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製造業

製造業の情シス2人でもDXは始められる — 請求書処理の可視化から小さく始める方法

8分で読める

この記事のポイント

「請求書の手入力で毎月20時間」は、AI-OCR+RPAで3〜5時間まで減らせる。ただし、いきなりツールを入れても失敗する。まず業務フローを書き出して「どこが手作業で、どこが判断か」を可視化するのが先。

「やってることは単純なのに、量で潰される」問題

製造業の情報システム部門でよく聞く話がある。

ITベンダーが10社以上いて、毎月届く請求書のフォーマットはバラバラ。PDFで来る会社もあれば、紙で届く会社もある。Excelに金額だけ入れて送ってくるところもある。

それを1件ずつ開いて、基幹システムに手入力していく。

やってること自体は単純だ。請求書を見て、金額と項目を打ち込むだけ。でも、これが月に数十件積み重なると、それだけで丸一日潰れる。入力ミスも出る。月末に集中するから残業にもなる。

少人数の部署だと、この手作業を「仕方ないもの」として受け入れてしまっていることが多い。2〜3人で回してるから、改善に割くリソースがないという構造だ。

「いきなりRPA」がうまくいかない理由

こういう話をすると、「じゃあRPAで自動化しよう」となりがちだ。

でも、ここで一歩引いて考えたい。

RPAは「決まった手順を自動で繰り返す」ツールだ。つまり、手順が明確になっていないと自動化できない。ところが、少人数の部署では業務が属人化していることが多い。Aさんはこうやってる、Bさんは別のやり方でやってる。マニュアルもない。

この状態でRPAを入れると、こうなる:

Aさんのやり方をベースにRPAを組む

Aさんが異動する

誰もRPAの中身がわからなくなる

結局、手作業に戻る

ある製造業の企業では、AI-OCRとRPAを連携して請求書処理を自動化したところ、処理時間が110分から88分に短縮された(約20%削減)。別の事例では、月30時間の入力作業が3時間まで減った企業もある。ただし、これらの成功事例に共通しているのは、いきなりツールを入れたわけではないということだ。

まず「業務フロー」を書くところから

成功している企業がやっていることは、地味だけどシンプルだ。

自分たちの業務を、フローチャートに書き出す。

「請求書が届く → 内容を確認する → 基幹システムを開く → 金額を入力する → 承認を回す」

これだけのことなのに、実際に書いてみると発見がある:

「確認」の中身が人によって違う(金額だけ見る人、明細まで突き合わせる人)

承認フローが曖昧で、誰がOKを出したか記録が残ってない

同じ情報を2回入力している箇所がある

この「書き出し」をやらずにツールを入れると、非効率な手順をそのまま自動化することになる。それは自動化ではなく、「非効率の高速化」だ。

小さく始める3ステップ

全社展開なんて考えなくていい。まず自部署の、1つの業務から始める。

Step 1: 請求書処理の業務フローを書き出す(1〜2週間)

対象は「自分たちの部署の請求書処理」だけでいい。

やることは、日々の作業を時系列で書き出すこと。ホワイトボードでもExcelでもいい。ポイントは3つ:

どこが手作業か

入力、転記、ファイル保存

どこが判断か

金額の妥当性チェック、承認

どこが待ち時間か

承認待ち、届くまでの時間

この3つを分けるだけで、「自動化できそうな部分」と「人がやるべき部分」が見えてくる。

Step 2: AI-OCRで請求書の読み取りを試す(2〜4週間)

AI-OCRは、紙やPDFの請求書から金額・日付・品目などを自動で読み取る技術だ。最近のAI-OCRは、取引先ごとにフォーマットが違う「非定型帳票」にも対応できるようになってきている。

ただし、読み取り精度は100%ではない。現実的には97〜98%程度。残りの2〜3%は人が確認・修正する前提で運用を設計する。

多くのベンダーが無料トライアルを出しているので、まず自社の実際の請求書を5〜10枚読み込ませてみる。ここで精度が合わなければ、別のツールを試せばいい。

AI-OCRの導入コスト目安

初期費用:0〜10万円(多くのサービスが無料トライアルあり)

月額費用:月1〜5万円(読み取り枚数による従量制が多い)

導入期間:2〜4週間(テンプレート設定・精度検証含む)

Step 3: RPAで基幹システムへの転記を自動化(1〜2ヶ月)

Step 2でAI-OCRが読み取ったデータを、RPAで基幹システムに自動入力する。この組み合わせが「紙 → デジタル → システム登録」の一気通貫の自動化になる。

ここまで来ると、人がやることは「AI-OCRが読み取った結果の確認」と「例外処理」だけになる。

効果をどう測るか

上司に予算を通すにも、自分たちの改善を実感するにも、数字が必要だ。

指標Before(手作業)After(目標)
月あたりの処理時間例: 20時間例: 3〜5時間
入力ミス件数例: 月3〜5件例: 月0〜1件
月末の残業時間例: 10時間例: 2時間以下

最初から完璧な数字は出ない。でも「Beforeの数字」を記録しておくだけで、3ヶ月後に振り返ったとき説得力のある材料になる。

90万円の投資で月20時間の工数が浮くなら、年間240時間。時給換算で考えれば、半年〜1年で回収できる計算になることが多い。

「2人だから無理」ではなく「2人だから回せる」

大企業のDXプロジェクトは、関係部署が多くて合意形成だけで半年かかることもある。

少人数の部署は、意思決定が早い。「やってみよう」と決めたら来週から始められる。フローを書くのも2人分だから、1〜2週間で終わる。試してダメならすぐ方向転換もできる。

まずは自分たちの部署で小さく成功体験を作って、そこから他部署に広げていく。「うちの部署でこれだけ工数が減った」という実績が、全社展開の一番の説得材料になる。

請求書処理は、DXの入り口としてちょうどいいサイズ感だ。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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