エクセルの代わりになる無料ソフト5選|乗り換え前に確認する4点と、代わりでは解決しないこと

エクセルの代わりを探している中小企業の方向けに、無料で使える表計算ソフトの違いと、乗り換える前に確かめることをまとめました。読み終えると、自社が「ソフトを替える」だけで足りるのか、「入力の置き場所を変える」ところまで必要なのかを判断できます。

 

執筆:泉 款太(株式会社SalesDock 代表取締役)累計40社以上の中小企業を支援

結論

無料でエクセルの代わりにするなら、Googleスプレッドシート、LibreOffice Calc、WPS Office、Apple Numbers、Excel for the webの5つが候補です。ただし、二重入力のように運用が原因の悩みは、どのソフトに替えても残ります。ソフトを選ぶ前に、何に困っているかを分けて考えると、遠回りをせずに済みます。

  • 複数人で同時に編集するならGoogleスプレッドシート、1台で完結するならLibreOffice Calcが候補
  • 替える前に、マクロ・関数と書式・受け渡す相手・表の大きさの4点をコピーで確かめる
  • 同じ内容を何度も入力する悩みは、ソフトを替えても残る

無料の代わりになる表計算ソフト5つを比較

順位は付けていません。どれが優れているかではなく、自社の使い方に合うかで選びます。料金や機能は変わるため、導入前に各社の公式ページで確認してください。

ソフト向く使い方料金の目安注意点
Googleスプレッドシート複数人での同時編集、URLでの共有Googleアカウントで無料で使えるマクロはVBAではなくGoogle Apps Scriptで書く。VBAの資産はそのままでは動かない
LibreOffice Calcパソコン1台で完結する集計、xlsxの閲覧と編集無料のオープンソース。インストールして使うVBAは一部しか互換がなく、書式や関数が少しずれることがある
WPS Office(表計算)見た目や操作がExcelに近く、移行直後でも迷いにくい無料版がある。無料版には広告表示や機能の制限がある有料版との差は時期で変わる。使う前に公式で確認する
Apple NumbersMacやiPhoneで、見栄えの良い表や簡単な集計を作るApple製品で無料Excelと関数や書式の作りが違い、複雑なブックは変換でずれやすい
Excel for the webExcelのブックをブラウザで開き、軽い編集をするMicrosoftアカウントで無料の範囲があるデスクトップ版より機能が少なく、マクロは実行できない

まず「何に困っているか」で分ける

エクセルの代わりを探す理由は、大きく3つに分かれます。費用を抑えたい、複数人で同時に編集したい、同じ内容を何度も入力している。最初の2つは表計算ソフトを替えれば解決しやすく、3つ目は替えても残ります。

何に困っているか費用を抑えたい1台で使う複数人で同時に編集したい同じ内容を何度も入力無料の表計算ソフトで足りるクラウド型の表計算が向く入力の置き場所を決め直す
困りごとで手段が変わる。右端の悩みは、ソフトを替えるだけでは解決しにくい。

乗り換える前に確認する4点

本番のファイルをいきなり移さず、コピーを作って次の4点を確かめます。記入欄にそのまま書き写して使えます。

確認する点確かめ方記入例
マクロ(VBA)ブックを開いて、マクロの名前と使っている場面を一覧にする月次集計ボタン/担当者が1人
関数・書式コピーを新しいソフトで開き、合計値と印刷プレビューを元のブックと見比べる売上合計が一致/罫線がずれる
受け渡す相手取引先や税理士にファイルを渡す形式を聞くxlsxで返してほしい
表の大きさ最大の行数と、開くのにかかる時間を測る5万行・開くまで20秒

特にマクロは、書き方がソフトごとに違うため、動かなくなって初めて気づくことが多い箇所です。表の大きさが気になる場合は、Excelの最大行数と超えそうなときの分け方も参考になります。

関数・ピボットテーブル・グラフはどこまで使えるか

Excelからの乗り換えで崩れやすいのは、見た目の派手な部分より、日々の集計を支えている関数やピボットテーブルです。Excelから代わりのソフトへ移すときは、関数、ピボットテーブル、条件付き書式、グラフ、外部リンクを、コピーしたブックで合計値や件数を照合して確かめます。基本の関数はそのまま動くことが多いものの、複雑な表ほど差が出ます。

見る機能代わりのソフトでの違い確かめ方
関数(SUM・VLOOKUP・IFなど)どのソフトでも基本の関数は使える。新しい関数や独自の関数は、ソフトによって対応が違う合計値を元のブックと見比べる
ピボットテーブルGoogleスプレッドシート、LibreOffice Calc、Numbersにも集計の機能がある。名前や操作、見た目の設定は違う同じ項目で集計し直して件数と合計を照合する
条件付き書式・入力規則基本の色分けやプルダウンは移せるが、複雑な条件は変換でずれることがある色が付く行と、選べる選択肢を目で確かめる
グラフ種類は近いが、軸や凡例の見た目が変わりやすい印刷やPDFにするものだけ、出力を見比べる
外部データの取り込み・他ブックへのリンクファイルの場所を指す参照は、移すと切れやすいリンク先の一覧を作り、切れた数を数える

関数の対応は、ソフトの更新で変わります。使っている関数の名前を書き出し、各ソフトの公式の関数一覧で対応を確認すると、移したあとの手戻りを減らせます。

ファイル形式(xlsx・csv・ods)と取引先とのやり取り

自社で使うソフトを替えても、取引先や税理士に渡すファイルの形式は相手が決めることが多くあります。先に「何の形式で渡すか」を聞いておくと、乗り換えの失敗を防げます。

形式代わりのソフトでの扱い使う場面
.xlsx(Excelのブック)5つとも開ける。ただし書式やマクロは完全には保たれない取引先とのやり取りの標準。変換のたびに崩れを確認する
.csv(文字だけの表)どのソフトでも読み書きできる。書式や関数は残らない別のシステムへ渡す、取り込むときに向く。文字化けは文字コードで確かめる
.ods(LibreOfficeの標準形式)国際標準(ISO/IEC 26300)のOpenDocument形式で、LibreOffice Calcが標準で使う。ExcelやGoogleスプレッドシートでも開けるが、書式や関数が保たれないことがある取引先に渡すなら、xlsxで保存し直して崩れを確かめる
PDFどのソフトでも書き出せる。編集はできない見せるだけの資料や請求書の控えに向く
1. 相手からxlsxを受け取る2. 代わりのソフトで編集する3. xlsxで保存し直す4. 合計値を見比べて返送3と4の間で崩れを見つける
形式の変換は保存し直すところで崩れる。返送の前に合計値と印刷プレビューを確かめる。

共有・オフライン・履歴の違い

無料の表計算ソフトを選ぶとき、機能の数より効くのが、共有のしかたです。クラウド型とインストール型で、次の点が変わります。

確認する点違い
同時に編集できるかGoogleスプレッドシート、Excel for the web、Numbersはクラウドで共同編集ができる。LibreOffice Calcのデスクトップ版は、ファイルを渡し合う使い方が中心になりやすい。同時編集をしたい場合は、サーバー型の別の仕組みを用意するか、クラウド型のソフトを選ぶ。対応は版によって違うため、公式の説明で確認する
ネットが無い場所で使えるかLibreOffice Calcはインストールして使うため、ネットなしで編集できる。Googleスプレッドシートは設定すればオフラインでも編集できる。Excel for the webはネット接続が前提
誰が見て、誰が直せるかクラウド型は、人ごとに閲覧のみ・編集可を分けられる。ファイルをメールで回す運用は、最新版がどれか分からなくなりやすい
履歴を戻せるかクラウド型は、編集の履歴から前の状態に戻せるものが多い。ファイル型は、保存のたびに日付付きで残す運用を決めておく

共有の悩みは、ソフトの機能で解決できる部分と、置き場所と更新の担当を決める運用で解決する部分に分かれます。最新版がどれか分からない状態は、ソフトの機能ではなく、置き場所と更新の担当を決める運用で解決する問題です。

無料の代わりのソフトに移したあとで、マクロが必要になる、取引先のファイルが毎回崩れる、といった理由で元に戻す場合もあります。その場合も、移したことが無駄になるわけではありません。どの機能に依存していたかが分かり、残すべき表と手放せる表が仕分けられるからです。

  • VBAのマクロで動いている表は、Excelのまま残す。
  • 共同編集や閲覧だけの表は、クラウド型の無料ソフトへ移す。
  • 取引先とのやり取りが多い表は、相手が使う形式に合わせて保存し直す運用を決める。

各ソフトの最新の機能や料金は、Googleスプレッドシート、LibreOffice、WPS Office、Apple Numbers、Microsoft Excelの公式ページで確認できます。

ソフトを替えても残る悩みと、その分け方

営業管理をExcelからシステムへ移す相談では、提案書と管理表に同じ内容を打ち直す作業が消える、という前提で話が進みやすいものです。支援の現場では、システムを入れても二重入力が消えなかった例がありました。原因は道具ではなく、どこに入力し、どれを正とするかが決まっていないことにあります。

また、AI活用の事例を経営者に紹介したとき、いちばん反応が良かったのは高度な機能ではありませんでした。現場はExcelとスプレッドシートのまま、集計と表示だけを管理側で寄せる形です。代わりを探すとき、全部を置き換える必要はなく、次の3段階のうち手間の小さいものから選べます。

1. 同じ表のまま移す無料ソフトで開いて編集2. Excelを残して寄せる集計と表示だけを別に集める3. 正本を別に作る業務ツールに入力を集める下に進むほど手間と効果が大きい
代わりの置き方は3段階。悩みが二重入力なら、2か3から検討する。

十数人で使うタスク管理ツールが終了するため代わりを探す、という相談もありました。このとき、最初に挙がったのは有名なツールの名前でした。しかし私たちは、乗り換え先の名前より先に、そのツールを誰が何のために使っているかを聞きます。使い方が分かれば、無料の表計算で足りるのか、業務ツールが要るのかが見えてきます。

業務ツールへ移す判断の目安は脱エクセルの進め方、Excelの限界のサインはExcelでの管理、いつ卒業すべきかで解説しています。業務ツールの候補を比べる場合は、kintoneとNotionの比較とPleasanterとkintoneのSME向け比較が参考になります。現場からの報告を集めるだけなら、Googleフォームとスプレッドシートでの集計で足りることもあります。

試す手順と、効果の測り方

  1. いちばん使う表を1つ選び、コピーを作る。
  2. 上の4点の表を埋め、動かなくなりそうな箇所を書き出す。
  3. 候補のソフトでコピーを開き、合計値と印刷の見た目を元のブックと比べる。
  4. 2週間、コピーだけで実際の業務を回し、戻した作業の回数を数える。

効果は、同じ作業にかかる時間と、打ち直した回数の2つで測れます。作業時間が変わらず、打ち直しも減らないなら、ソフトではなく入力の置き場所に原因があります。

まとめ

費用や共同編集の悩みなら、無料の表計算ソフトへの乗り換えで解決できる場合が多くあります。同じ内容を何度も入力する悩みは、ソフトではなく業務の構造に原因があります。SalesDockは、成長に経営管理・業務・データ・仕組みが追いつかない中小企業に、コードの前に業務構造を整理するところから、経営管理基盤の実装と定着を支援しています。

よくある質問

エクセルの代わりになる無料ソフトは何ですか?

代表的なものは、Googleスプレッドシート、LibreOffice Calc、WPS Office、Apple Numbers、Excel for the webの5つです。共同編集が中心ならGoogleスプレッドシート、パソコン1台で完結するならLibreOffice Calcなど、使い方で選びます。料金や機能は変わるため、導入前に各社の公式ページで確認してください。

エクセルのマクロ(VBA)は、代わりのソフトでも動きますか?

そのままでは動かないことが多いです。Googleスプレッドシートはマクロの書き方が異なり(Google Apps Script)、Excel for the webはマクロを実行できません。LibreOffice Calcは一部のVBAに対応しますが、完全な互換ではありません。VBAに頼る表は、移す前に動きを一覧にしてコピーで試してください。

無料の代わりのソフトに替えれば、二重入力はなくなりますか?

なくならないことが多いです。二重入力は、同じ情報を別々の表やツールに打ち直す運用から生まれるため、表計算ソフトを替えても変わりません。同じ内容をどこに入力し、どれを正とするかを先に決める必要があります。

エクセルの代わりのソフトで、xlsxのファイルは開けますか?

5つとも、xlsx形式のファイルを開けます。ただし関数の一部、書式、マクロは元の見た目や動きにならないことがあります。取引先とやり取りするファイルは、保存し直したあとで、合計値と印刷プレビューを元のブックと見比べてください。

無料の表計算ソフトとExcelは、どちらが安全ですか?

どちらが安全かは、ソフトの種類だけでは決まらず、運用で決まる部分が大きいです。クラウド型(Googleスプレッドシートなど)では、人ごとの閲覧・編集の権限、共有リンクの公開範囲、データの保管場所を確認します。ファイル型(LibreOffice Calcなど)では、ファイルの置き場所、パスワードや暗号化の有無、メールで回していないかを確認します。個人情報や取引先の情報を扱うときは、各社の公式の規約とセキュリティの説明も確認してください。

エクセルをやめて業務ツールに移すべきなのは、どんなときですか?

同じ情報を複数人が使い、更新漏れが顧客対応や請求に響くときが目安です。少人数で完結する集計や検討用の表は、表計算ソフトのままで問題ありません。判断の材料は、脱エクセルの進め方の記事にまとめています。

エクセルの代わりを、困りごとの整理から一緒に考えます

今のエクセルの使われ方を聞いたうえで、ソフトの乗り換えで足りるのか、入力の置き場所を変えるべきかを整理します。特定のツールの導入を前提にした相談ではありません。

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