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不動産

物件仕入れの情報源と人脈の作り方—買取再販で勝つネットワーク構築術

レインズに出る前の物件情報をどう取るか

10分で読める

執筆:泉 款太(株式会社SalesDock 代表取締役)累計40社以上の中小企業を支援

物件仕入れの情報源と人脈の作り方—買取再販で勝つネットワーク構築術

この記事は不動産会社のDX・業務改善 完全ガイドの一部です。不動産業の効率化を体系的に知りたい方はまず完全ガイドをご覧ください。

結論

買取再販の仕入れは、レインズを見ているだけでは勝てません。士業・金融機関・同業者との関係構築でオフマーケット物件を安定して確保する方法をまとめます。

  • レインズの公開物件だけでは仕入れは安定しない
  • 情報源は士業・金融機関・同業者・直接営業・オンラインの5つ。オフマーケット物件はこの関係から出てくる
  • 人脈を資産にするには情報管理を仕組み化し、「待つ仕組み」を作る

買取再販ビジネスの成否は仕入れで決まる。良い物件を安く仕入れられれば利益は出るし、仕入れが止まれば事業も止まる。問題は、良い物件はレインズに載る前に決まることが多いということ。オフマーケット(未公開)の物件情報を安定的に入手するためには、人脈—つまり「情報が集まるネットワーク」の構築が不可欠。この記事では、仕入れの情報源を「士業・金融機関・同業者ネットワーク・直接営業・オンライン」の5つに分類し、それぞれの人脈の作り方と維持の方法を解説する。

仕入れの情報源5つと人脈の作り方

  • 士業:逆紹介・定期連絡・セミナー共催で、相続や離婚に絡む売却の相談を受け取る
  • 金融機関:紹介された案件を確実に処理し、任意売却などの紹介元になってもらう
  • 同業者ネットワーク:仲介会社・管理会社に買取先として覚えてもらい、迅速に回答する
  • 直接営業:チラシ・DM・訪問を3〜6ヶ月続け、所有者に思い出してもらう
  • オンライン:自社HPの買取査定ページで、売主に直接見つけてもらう

仕入れの出発点:レインズだけでは勝てない理由

レインズ(REINS)は宅建業者間の物件情報共有システムで、仕入れの基本ツール。ただし、レインズに載った時点で全ての宅建業者が同じ情報を見ている。条件の良い物件には複数の買取業者が群がり、価格が吊り上がる。結果、利益率が確保できない。

出典・一次情報

制度・統計は改定されます。最新の情報は公表元でご確認ください。

買取再販で安定した利益を出している会社は、レインズに載る前の段階で物件情報を入手している。売主がまだ「売ろうかどうか迷っている」段階、あるいは仲介会社が「まだレインズに載せていない」段階でアプローチできるかどうかが勝負の分かれ目。

売主が迷う段階士業・金融機関に相談が届く仲介が未掲載の段階仲介・管理会社が買取先を探すレインズ掲載後全社が同じ情報を見て価格が上がる関係があれば、ここで声がかかる
買取再販の仕入れでは、「売主が売却を迷っている段階」と「仲介会社がまだレインズに載せていない段階」の2つが勝負どころです。レインズに載ると全社が同じ情報を見るため、価格が上がります。

情報源1:士業(弁護士・司法書士・税理士)との人脈の作り方

相続・離婚・債務整理—不動産の売却が発生する場面の多くに士業が関わっている。弁護士は離婚や相続の案件で「この不動産をどうするか」という相談を受ける。司法書士は相続登記の依頼を通じて「売却を検討している相続人」の情報を持っている。税理士は相続税対策や資産整理の文脈で不動産売却の相談を受ける。

士業との関係構築のポイント

報酬を介さない関係にする:弁護士・司法書士・税理士は、各士業の規律で紹介の対価の授受が制限されることがある。紹介料を前提にせず、逆紹介・情報提供・セミナー共催で関係を作る。弁護士については、日弁連の弁護士職務基本規程が依頼者紹介の対価の受領を禁じていると解説されている

逆紹介をする:自社のお客様で士業が必要な場面があれば積極的に紹介する。一方通行では続かない

定期的な接触:月1回の訪問、または季節の挨拶。情報提供(不動産市況レポート等)も効果的

勉強会・セミナーの共催:「相続と不動産の基礎知識」のようなテーマで一般向けセミナーを共催すると、お互いの集客にもなる

情報源2:金融機関(地銀・信金の融資担当)との人脈の作り方

地方銀行や信用金庫の融資担当者は、住宅ローンの返済が滞っている債務者、事業資金の返済に困っている経営者の情報を持っている。直接的に物件情報を教えてもらえるわけではないが、「買取業者を探している売主がいたら紹介してほしい」と伝えておくことで、情報が回ってくることがある。

金融機関との関係構築は時間がかかるが、一度信頼を得ると安定した情報源になる。特に任意売却案件は、金融機関からの紹介が王道。

金融機関との関係で気をつけること

担当者の異動:金融機関は2〜3年で担当者が異動する。異動があっても後任に引き継がれる関係を目指す

実績の積み上げ:紹介された案件を確実に処理する。「紹介してよかった」と思ってもらえれば、次の紹介につながる

融資の利用:その金融機関で融資を受けることも関係構築の一つ。取引実績があると信頼度が上がる

情報源3:同業者ネットワークの作り方

「同業者はライバル」と考えがちだが、実際には情報交換の最大の相手。売買仲介会社は「この物件を買い取ってくれる業者を知らないか」と相談されることがある。賃貸管理会社はオーナーから「この物件を売りたい」と言われることがある。こうした情報を自社に回してもらえる関係を作る。

仲介会社との関係:「買取の案件があったら声をかけてほしい」と伝え、実際に紹介された物件は迅速に回答する(48時間以内が目安)。レスポンスの速さが信頼につながる。

管理会社との関係:管理物件のオーナーが高齢化や相続で売却を検討するケースが増えている。管理会社にとっては管理物件が減るリスクがあるが、買取後にリフォームして再度管理を委託するスキームを提案すると、Win-Winの関係になる。

業界団体・勉強会:宅建協会の支部活動、不動産投資家の勉強会、地域の経営者会など、定期的に顔を合わせる場に参加する。名刺交換だけでなく、継続的な関係を築くことが重要。

情報源4:直接営業(チラシ・DM・訪問)で所有者と接点を作る

アナログだが、直接営業は今でも有効な仕入れ手段。特に空き家や築古物件の所有者に対するダイレクトアプローチは、競合が少ない。

直接営業の手法と反応率の目安(自社の経験則に基づく目安で、公的な統計ではありません)

手法反応率の目安特徴
チラシ投函0.1〜0.3%エリアを絞って定期的に配布。3回以上で認知される
DM(登記簿から送付)0.5〜1.0%空き家・相続物件の所有者に直接アプローチ
訪問営業1〜3%手間はかかるが反応率は高い。空き家の現地確認を兼ねる

直接営業の鍵は「継続性」。1回のチラシや DMで反応がなくても、3〜6ヶ月継続すると問い合わせが来る。「売りたいと思った時に、真っ先に思い出してもらえる」ポジションを取ることが目的。

情報源5:オンライン(自社HP・広告)で売主に見つけてもらう

オンラインでは、自社HPに「買取査定」のページを作り、SEOやリスティング広告で売主から直接問い合わせを受ける方法がある。一括査定サイトのように複数社へ同時に情報が送られる経路は、価格競争になりやすい。自社HPなら、競合との直接比較を避けやすい。なお、一括査定サイトに買取業者として参加できるかは、サイトごとに条件が異なるため、利用前に各サイトの公式情報で確認する。

情報管理の仕組み化:人脈を組織の資産にする方法

人脈やネットワークは、個人の頭の中にあるだけでは組織の資産にならない。誰と、いつ、どんな話をしたかを記録し、フォローアップのタイミングを管理する仕組みが必要。

リスト化連絡先と最終接触日定期連絡月1回か四半期1回紹介を記録件数と成約を見える化成約報告紹介元へ必ず伝える次の紹介につながる
紹介で成約したら、紹介元へ必ず報告します。報告が「紹介してよかった」という評価になり、次の紹介につながります。紹介元の連絡先、紹介件数、成約は、個人の頭ではなく組織の記録として管理します。

情報管理で最低限やるべきこと

紹介元リストの作成:士業・金融機関・同業者の連絡先と、最後に接触した日付を一覧化する

紹介実績の記録:誰から何件の紹介があり、そのうち何件が成約したかを記録する。成果が見える化すると、どの関係に注力すべきか判断できる

フォローアップのルール化:紹介元への定期連絡(月1回 or 四半期1回)をカレンダーに入れる。忘れると関係が薄れる

成約報告:紹介で成約した場合は必ず紹介元に報告する。「紹介して良かった」と思ってもらうことが、次の紹介につながる

まとめ:紹介元との関係を続ける仕組みが仕入れの差になる

買取再販の仕入れで差がつくのは、レインズに載る前の情報を受け取れるかどうかです。レインズで探すのは全員がやっている。そのために、士業・金融機関・同業者との紹介元リストと定期連絡、成約報告の仕組みを作り、関係を続ける。

仕入れチャネルの全体像については「買取再販の仕入れチャネル」、データを活用した仕入れ判断は「データドリブンな仕入れ戦略」、買取判断の基準は「データで判断する買取再販」も参考にしてほしい。

なお、2026年10月1日施行の不動産登記規則改正で、同日以降の受付分は受付帳から「登記の目的」と「不動産所在事項」が見えなくなり、従来の受付帳DM営業は使いにくくなった。仕入れルートの多様化がさらに重要になるため、「受付帳DM営業が終わる—仕入れルートの転換」もあわせて確認してほしい。

よくある質問

レインズだけで物件を仕入れるのはなぜ難しいのですか?

レインズに載った時点で、全ての宅建業者が同じ情報を見ているからです。条件の良い物件には複数の買取業者が群がって価格が吊り上がり、利益率が確保できません。買取再販で安定した利益を出している会社は、売主がまだ売却を迷っている段階、あるいは仲介会社がまだレインズに載せていない段階でアプローチしています。

士業から物件情報を紹介してもらうにはどうすればいいですか?

相続・離婚・債務整理など、不動産の売却が発生する場面の多くに弁護士・司法書士・税理士が関わっています。関係構築のポイントは3つ。自社のお客様で士業が必要な場面があれば逆紹介すること、月1回の訪問や市況レポートの提供など定期的に接触すること、「相続と不動産の基礎知識」のような一般向けセミナーを共催することです。弁護士・司法書士・税理士は、それぞれの職業規律で紹介の対価の授受が制限されることがあるため、報酬を介さない関係を軸にします。一方通行の関係は続きません。

チラシやDMで物件仕入れの反応はどれくらいありますか?

公的な統計はなく、自社の経験則に基づく目安として、チラシ投函が0.1〜0.3%、登記簿から送付するDMが0.5〜1.0%、訪問営業が1〜3%です。訪問営業は手間がかかる分、反応率が高くなる傾向があります。鍵は継続性で、1回では反応がなくても3〜6ヶ月続けると問い合わせが来ます。「売りたいと思った時に、真っ先に思い出してもらえる」ポジションを取ることが目的です。

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泉

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI自走プラン(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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この記事の数値について

本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。

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