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製造業

製造業のHP、"会社概要と設備一覧"だけで終わっていないか—問い合わせが来るサイトの条件

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この記事のポイント

製造業のHPは「名刺代わり」で終わっているケースが多い。問い合わせが来るHPに共通しているのは、加工事例・対応範囲の明記・問い合わせ導線・人が見えるページの4つ。HPの構成をいくつか変えるだけで、月に数件の問い合わせが生まれた事例を交えて解説する。

「ホームページはあるんだけど、そこから問い合わせが来たことがほとんどない」

製造業の社長や総務の方と話していると、この言葉が本当によく出てくる。聞いてみると、HPの中身は会社概要・設備一覧・アクセスマップ。10年前に作ったまま、ほぼ更新していない。

もったいない、と思う。

製造業のHPは「名刺代わり」で終わっているケースがかなり多い。でも実際には、HPの構成をいくつか変えるだけで、月に数件の問い合わせが生まれることがある。大げさな話ではなく、構造の問題だ。


よくある「もったいないパターン」

まず、問い合わせが来ないHPに共通している特徴を整理する。

もったいないパターン何が起きているか
設備一覧だけ載せている「何ができるか」が伝わらない。機械名を見ても発注者はピンとこない
加工事例がない技術力の判断材料がゼロ。比較検討の土俵に乗れない
対応素材・ロット・納期が不明「この会社に頼めるのか?」がわからず離脱する
問い合わせフォームが深い階層にあるたどり着く前に離脱。電話番号だけ小さく載っているケースも多い
スマホで見ると崩れる製造業の発注担当も今はスマホで下調べする。表示が崩れると信頼感が落ちる

心当たりがある項目はないだろうか。

これは技術力の問題ではない。情報の出し方の問題だ。すごい設備を持っていても、それが「この部品を作れます」という形で伝わっていなければ、発注者には見えない。


問い合わせが来るHPに必要な要素

では、実際に問い合わせが来ているHPには何があるのか。僕がこれまで見てきた中で、共通している要素を挙げる。

加工事例を写真付きで載せる

これが一番効く。設備一覧より、加工事例のほうがはるかに説得力がある。

  • 加工前・加工後の写真
  • 素材、サイズ、加工方法
  • 納期(実績ベース)
  • どんな課題を解決したか(簡潔に)

→ 発注者は「自分の案件に近い事例があるか」で業者を選ぶ。事例がないHPは、比較対象にすらならない。

5件でも10件でもいい。完璧な写真でなくていい。スマホで撮った現場の写真でも、ないよりはるかにマシだ。

対応範囲を明確にする

発注者が知りたいのは、「この会社に自分の案件を頼めるのか」ということだ。

  • 対応素材(アルミ、SUS、鉄、樹脂...)
  • 対応ロット(1個から可、量産対応可...)
  • 納期目安(試作なら○日、量産なら○週間)
  • 対応エリア(全国対応なのか、地域限定なのか)

→ これをトップページか、1クリックで見える場所に置く。「お気軽にお問い合わせください」だけでは、問い合わせのハードルが高い。条件が見えるから、問い合わせできる。

問い合わせ導線を全ページに置く

HPの全ページに、問い合わせへの導線を入れる。ページ下部にボタンを固定するだけでもいい。

  • 電話番号(タップで発信できる状態)
  • 問い合わせフォーム(項目は最小限。名前・会社名・メール・相談内容の4つで十分)
  • 「まずは相談だけでもOK」のような一言

→ 問い合わせフォームの項目が10個以上ある会社を時々見るが、これは離脱の原因になる。最初の接点は軽くていい。

「人」が見えるページを作る

製造業、特に町工場の場合、最終的には「この人に頼みたい」で決まることが多い。

  • 代表の挨拶や想い(形式的でなく、自分の言葉で)
  • 現場の写真(工場内、作業風景)
  • 社員の紹介(顔が見えると安心感が出る)

→ 大手メーカーとの差別化ポイントは、まさにここだ。顔が見える安心感は、町工場の強みになる。


実際にHPリニューアルで問い合わせが増えた事例

ある金属加工会社の場合

従業員15名ほどの金属加工会社。HPは10年前に作ったもので、会社概要と設備一覧だけだった。月の問い合わせはほぼゼロ。

リニューアルでやったことは、大きく3つ。

  • 加工事例を12件、写真付きで掲載
  • 対応素材・ロット・納期の一覧表を作成
  • 全ページの下部に問い合わせボタンを設置

制作期間は約2ヶ月。公開後3ヶ月で月3〜5件の問い合わせが来るようになった。そのうち2件が実際の受注につながっている。

大事なのは、特別なマーケティング施策をやったわけではないということだ。「自社が何をできるか」を整理して、見える形にしただけ。

ある樹脂加工会社の場合

従業員8名の小規模な会社。社長が「うちみたいな小さい会社のHPなんて誰も見ない」と思っていた。

実際にアクセス解析を入れてみると、月に200〜300回ほどのアクセスがあった。つまり見られてはいる。でも問い合わせに至らない。

原因は明確で、HPに「何が頼めるか」の情報がなかった。

加工事例8件と、対応可能な素材・サイズの一覧を追加。問い合わせフォームの項目も10個から4個に減らした。結果、月1〜2件の問い合わせが安定して入るようになった。

小さな会社でも、いや小さな会社だからこそ、HPは営業の入り口になる。


HP制作を依頼するときのチェックポイント

HPを作り直すとなったとき、制作会社選びで失敗するケースも少なくない。以下は最低限確認しておきたいポイントだ。

  • 製造業の実績があるか — 飲食店やサロンのHP制作が得意な会社に頼むと、製造業特有の情報設計ができないことがある
  • 公開後の更新体制 — 事例の追加やお知らせの更新を自社でできる仕組みになっているか
  • スマホ対応(レスポンシブ) — 今はスマホからのアクセスが半分以上。対応していないのは致命的
  • SEO最低限の対策 — タイトルタグ、メタディスクリプション、ページ速度。最低限のことをやってくれるか
  • アクセス解析の導入 — Google Analyticsを入れて、公開後に数字を見られる状態にしてくれるか

→ 「デザインがかっこいい」だけで選ぶと、問い合わせが来ないHPができあがる。目的は問い合わせを増やすことだ。


費用相場の目安

HP制作の費用は幅が広い。ざっくりとした目安を整理する。

タイプ費用目安特徴
テンプレート型10〜30万円WordPressテンプレをベースにカスタマイズ。小規模な会社向け。短納期
セミオーダー型30〜80万円デザインは既存ベースだが、構成・コンテンツは個別設計。中小製造業に多い
フルオーダー型80〜200万円デザイン・構成ともにゼロから設計。ブランディングも含めたい場合
運用込みプラン月額1〜5万円保守・更新・アクセス解析レポートを含む。制作費とは別

テンプレート型でも、事例ページと問い合わせ導線がしっかりしていれば十分に機能する。最初から大きな投資をする必要はない。

→ 大事なのは「いくらかけるか」より「何を載せるか」だ。100万円かけても事例がなければ問い合わせは来ないし、20万円でも事例と導線が整っていれば成果は出る。


まず社内でできること

HP制作を依頼する前に、社内で準備できることがある。

  • 加工事例の写真を撮りためる — スマホで十分。加工前・後がわかればいい
  • 対応範囲を一覧にする — 素材、サイズ、ロット、納期。Excelでいい
  • 過去の問い合わせ内容を振り返る — 「どんな案件で声がかかることが多いか」を言語化する
  • 競合のHPを3社見る — 同業他社のHPを見ると、自社に足りない要素が見えてくる

→ この準備があるかないかで、制作会社に依頼したときのアウトプットの質がまったく変わる。

製造業のHPは、まだまだ伸びしろがあるところが多い。「うちは下請けだからHPなんて」と思っている会社ほど、整えたときの変化が大きい。

名刺代わりのHPから、営業の入り口になるHPへ。まずは自社の事例写真を1枚撮るところから始めてみてもいいかもしれない。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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