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AI活用入門

月10万円以下で「AI顧問」を外部に求める中小企業が増えている理由

7分で読める

この記事のポイント

専任AI人材の採用は年間700万〜1,200万円。一方、外部AI顧問なら月5〜10万円で必要な知見にアクセスできる。コスト比較、実際の依頼パターン、頼む前に整理すべき3つのポイントを紹介。

「月2〜3回、10万円以下」で何を頼んでいるのか

外注市場で最近よく見かけるようになった依頼がある。「AI活用の相談パートナーを探しています。月2〜3回の打ち合わせで、うちの業務に合ったAIの使い方を一緒に考えてほしい」—こういった内容だ。

予算は月5万〜10万円。正社員を雇うわけでもなく、大規模なシステム開発を発注するわけでもない。いわば「かかりつけ医」のように、自社の業務を理解したうえでAI活用の方向性を示してくれる存在を求めている。

なぜ今、このような動きが広がっているのか。現場で見えている実態を整理してみる。

なぜ中小企業がAI顧問を外部に求めるのか

背景にあるのは、3つの構造的な問題だ。

1. AI導入率の低さと、それでも無視できない変化のスピード

総務省の令和7年版情報通信白書によると、日本の中小企業では生成AIの活用方針を「明確に定めていない」企業が約半数を占めている(出典:総務省 令和7年版情報通信白書)。大企業と比べて方針の決定自体が遅れている状態だ。

一方で、AI技術そのものは毎週のように大型アップデートが入る。中小企業が自社だけでこのスピードに対応するのは現実的に難しい。

2. IT人材の圧倒的な不足

中小企業白書(2023年版)によれば、ITやデジタル人材を採用していない企業は7割に達し、IT人材が不足していると感じている企業は9割を超える(出典:中小企業庁 2023年版中小企業白書)。

さらに、経済産業省の推計では2030年には12万人以上のAI人材不足が見込まれている。「採りたくても採れない」という状況は今後さらに深刻になる。

3. 大手との差が開いている実感

ある採用支援会社では、65名の応募から20名を面談し6名を採用してAI専任チームを組成している。こうした投資ができる企業とできない企業の差は、月単位で広がっている。中小企業の経営者が「うちも何かしないと」と感じるのは自然なことだ。

専任採用 vs 外部顧問のコスト比較

では、AI人材を正社員として採用する場合と、外部顧問を活用する場合で、コストはどれくらい違うのか。

項目専任AI人材(正社員)外部AI顧問
年間コスト700万〜1,200万円60万〜120万円
採用の難易度非常に高い比較的容易
立ち上がり3〜6ヶ月即日〜1ヶ月
リスクミスマッチ時のコスト大合わなければ契約終了

AIエンジニアの平均年収は約558万〜628万円とされているが(出典:厚生労働省 jobtag、Geekly調査)、実務でAI活用を推進できるレベルの人材となると年収1,000万円以上の提示が一般化しつつある。採用費や社会保険料を含めると、年間1,200万円以上のコストになることも珍しくない。

一方、外部顧問であれば月5〜10万円、年間で60〜120万円。正社員採用の10分の1以下のコストで、必要な知見にアクセスできる。

実際にどんな依頼が出ているか

外注市場で実際に見かける依頼を整理すると、大きく3つのパターンがある。

パターン1:AI活用の壁打ち相手

「Claude、n8n、GASなど最新ツールに詳しい相談パートナーを募集」—こうした依頼は、特定のツール導入ではなく「自社の業務にAIをどう当てはめるか」を一緒に考える相手を求めている。月2〜3回のオンライン打ち合わせが中心だ。

パターン2:特定業務のAI効率化

「行政書士事務所の業務AI効率化・仕組み化・スタッフ教育のコンサルティング」のように、特定の業種×業務に絞った依頼も増えている。士業、製造業、不動産業など、定型業務が多い業界で特に目立つ。

パターン3:スポット開発+継続相談

「Claude APIを活用した顧客データの自動クレンジング&名寄せツールの開発」のように、具体的な開発案件から入って、その後の運用・改善を継続的に相談するケースもある。予算10万円程度でまず小さく始める企業が多い。

共通しているのは、「まず構造を整理してから、必要な部分だけAIを入れる」というアプローチだ。いきなり大きなシステムを導入するのではなく、現場の業務フローを見直すところから始めている。

AI顧問に頼む前に整理しておくべきこと

外部のAI顧問を活用するにしても、丸投げでは成果は出ない。事前に3つのことを整理しておくと、初回の打ち合わせから具体的な話ができる。

1. 「困っていること」を業務単位で書き出す

「AIを導入したい」ではなく、「毎月の請求書処理に3日かかっている」「顧客リストの名寄せが手作業で追いつかない」のように、具体的な業務と工数を書き出す。ここが曖昧だと、顧問側も提案のしようがない。

2. 現在のデータの状態を把握する

顧客データがExcelに散らばっているのか、基幹システムに入っているのか。データの形式と場所を整理しておくだけで、打ち合わせの密度がまったく変わる。

3. 意思決定者を明確にする

「AIを試してみよう」と言える人が打ち合わせに参加していないと、毎回「社長に確認します」で止まる。小さく試す権限を持った人がいるかどうかは、成果に直結する。

まとめ

国内のAIシステム市場は2024年の1兆3,412億円から、2029年には4兆1,873億円に拡大すると予測されている(出典:IDC Japan 国内AIシステム市場予測)。この流れの中で、中小企業がAI活用に取り組まない選択肢は現実的に厳しくなっている。

ただし、専任人材を採用するコストもリスクも、中小企業にとっては大きい。だからこそ「月10万円以下で、月2〜3回相談できる外部のAI顧問」という選択肢が合理的に映る。

大事なのは、AIを入れること自体が目的ではないということ。まず自社の業務プロセスを構造化して、どこにAIを当てるべきかを見極める。その整理を一緒にやってくれるパートナーがいるかどうかで、最初の一歩の質が変わる。

「何から始めればいいかわからない」という段階こそ、外部の視点が最も効く場面だと思う。


SalesDockでは、中小企業のAI活用相談を月額制で承っています。業務プロセスの構造化から、具体的なツール選定・導入支援まで、伴走型でサポートします。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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