レセコン連携の方法|電子カルテと連携していないクリニックが二重入力をなくす3つの選択肢と進め方
この記事はクリニックのAI活用・業務効率化 完全ガイドの一部です。全体像を知りたい方はまず完全ガイドをご覧ください。
レセコン連携の結論
二重入力は「仕方ないもの」ではありません。まず今のメーカーに聞くところから、連携の選択肢と進め方を整理します。電子カルテとレセコンの役割そのものの違いはレセコンと電子カルテの違いで整理しています。
- レセコン連携は、電子カルテに入れた病名・処方・処置をレセコンへ自動で渡し、打ち直しをなくすこと
- 選択肢は3つ(同一メーカー・ORCA経由・クラウド型への移行)。つなぎ方はAPI連携とCSV連携で、リアルタイム性が違う
- まず入力時間を測り、今のメーカーに「何が・どの方式で・いくらで渡せるか」を聞いてから決める
「カルテに入力した内容を、またレセコンに打ち直す」。この二重入力に、毎日どれくらいの時間を使っているか把握しているだろうか。
スタッフ2〜3名で回している小規模クリニックでは、この作業が地味に重い。仮に1患者あたり2〜3分かかるとすると、1日40人来院で80〜120分、月20日の診療で約27〜40時間になる。実際の時間は院ごとに異なるため、後述のステップ1で自院の数字を測ってほしい。
しかも、手入力にはミスがつきもの。病名コードの入力ミス、処方量の転記ミスはレセプト返戻の原因になる。返戻が増えれば、その修正にさらに時間を取られるという悪循環に陥る。
レセコン連携とは—電子カルテから何がレセコンへ渡るのか
レセコン連携とは、電子カルテに記録した診療内容を、レセコン(レセプトコンピュータ)へ自動で受け渡す仕組みのことだ。電子カルテは診療の記録、レセコンは点数の算定と診療報酬の請求を受け持つ。連携していないと、同じ内容を2つのシステムへ別々に入力することになる。
受け渡す情報は、主に次の2方向に分かれる。どちらが自院で連携できているかを分けて見ると、メーカーへの質問がはっきりする。
- カルテ → レセコン:病名、処方、処置・検査などの診療行為。二重入力の大半はここで起きる
- レセコン → カルテ:受付、患者の基本情報(氏名・保険情報)。受付で入れた内容をカルテ側で打ち直していないかも確認する
なぜ「連携していない」状態が放置されるのか
電子カルテとレセコンの連携は、技術的には珍しいことではない。それでもクリニックで連携が進まない理由は、主に3つある。
1. 導入時期がバラバラ—開業時にレセコンを入れ、数年後に電子カルテを追加した場合、メーカーが異なることが多い。異なるメーカー間の連携はハードルが上がる。
2. 「今のやり方で回っている」という慣性—二重入力が日常になっていると、それが異常だと気づきにくい。スタッフも「そういうものだ」と受け入れてしまう。
3. 連携の選択肢がわかりにくい—「うちの環境でもできるのか」「いくらかかるのか」「何から始めればいいのか」が不透明なまま、検討が止まっているケースが非常に多い。
電子カルテとレセコン(レセプト)連携の3つの選択肢
クリニックで電子カルテとレセコンを連携させる方法は、大きく分けて3パターンある。
パターン1:同一メーカーで揃える
最もシンプルな方法。電子カルテとレセコンを同じメーカーの製品に統一すれば、連携は標準機能として搭載されている場合が多い。カルテ入力と同時にレセプトデータが生成される「一体型」と呼ばれるタイプもある。
メリットはサポート窓口が1つで済むこと。デメリットは、片方だけ入れ替えるとしても移行コストがかかる点。
ここで誤解されやすいのは、一体型にすればレセコンが要らなくなる、という受け止め方だ。実際には算定とレセプト作成の機能が同じ製品に含まれる形になるだけで、機能そのものは残る。厚生労働省の標準仕様書も、別個のシステムである場合と一体となったシステムである場合の両方を想定して書かれている。この前提はレセコンと電子カルテの役割分担で整理したほうが、製品比較に入る前の目線が揃いやすい。
パターン2:ORCA(日医標準レセプトソフト)を活用する
日本医師会が提供するORCAは、多くの電子カルテメーカーが連携対象としている。異なるメーカーの電子カルテを使っていても、ORCAを経由することでレセプト処理を自動化できる可能性がある。
出典・一次情報
制度・統計は改定されます。最新の情報は公表元でご確認ください。
ORCAは日本医師会がオープンソースとして公開しているため、ソフト自体の利用料はかからない。ただし実際の導入・保守はサポート事業所(ベンダー)に委託するのが一般的で、その費用は事業所と契約内容によって変わる。電子カルテとは、日医標準レセプトソフトのAPI(日レセAPI)などを通じてつながる。
パターン3:クラウド型電子カルテへの移行
近年はクラウド型の電子カルテが増えており、レセコン機能を内蔵しているものも多い。カルテとレセコンが最初から一体になっているため、「連携」という概念自体が不要になる。
費用は月額の利用料が中心になるが、金額は製品・診療科・端末数で変わるため、見積もりで比べる。オンプレミス型からの移行では、過去カルテや患者データの移行作業と、移行期間中の並行運用の負担を見込んでおく。
| 選択肢 | 連携のしくみ | 見積もりで確かめる費用 | 押さえておく点 |
|---|---|---|---|
| パターン1:同一メーカーで揃える | 電子カルテとレセコンを同じメーカーに統一。連携が標準機能として搭載されている場合が多く、カルテ入力と同時にレセプトデータが生成される「一体型」もある | 入れ替える側の機器・ライセンス費、データ移行費、連携オプション費 | サポート窓口が1つで済むのがメリット |
| パターン2:ORCA(日医標準レセプトソフト)を活用する | 多くの電子カルテメーカーがORCAを連携対象としており、異なるメーカーの電子カルテでもORCA経由でレセプト処理を自動化できる可能性がある | ソフトの利用料は無料。導入・保守を委託するサポート事業所の費用と、電子カルテ側の連携設定費 | オープンソース。メーカーが揃っていない環境の受け皿になる |
| パターン3:クラウド型電子カルテへの移行 | レセコン機能を内蔵した製品が多く、カルテとレセコンが最初から一体。「連携」という概念自体が不要になる | 月額利用料、初期設定費、過去データの移行費 | オンプレミス型からの移行にはデータ移行の手間。長期的にはメンテナンスコストの削減につながる |
API連携とCSV連携の違い—レセコンとのつなぎ方
3つの選択肢のうち、同一メーカーの一体型以外では「どうやってデータを渡すか」が問題になる。つなぎ方は大きく、API連携とCSV(ファイル)連携の2つに分かれる。メーカーに問い合わせるときは、どちらの方式なのかを必ず確かめたい。
API連携
電子カルテからレセコンへ直接データを送る方式だ。ORCAの場合、日医標準レセプトソフトのAPI(日レセAPI)が公開されており、電子カルテなどの連携機器から患者情報の取得や受付、診療行為の登録などを行える。カルテで会計に回した内容が、その場でレセコンに届くのが強みだ。
CSV(ファイル)連携
一方のシステムからCSVなどのファイルを書き出し、もう一方で取り込む方式。患者情報の一括移行や、会計データの受け渡しで使われることが多い。専用の連携機能がない組み合わせでも使える可能性がある反面、ファイルの書き出し・取り込みは手作業として残り、反映もリアルタイムではなくまとめて行う形になる。どの項目をCSVで出せるか、取り込めるかは製品ごとに違う。
| 比べる点 | API連携 | CSV(ファイル)連携 |
|---|---|---|
| 反映のタイミング | 操作のたびに自動で反映 | 書き出し・取り込みをしたときにまとめて反映 |
| 人の作業 | 反映結果の点検だけ | ファイルの出し入れと、取り込みエラーの対処 |
| 向いている用途 | 毎日の病名・処方・処置の受け渡し | 患者データの一括移行、会計データの受け渡し |
| 前提 | 電子カルテ側がそのレセコンへの連携に対応していること | 両方の製品が、必要な項目をファイルで出し入れできること |
電子カルテとレセコンの連携を進める3ステップ
「うちでもカルテ連携はできるのか」を確認するためのステップは、意外とシンプルだ。
ステップ1:現状の入力時間を計測する
まず、二重入力にどれくらいの時間がかかっているかを測る。1日3回、ストップウォッチで計測するだけでいい。「1患者あたり平均2.5分、1日40人で約100分」のように数字が出れば、投資判断の材料になる。
ステップ2:メーカーに連携オプションを問い合わせる
今使っている電子カルテとレセコンのメーカーに、それぞれ「連携機能はあるか」「費用はいくらか」を聞く。同一メーカーなら連携オプションが用意されていることも多い。異なるメーカーでもAPI連携やORCA経由の方法を提案してくれる場合がある。
聞き漏れを防ぐため、次の5点をそのまま質問として使うとよい。
- 今のレセコン(またはORCA)と連携できるか。できる場合、方式はAPI連携かCSV連携か
- カルテからレセコンへ渡る項目はどれか(病名・処方・処置・検査)。逆向き(受付・患者情報)はどうか
- 反映は自動か、ファイルの出し入れなど人の操作が要るか
- 初期費用・月額費用・データ移行費はそれぞれいくらか
- 連携で不具合が出たとき、問い合わせ窓口はどちらのメーカーか
ステップ3:費用対効果を計算する
削減できる時間を人件費に換算し、連携にかかる費用と比較する。例えば、仮に月40時間の削減で時給1,500円換算なら月6万円のコスト削減になる。見積もりの初期費用が50万円なら約9ヶ月で回収できる計算だ(数字は計算の仕方を示すための仮の例)。レセプト返戻の減少による間接的なメリットも加味すれば、もっと早い。
連携時に注意すべきポイント
カルテ連携を進める際に、現場でよくつまずくポイントがいくつかある。
データ移行の計画を立てる—既存の患者データをどう移行するか。メーカー間でデータ形式が異なるため、移行ツールの有無や手動補正の範囲を事前に確認しておく。
スタッフへの事前共有—システムが変わると、一時的に業務スピードが落ちる。「最初の2週間は慣れる期間」と事前に伝えておくだけで、現場のストレスは大きく変わる。
段階的な切り替え—いきなり全面切り替えではなく、まず一部の診療科や曜日で試してから全体に展開する方が安全。トラブルが起きても影響範囲を限定できる。
まとめ:まずは「今のメーカーに聞く」から
電子カルテとレセコンの二重入力は、クリニックの業務効率を静かに蝕んでいる。しかし、連携の選択肢は3つ、つなぎ方はAPIとCSVの2つに整理でき、思ったよりシンプルだ。
最初の一歩は、今使っているメーカーに電話して「レセコン連携のオプションはありますか?」と聞くこと。それだけで、選択肢が見えてくる。
「何を聞けばいいかわからない」「メーカーの提案が適正かどうか判断できない」という場合は、第三者の視点を入れるのも一つの方法だ。
よくある質問
Q. 電子カルテとレセコンの連携にはどれくらいの費用がかかりますか?
製品と方式によって大きく変わる。レセコン機能を内蔵したクラウド型や同一メーカーの組み合わせでは、連携が標準機能に含まれていることもある。別メーカー同士やORCA経由では、連携設定費・保守費、移行を伴う場合はデータ移行費がかかる。まず現在のメーカーに「レセコン連携オプション」の有無、および初期費用・月額費用・データ移行費の内訳を確認するのが最初のステップになる。
Q. 連携すると具体的にどの作業が減りますか?
最も大きいのは、診療内容・処方情報のレセコンへの再入力がなくなること。カルテに入力した病名・処方・処置がレセコンに反映されるため、打ち直しと転記ミスの確認が減る。減る時間は院によって違うため、連携前に1患者あたりの入力時間を測っておくと効果を比べられる。
Q. 今使っている電子カルテを変えずに連携できますか?
メーカーによる。同一メーカーの電子カルテとレセコンであれば、連携機能が標準搭載されていることが多い。異なるメーカー間では、電子カルテ側が今のレセコンとの連携に対応しているかを確認する。対応していなければ、レセコンをORCA(日医標準レセプトソフト)に切り替え、電子カルテのORCA連携機能を使う方法もある。いずれにしても、まずは現在のメーカーに連携の可否を問い合わせるのが確実だ。
Q. レセコンとCSVで連携できますか?
製品によってはできる。電子カルテとレセコンの両方が、必要な項目をCSVなどのファイルで書き出し・取り込みできれば、専用の連携機能がない組み合わせでもデータを受け渡せる可能性がある。ただし反映はまとめて行う形になり、ファイルの出し入れは人の作業として残る。毎日の病名・処方・処置の受け渡しには、API連携や一体型のほうが向いている。
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泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。
運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI自走プラン(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。
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