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美容クリニックの利益率が低い原因—売上月1,000万でも利益が残らない3つの見えないコスト

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この記事のポイント

売上1,000万超えでも利益率が10%以下のクリニックは多い。広告費の垂れ流し・人件費の膨張・外注費の積み上がり——3つの「見えないコスト」を可視化し、利益率を5%改善する具体策を解説。

月商1,000万円を超えた。開業時の目標はクリアした。でも通帳を見ると、思ったより残っていない。税理士からは「利益率をもう少し上げたいですね」と言われる。忙しいのに儲かっていない——そんな状態に心当たりはないだろうか。

クリニックの利益率の相場 — 診療科別の平均

まずは自院の利益率が相場と比べてどの位置にあるかを確認しよう。

診療科月商目安経費率利益率月間利益
一般内科600〜1,200万70〜80%20〜30%150〜300万
美容皮膚科800〜3,000万75〜85%15〜25%150〜600万
歯科500〜1,500万75〜85%15〜25%100〜300万
皮膚科500〜1,000万65〜75%25〜35%150〜300万
整形外科700〜1,500万70〜80%20〜30%150〜400万

「売上が大きい=儲かっている」ではない。美容皮膚科は月商3,000万でも、広告費に500万、人件費に800万、機器リースに200万と経費がかさみ、利益率が15%を切ることもある。重要なのは「利益率」と「利益額」の両方を見ること。

利益を食う3つの「見えないコスト」

見えないコスト1:広告費の垂れ流し — CPAを計測していない

Google広告、ポータルサイト掲載、SNS広告——毎月の広告費が50万、100万と出ていく。しかし「この広告から何人来院したか」を正確に把握しているクリニックは少ない。

ある美容クリニックでは、月200万円の広告費に対して「なんとなく新患が増えた気がする」で3年間続けていた。計測してみると、ポータルサイトA(月50万円)からの来院はわずか3名。CPA 16.7万円。患者単価5万円のクリニックでは、3回以上リピートしないと赤字だ。

見えないコスト2:人件費の膨張 — 退職→採用→教育の繰り返しコスト

スタッフが1人辞めるたびに、求人広告費15〜30万円、紹介会社の手数料50〜80万円、教育期間3ヶ月の生産性低下30〜50万円——合計100〜160万円のコストが発生する。

年間離職率20%のクリニック(スタッフ5名)では、毎年1人が辞める計算。採用コストだけで年間100〜160万円。これは月の利益の1ヶ月分に相当する。「スタッフが定着する仕組み」を作るだけで、この100万円が利益に変わる。

見えないコスト3:外注費の積み上がり — HP制作・SEO・SNS運用の丸投げ

HP制作会社に月5万円、SEO業者に月10万円、SNS運用代行に月8万円、MEO対策に月3万円——個別に見ると「まあこのくらいか」と思える金額が、合計すると月26万円、年間312万円になっている。

外注費の積み上がり例

外注先月額年額成果の可視化
HP保守・更新5万円60万円更新頻度で判断
SEO対策10万円120万円検索順位の変動
SNS運用代行8万円96万円フォロワー数・来院貢献
MEO対策3万円36万円Googleマップ経由の来院数
合計26万円312万円

問題は「成果が見えない」こと。SEO業者が毎月レポートを送ってくるが、それが来院数にどう影響しているか院長は把握できていない。「契約したから続けている」だけのサービスが紛れている可能性が高い。

利益率を5%改善するシミュレーション

月商1,000万円、利益率10%(利益100万円)のクリニックが、利益率を15%(利益150万円)に改善するための具体策を試算する。

改善策月間削減額具体的なアクション
広告費の最適化15万円CPA計測→効果の低い媒体を停止
離職コスト削減10万円年間離職1名→0名で年120万削減(月換算)
外注費の見直し10万円成果の出ていない外注を停止・内製化
リピート率改善によるLTV向上15万円LINE配信でリピート率5%改善→売上増
合計50万円/月利益率 10% → 15%

月50万円の改善で、年間600万円の利益増。売上を1円も増やさなくても、コストの見直しだけで実現できる数字だ。

来週からできること

アクション1:月次のPL(損益計算書)を1枚にまとめる

税理士から届く試算表を、A4 1枚のサマリーにまとめる。項目は「売上」「人件費」「広告費」「外注費」「家賃」「その他経費」「利益」の7つで十分。毎月同じフォーマットで見比べると、増減が一目でわかる。

アクション2:広告費の「患者1人あたり獲得コスト」を算出する

今月の広告費 ÷ 今月の新規来院患者数 = CPA。これを媒体別(Google広告、ポータルサイト、SNS等)に出す。CPA > 患者単価 × 3 なら、その広告は見直し対象だ。

アクション3:外注費を一覧にして「本当に必要か」を判定する

全ての外注先をスプレッドシートに並べる。「月額」「契約開始日」「成果の可視化方法」の3列で整理する。成果が見えないものは、3ヶ月で見直す判断基準を設ける。

まとめ:利益は「売上の裏側」に隠れている

クリニック経営で最も危険なのは「売上が伸びているから大丈夫」という思い込みだ。売上が1,000万を超えても、利益率が10%以下なら経営は脆い。広告費の無駄、離職コストの繰り返し、惰性の外注——これらの「見えないコスト」を可視化するだけで、利益率は確実に改善する。

まずは今月のPLを1枚にまとめるところから始めよう。数字が見えれば、打ち手が見える。打ち手が見えれば、利益が見える。

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泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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