3分で診断結果がその場で分かる

20問に答えるだけ。御社の課題と優先順位を自動判定します

無料で診断
SalesDock ロゴSalesDock
不動産

賃貸管理の収益モデルと損益分岐—管理事業で安定経営を作る方法

仲介だけに頼らない、ストック型収益の作り方

9分で読める

この記事は不動産会社のDX・業務改善 完全ガイドの一部です。不動産業の効率化を体系的に知りたい方はまず完全ガイドをご覧ください。

この記事のポイント

賃貸管理の収益構造と損益分岐点を解説。管理手数料・更新料・原状回復の利益構造、黒字化に必要な管理戸数、仲介中心の経営から管理ストック型へ移行するステップを紹介。

不動産仲介業は、契約が決まれば手数料が入る。しかし毎月の売上はゼロからスタートで、来月の収入は読めない。一方、賃貸管理は管理戸数に応じて毎月安定した収入が入る。仲介で稼いで管理で安定させる—この両輪が不動産会社の経営を強くする。この記事では、賃貸管理の収益構造と、管理事業を始めるための現実的なステップを整理する。

賃貸管理の収益4つの柱

賃貸管理の収益は、管理手数料だけではない。4つの収益源を理解しておくと、管理事業の全体像が見える。

賃貸管理の4つの収益源

収益源相場特徴
管理手数料家賃の3〜5%毎月安定。管理戸数に比例
更新料の事務手数料0.5〜1ヶ月分2年に1回。入居者数に比例
原状回復の管理マージン工事費の10〜20%退去時に発生。工事手配で利益
入居者募集の仲介手数料家賃の0.5〜1ヶ月分空室発生時。自社管理物件は優先的に

管理手数料だけを見ると「家賃7万円の物件で月3,500円か」と思うかもしれない。しかし更新料、原状回復、入居者募集まで含めると、1戸あたりの年間収益は管理手数料の1.5〜2倍になる。この「付随収益」を意識するかどうかで、管理事業の収益性は大きく変わる。

損益分岐点は300〜500戸

管理事業を独立した事業部として成り立たせるには、どのくらいの管理戸数が必要か。一般的な目安を計算してみる。

損益分岐の計算例

平均家賃:7万円

管理手数料率:5%(月額3,500円/戸)

付随収益込み:月額5,000円/戸(年間6万円/戸)

管理部門の固定費(人件費+システム+事務所按分):

担当者2名 + 事務1名 = 月額150万円

損益分岐:150万円 / 5,000円 = 300戸

利益率20%を確保するなら:約400〜500戸

300戸は決して簡単な数字ではない。しかし、仲介だけで月間売上150万円を安定的に出し続ける方が難しい。管理300戸は一度積み上げれば崩れにくい。仲介は毎月リセットされる。この違いが、5年後の経営安定度を大きく左右する。

仲介中心 vs 管理ストック型—経営の違い

仲介中心の会社と、管理ストック型の会社では、経営の構造がまるで違う。

項目仲介中心管理ストック型
月初の売上見込みゼロ管理手数料分が確定
繁忙期・閑散期の波大きい(1〜3月集中)小さい(毎月安定)
社員の評価基準個人の成約件数管理戸数の増加・入居率
離職率高い(成果主義のプレッシャー)比較的低い
会社の売却価値低い(属人的)高い(管理戸数が資産)

特に注目すべきは「会社の売却価値」。M&Aの実務では、管理戸数1戸あたり5〜10万円で評価されることが多い。500戸の管理会社なら、管理事業だけで2,500〜5,000万円の評価がつく。仲介だけの会社にこの評価はつかない。

管理事業を始める4つのステップ

ステップ1:自社仲介の成約物件から管理を受託する

まずは新規にオーナーを開拓するのではなく、自社で仲介した物件のオーナーに管理を提案する。すでに信頼関係があるため、管理受託のハードルは低い。「入居者を決めたので、そのまま管理もお任せいただけませんか」という流れが自然。

ステップ2:管理メニューを3段階で用意する

オーナーのニーズに合わせて、松竹梅の3プランを用意する。集金代行のみの「ライトプラン(3%)」、一般的な管理の「スタンダードプラン(5%)」、サブリースの「フルプラン(10〜15%)」。最初から全メニューを揃える必要はないが、選択肢があるとオーナーの反応率は上がる。

ステップ3:管理業務のオペレーションを整備する

管理戸数が50戸を超えると、入居者対応・家賃管理・修繕手配の業務量が一気に増える。この段階で管理ソフト(いえらぶCLOUD、賃貸革命など)を導入し、業務フローを標準化する。属人化すると100戸を超えたあたりで破綻する。

ステップ4:オーナー営業で管理戸数を積み上げる

100戸を超えたら、積極的にオーナー営業を始める。DMやセミナーよりも、既存オーナーからの紹介が最も効率がいい。管理報告書の質を上げ、「この会社に任せて良かった」と思ってもらうことが最大のオーナー営業になる。

仕組み化すべき3つの管理フロー

管理戸数が増えても人を増やさずに回すには、3つのフローを仕組み化する必要がある。

1. 入居者対応フロー

問い合わせ窓口を一本化し、対応マニュアルを整備する。よくある問い合わせ(水漏れ・騒音・鍵紛失)はテンプレート対応で、担当者の判断なしに処理できる状態にする。コールセンター外注(月2〜5万円)も選択肢。

2. 家賃管理・督促フロー

口座振替を標準にし、未入金は自動検知。督促はSMS→電話→書面の3段階で、日数に応じて自動的にエスカレーションする。保証会社を必須にすれば、滞納リスクはほぼゼロにできる。

3. 退去・原状回復フロー

退去立会い→見積もり→工事→精算の一連の流れをチェックリスト化する。協力業者を2〜3社確保し、見積もり比較を標準プロセスにすると、オーナーの信頼も上がり、マージンも適正に取れる。

まとめ:管理はストック、仲介はフロー

仲介で稼ぎながら管理を積み上げる—この戦略は特に新しいものではない。しかし、実際に管理事業を本気で育てている中小不動産会社は少ない。仲介の忙しさに追われて、管理は「ついで」になっている会社が多い。

管理300戸を超えると、月150万円以上の安定収入が入る。仲介がゼロの月でも会社は回る。この「安心感」が経営判断の質を上げ、社員の定着率を上げ、結果として仲介の成績も上がる。まずは自社仲介物件のオーナーに管理を提案するところから始めてみてほしい。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

代表メッセージを読む →

関連記事

賃貸管理の収益改善を無料で相談

管理事業の立ち上げ・収益改善をお手伝いします

無料で相談する