い業務が1つ見つかれば、そこから手順書を1本作る。それだけで、組織の耐久性は確実に上がる。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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