3分で診断結果がその場で分かる

20問に答えるだけ。御社の課題と優先順位を自動判定します

無料で診断
SalesDock ロゴSalesDock
クリニック

クリニックでスタッフが辞め続ける本当の原因 — 「給料」じゃなく「仕組み」の問題

8分で読める

この記事のポイント

スタッフ退職の原因は給料より「業務の不透明さ」「教育の属人化」「院長への不満が言えない構造」。仕組みで変えられる。来週からできる3つのアクション付き。

「また辞めるの?」——採用してもすぐ辞める。引き継ぎもままならないまま次の求人を出す。小規模クリニックの院長なら、この繰り返しに心当たりがあるはずだ。

「うちは給料が安いから仕方ない」と思っていないだろうか。実はスタッフが辞める本当の理由は、給料ではない。業務の仕組みに問題がある。そしてそれは、院長自身が来週から変えられるものだ。

クリニックのスタッフ離職率データ — 医療業界の平均と比較

厚生労働省の調査によると、医療・福祉業界の離職率は約12〜15%。全産業平均の約14%と大差ないように見えるが、これは大病院を含んだ平均値だ。

問題は小規模クリニック。スタッフ5名以下の医院では離職率が20%を超えるケースも珍しくない。5人中1人が毎年辞める計算になる。

スタッフ1人が辞めたときのコスト

項目金額
求人広告費(Indeed・ジョブメドレー等)15〜30万円
紹介会社の手数料(年収の20〜30%)50〜80万円
教育期間の生産性低下(3ヶ月)30〜50万円
残ったスタッフの残業代増10〜20万円
合計100〜180万円

1人辞めるたびに100〜180万円。年間2人辞めれば200〜360万円。これは看護師1人の年収に匹敵する金額だ。「離職を防ぐ仕組み」は、もはや経営課題そのものと言える。

「給料が安いから辞める」は本当か? — 退職理由の構造

院長に「スタッフが辞めた理由は?」と聞くと、多くの場合「給料に不満があったんじゃないか」と答える。しかし、実際の退職理由はまったく違う構造になっている。

順位実際の退職理由割合院長の認識
1位人間関係・職場の雰囲気33%5位
2位業務負担の偏り・過重25%3位
3位教育体制の不備18%4位
4位給与・待遇への不満15%1位
5位キャリアアップの見通し9%2位

院長は「給料」と「キャリア」が上位だと思っているが、実際は「人間関係」「業務負担」「教育不足」が上位3つを占める。つまり、給料を上げても離職は止まらない。構造を変える必要がある。

スタッフが辞める3つの構造的原因

原因1:業務範囲が不明確 — 「気づいた人がやる」文化

小規模クリニックでは「業務分担表」が存在しないことが多い。受付、電話対応、在庫管理、清掃、患者のクレーム対応——全てが「気づいた人がやる」暗黙ルールで回っている。

結果どうなるか。責任感が強い人ほど仕事が集中する。「私ばかりやっている」という不公平感が蓄積する。一方で、やらない人は「自分の仕事じゃない」と思っている。院長はこのギャップに気づかない。気づいたときには退職届が出ている。

原因2:教育がOJT頼み — ベテランの機嫌次第

新人教育を「ベテランスタッフに任せる」クリニックは多い。しかし、ベテランにも自分の業務がある。忙しい日は「見て覚えて」で終わる。教え方もベテランの性格やその日の機嫌に左右される。

新人は「何がわからないかもわからない」状態が続く。質問しても「前にも言ったよね?」と返される。3ヶ月後、新人は「ここでは成長できない」と判断して辞める。教育のマニュアルが1冊あれば防げた退職だ。

原因3:不満を伝える仕組みがない — 1on1もアンケートもない

「何かあったら言ってね」と院長は思っている。しかし、スタッフからすれば「院長に直接不満を言う」のは退職覚悟のアクションだ。日常的に不満を吸い上げる仕組みがなければ、スタッフの不満は地下水のように溜まり、ある日突然退職届として噴出する。

1on1面談を定期的にやっているクリニックは少数派。匿名アンケートも実施していない。結果、院長は「うちは雰囲気がいい」と思い込み、スタッフは「もう限界」と感じている——このギャップが離職を生む。

来週からできる3つのアクション

アクション1:業務分担表を1枚作る

ExcelやGoogleスプレッドシートで十分。以下のようなシンプルな表を1枚作って、スタッフ全員に共有する。

業務主担当副担当頻度
電話対応AさんBさん毎日
在庫発注BさんCさん週1回
清掃交代制毎日
クレーム一次対応Cさん院長随時
レセプト準備AさんBさん月末

ポイントは「副担当」を必ず設定すること。主担当が休んでも業務が止まらない。そして「誰がやるか明確になっている」だけで、不公平感は大幅に減る。

アクション2:月1回15分の1on1を始める

院長とスタッフが1対1で話す時間を月1回、15分だけ設ける。診療後の15分で十分。話す内容はシンプルに3つだけ。

質問1:今月、仕事で困ったことはあった?

質問2:業務の中で「もっとこうしたい」と思うことはある?

質問3:他に何か伝えておきたいことはある?

重要なのは「聞く姿勢」。アドバイスや反論はしない。まずは聞く。それだけで「院長は自分の話を聞いてくれる」という安心感が生まれる。退職の前兆を早期にキャッチする効果もある。

アクション3:退職面談で「本当の理由」を聞く質問リスト

既に辞めたスタッフの退職理由は、次の離職を防ぐための最も貴重なデータだ。ただし、退職面談で「なぜ辞めるのか」と直球で聞いても本音は出てこない。以下の質問を使う。

質問1:入職前のイメージと実際のギャップはどこにあった?

質問2:「これがあったら続けられた」と思うことはある?

質問3:後任の人に「ここだけは気をつけて」と伝えるなら何?

質問4:うちのクリニックを友人に勧められるか?正直に教えてほしい。

この質問リストで集めた回答を3件分蓄積すれば、クリニックの構造的な問題が見えてくる。同じ理由が2回出たら、それは個人の問題ではなく仕組みの問題だ。

まとめ:「人」の問題ではなく「仕組み」の問題

スタッフが辞め続けるクリニックの共通点は、「業務範囲が曖昧」「教育が属人的」「不満を吸い上げる仕組みがない」の3つだ。これらは全て、院長の意思決定で変えられる。

業務分担表を1枚作る。月1回15分の1on1を始める。退職面談の質問リストを用意する。この3つに必要な投資はゼロ円。必要なのは「仕組みで解決する」という院長の意思だけだ。

関連記事

クリニックの業務改善事例をもっと見る

活用事例一覧へ →

関連ソリューション

クリニックのスタッフの離職対策でお悩みの方は、クリニックのシフト管理をAIで効率化する方法もご覧ください。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

代表メッセージを読む →

クリニック経営の「仕組み化」、一緒に考えませんか?

スタッフの定着率改善から業務効率化まで、クリニックの経営課題を構造的に解決します。まずは現状の課題を整理するところから始めましょう。

無料で相談する