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AI活用入門

手入力をAIで削減する方法|入力の出どころ別に任せる範囲と最初の1業務の選び方

打ち込む作業をAIに渡し、人は確認と判断に回ります。

9分で読める

手入力をAIで削減する方法:結論

最初の1業務は、毎週くり返す・書き込む先の型がある・間違いに気づける・原本が残る、の4つがそろう入力から選びます。効果は1件あたりの時間と、確認で直した件数で比べます。

  • 手入力をAIで削減するなら、AIに書類やメールを読ませて台帳の形に下書きさせ、人がそれを確認して確定する形から始めます。打ち込む作業はAIへ、確認と判断は人に残します。
  • AIの向き不向きは、入力の出どころで変わります。紙・PDF、メール・チャットの文章、会話、写真・画面の4つに分けると、AIに任せる範囲と人が見る箇所を決めやすくなります。
  • AIを入れる前に、その入力自体をやめられないか、1か所にまとめられないかを確かめます。誰も使っていない入力をAIで速くしても、手間は減りません。

この記事は、手入力の作業をAIでどう減らすかを扱います。AIを使わない入力の減らし方はデータ入力を効率化する方法にまとめています。

FAXの注文書を受注表に打ち込む、問い合わせメールの内容を顧客台帳に書き写す、打合せのメモを日報に起こす。どれも1件なら数分の作業ですが、毎日続くと担当者の時間の多くがここに消えます。しかも、こうした入力は特定の事務担当や社長本人が抱えていることが多く、その人が休むと止まります。

この記事では、こうした手入力をAIで減らすときに、どこまでAIに任せ、どこに人を残すか、どの業務から始めて何で効果を測るかを整理します。

手入力をAIで削減するなら、読み取りと下書きをAIに任せる

手入力の作業は、元の情報を読む、台帳の項目に当てはめる、打ち込む、正しいか確かめる、の4つに分かれます。手入力の4つの作業のうち、AIに任せやすいのは読む・当てはめる・打ち込むの3つで、正しいか確かめる作業は人に残します。生成AIは、書き方が毎回違うメールや会話からでも、会社名や希望日のような項目を抜き出して決まった形に整えられます。

確かめる作業を人に残すのは、AIが読み違いや、本文に書かれていない条件の取りこぼしをするからです。間違いがあっても、それらしい形で出してくるため、見た目だけでは気づきにくいのが厄介なところです。手入力をAIで減らすときの基本の形は、AIが下書きし、人が原本と見比べて確定する、という分担です。

入力の出どころ紙・PDF注文書・請求書メール・チャット問い合わせ・受注会話電話・打合せ写真・画面現場写真・画面AIが下書き読む・項目に当てはめる人が確定原本と見比べ直して確定台帳・システム直した箇所を1行ずつ記録する
打ち込む作業はAIへ、確定は人に残します。直した箇所の記録が、次にどこまで任せるかを決める材料になります。

入力の出どころ別に、AIに任せる範囲と人が見る箇所

同じ「手入力」でも、元の情報が紙なのか、メールなのか、会話なのかで、AIが間違えやすい箇所が違います。出どころ別に分けておくと、確認の手順を決めやすくなります。

出どころよくある手入力AIに任せる範囲人が見る箇所
紙・PDF注文書、請求書、申込書、名刺を台帳や会計ソフトに打ち込む文字を読み取り、決まった項目に振り分けて下書きを作る手書きの追記、金額・数量の桁、欄外の但し書き
メール・チャットの文章問い合わせや受注の内容を、案件台帳や受注表に書き写す本文から会社名・担当者・要件・希望日などを抜き出して1行にまとめる依頼か相談かの判断、本文に書かれていない条件
会話(電話・打合せ)打合せのメモを議事録や顧客台帳、日報に書き起こす録音や文字起こしから、決まった様式の記録を作る決定事項と宿題の担当・期限、言い間違いや固有名詞
写真・画面現場写真の整理、ほかのシステム画面の値の書き写し写真の内容を見て分類し、写っている文字や数値を記録する見えていない部分の補足、数値の単位

紙・PDFは、読み取りの精度より書類の状態で決まる

印字で書式が決まった書類は読み取りやすく、手書きやかすれ、FAXで潰れた文字は読み違いが増えます。紙の書類をAIに読ませる前に、どの書類なら読めるかを自社の紙で数枚試してください。OCRとAI-OCRの違いや向く書類はOCRとは?仕組み・AI-OCRとの違い、FAX特有の落とし穴はFAXをOCRで読む前に知っておくことで詳しく書いています。

メール・チャットの文章は、生成AIが一番効きやすい

問い合わせや受注のメールは、送り手ごとに書き方がばらばらです。決まった位置の文字を読むOCRやRPAでは扱いにくく、ここは生成AIの得意な領域です。当社でも、サイトから届く問い合わせメールをAIで読み取り、案件台帳へ登録する仕組みを使っています。始めるときに決めたのは、仕組みを動かす前に届いていた問い合わせは遡って登録しない、という線です。商談が済んだものや見送ったものが混ざると、台帳が使いにくくなるからです。

会話は、文字起こしより「何を残すか」を先に決める

打合せや電話の録音は、文字起こしまではAIでほぼ自動にできます。手入力が減るかどうかは、その後に議事録や顧客台帳のどの項目を埋めるかを決めてあるかで変わります。決定事項、宿題と担当・期限、次の連絡日、のように残す項目を先に固定すると、AIの出力をそのまま台帳に移しやすくなります。

AIで削減する前に、その入力自体をやめられないか確かめる

AIで入力を速くする前に、確かめておくことがあります。その入力を誰が何に使っているかです。月末に誰も開いていない集計表や、別の台帳と同じ内容を写しているだけの表は、AIで自動化するより入力をやめるほうが早く片付きます。

順番は、やめる、1か所にまとめる、残った入力をAIに任せる、です。同じ顧客名を3つの表に入れているなら、まず正しい置き場所を1つ決め、ほかの表はそこを参照する形にします。そのうえで、どうしても残る1回の入力をAIに渡します。この順番の詳しい進め方はデータ入力を効率化する方法で書いています。Excelへの転記が中心の会社はExcel転記をAIエージェントで減らす方法も参考になります。

最初の1業務は、4つの問いで選ぶ

手入力の候補が複数あるときは、「毎週くり返すか」「書き込む先の型(項目と並び)が決まっているか」「後の工程や突き合わせで間違いに気づけるか」「原本が手元に残るか」の4つの問いにすべて「はい」と答えられる入力から、AIに任せ始めます。1つでも「いいえ」があると、効果が測れないか、間違いが表に出ないまま広がります。

1. 毎週くり返すか件数が少ないと差が出ないいいえ→後回し2. 書き込む先の型があるか項目と並びが決まっているいいえ→後回し3. 間違いに気づけるか後の工程か突き合わせでいいえ→後回し4. 原本が手元に残るか見比べて直せるいいえ→後回しすべて、はい最初にAIへ任せる1業務
件数が多く、型があり、間違いに気づける入力から始めます。年に数回の入力や、確かめようのない入力は後回しにします。

当てはまりやすい入力、当てはまりにくい入力

当てはまりやすいのは、問い合わせメールから案件台帳への登録、注文書から受注表への入力、名刺から顧客台帳への登録などです。毎週件数があり、書き込む先の項目が決まっていて、受注表なら出荷や請求の段階で間違いに気づけます。

当てはまりにくいのは、年に1回の申請書類や、担当者の判断で毎回項目が変わる報告書です。件数が少ないとAIの設定や確認の手間のほうが大きくなり、型がないと確認する人が何を見ればよいか決められません。

手入力削減の効果を4週間で測る数字と計算例

4週間のうち、前半の2週間は今のやり方のまま1件あたりの入力時間を測り、後半の2週間はAIの下書きを人が確認する形に変えて、確認と修正にかかった時間を測ります。比べるのは次の3つです。

  • 1件あたりの時間:手入力の時間と、AIの下書きを確認して直す時間を比べます。
  • 確認で直した件数と項目:どの項目を何回直したかを残します。毎回直す項目は、元の書類か指示の出し方を見直す対象です。
  • 後の工程で見つかった間違い:確認をすり抜けて、出荷や請求の段階で見つかった件数です。時間が減っても、ここが増えていれば確認の手順を戻します。

計算例を1つ挙げます。1件5分かかる入力が月200件あれば、手入力で約17時間です。AIの下書きを確認して直すのが1件2分なら約7時間になり、月10時間ほど減ります。ただし確認に1件4分かかるなら、差は約3時間まで縮みます。AIで手入力を減らした効果は、AIの読み取りの速さより、確認にかかる時間で決まります。費用と見合うかの計算はAI導入のROIの計算式と計算例にまとめています。

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手入力をAIで削減するときに気をつけること

慣れてきても、確認を黙って省かない

AIの下書きがしばらく正しく続くと、確認が形だけになりがちです。確認を減らすときは、直した記録を見て項目ごとに決めます。金額・数量・納期のように間違えたときの損が大きい項目は全件の確認を残し、直しがほとんど出ない項目から抜き取りに切り替えます。人の確認をどこに残すかの考え方はAI業務自動化で人の承認をどこに残すかで書いています。

読めなかったものの戻し先を決めておく

手書きが崩れている、添付が開けない、項目が足りない。AIがうまく読めないものは必ず出ます。そうしたものを誰が、いつまでに手で入力するかを先に決めておかないと、どこにも登録されないまま埋もれます。読めなかった件数も、効果を測る数字と一緒に毎週数えてください。

個人情報や取引先の情報を入れる範囲を決める

顧客の氏名・住所や、取引先の単価が入った書類をAIに読ませる場合は、業務用に契約し、入力内容が学習に使われない設定のサービスを選びます。個人情報保護委員会も、生成AIに個人情報を入力する際の注意点を公表しています。試す段階では、名前や社名を伏せた過去の書類でも効果は確かめられます。

一次情報・公式情報

制度やガイドラインは改定されます。最新の情報は公表元でご確認ください。

手入力をAIで削減するときのよくある質問

手入力をAIで削減すると、どのくらい時間が減りますか?

業務と件数によって大きく変わるため、一律の数字はありません。減る時間は、手入力にかかっていた時間から、AIの下書きを確認して直す時間を引いた分です。AIの読み取りが速くても、確認に時間がかかれば差は小さくなります。今の1件あたりの時間と、AIの下書きを確認する時間を、それぞれ2週間ずつ、合わせて4週間測って比べてください。

AI-OCRやRPAと、生成AIはどう使い分けますか?

書式が決まった帳票を大量に読み取るならAI-OCR、決まった画面に決まった値を入れ続けるならRPAが向いています。生成AIが得意なのは、メール本文や会話のように書き方が毎回違う文章から、必要な項目を抜き出して決まった形に整えることです。1つの業務の中で組み合わせることもあります。

AIが入力した内容は、全部人が確認しないといけませんか?

始めのうちは全件を確認してください。確認でどの項目を何回直したかを記録していくと、直す必要がほとんど出ない項目と、毎回のように直す項目が分かれてきます。直しが出ない項目は抜き取りの確認へ切り替え、金額や納期のように間違えたときの影響が大きい項目は全件の確認を残す、という順番で減らします。

顧客の名前や住所が入った書類を、ChatGPTなどに読ませても大丈夫ですか?

個人情報保護委員会は、個人情報を含む内容を生成AIに入力する場合、利用目的の範囲内かを確認すること、入力した情報が回答の作成以外の目的で使われないかを確認することを注意喚起しています。業務用に契約し、入力内容が学習に使われない設定のサービスを選び、社内で入力してよい情報の範囲を決めてから使ってください。

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泉

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI自走プラン(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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