DX支援会社の選び方 — 「大手SIer vs 中小特化」の判断基準
この記事のポイント
DX支援会社は「大手SIer」「中堅」「中小特化型」の3タイプ。従業員30〜100名の中小企業は、予算10〜100万円で特定業務を改善する「中小特化型」が最も相性がいい。選ぶときに聞くべき5つの質問で失敗を防げる。
「DXしないといけないのはわかっている。でも、どこに頼めばいいかわからない」。
「DX支援」で検索すると、大手SIerから個人フリーランスまで、無数の選択肢が出てくる。費用は月10万円から月300万円まで。サービス内容も「IT戦略コンサルティング」から「スプレッドシートの整備」まで幅広い。何をどう比較すればいいのか、見当がつかない。
この記事では、DX支援会社を3つのタイプに分類して、それぞれの特徴・費用・中小企業との相性を整理する。
まず「何を解決したいか」を明確にする
「DX」という言葉は範囲が広すぎる。基幹システムの刷新もDXだし、Excelをスプレッドシートに移行するのもDX。まずは「自社が何に困っているか」を具体的にすることが最優先。
課題の具体例
- ・ 顧客情報がExcelに散在していて、誰が何を対応したかわからない
- ・ 見積もり作成に毎回2時間かかる
- ・ 月次の売上集計を手作業でやっている
- ・ 紙の申込書をデータ入力している
- ・ 営業の行動が見えず、マネジメントできない
課題が「全社的なシステム刷新」なのか「特定の業務の効率化」なのかで、頼むべき相手が変わる。
DX支援会社の3タイプ
大手SIer:全社的なシステム刷新(予算1,000万円〜)
ERPの導入、基幹システムの入れ替え、全社的なクラウド移行——こういった大規模プロジェクトが得意。要件定義から開発、テスト、運用まで一貫して対応できる。
ただし、プロジェクト体制が大きい。コンサルタント3人、PM1人、エンジニア5人——みたいな体制で月200万円。30人の会社に10人のチームが入ってくるのは、率直に言ってバランスが悪い。
中堅コンサル:特定領域の改善(予算150〜600万円)
「営業プロセスの改善」「経理業務のDX」「採用フローの効率化」など、特定の業務領域に強みを持つ。業界特化型のコンサルもこのカテゴリ。
中小企業でも使えるが、月50〜100万円の費用を3ヶ月以上続けると、トータルで150万円以上。「スプレッドシートの整備と自動化」程度の課題に対しては、やや重い。
中小特化型:ピンポイントの課題解決(予算10〜100万円)
少人数の会社やフリーランスが、中小企業の「今すぐ困っていること」を素早く解決する。スプレッドシートの整備、業務フローの見える化、ちょっとした自動化が中心。
初期費用10万円+月額保守3万円——といった価格設定が多い。中小企業にとっては最もリスクが低く、効果が出やすい。
比較テーブル:3タイプの違い
| 大手SIer | 中堅コンサル | 中小特化型 | |
|---|---|---|---|
| 費用 | 1,000万〜1億円 | 150〜600万円 | 10〜100万円 |
| 期間 | 6ヶ月〜2年 | 3〜6ヶ月 | 1〜3ヶ月 |
| 柔軟性 | 低い(大規模体制) | 中程度 | 高い(少人数で機動的) |
| 業界理解 | 幅広いが浅い | 特定業界に深い | 顧客ごとに深く入る |
| 自走支援 | なし | 一部あり | 自走がゴール |
DX支援会社を選ぶときに聞くべき5つの質問
- 1.「同じ業界・同じ規模の企業を支援した実績はありますか?」 — 大企業の実績しかない会社は、中小企業の現場感がわからない
- 2.「支援が終わった後、自走できるようになりますか?」 — 「ずっと契約し続けてください」は依存ビジネス
- 3.「成果物は何ですか?レポートだけですか、動く仕組みまで作りますか?」 — レポートだけもらっても社内に実装する人がいない
- 4.「最初の1ヶ月で何が変わりますか?」 — 半年後に効果が出ます、では遅い
- 5.「社内のITスキルが低くても大丈夫ですか?」 — 中小企業にIT専任者がいることは稀。それ前提で対応できるか
まとめ:「DX」の前に「何を解決したいか」
「DXしなければ」と焦る必要はない。まずは「今、何に一番時間がかかっているか」「何が一番ストレスか」を言語化する。それだけで、頼むべき相手のタイプが見えてくる。
従業員30〜100名の中小企業であれば、いきなり大手SIerに相談するのではなく、特定の課題にフォーカスして小さく始めるのが最も賢いアプローチ。費用も期間も抑えられるし、効果も実感しやすい。
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中小企業へのDX支援の活用事例を掲載しています。
活用事例一覧を見る →泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。
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