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2院目を出す前に整えるべき業務の仕組み—クリニック多院展開の業務設計ガイド

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この記事のポイント

多院展開の成否は「2院目の立地や集患」ではなく「1院目の業務がどれだけ仕組み化されているか」で決まる。予約管理・スタッフ教育・数値把握の3領域を、開業前に整えておくことが最優先。

1院目が軌道に乗ると、自然と「2院目を出したい」という考えが浮かぶ。患者数は増えている、スタッフも育ってきた、エリアの需要もある。条件だけ見れば、展開のタイミングに見える。

しかし、分院を開業したクリニックの多くが「こんなはずじゃなかった」と感じるポイントがある。それは資金繰りでも集患でもなく、1院目で暗黙知のまま回っていた業務が、2院目では通用しないという現実だ。

院長が現場にいれば判断できていたことが、物理的に2拠点を同時に見られなくなった途端に回らなくなる。この記事では、2院目を出す前に整えておくべき業務の仕組みを、3つの領域に分けて解説する。

1. 予約管理—「院長の頭の中」を外に出す

1院のうちは、予約の空き状況も患者の傾向も院長の頭の中にある。急なキャンセルが出たら自分で判断して枠を埋められるし、常連患者の要望も把握している。

2院になると、これが一気に破綻する。分院の予約状況がリアルタイムで見えない、患者が本院と分院を行き来するときにカルテ情報が共有されていない、キャンセル対応のルールが院ごとに違う—こうした問題が初月から噴出する。

開業前にやるべきことはシンプルで、予約管理をクラウド型のシステムに一本化すること。紙の予約台帳やローカルのソフトを使っているなら、この段階で切り替える。高額なシステムは不要で、月額1〜3万円程度のクラウド予約システムで十分対応できる。

大事なのはツール選びより、「キャンセル時の対応手順」「当日予約の受付ルール」「患者振り分けの基準」をマニュアルとして言語化しておくことだ。院長がいなくても受付スタッフが同じ判断を下せる状態を作る。

2. スタッフ教育—「見て覚えて」では2院目は回らない

1院目のスタッフは、院長の近くで働きながら自然とやり方を覚えていく。接遇の基準も、クレーム対応の判断も、日々のやり取りの中で身についている。

分院ではこの「隣で見て学ぶ」が使えない。新しいスタッフを採用しても、教える側の基準が曖昧だと、院ごとにサービス品質がバラつく。患者から「本院と全然違う」と言われるのは、よくある話だ。

対策は、1院目の段階で「教育マニュアル」と「チェックリスト」を作っておくこと。完璧な資料は必要ない。最低限、以下の3点を文書化しておけば分院の立ち上げは格段にスムーズになる。

  • 受付対応の基本フロー(初診・再診・電話対応)
  • クレーム・トラブル時のエスカレーション手順
  • 新人の入職〜独り立ちまでの育成スケジュール(目安30日・60日・90日)

スタッフが定着しないクリニックほど、教育の仕組みが属人化している。この課題は多院展開の前に解決しておきたい。スタッフの定着率に課題を感じている場合は、クリニックのスタッフが辞める本当の理由も参考になる。

3. 数値把握—「なんとなく黒字」では判断できない

1院なら、月末に通帳を見れば「今月はまあまあだった」とわかる。しかし2院になると、院ごとの売上・コスト・利益率を分けて把握しなければ、どちらが足を引っ張っているのか判断できない。

特に分院は開業初期に赤字が続くことが多い。そのとき「いつまでに月間何人の来院で黒字転換するか」というラインが見えていないと、撤退判断も追加投資判断もできない。

開業前に整えるべきは、院別のKPIダッシュボードだ。最低限追うべき指標は以下の4つ。

  • 1日あたりの来院数(初診・再診の内訳)
  • 患者1人あたりの平均単価
  • キャンセル率・無断キャンセル率
  • スタッフ1人あたりの対応患者数

Googleスプレッドシートで十分管理できる。大事なのは「毎日数字を見る習慣」を、院長だけでなく分院長や事務長にも持たせること。数字を共有できる体制がなければ、院長がすべてを見続けることになり、院長が休めないクリニックの構造が2院分に拡大するだけだ。

多院展開チェックリスト—開業前に確認する10項目

ここまでの内容を踏まえ、2院目の開業判断前に確認しておきたい項目をまとめた。

  1. 予約管理がクラウド化されている
  2. キャンセル対応・当日予約のルールが文書化されている
  3. 患者データを院をまたいで参照できる
  4. 受付業務のマニュアルがある
  5. クレーム対応のエスカレーション手順が決まっている
  6. 新人育成のスケジュールがある
  7. 院長不在でも1院目が1週間回る
  8. 院別の売上・コスト・利益率を月次で把握できる
  9. 分院の黒字転換ラインが数値で定義されている
  10. 分院長候補が現場責任者として経験を積んでいる

10項目すべてが完璧である必要はない。ただ、半分以上にチェックがつかない状態で分院を出すと、業務の混乱が高確率で起きる。まずは1院目の仕組み化を優先したい。

まとめ—展開の速さより、仕組みの深さ

多院展開は、クリニック経営のスケールアップとして有効な戦略だ。しかし、1院目の業務が「院長の頑張り」で回っている状態のまま2院目を出すと、問題が倍になるだけで売上は倍にならない。

予約管理の仕組み化、スタッフ教育の標準化、数値把握の体制づくり。この3つを開業前に整えることが、2院目を成功させる最大の準備になる。

「展開の速さ」より「仕組みの深さ」。地味だけれど、ここを丁寧にやったクリニックが、3院目・4院目と安定して伸びていく。

よくある質問

クリニックの2院目を出すタイミングの目安はありますか?
売上や患者数だけでなく、「院長が現場を離れても1院目が回るかどうか」が判断基準になる。具体的には、受付・予約・会計の業務フローが属人化していないこと、スタッフだけで日常業務を完結できること、月次の数値を院長以外でも把握できること。この3つが揃っていれば、分院展開の土台はできていると考えてよい。
分院の管理者(分院長)はどう選べばいいですか?
医師としてのスキルだけでなく、スタッフマネジメントと数値管理に関心がある人が適任だ。ただし、いきなり全権を任せるのではなく、まず1院目で「院長不在日の現場責任者」として経験を積んでもらい、判断力と業務理解を確認したうえで分院長に据えるのが安全。
多院展開で最初に整備すべきツールは何ですか?
最優先は予約管理と患者データの一元化。院ごとにバラバラのシステムを使うと、患者の転院対応や空き枠の把握が煩雑になる。次に、スタッフの勤怠・シフト管理。2院になるとシフト調整の複雑さが一気に増えるため、紙やLINEでの管理では限界が来る。高額なシステムは不要で、Googleスプレッドシートやクラウド型の予約システムから始めれば十分。

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泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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