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製造業

製造業の受発注システム選び方ガイド—Excel管理の限界と移行のタイミング

10分で読める

この記事のポイント

受注はExcel、発注はFAX、在庫確認は電話。製造業の受発注はバラバラになりやすい。Excel管理が限界を迎える5つのサインと、システム選びの比較、失敗しない移行の3ステップを解説。

受注はExcel、発注はFAX、在庫確認は電話——製造業の受発注業務は、ツールがバラバラになりやすい。

「そろそろシステムを入れたい」と思いつつ、何を選べばいいかわからない。導入費用も気になるし、現場が使いこなせるかも不安。結局、今のExcelをコピペで回し続けている——という会社は多い。

この記事では、Excel管理が限界を迎えるサインの見極め方と、製造業向け受発注システムの選び方、そして失敗しない移行ステップを整理する。

Excel管理が限界を迎える5つのサイン

「Excelで十分」と思っているうちは、まだ大丈夫。でも以下の5つのうち2つ以上当てはまったら、限界が近い。

サイン1:同じ注文を2回入力している

受注を受けたらExcelに入力。発注書を作るためにまた入力。請求書を作るためにまた入力。同じ情報を3回打ち込んでいるなら、それは人間がシステムの代わりをしている状態。入力ミスが起きないほうがおかしい。

サイン2:在庫数がリアルタイムにわからない

「これ、在庫あります?」と聞かれて、倉庫に確認の電話を入れる。Excelの在庫表を開いても、最後の更新が3日前。これでは受注時に正確な納期回答ができない。結果、「確認して折り返します」が口グセになる。

サイン3:月末に発注漏れが発覚する

「あれ、この部品まだ発注してなかった」が月末に出てくる。発注依頼のメールが埋もれていた、口頭で頼んだつもりが伝わっていなかった。発注漏れ1件で納期が2週間ずれることもある。

サイン4:納期回答に30分以上かかる

得意先から「この製品、いつ届く?」と聞かれて即答できない。在庫を確認して、製造スケジュールを確認して、仕入先の納期を確認して——30分後にようやく回答。その間に他社に注文が流れることもある。

サイン5:担当者が休むと受発注が止まる

「○○さんしかわからない」Excelファイルがある。マクロが組んであるけど、他の人が触ると壊れる。担当者が体調不良で休んだ日に、受注処理が丸一日止まる。これは属人化の典型。

受発注システムに求める5つの機能

製造業の受発注システムを選ぶとき、最低限チェックしたい機能は5つ。

1. 受注管理

得意先からの注文を一元管理できること。受注ステータス(受付・製造中・出荷済・完了)が一覧で見えること。

2. 発注管理

仕入先への発注を受注と紐づけて管理できること。発注漏れがアラートで検知できると理想。

3. 在庫連動

受注・発注・入荷・出荷に連動して在庫数が自動更新されること。手入力なしでリアルタイムの在庫が見えるのが理想。

4. 納期管理

受注ごとの納期と、仕入先からの入荷予定日を突き合わせて管理できること。納期遅延のリスクがある案件を早期に検知できること。

5. 帳票出力

見積書・注文書・納品書・請求書をシステムからそのまま出力できること。Excel転記が不要になるだけで、月末の作業が激減する。

製造業向け受発注システムの比較

代表的な5つの選択肢を比較する。自社の規模と課題に合わせて選ぶのが大事。

システム名月額目安特徴向いている企業規模
アラジンオフィス要問合せ(50,000円〜)製造業特化。在庫・生産管理まで一気通貫50〜300名
楽楽販売60,000円〜ノーコードで項目カスタマイズ可能。帳票も柔軟30〜100名
board1,980円〜見積・受注・請求の一元管理に強い。UIがシンプル1〜30名
freee受発注要問合せfreee会計と連携。経理業務まで一体化10〜50名
スプレッドシート+GAS0円自由度が高い。小規模なら十分。保守は自社1〜20名

ポイントは「全部入り」を最初から求めないこと。まずは受注と発注の一元管理ができれば十分。在庫連動や生産管理は、運用が安定してから追加すればいい。

いきなりシステム導入は失敗する—移行の3ステップ

「システムを入れたけど結局使われていない」という話はよく聞く。原因のほとんどは、準備不足。いきなりシステムを入れるのではなく、3ステップで進める。

ステップ1:現状の受発注フローを書き出す(1日)

「誰が」「何を見て」「どこに入力して」「誰に渡すか」を1枚の紙に書き出す。受注から出荷までの流れを、担当者へのヒアリングで洗い出す。ここで初めて「実はこの作業、2人が重複してやっていた」みたいなムダが見つかる。

ステップ2:Excelで項目を統一する(1週間)

部署ごとにバラバラだった項目名を統一する。「品番」と「製品コード」が同じものを指しているなら、どちらかに揃える。単位も「kg」「キロ」「キログラム」が混在していたら統一。この作業をやらずにシステムに移行すると、データがゴミになる。

ステップ3:システムに移行する(1〜2ヶ月)

統一したExcelデータをCSVでインポートする。最初の1ヶ月はExcelとシステムを並行運用して、データに差異がないか確認する。いきなりExcelを捨てない。並行運用で現場が「システムの方が楽」と実感してから、Excelを卒業する。

効果をどう測るか

指標BeforeAfter(目標)
受注1件あたりの入力回数3回(Excel・FAX・請求書)1回
納期回答にかかる時間30分以上5分以内
月末の発注漏れ件数月2〜3件0件
在庫確認の方法電話・現地確認画面で即確認
担当者不在時の業務継続停止する他の人が対応可能

数字で効果を測れる状態にしておくと、「システムを入れてよかったのか」の判断が感覚ではなくなる。導入前にBeforeの数字を記録しておくことが大事。

最後に

あなたの会社の受発注、今日入った注文の納期を即答できるだろうか。

「ちょっと確認します」が1日3回以上出ているなら、それはExcel管理の限界が来ているサイン。

いきなり高額なシステムを入れる必要はない。まずは今の受発注フローを1枚の紙に書き出すことから始めてみてほしい。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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