GASで始める不動産業務自動化—追客・オーナー報告・物件入力を月5時間削減する実践ガイド
不動産会社がGoogle Apps Scriptで始めやすい業務自動化を、追客リマインド、オーナー報告、物件入力チェックの3領域で解説。スプレッドシートを活かして月5時間削減する現実的な進め方。
GASは「小さな自動化」から始めるのが向いている
不動産会社でGASが効くのは、巨大なシステムを作る場面ではない。スプレッドシートに既にある情報を使って、通知、転記、チェック、下書きを自動化する場面だ。
問い合わせ後の初動、オーナー報告、物件入力の確認を少しずつ自動化するだけで、月5時間以上は削れる会社が多い。
自動化1: 追客リマインドを毎朝出す
顧客管理シートに「次回アクション日」があるなら、毎朝9時に本日対応すべき顧客だけを抽出してメールやGoogle Chatに送れる。
function sendFollowUpReminder() {
const sheet = SpreadsheetApp.getActive().getSheetByName('顧客管理');
const rows = sheet.getDataRange().getValues();
const today = Utilities.formatDate(new Date(), 'Asia/Tokyo', 'yyyy/MM/dd');
const targets = rows.slice(1).filter(row => {
const nextAction = Utilities.formatDate(new Date(row[8]), 'Asia/Tokyo', 'yyyy/MM/dd');
return nextAction === today && row[7] !== '成約' && row[7] !== '失注';
});
if (targets.length === 0) return;
const body = targets.map(row => row[1] + ' / ' + row[4] + ' / 担当:' + row[7]).join('\n');
MailApp.sendEmail('team@example.com', '本日の追客リスト', body);
}重要なのはコードの高度さではなく、「次回アクション日」が必ず入る運用にすることだ。日付が空欄なら、どんな自動化も動かない。
出典・一次情報
毎朝の自動実行は「時間主導型(クロック)トリガー」で設定します。公式ドキュメントによれば起動時刻は多少ランダム化され、たとえば午前9時のトリガーは午前9時〜10時のあいだで実行されます。仕様は変更されます。最新の情報は公表元でご確認ください。
自動化2: オーナー報告の下書きを作る
賃貸管理や買取再販で毎月の報告文を手で作っている場合、GASで対象物件の数字を集め、文面の下書きまで作れる。AIを使う前でも、定型文の差し込みだけで十分効果がある。
下書きに入れる項目
- 今月の問い合わせ件数
- 内見数と申込数
- 価格変更・広告文変更の提案
- 次月の対応予定
オーナー報告を自動生成する考え方は、オーナー報告書を自動生成する方法でも詳しく整理している。
自動化3: 物件入力の抜け漏れをチェックする
物件入力で一番時間を食うのは、入力そのものより「抜け漏れの確認」だ。価格、所在地、面積、駅距離、画像URL、公開状況など必須列を決め、空欄があれば担当者に戻すだけでも品質は上がる。
function checkPropertyRows() {
const sheet = SpreadsheetApp.getActive().getSheetByName('物件管理');
const rows = sheet.getDataRange().getValues();
const requiredIndexes = [0, 1, 2, 4, 6, 9];
const errors = [];
rows.slice(1).forEach((row, index) => {
const missing = requiredIndexes.some(i => row[i] === '' || row[i] == null);
if (missing) errors.push(index + 2);
});
if (errors.length > 0) {
MailApp.sendEmail('team@example.com', '物件入力の確認が必要です', '確認行: ' + errors.join(', '));
}
}このチェックは、AIより先に入れるべきだ。入力の型が揃っていない状態でAIに文章生成を任せると、間違った物件説明が増える。
| 自動化する業務 | GASにやらせること | 先に決めておく運用 |
|---|---|---|
| 1. 追客リマインド | 毎朝9時に本日対応すべき顧客だけを抽出し、メールやGoogle Chatに送る | 顧客管理シートの「次回アクション日」が必ず入る運用。日付が空欄なら、どんな自動化も動かない |
| 2. オーナー報告 | 対象物件の数字を集め、報告文の下書きまで作る | 下書きに入れる項目(今月の問い合わせ件数、内見数と申込数、価格変更・広告文変更の提案、次月の対応予定) |
| 3. 物件入力チェック | 必須列の空欄を検出し、担当者に戻す | 価格、所在地、面積、駅距離、画像URL、公開状況などの必須列を決めておくこと |
最初の1ヶ月は「作る」より「止まらない運用」を見る
GASは作った瞬間より、1ヶ月後に動き続けているかが大事だ。担当者が列を変えた、シート名を変えた、日付形式が崩れた。こうした小さな変更で止まる。
そのため、最初は1業務だけで始める。追客リマインドなら追客だけ。オーナー報告なら報告だけ。月5時間削れたら次に広げる。この順番なら、現場も社長も効果を見失いにくい。
よくある質問
不動産会社がGASで自動化するなら、まず何から始めればいいですか?
最初は1業務だけで始めてください。追客リマインドなら追客だけ、オーナー報告なら報告だけ。月5時間削れたら次に広げる、という順番なら現場も社長も効果を見失いにくいです。GASが効くのは巨大なシステムを作る場面ではなく、スプレッドシートに既にある情報を使って通知・転記・チェック・下書きを自動化する場面です。
GASで自動化すると、どのくらい業務時間が減りますか?
問い合わせ後の初動、オーナー報告、物件入力の確認を少しずつ自動化するだけで、月5時間以上は削れる会社が多いです。
作ったGASが途中で動かなくなるのはなぜですか?
担当者が列を変えた、シート名を変えた、日付形式が崩れた、といった小さな変更で止まります。GASは作った瞬間より1ヶ月後に動き続けているかが大事なので、最初の1ヶ月は機能を増やすより「止まらない運用」を見てください。追客リマインドなら、コードの高度さより「次回アクション日」が必ず入る運用にすることが重要です。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。
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