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不動産

収益物件のマイソクに何を載せるか|利回り・レントロール・修繕履歴の並べ方

9分で読める

この記事のポイント

投資家は複数物件を並べて比較しています。だから収益物件のマイソクで重要なのは情報量ではなく、判断に使う数字が毎回同じ位置にあることです。物件ごとにレイアウトが変わる資料は、比較の土俵から外れます。

収益物件のマイソクを作るとき、居住用の様式をそのまま使っている会社をよく見ます。間取り図が大きく、写真が並び、最後のほうに小さく利回りが書いてある形です。

投資家はこれを開いて、まず数字を探します。見つからなければ次の資料に移ります。1件ずつ丁寧に読んでくれるわけではなく、何十件も並べたうえで絞り込んでいるからです。

この記事では、投資家向けの募集図面に何をどの順で載せるかを整理します。デザインの話ではなく、順番と表記の話です。

1枚目に置く6項目

1枚目の上半分に入れるのは、次の6項目です。これ以外は下半分か2枚目に回します。

項目書き方の注意
価格消費税の扱い(建物分の課税の有無)を併記する。ここが抜けると、あとで話がずれる
想定年収入現況か満室想定かを明記。共益費・駐車場を含むかどうかも書く
利回り表面か実質かを必ず併記。算出の前提を1行で添える
構造・築年融資の年数に直結する項目なので、必ず1枚目に置く
土地・建物の面積登記面積か実測かを区別。土地の権利(所有権・借地)も併記する
現況(満室・空室戸数)総戸数と空室戸数を数字で。「一部空室あり」は情報として弱い

この6項目が1枚目にそろっていると、投資家は数十秒で一次判断ができます。一次判断が通れば資料請求が来ます。ここを通過させることが1枚目の役割で、それ以上の説得を1枚目でやろうとすると情報が多すぎて読まれなくなります。

利回りの表記は、数字より前提を書く

利回りは、書き方によって同じ物件が違う数字になります。だから数字だけを大きく出す形は、結果として問い合わせ後のやりとりを増やします。

最低限そろえる表記:表面/実質の別、満室想定/現況の別、分子に含める収入の範囲。この3つを1行で書きます。

実質を出す場合:差し引いている費用の項目を書きます。管理費・修繕積立・固定資産税・原状回復など、どこまでを引いたかで数字が変わるためです。

社内の統一:物件ごとに表記を変えないこと。同じ会社の資料で計算方法が違うと、投資家側で並べたときに比較できません。

この統一のしかたは「表面利回りと実質利回りがズレる理由」に整理しました。あわせて、不動産の広告表示には公正競争規約があります。表示の要件は改定されるので、社内の表記ルールを決めるときに公表元で一度確認しておくことをおすすめします。

2枚目以降の構成 — レントロールと修繕履歴

2枚目以降は、1枚目の数字を裏付ける資料です。順番は、投資家が確認する順に並べます。

2枚目:レントロール— 1枚目の想定年収入がどこから出ているかを示す資料。現況と想定を色分けするだけで、問い合わせ時の質問が減ります。読み方は「レントロールで最初に見る5項目」を参照してください。

3枚目:修繕履歴と建物の情報— 大規模修繕の実施年、屋上防水・外壁・給排水の状況、エレベーターの有無と更新履歴。分からない項目は「確認中」と書きます。

4枚目:図面と写真— 配置図、各階平面図、外観と共用部の写真。室内写真は空室分だけで足ります。

5枚目:周辺情報— 最寄り駅からの距離、周辺の賃貸需要に関する情報。ここは必須ではありません。

この順番にする理由は、投資家が資料を上から順に確認しないからです。1枚目で判断し、気になったところだけ該当ページに飛びます。だから各ページに「何のページか」が分かる見出しを付けておくと、それだけで探しやすさが変わります。

分からない項目を空欄にしない

資料づくりで一番よくないのは、分からない項目を空欄のまま出すことだと思っています。空欄は「調べていない」と読まれますし、もっと悪いのは、埋めるために推測で書いてしまうケースです。

実務では「確認中(◯月◯日までに回答)」と書く形にしています。これなら、資料の完成を待たずに出せますし、受け取った側も検討を止めずに済みます。収益物件は資料が届く速さがそのまま検討順位になるので、全部そろってから出すより、そろっている範囲で先に出すほうが結果が出ます。

なお、実際には取引できない物件を掲載・配布し続けることは、費用の問題である以前に広告表示のルール上の問題になります。募集終了時の資料の取り下げまでを、資料づくりの手順に含めておくのが安全です。掲載側の運用は「収益物件の掲載運用」で扱っています。

毎回同じ形にするための作り方

順番を決めても、担当者ごとに作ると形が変わります。ここを揃えるのに凝ったシステムは要りません。

支援先でやっているのは、物件情報を1つの表に入れておき、そこから資料の各欄が埋まる形にすることです。表の列が資料の項目と1対1で対応していれば、誰が作っても同じ位置に同じ項目が入ります。物件データから資料を組み立てる方法は「物件データから営業資料を作る」で、間取り図を使った提案資料の作り方は「間取り図からの提案資料づくり」で扱っています。

順番としては、表の列を決めるのが先です。列が決まっていない状態で資料の自動生成に手をつけると、資料ごとに違う数字が速く量産されることになります。

規模よくある状態先に手を付ける場所
中小(〜30人)営業ごとに自分のひな形を持っていて、会社としての様式がないいちばん反響が取れている人のひな形を会社の様式にする。ゼロから作らない
準大手(50〜300人)様式はあるが、支店ごとに独自の追記があり、数字の定義がずれている様式を変えるより先に、利回りと想定年収入の定義を全社で1つに固定する

まとめ

収益物件のマイソクは、価格・想定年収入・利回り・構造築年・面積・現況の6項目を1枚目にそろえます。2枚目以降はレントロール、修繕履歴、図面と写真の順。分からない項目は空欄にせず「確認中」と書きます。

そして、これを担当者に任せず、元になる表の列を先に決める。資料の見た目より、数字の定義と位置がそろっていることのほうが、投資家にとっては読みやすさに直結します。

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出典・一次情報

広告表示に関する規約は改定されます。表記ルールを定める際は公表元で最新の内容をご確認ください。本記事の運用に関する記述は、当社が支援している会社の事例をもとに一般化したものです。

よくある質問

収益物件のマイソクは、居住用と何を変えればよいですか?

1枚目に置く情報を変えます。居住用は間取りと写真が主役ですが、投資用では価格・想定年収入・利回り・構造・築年・土地建物面積の6項目が先に来ます。読み手は複数物件を並べて比較しているため、この6項目が同じ位置にないと比較の対象から外れます。写真や間取りは2枚目以降で構いません。順番を変えるだけで、問い合わせの質が変わります。

利回りは表面と実質のどちらを載せるべきですか?

どちらを載せてもよいのですが、どちらなのかを必ず明記します。数字だけを大きく出して種類を書かない形が最も問題になります。加えて、満室想定なのか現況なのか、分子に共益費や駐車場収入を含めているかも書き添えます。不動産の広告表示には公正競争規約があるため、表示の要件は公表元で確認したうえで、社内の表記ルールを1つに固定しておくことをおすすめします。

修繕履歴はどこまで載せる必要がありますか?

分かっている範囲を、分かっている粒度で載せます。ここで避けたいのは、推測で埋めることです。「屋上防水 実施年不明」と書くほうが、根拠のない年を書くより信用されます。売却理由や過去の大規模修繕は、投資家が必ず聞いてくる項目なので、先に書いておくと確認のやりとりが1往復減ります。分からない項目は「確認中」と明記し、いつまでに回答するかを添える形が実務では機能します。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。

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