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業務改善

業務棚卸しのやり方—AI化・自動化の前にやるべき整理術

「何から手をつければいいかわからない」を解消する5つのステップ

10分で読める

この記事のポイント

AI導入や自動化の第一歩は、ツール選びではなく「業務棚卸し」。誰が・何に・どれだけ時間を使っているかを一覧化し、優先順位をつけるだけで、改善すべきポイントが見えてくる。この記事では、従業員30〜100名の中小企業向けに、現場で使える5ステップの棚卸し手順を解説する。

「AIを導入したい」「業務を自動化したい」—そう考えたとき、多くの企業がまずツール選びから始めてしまう。しかし、現場の実態を見ていると、ツールを入れる前にやるべきことがある。それが「業務棚卸し」だ。自社の業務が整理されていない状態でツールを入れても、的外れな投資になるケースは少なくない。

とはいえ、「業務棚卸し」と言われても何から始めればいいかわからない、という声もよく聞く。この記事では、従業員30〜100名規模の中小企業を想定して、実務で使える棚卸しの進め方を5つのステップで整理した。

なぜ「業務棚卸し」が先なのか

ある製造業の会社(従業員45名)で、AI搭載の在庫管理ツールを月額15万円で導入したケースがある。しかし導入3ヶ月後、ほとんど使われていなかった。原因は、そもそも在庫管理が一番のボトルネックではなかったこと。実際に時間を食っていたのは、受注後の社内伝達と転記作業だった。

こうした「的外れな投資」を防ぐには、まず現状を可視化する必要がある。業務棚卸しは、その可視化の手段にほかならない。

業務棚卸しで明らかになること

・どの業務に、誰が、月何時間を使っているか

・属人化している業務はどこか

・定型化できる(=自動化しやすい)業務はどれか

・そもそも不要になっている業務はないか

5ステップで進める業務棚卸し

ステップ1:部署ごとに「やっていること」を書き出す

最初のステップは、各部署の担当者に「日常やっている業務」を自由に書き出してもらうこと。フォーマットは問わない。付箋でもスプレッドシートでも構わない。ポイントは、粒度を揃えようとしないこと。「見積もり作成」のような大きい単位でも、「FAXを受け取ってファイリングする」のような細かい単位でもいい。まず量を出すことが大事で、整理は後からやる。

実務上の目安として、1部署あたり30〜80個の業務が出てくれば十分。従業員40名・5部署の会社なら、全社で150〜300個くらいになるのが一般的だ。

ステップ2:業務一覧表に転記し、基本情報を埋める

書き出した業務を1つのシートにまとめる。このとき、以下の項目を列として用意しておくとよい。

業務一覧表の基本項目

項目記入例
業務名月次売上レポート作成
担当部署営業部
担当者田中(1名で対応)
頻度月1回
1回あたりの所要時間約5時間
月間合計時間5時間
業務の種類定型 / 半定型 / 非定型

全業務を完璧に埋める必要はない。まずは主要業務の80%を目指す。残り20%は後から追加すればいい。

ステップ3:業務を4つに分類する

一覧ができたら、各業務を以下の4つに分類する。この分類が、後の改善アクションに直結する。

A

定型業務(ルール通りに繰り返す作業)

例:データ入力、請求書発行、定型メール送信、勤怠集計

→ 自動化・AI化の最有力候補

B

半定型業務(ある程度パターンがあるが判断を含む)

例:見積もり作成、問い合わせ対応、レポート作成

→ AI支援(下書き生成・テンプレ提案)で時短可能

C

非定型業務(都度判断が必要な業務)

例:商談、クレーム対応、新規企画立案

→ 自動化は難しいが、周辺業務の効率化で時間を確保

D

廃止候補(やめても影響が小さい業務)

例:誰も読んでいない週次報告、形骸化した承認フロー

→ 自動化ではなく「やめる」が正解

実際にやってみると、D(廃止候補)が意外と多いことに気づくケースがある。ある不動産会社(従業員35名)では、棚卸しの結果、全業務の約15%が「慣習で続けているだけ」のものだった。これらを廃止するだけで、月40時間以上の工数が浮いた。

ステップ4:改善の優先順位をつける

分類ができたら、A(定型業務)とB(半定型業務)の中から、改善の優先度を決める。判断基準はシンプルに「月間の合計時間」と「担当者の人数」の2軸で十分だ。

優先度の判断基準

最優先:月間合計20時間以上 かつ 1〜2名に集中している業務

次点:月間合計10〜20時間、または複数部署にまたがる業務

後回し:月間合計10時間未満で、属人化していない業務

属人化している業務は、担当者が急に休んだときにリスクになる。月間時間が少なくても、1人しかやり方を知らない業務は優先度を上げたほうがいい。

ステップ5:改善アクションを決める

優先順位の高い業務から、具体的な改善アクションを決める。選択肢は大きく4つある。

1. 廃止する:そもそもやめる。効果が一番大きく、コストゼロ

2. 統合する:似た業務をまとめる。報告書を3種類→1種類にする等

3. 標準化する:手順書やテンプレートを整備し、誰でもできるようにする

4. 自動化する:ツールやAIで処理する。定型業務が対象

よくある間違いは、いきなり「4. 自動化」に飛びつくこと。まず1〜3を検討してから、それでも手間がかかる業務に4を適用する。この順番を守るだけで、ツールへの投資対効果が大きく変わる。

棚卸しを「やりっぱなし」にしないコツ

業務棚卸しは、一度やって終わりではない。半年〜1年ごとに見直すのが理想的だ。ただ、毎回ゼロからやり直すのは現実的ではない。以下の工夫で、継続的な棚卸しの負荷を下げられる。

業務一覧表を「生きたドキュメント」にする:新しい業務が発生したら随時追加。廃止した業務は削除ではなく「廃止済み」に変更

四半期ごとに15分だけ振り返る:各部署のリーダーが「増えた業務・減った業務・変わった業務」を3つずつ報告するだけでも効果がある

改善効果を数字で記録する:「月20時間→8時間に削減」など、ビフォー・アフターを記録しておくと次の改善の説得材料になる

まとめ:整理が先、ツールは後

業務棚卸しは、地味な作業に見えるかもしれない。しかし、これをやるかやらないかで、その後のAI導入や自動化の成否が変わる。「何に時間を使っているか」がわかれば、「何を改善すべきか」は自然と見えてくる。

まずは1部署から、1週間で業務を書き出すところから始めてみてほしい。完璧な一覧表を目指す必要はない。80%の業務が可視化されるだけで、次に打つべき手が明確になる。

業務棚卸しテンプレート(Excel)を無料ダウンロード

この記事で紹介した業務一覧表のフォーマットを、すぐに使えるExcelテンプレートとして用意した。項目名・記入例・分類の選択肢があらかじめ入っているので、そのまま埋めるだけで棚卸しを始められる。

テンプレートをダウンロードする

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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