AI顧問はどこまでやってくれる?月額に含む作業と、別見積になる作業の線引き
決裁が止まるのは、金額ではなく上限が見えないとき
AI顧問の範囲の結論
AI顧問の相談で最も多いのが「月額の中でどこまでやってくれるのか」という質問です。ここが曖昧なまま見積もりを出すと、金額の大小に関係なく社内で止まります。
- 線を引く基準は1つです。AIの画面の中で完結する作業は月額に含み、画面の外で独立して動くものを作るなら別見積になります。
- 稟議が止まる原因は金額よりも、上限が見えないことです。「これ以上は別見積」という線が文書にあると、決裁者は判断できます。
- 業務そのものの代行は顧問の範囲に入りません。顧問がやるのは、その業務を社内の人が短時間で回せる形にするところまでです。
この記事はAI顧問の契約範囲を扱います。料金そのものはAI導入費用の相場、社内で誰が担当するかはAI導入の社内推進担当は誰がやるかで扱っています。
「顧問料の中でどこまでやってくれるのですか」。AI顧問の初回相談で、ほぼ必ず聞かれます。そしてこの質問に答えられないまま金額を提示すると、決裁は止まります。
止まる理由は金額の高さではありません。上限が見えないことです。決裁者の立場からすると、月10万円で契約したあとに「それは別途100万円です」と言われる可能性が残っているなら、判断できません。
線を引く基準は「AIの画面の中で完結するか」
複雑な条件表を作る必要はありません。判断の基準は1つで足ります。
月額に含まれる作業
- 業務の棚卸しと優先順位づけ:どの業務から手を付けるかを一緒に決めます
- AIの初期設定と社内ルールの整備:アカウント、権限、入力してよい情報の線引き
- 月次の打ち合わせと実務の伴走:実際の業務を画面共有しながら進めます
- プロンプトと手順書の作成:担当者が翌月から自分で回せる形にします
- すでに作った仕組みの保守:動かなくなったときの調整は月額の中で対応します
最後の「すでに作った仕組みの保守」を含めるかどうかで、契約後の関係が変わります。作りっぱなしにせず、動かなくなったときに相談できる状態を月額の中に入れておくほうが、結果的に使われ続けます。
別見積になる作業
- 独立したアプリの開発:AIの画面の外で動くもの。勤怠、在庫、見積など
- 既存システムとの連携:APIをつなぐ、データベースを設計するといった実装
- 業務そのものの代行:入稿、記帳、データ入力を代わりに行うこと
- ツールの利用料:AIの月額、SaaSの利用料は実費で別です
3つ目の「業務そのものの代行」を勘違いされることが多いところです。顧問は作業を引き受ける契約ではありません。その業務を社内の人が短時間で回せる形にするところまでが範囲です。ここを混同したまま進めると、期待と請求がずれます。
契約前に文書で合意しておく5項目
口頭で「だいたいこのあたりまで」と話しても、決裁の場には残りません。次の5つは書面に落としてください。
- 対象にする業務:1つ目に手を付ける業務を、契約前に名指しで決めます
- 打ち合わせの頻度と長さ:月2回30分なのか、週1回1時間なのかで金額が変わります
- 担当者:誰が窓口になるか。途中で替わらないことを確認します
- 別見積になる条件:どうなったら追加費用の話になるかを、例で合意します
- 終わり方:契約期間が切れたとき、何が社内に残るかを決めておきます
とくに4つ目です。「どうなったら追加費用の話になるか」を、抽象的な条件ではなく実際に起こりそうな例で合意しておくと、後から揉めません。
なぜ金額より範囲で止まるのか
決裁者が見ているのは、今月の支出ではなく年間の上限です。月10万円の契約そのものは、社員を1人採用することと比べれば判断しやすい金額です。
問題は、その先に見えない支出がぶら下がっているかどうかです。「顧問料とは別に開発費がかかります」とだけ伝えると、上限が無限に見えます。逆に「開発が必要になるのはこういう場合で、その場合は都度見積もります。保守は顧問料に含みます」と書いてあれば、決裁者は判断できます。
AI顧問の範囲についてよくある質問
アプリを作ってほしい場合はどうなりますか?
別見積になります。AIの画面の中で完結しない、独立して動くものは開発の扱いです。ただし、作ったあとの保守は月額の中で対応する形が一般的です。開発費は都度発生し、保守は顧問料に含む、という分け方だと社内で説明しやすくなります。
月額の中で何時間くらい見てもらえますか?
時間で契約するのではなく、打ち合わせの回数と長さで決めるのが一般的です。月30分×4回と月1時間×4回では金額が変わります。実務の相談は打ち合わせの間もやり取りできる形にしておくと、回数の議論になりにくくなります。
業務の代行はお願いできますか?
顧問の範囲には入りません。代行は別の契約になります。顧問がやるのは、その業務を社内の人が短時間で回せる形にするところまでです。ここを混同したまま進めると、期待と請求がずれます。
稟議を通すために何を用意すればいいですか?
金額よりも、含む作業と含まない作業の一覧を先に用意してください。決裁が止まる原因は金額そのものより、上限が見えないことにあります。「これ以上は別見積」という線が文書にあると、決裁者は判断できます。
同じテーマの記事
全体像は中小企業のAI導入 完全ガイド【2026年版】何から始める?全体像を1ページで解説にまとめています。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。
運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。
代表者情報を読む →この記事の数値について
本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。